ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

てんや「角煮天丼」

これは予想の上を行く美味さ。
だが、味の濃い角煮にてんぷらの衣(油その物)でコーティングしてるんだから激カロリーだろう。
まあ、天婦羅屋に来てカロリーがどうのって、その前に店に来るなよって話だからスルーでいいんだけど。

角煮の天婦羅自体はとても美味い。
ただ、幾つかの具の一部になり下がってしまう天丼として食べるより、
定食の一品として白ご飯ほうばって食べる方が向きそうだ。
但し単価は小さいのに高くてトッピング単品一つ150円、
二つ入ってる天丼として食べる方がリーズナブルである。
まあ、期間限定商品なので、なくならないうちに一回食べていただく事をお勧めする。
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『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』をユナイテッドシネマ豊洲2で観て、一見さんも大事にしてちょ★★★


▲「お兄様」おんな

五つ星評価で【★★★アウトライン分かりづらい事を除いても楽しめる】
もうほんなこつバリバリに一見さん無視。
作品世界における魔法の意味から各登場人物の紹介まで一切無視。
回想シーンも含めて、ことごとく前段の作品を鑑賞している事が条件となる仕様。
だがまあ、そういうのはしょうがないにしても、この単品だけでは主人公やヒロインが強いだけであまり共感できるように見えないのは問題ではないか。

戦略核兵器並みの破壊力を持つ魔法師同士の「最強対最強」というコンセプトには胸踊るものを感じるが、「魔法」のコンセプトがシステム化されすぎている為、各個人の能力の発露に見えず、一見さん的にはしのぎを削ってる感を感じられず、ドキドキする出来にはなってなかった。

ストリングを強調した劇伴は映画を盛り上げてくれるが、後になって気が付いたが『マッドマックス 怒りのデスロード』の劇伴にそっくりじゃん。

【銭】
ユナイテッドシネマのポイント2ポイントを使って割引入場。1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女@ぴあ映画生活

テーマ:アニメ - ジャンル:映画

マンガ『あさひなぐ 第二十三巻』こざき亜衣、ビッグコミックスを読書する男ふじき

河丸摂戦の開始。
この巻は大きく、河丸摂戦、國陵三年最後の団体戦、男子薙刀の三部構成で出来ているが、秀でているのは河丸摂のエピソードだ。このタイプは今まで、このマンガの中にはいなかった。
スポコン漫画の根幹は「努力は結果に現われる」。だから、馬鹿みたいに努力する。いわゆる体育会系的な思考である。今までの登場人物は努力の差異に違いこそあれ、みな同じこの線上に乗っていた。
河丸摂は違う。努力が許されないという特異なキャラだ。しかし、このキャラが一般社会で特別かと言われればそうとは言えない。ハンディキャップは人それぞれだが、こういう実例は他にもいろいろあるに違いない。そして、河丸摂は努力を許されないからこそ、自分を追い詰めて明るく穏やかに振る舞いながらも、狂おしい部分を持たない訳にもいかない。実に異形な存在で面白い。

しかし、こざき亜衣は表現下手な部分が残っているな。
この巻でも、旭が摂にフェイントをかけるシーンが、どちらがどちらに掛けたか判じ物のように考えないと分からなかったり。

『キング・アーサー』を109シネマズ木場8で観て、絵と音がずば抜けてるオマヌケファンタジー★★


▲帝銀事件の真相みたいな絵

五つ星評価で【★★極めてプロモーションビデオっぽく、そんな意味でガイ・リッチーっぽい】

絵と音に凄く魅せられる。
グチャグチャで何が描かれているか分からんキライもあるけど、予告通り絵が凄くかっこよく、ケルト風なのに重くてズシンな感じの劇伴もかっこいい。でも、その絵と音に話が付いていってない。イギリス王国の始祖の話とは言え、魔法や怪獣が跳梁跋扈するファンタジーな設定なので、リアリティーみたいな物は捨て去ってくれても構わないのだが、物語のコアになる「聖剣のパワー」に関してだけは御座なりにしてはいけない。のに、その辺、てきとーだ。
王家の正統な後継者が振るうと莫大なパワーを出す。
剣が人を選ぶのである。
えーい、剣の癖に生意気な。
と言うか、その剣が何故、そんな力を秘めているかが「みんな知ってるでしょ」とばかりに何の説明もない。何だよ、呪いか?魔力か?王様(アーサーの父)正々堂々みたいな顔して、そこを魔力に頼って補うのはどういう物か。正義が遂行されさえすれば手段は選ばないのか? そもそも聖剣が正義の象徴のように描写されているが、正当後継者が正義であり神に祝福されているというのは王族側の都合だろう。

弟が兄に下剋上して、その息子に討たれるって『キング・オブ・エジプト』がそんな設定だったな。まあ、そもそも物語としてはこっちの方が古いんだろうけど。このジュード・ロウが特別にゲスい悪役に見えない。だから、そうまでして退治されなくてもみたいに同情しないでもない。ジュード・ロウの「どろろ」ラインみたいな心情に深入りせず、野蛮な王子アーサーのトラウマ回復ドラマがそんなに面白くないので、物語はもちっと整理して伐採してほしかった。

『うしおととら』の獣の槍みたいに「剣よ来い」と言うと飛んできてくれるようにならないかんやろ。

PS 日本だったら「草薙の剣」をこんな感じでかっこよく映画にしてほしい。
PS2 聖剣の力で40メートルの巨人になって剣劇みたいなのが見たかった。

【銭】
109シネマ会員感謝の日(毎月19日)、会員割引で1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
キング・アーサー@ぴあ映画生活

テーマ:洋画 - ジャンル:映画

引越後最初の記事

こんちは。
「ふじき78の死屍累々映画日記」ライブドアブログから引越してきて最初の記事です。ライブドアのブログで映画レビューを2008年8月24日から2017年6月15日まで、ざっと9年弱やってきました。ライブドアの仕様変更により、当月末でトラックバック機能が使えなくなるという事で、FC2に越してきました。なので、この記事以前の記事はライブドアブログ時代に書かれた記事です。

FC2の引越ツールを使用した所、コメントやTBはライブドアブログ側に置き去りになってしまいました。これをどうこうできるほどの技術スキルは持ち合わせていないので、ライブドアブログ時代の映画記事は活かさず殺さず元のままに放置しておきます。新旧二本立てで行きます。

いろいろ勝手が違うので、変わっていってしまう部分などあるかもしれません。ごくごく希にいる読者の方にご不便掛けたりするかもしれませんが、まあ、適当にホイホイやってこうと思うので、適当に付きあっていただければ幸いです。

旧天地の「死屍累々映画日記」のリンクとアドレスを下に記します。

@ふじき78の死屍累々映画日記

アドレスは
"http://fjk78dead.blog.jp/"です。

『14の夜』をキネカ大森2で観て、青春の中でも蔑ろにされる部分だふじき★★★

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▲主人公は右から二人目。

五つ星評価で【★★★超共感】

まだ毛も生えてないくらいの子供と大人の間の中人の性の話は映画になりづらい。
いや、あるにはあるのだけど、女の子が酷い目に会いました系の大惨事の映画が凄く多くを占めてしまう。それほどの占拠率を占めるほどそんなにバカスカ暴行されてないと思うよ。

彼等の大概はただ「もんもん」してるだけ。
こういう「もんもん」を悲惨な爆発の方向に持って行かずに描く映画は珍しい。
みんな共感する事は分かっているのに、みんな「ええかっこしい」で、
自分の事のように捉えられるのが嫌なんじゃなかろうか。
まあ、みんなあんなんだと思うよ。
そう言えば女の子の「もんもん」を描いた『机のなかみ』って傑作があったな。

主人公の彼の内気っぽさがイライラさせられながらもひたすら共感する。
あんな奴、多いし、私自身あんなんだった。
彼等はエロを求めつつ、上(ヤンキー)からは抑えられ、
ヤンキーはそのまた上のゾクから抑えられる。八方塞がりで爆発しようがない。
いや、その前に自分よりヒエラルキーが下と思っていた存在からいきなりアイデンティティ・クライシスな出来事を仕掛けられる展開が凄すぎる。あのシーンはビックリしたなあ。

彼の話が転がり出すのは題名通り「夜」になってからなのだが、
彼の家族が出てくる昼パートも面白い。
光石研のともかく頭から尻まで徹頭徹尾ダメなオヤジ。
母ちゃんが濱田マリなのは盤石。
娘(姉ちゃん)は門脇麦。ああ、麦ちゃんのSEXシーン欲しかった(間違えてない)。


【銭】
キネカ大森名画座・名画座カード保有者ラスト1本割引で500円。カップリングは『パンツの穴』だったが、割と最近見たのでスルーした。でも、これは実にいい二本立てだ。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
14の夜@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
14の夜@ノラネコの呑んで観るシネマ

PS すんげえ共感してて、衝撃を受けるシーンもあったのだけど、
 「人に超すすめたい」モードにまでならなかったのは、
 姉ちゃん達が本気モードで「うっふん」じゃなかったからだ、きっと。
 母ちゃんの濱田マリはハナからそういうモードじゃないし、
 姉ちゃんの門脇麦はとっても好きだけど、今回そっち方向には向かないし、
 AV女優の姉ちゃんは平面のままだし、
 ビデオ屋の内田慈はお姉さんと言うより、お母さんっぽく撮れてしまっている。
 最後に残る幼馴染の浅川梨奈は扇情的な服装が全てで、
 ずっと苛立っている様子とも合わせて擦り寄ってくる物がない(そんな役だけど)。
 つまり、もっとも「可愛い」に値するのは「男の子」になってしまう。
 いやいやいやいや、ホモじゃないのだから、
 ちゃんとね女神様みたいな可愛い女の子も出してほしかった。
 ガダルカナル・タカの言うように
 「何の肉だか分かったらもっと驚くぞ」状態であったとしても。

 もちろん、光石研でも興奮はしない訳だから(あの役作りに感動はおぼえる)

『ローガン』をユナイテッドシネマ豊洲9で観て、定番だふじき★★★

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▲「老いては子に従え」的なビジュアルに見えるのは私が老いてるから?

五つ星評価で【★★★去りゆく者はいつも美しい】

この映画の中のローガンはただ生きている。
元から「死なない」という属性を持つローガンであるが、
その不死性がプラスに働く事もなく、毎日つまらない日常を送っている。
なんてサラリーマンなローガン。
彼の生活は彼の仲間(師匠みたいな仲)の生活を支える事がその全てになっている。
老人介護の為に、自分の生活全てを使いきってしまうローガン。
何て今の日本的な哀しみに満ちたサラリーマンみたいなローガン。

彼の元へはもう足抜けしたというのに昔のヤクザ関係者が現われて、ヤイノヤイノ叫ぶ。
何て後期高倉健的な人生にいるのか、ローガン。
平穏に暮らしたい彼を誰もほっておいてくれない。
彼はもう老境にいる。
彼の師父代わりが、彼にしてくれたように、
彼も彼の心を誰かに引き継がなければならない時が来ている。

彼は自分から戦いを求める事はない。力強かったが心ないならず者ではなかった。
彼は他人の為に、自分の強烈な痛みを全て無視してずっと戦い続けてきた。
他人の幸福の為に、自分が全ての痛みを引き受ける。それが不器用な彼の生き方だった。
それがいい目に結びつく時も、悪い目を引きよせてしまう時もある。
彼は不死性さえも失ってしまう。
でも、それが何だと言うのか。不死性があろうが、なかろうが彼の痛みに代わりはない。
不死性がなくなる事こそが彼の救いでもあるのだ。
だが、その不死性の減少を止めてでもやらなければいけない事がある。
彼は彼の心を引き継ぐ者達を逃がす為に、別に望まれてもいないのに
最後の命の蝋燭を最大限に燃やそうとする。なんてヒロイズムだ。

かっこいいぞローガン。
かっこいいぞヒュー・ジャックマン。
ヒーローはどれだけ相手に対して殺傷能力を持つかではない。
ヒーローはどれだけやせ我慢をして、他人に幸せを授けられるかだ。
そういう日本人的な英雄観に実によく合う男だった。
だから、かっこいいに決まっているじゃないか。

ヒュー・ジャックマンのかっこよさに拍手し、
パトリック・スチュワート(プロフェッサーX)の病気に戸惑い、
ダフネ・キーン(ローラ)のじゃじゃ馬っぷりを微笑ましく見た。

S的な要望かもしれないが、
もう一つくらい最悪なヴィランを用意してもらいたかった。


【銭】
ユナイテッドシネマ金曜会員割引料金1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
LOGAN/ローガン@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
LOGAN/ローガン@映画のブログ
LOGAN/ローガン@ペパーミントの魔術師
LOGAN/ローガン@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

『スノーデン』『シチズンフォー スノーデンの暴露』を新文芸坐で観て、補完しあういい二本立てだふじき★★★,★★★

新文芸坐が企画したスノーデン二本立て。

◆『スノーデン』『シチズンフォー スノーデンの暴露』
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▲『スノーデン』のJGL。『サンダーバード』のブレインズっぽくもある。

五つ星評価で【★★★,★★★面白すぎはしないが大事】
『シチズンフォー』がスノーデンがアメリカ政府の違法情報収集を告発したドキュメンタリーフィルム(告発先がドキュメンタリー映画作家)。『スノーデン』がその事件を題材にオリバー・ストーンが告発者の半生を元にして作った実話ドラマ。互いに補完しあう内容になっているので実にいい二本立て興行である。

『シチズンフォー』はどのような違法が行われているか、その違法を告発する為にどういう手段を講じなければいけなかったか。『スノーデン』はその告発を中心としながらも、何故、告発に及んだのか過去の略歴を詳細に追いながらドラマ仕立てにしてスノーデンの内面を描いている。結局、違法に情報を収集される事の何が恐ろしいのかを的確に描いている。
いともたやすく鼻くそをほじくりながらでも入手できるプライバシー。悪用されないという前提があるから特に気にしていないが、有事の際は悪用されてもしょうがないと具体例を付きつけられると、異常である事がよく分かる。

自国の情報を盗むのは制約があるが、他国の情報は盗み放題。日本に対するアメリカの利用の仕方も実に「そんなだろう」という感じだ。こういう世界は怖いがSFではなく、もうそういう世界にこの世界はなってしまっているのだ。

まあ、『ボーン』シリーズとか見ると、もうどんな情報でもCIAは使い放題だから、フィクションの世界の方が図らずも現状を上手く把握出来ているのかもしれない。それにしてもこんなに適当にプライバシーが扱われているとはフィクション側でも思ってもいなかったろうが。

ニコラス・ケージがクセ者役で出てくるのは嬉しい。やはりそういう空気がある。
最初の上司役のリス・エヴアンスも不気味なタカ派という感じで良い。

本物のスノーデンは若くて意外と爽やか。
スノーデン役を演じたジョセフ・ゴードン=レヴィット。最初の軍人時代は何か粗悪なウッディ・アレンみたい。そして成長して告発する悩めるスノーデンになると、何となく東京03の角ちゃんに似てきてしまう。うーん、そら、何とも残念な類似だよなあ(角ちゃんには悪いがどう考えても残念でしょ)。

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▲リアル・スノーデン。BLの主人公にしたら受けそう。


【銭】
新文芸坐の会員割引300円減の1050円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
スノーデン@ぴあ映画生活
シチズンフォー スノーデンの暴露@ぴあ映画生活

『惑星ロボダンガードA対昆虫ロボット軍団』『鋼鉄の巨人』をシネマヴェーラ渋谷で観て、こんなやろねふじき★★,★★

特集上映「甦る映画魂 The Legend Of 石井輝男」の1プログラム。

◆『惑星ロボダンガードA対昆虫ロボット軍団』
五つ星評価で【★★うんまあ】

懐かしいな、ダンガードA。
こんなのに石井輝男が絡んでるとは知らんかった。
名前貸しだけかと思ったら、どこまでかは知らないが手を出してるらしい。

それにしても動かないのだけど、キャラがアップの時の作画の力の入れ方が凄い。

TVのエピソードとは一切絡まず(確か新惑星一番乗りを目指すような話だった筈)
いきなり攻めてきた悪い宇宙人を退治しておしまいみたいな身も蓋もない話だった。
宇宙人の目的も地球人の食糧化ってベタなものだったし。
話の中で主人公の一文字たくまが命令破りみたいな事ばっかりやってる。
それが笑って許されるところが軍隊組織みたいな厳しさがなくてユルユルで、逆にいいのかもしれない。

昆虫人間のデザインがグロくっていい。


◆『鋼鉄の巨人 怪星人の魔城+地球滅亡寸前』
五つ星評価で【★★珍品】
なんか退屈。緩急がゆるいのかなあ。格闘シーンとか随分ユックリな感じ。

怪星人カピア星人のデザインとかなかなか良く出来ているが、
宇宙人というよりは妖怪っぽい。

ともかく変身した宇津井健がポヨンポヨンしててかっこ悪い。

「海底マ嬢」と変換しちゃいけないよな。ちょっと相手にして貰いたい気はするが。


【銭】
シネマヴェーラの会員割引400円減の1100円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
惑星ロボ ダンガードA対昆虫ロボット軍団@ぴあ映画生活
鋼鉄の巨人/怪星人の魔城@ぴあ映画生活
鋼鉄の巨人/地球滅亡寸前@ぴあ映画生活

『弁護人』をK's cinemaで観て、満腹なりふじき★★★★

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▲仲良し二人組。

五つ星評価で【★★★★ソン・ガンホ安全牌だなあ】
特集「彩プロ30周年記念特集上映」から1プログラム。
そら、ソン・ガンホにも外れはあるんだけど、泡吹くように叫び飛ばす系のソン・ガンホはあらかた大丈夫な気がする。
高卒で弁護士になり、コネも仕事もないので、住宅登記や税金コンサルタントなどの鼻つまみ仕事を大量に請け負って儲けていた成金弁護士が、恩人の息子の冤罪事件を機に国家を敵にした勝てない裁判に立ち向かっていく様子を描く。ソン・ガンホが粗暴で一見弁護士には見えないのだけど生活力がありそうで、いいキャスティング。弁護士だけど、高校の同期と飲んだくれるとコンプレックスで必要以上に学歴のあるものをけなしてしまう。うんうん、分かるよ、ソン・ガンホという気になる。
そして冤罪裁判。ソン・ガンホただのバカじゃない。一歩一歩劣勢から取り返していく。裁判ドラマとしてちゃんと面白い。
事務所番にオ・ダルス。裁判になってからは出番が少ないが(事務所番なので)、ソン・ガンホとオ・ダルスが二人で客を待ってる事務所って贅沢だ。



【銭】
当日一般料金1500円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
弁護人@ぴあ映画生活

『BLAME!』をシネ・リーブル池袋1で観て、濃厚なSFの香りが嬉しいぞふじき★★★

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▲「マスクを取れ」と言われて即座に応じる娘。「パンツを取れ」と言いたい。

五つ星評価で【★★★SFしてていいのだけど、謎がほったらかしなんだよねえ】
「人類が自動生成機能を持つ都市に害虫として駆除される」という設定がたまらない。
確かにこれは今、起きようとしている切実な問題なのだ。
人間と機械との間に明確な上下関係があるうちは大丈夫だった。
車は自分を運転する者に疑念を抱かない。
運転する権利(起動キーを持つ)さえあれば、運転者の資格は問われない。
相手がAIのような物になり、自分に命令を下しているものはいったい何者なのか、
その者の特定とは何を持って行われるのか、を悩みだすとこの映画の世界に近づく。
人間とは何かが失われた時代に繰り広げられる
人間に作られた人間以外を排斥しようとする機械と、人間だった者達の戦い。

人間は設定上駆除対象だから弱い。ビクビクしながら生きている。
そのままだと駆除されて終わってしまうので、冒険者の旅人と
村の深層に隔離されていた魔法使いを付けた。

この旅人と魔法使いの存在が現状を打破しようとする状況に上手く作用して、
物語を面白くしているが、彼等二人自身の存在の謎が解明されないのはマイナス。

でも延々と続くアクションや殺し合いは音楽のかっこよさも合わせてワクワクさせられてしまった。ちなみに3DCGで描かれたキャラクターはどれも似通ってしまい、その「声」だけでなくもう少し各々の個性を際立たせるべきだったと思う。


【銭】
テアトル会員割引+曜日割引で1000円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
BLAME!@ぴあ映画生活

『メッセージ』『花戦さ』をユナイテッドシネマ豊洲4,9で観て、両方コミュニケーションが大事だふじき★★★★,★★★

金曜日と土曜日に見た2本をまとめてレビュー

◆『メッセージ』
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▲白鶴「まる」にシン・ゴジラ第四形態が乗り移ったみたいな宇宙人のメッセージ。

五つ星評価で【★★★★宇宙人のメンタリティーにビックリ】
正体不明の宇宙人が「バカうけ」と言おうか、
黒い米粒と言おうか、スイカの種と言おうか、
『ゴジラ・ミレニアム』のオルガの乗ってきた宇宙船と言おうか、
まあともかく種っぽいのが12個12カ所地球に飛来してきて
人類とコミュニケーションを取ろうとする。

この宇宙人のコミュニケーション言語(音声と文字(但し、非相関))と
メンタリティーが独特で他にないのがちょっと興奮を誘った。
正確にはメンタリティ(心の持ち方)だけかな。
ちょっと独特すぎて想像しか許されない。きっとこうじゃないかなあ程度。
彼等に比べれば『2001年宇宙の旅』に出てきた謎の存在モノリスの方が
まだ人間的な思考に寄り添った存在に思える。この状態はとても面白い。
それはSFだから。
SFでまだ見ぬ謎や新たな概念を目にする事の何と減ってしまった事か。
久しぶりに見た事もない「珍奇」を味わった。星四つはそれに対してである。
しかしまあ、全てを知っている存在とはどんななんだろう。
少なくとも博打は楽しめない。出来事に対しての驚きがない。
彼等のようになる事が幸せとは思えないが、それを受け入れさせられてしまうのは
外見と内面の差はあるが『第九地区』を思いだしたりもする。

円状の言語は面白いが、紙の文化が前提にあるようにも特に思えなかったので、
あの言語は球状に展開するのでも構わなかった。
まあ、それは2Dで見せる映画には向かないからしなかったのだろうが。
映画で見せるのに向かなくて構わないというのなら、
言語自体が視覚・聴覚を基本とせず、嗅覚や味覚、触覚をベースにした物だってありえなくはない。嗅覚や味覚は自分達で容易に再現できないのでとても言語には向かない気がするが、仮に一定空間に特殊な粒子を噴出する事でそれらを自由に表現できるなら、言語化が不可能な理由はない。
触覚だって背中に文字を書くのを複雑にし、二次元バーコードみたいなスタンプを互いに押し当てあって話すとかだってできそうだ(タイトルは「メッセージ」ではなく本当は「マッサージ」なのだ(笑))。
こういう与太話を考えるのがSFの楽しみである。

PS 松本零士の『ミライザー・バン』はこのメンタリティーに似てるかもしれない。


◆『花戦さ』
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▲月代の採光と顔の影が統一されている点に注目。

五つ星評価で【★★★萬斎さんの演技が嫌いという事に気が付く】
今回、映画を見て分かったのが、私、萬斎さんの何時も同じで(除く『シン・ゴジラ』)、大小しか違いのない演技がどうも嫌いなのだ。
これは、竹中直人や染谷将太みたいに目に見えてリアリティのない独特な同じ演技をする役者がどうにも好きになれない。そのようだ。邪魔に感じてしまう。
なので、この映画の主役・専好の人の顔は覚えられないが芸術的才能だけは秀でている異能の男というキャラクターには惹かれる。だが、それを演じた野村萬斎の演技は嫌い。
華道サイドでは専好の非政治家的側面を埋める実務家的な相棒・専武(和田正人)と、彼の先輩らしい専伯(山内圭哉)この二人くらいしか出てこない。専伯(山内圭哉)なんかは出番も少ないのだけど、あの「いやですよお~」が抜群に良い。坊さんはもちっと多くて良さそうなのにこの二人しかいない。
「猿」が嫌いな豊臣秀吉の市川猿之助なんて皮肉で面白い。
佐々木蔵之介の前田利家は妙に魅力がなく、
吉田栄作の石田三成は田舎のおべっか役人みたいにイヤな八を好演。
千利休の佐藤浩市はちゃんとやってるけど、この人容貌が肉喰いそうな感じで獣っぽくて枯れていない。お茶より侍っぽい。
映画は専好と利休と秀吉の命を賭けた三角関係みたいでもある。
そして、戦国時代の娘としてのリアリティが全くないのに、とってもかーいー森川葵はともかく目を引くカワイコちゃんである。

あと、花の映画だから当たり前だが、花が綺麗だった。
エンドロール見ると、ゴッソリ、ゾロっと華道の人々の名前、御苦労様です。
エンドロール最後に「完」が出て終わるのも気持ちいい。
マーヴェルだったら、スピンオフで石田三成が出る『関ケ原』とリンクさせる所だが、会社も違うからそういうのはなかった。なくてよかった。

そう言えば花の寺に出入りする近所の娘として『湯を沸かすほどの熱い愛』の伊藤蒼(次女)が出てた。

登場人物が花に囲まれているビジュアルのチラシ(↑)、チョンマゲの月代が皆、右上が光り、顔の陰影は左下に影が出来ている。生け花のようにかなりちゃんと計算されて写真が配置されているように見える。


【銭】
『メッセージ』:ユナイテッドシネマ会員感謝デー(毎週金曜)で会員1000円。
『花戦さ』:年会費更新時に発行された特典「映画1本を1000円で見れる券」を使って1000円で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
メッセージ@ぴあ映画生活
花戦さ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
メッセージ@映画のブログ
メッセージ@ここなつ映画レビュー
メッセージ@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
メッセージ@ノルウェー暮らし・イン・原宿
メッセージ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
花戦さ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

『スプリット』をユナイテッドシネマ豊洲9で、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』をHTC有楽町1で観て、どっちも変な英雄譚やねふじき★★★,★★★

異端英雄譚2本をまとめてレビュー

◆『スプリット』
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▲「俺も頭を丸めたんだから『ワイルド・スピード』に出させてくれよお」

五つ星評価で【★★★その落とし方は禁断やろ】
偉大なる導入部で、この映画1本では終わらず続編作成が組み込まれて決まっている。
これはこれで単品としてそうバカにした出来でもないのだけど(いやそうでもないか)、
やっぱりこういう変な作りの映画は抑制がかかってしまい好きになりづらい。
これはジェームズ・マカヴォイさんの演技力を確かめに行く映画。
それ以上でもそれ以下でもないものに、ラストに変化球的な落ちを付加した物。
チラシに「シャマラン史上、最も衝撃的なラスト」と書いてあるけど、それは違うと思うな。
なんにせよ、シャマランって自分の価値を上手く取り込んで宣伝するし、
それが成り立つだけの期待度をまだ失ってはいないのだと思う。
それって『シックスセンス』の衝撃からかなり立った今でも
まだ成り立たせてるのだから凄い。


◆『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』
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▲個人的には「胸厚のトップレス女子」でもOK。

五つ星評価で【★★★後半は目が離せないが前半中盤は退屈】
街のゴロツキの主人公が初めて善意に駆り立てられ、
そこから偉大で卑小なチンピラ・ジンガロと対峙して、
その悪意を雲散霧消させるまでが最高に熱い。
だが、その熱い部分に到達するまでが長い。
主人公の能力、敵の能力ともに「単に力持ち」それだけなのだが、
上手くそれを使う事により、何と正しく英雄になり、怪人になる事よ。
単純だが、真摯であり、リアルを損なわない。とてもいいバランスの上に立っている。
日本は現在過去ともに英雄が群雄割拠しすぎたため、
このバランスを見極めるのが逆に下手なのかもしれない。

PS エンドロールにかかるアニメ主題歌と同じメロディーの曲の詞が
 ムチャかっこよくチューンされている。イタリアではこの内容らしいんだけど、
 ジーグの日本語の詞って初めて聞いた時、ぶっ飛び過ぎててひっくり返ったからなあ。


【銭】
『スプリット』:ユナイテッドシネマ会員感謝デー(毎週金曜)で会員1000円。+年会費更新料金500円
『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』:テアトル会員感謝デー(毎週火曜金曜)で会員1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
スプリット@ぴあ映画生活
皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
スプリット@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ@或る日の出来事
>皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ@ここなつ映画レビュー

『アイ・インザ・スカイ』『ヒトラーの忘れもの』『湯を沸かすほどの熱い愛』をギンレイホールで観て、痺れる痺れる変に痺れるふじき★★★★,★★★★,★★★★

◆『アイ・インザ・スカイ』
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▲何でも器用によう演じるわ。

五つ星評価で【★★★★ヘレン・ミレンの存在感が光る。ヒリヒリくる佳作】
ヘレン・ミレンの指揮官が効いている。
本来、この役は男の役者に振られるような役だし、
男の役者に振られたら感情的に好戦的に演じられそうな役だ。
ヘレン・ミレンは全く冷静に一個の部品のように演じた。
よい軍人は作戦遂行を目的とし、そこまでの最短距離をただ突き進む実務家だ。
彼女が被害予定の少女を見て思う事は、作戦遂行に支障を来たすかどうかでしかない。
基本、軍人(指揮官)は常に味方と敵の生き死にを計算して、
味方の被害の軽微である事、敵の被害の甚大である事を即座に求められる。
味方でも敵でもない被害者は作戦遂行においては無でしかない。

テロリストを討伐する為に、罪のない少女の命を晒していいか?
これは足し算引き算の問題ならYESだし、
彼女自身に取って彼女は他の誰にも代えられないという哲学に準拠するならNOだ。
答はない。
誰が誰を殺したという事実だけが残る。
その事実に対して言い訳ができるかどうかが現代の戦争だ。
言い訳ができなければマスメディアを介して敵につけこまれるし、
言い訳が出来ればマスメディアを介して敵の攻撃を無駄に出来る。
いまや敵の攻撃の成功は実際の殺傷人数の大小ではなく、
メディアを通して相手組織の国内・国外での支持率を下げる事なのだ。

戦争において命は取引材料でしかない。
そして予告でも流れているように、味方にリスクのない爆撃に対して
内部からも「恥じ入る作戦ね」という意見が出される。そんな事はなかろう。
要はこれは、やはりイメージ操作の問題なのだ。
被害に会うのが、年若い少女ではなく、アル中の老人だったらこうも問題にはならない。
テロリストは次は少女で弾幕を張るべきだ。

PS 若いテロリスト二人(テロ遂行犯)の生死が不明に思えるのだがどうだろう?
PS2 あの、どう見ても育ちの悪い工作員(バーカッド・アブディ)は
 『キャプテン・フィリップス』に出てたのか。
PS3 アイ・インザ・スカイ……大空の愛ちゃんかあ。


◆『ヒトラーの忘れもの』
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▲針みたいな鉄の棒を砂浜に刺して地雷を探す(超アナログ)

五つ星評価で【★★★★ナチスが埋めた地雷を掘り出されるために徴用されたドイツ少年兵。こちらもヒリヒリ来る実話】
より立場の弱いものに重圧は皺寄せされる。
それにしても扱いがひどい。
取り出した地雷を再利用する訳でもないのなら、
ローラーみたいな重しをつけて爆破させてしまうほうが安全だと思う。
ローラーや、重しになる物が持たないか。


◆『湯を沸かすほどの熱い愛』
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▲一見幸せそうだが、みんなそれぞれ決意を持っている。

五つ星評価で【★★★★宮沢りえと杉崎花】
余命二か月を宣告される宮沢りえはもちろん良いが、
それを受ける杉崎花杉咲花がやはり凄く良い。あの子、声がいいわあ。
鬼畜ではないので、杉崎花杉咲花の下着姿で興奮はしないのだが、
アレをやったらイジメはビビって止まるかエスカレートするか
二者択一の博打であろうから、今回はたまたま上手く行ったという事だろう。

母ちゃん(宮沢りえ)と長女(杉崎花杉咲花)と次女(伊藤蒼)&オダギリジョー
の関係性に驚いた。いや、よく練ってあるわ。
ラストは賛否両論だが、個人的にはどうでもいい。
サゲの為に落ちが必要なだけで、あそこはそんなに大事ではないと思う。


【銭】
ギンレイホール、会員証で入場。
『アイ・インザ・スカイ』&『ヒトラーの忘れもの』で一番組。
『湯を沸かすほどの熱い愛』は『永い言い訳』とカップリングだったけど、見直すには早すぎたのでスルーした。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場@ぴあ映画生活
ヒトラーの忘れもの@ぴあ映画生活
湯を沸かすほどの熱い愛@ぴあ映画生活
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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場@ここなつ映画レビュー
ヒトラーの忘れもの@ここなつ映画レビュー

『私、違っているかしら』を神保町シアターで観て、意外と芋いかな?ふじき★★★★

特集「母と言う名の女たち」から1プログラム。

五つ星評価で【★★★★吉永小百合だあ】
1966年カラー、初見。

何に興味があったかと言うと、森村桂の自伝的小説を若い吉永小百合が演じている、という所。いい加減、映画マニアのような顔をしているが、違うのよ、シネフィルとかじゃないのよ。ただ、絨毯爆撃みたいに映画を見るのがやめられないだけなのよ。と言う事で、若い吉永小百合が出てる映画が初めてである。「今だって若い」みたいなオベッカは使わないわよ。彼女が21歳の時の作品。ちなみに芸歴は10歳の時からで、どの辺が一番の全盛期なのかはよう知らない(「今が全盛期」みたいなオベッカは使わないわよ)。

で、小百合様、思ったより芋かった。
武井咲にちょっと似てる。いや、大変失礼ながら武井咲の方が可愛い。
この吉永小百合の役がガッツのある素直なおっちょこちょい。若かりし頃の黒柳徹子とかみたいってか、人生に対する態度がまだ甘くって、若くって、弾けてて、表面は適当だけど、心根がいい女の子。えーと、まあ「ヤング」なんである。その「ヤング」な小百合様が就活の中で、あちこちぶつかって、ぶつかった分、ちょっと大人になって人生の展望を見据える物語。
それにしても、役柄が役柄だからなのかもしれないけど、たった一つもエロを感じさせるシーンがなかったね。まあ、小百合様は美人コースではなく、カワイコちゃんコースだから、真面目に人生を考えるたけで、エロい方向に行かんでも良かったんでしょうなあ。さて、決して大人しいばかりじゃない、どっちかって言うと規格外の女の子を演じてるのが面白かった。そんなキャラを作ったのは脚本家の倉本聰、長広明。



【銭】
神保町シアター当日一般料金1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
私、違っているかしら@ぴあ映画生活

PS 吉永小百合が就活をやってるのだけど、
 相手会社の人事担当者にあまりにタメ口なのも驚いた。

『イップマン 継承』を新宿武蔵野館1で『美女と野獣(吹替)』『帝一の國』を109シネマズ木場3,6で観て、どれも最強ふじき★★★★★,★★★★,★★★★★

最強3本を忘れる前にレビュー

◆『イップマン継承』
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▲「この手が、この手がいけないんだあ!」

五つ星評価で【★★★★★不安を瞬殺する傑作】
実の所、映画を褒めるのは照れる。
でも、そんな照れとかもうどうでもよくなるくらい、これは褒めんといかん映画だろう。
前二作と比べると静かな映画である。
映画はイップ・マンが熱狂の中で勝って英雄になる事よりも、
真に正しい勝利を勝ち取る事を選んだ。気高い映画である。

工場に子供を助けに行く百人組手も素敵だが、
タイのキックボクサーから夫人に害をなさないように離れて圧倒するシーンも素敵だ。
タイソンとの一騎打ちもいいが、同門対決も見逃せない。

カンフーカットがアクション映画として優れている事は勿論だが、
そのアクションの中にも、普段の佇まいにもイップ・マンの個性が際立つ。
ドニー・イェンが出ているシーンは全て美しい。
妻役のリン・ホンもやるべき事をやりきった美しさがある。
もちろん好敵手の位置にいる同門の使い手マックス・チャンも良い。

それにしても、この映画がドニー・イェンがあまり若い頃に作られなくて良かった。
年齢を重ねた上での、師匠的な佇まいや達人としての顔、今のドニーだからこそ出せる良さが出ていると思う。

ただね、興行としては充分ペイするくらい入ってるのかもしれないけど、出来ればこれを昔の新宿ミラノ座みたいな殺人的なくらい客が入る大劇場の大スクリーンで見たかった。

PS そう言えば、学校の美人先生と弟子のロマンスみたいなのが
 あるかと思ったら全然進まなかったなあ。


◆『美女と野獣(吹替版)』
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▲素敵なエマ・ワトソン

五つ星評価で【★★★★キャー、エマ・ワトソン】
大好きなエマ・トンプソン(ポット夫人)も出ているが、まあ、まずは何と言ってもエマ・ワトソンである。かーいーの何の。そして、アニメのベルその物と言うより、アニメよりかーいーのがもうメチャクチャだ。

野獣もアニメ版ではペットぽかったのが獣感マシマシになってて良かった。
獣であるだけでなく、表情が愛を拒絶するかのように孤独な影に覆われている。

あと、ガストンが素晴らしい。
人間が演じる事で、人間のいやらしさが100倍くらいリアルに伝わってくる。
扇動シーンの恐ろしい事よ。

全体のバランスから言ったら、ベルが野獣を好きになるプロセスがちょっと駆け足すぎると思った。あそこはもちっとジックリちゃんとやらんとベルが遺産(=本)目当てで心を動かしてるみたいな流れが強調されてしまう。それはゼロではないのだが、それだけでもないのだから抑えて出力しておきたい。


◆『帝一の國』
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▲♪若い息子がうっふ~ん、お色気ありそにうっふ~ん

五つ星評価で【★★★★★エンドロールという武器】
映画として、物語として、ちゃんと普通に面白いのだが、エンドロールの永野芽郁がダメ出しで素晴らしすぎるので、そこでこの映画の価値が5倍くらい上がっている。
この映画の永野芽郁は凄く抑制されて撮られている。
衣装はレトロなセーラー服だし、滅多にアップにならないし、笑顔が封印されているし、
その抑制が最後の最後でひっくり返されるエンドロールの輝き具合が凄い。
『パズル』の夏帆のエンドロール・ダンスに匹敵する(ベクトルは正逆)。

キャラとしては氷室ローランド・間宮祥太朗が謀略の野村周平の立てた戦略により、王道を踏み外していく様子が「いとあはれ(グレート哀愁)」で目を引かれた。巨神堕ちるみたいなスペクタルには目を奪われる。

ドラマ上の問題点としては戦術の男・千葉雄大があまり戦術を駆使しているようには見えない点があげられる。

PS クマネズミさんのところ(映画的・絵画的・音楽的)に書いたコメントが
 自分らしいと思う。
 僕は、言葉遊びで勝つ。-----勝てんわい!


【銭】
『イップマン継承』:チケット屋で劇場鑑賞が6回可能である武蔵野興行の株主優待券を4500円でGET。うち1回分で鑑賞(4枚目)。
『美女と野獣』:109シネマメンバー感謝デー(毎月19日)で会員1100円。
『帝一の國』:109シネマズデー(毎月10日)で1100円。
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『仁義なき戦い 代理戦争』『実録外伝 大阪電撃作戦』を新文芸坐で観て、あーおもれーのふじき★★★★,★★★

特集上映「追悼 渡瀬恒彦」の1プログラム。

◆『仁義なき戦い 代理戦争』
五つ星評価で【★★★★あーおもしれーとしか言えない】
『仁義なき戦い』5本は20年以上前、学生時代に一気に見たが評判以上には楽しめなかった気がする。昔はまだ、この面白さを理解出来なかったのだ。

ちゃんとしてる人たち:菅原文太、梅宮辰夫、渡瀬恒彦
ちゃんとしてない人たち:加藤武、金子信雄、田中邦衛、成田三樹夫、小林旭、山城新伍

ちゃんとしてない人たちの保身の二枚舌が面白すぎる。もう、バリバリに人間のクズ。
特に後先考えない口喧嘩が達者な小心者、加藤武と
いつもながらに完全に自分の事しか考えない金子信雄の
クズとしての仕上がりが素晴らしい。
あの「ふてぶてしさ」に手足が付いてるような面構えの成田三樹夫が
陰でヘコヘコしてるのも面白い。

文太兄ぃは超絶かっこいいけど、任侠映画にあるような耐えて耐えて最後に大暴れみたいなカタルシスで終わらないので、面白いながら見終わった後はちょっと消化不良っぽく感じる。この後、話は「頂上作戦」に続くけど、そこでも文太兄いはかっけーけどあまりスッキリした記憶はないものなあ。

今回特集の渡瀬恒彦は若くて気が利かないが度胸はあるという役を好演。
しかし、渡瀬恒彦と絡むえげつないクズ川谷拓三の毒気には打ち勝てない。
もう、はやいとこ片付いてほしかったわ、あのクズ。

何かで読んだが、死んだあと骨になって更にその遺骨を抗争中の車に轢かれて粉々にされると言う、この渡瀬恒彦の死にざまがヤクザ映画の中でもっとも過酷な死にざまだとか。まあ、確かにこれは徹底してるよなあ。

丹波哲郎が一番の権力者。
喋らんと本当に威厳がある。


◆『実録外伝 大阪電撃作戦』
五つ星評価で【★★★主役二人のイカレっぷりに好感が持てる】
渡瀬恒彦の揉み上げが変。
松方弘樹のヤクザスーツが寅さんみたいにいつも同じ物のような気がしてならない。
成田三樹夫は「代理戦争」よりこっちの方が悪そうでいい。
「代理戦争」は何人かの中の一人だったからこっち方が突出して見えるんだろう。
組が立て込んでて、勢力関係が分かりづらいのだけど、
だからこそ松方弘樹と渡瀬恒彦の上に牙を剥く狂犬っぷりが目を引く。かっけーの。
織本順吉が「仁義なき」の金子信雄ポジションなんだけど、同じような役をやっても繊細な感じ。ハッタリが効いてなくヤクザっぽさが薄い。

こっちでも丹波哲郎が一番の権力者。
その威光に松方弘樹が牙を剥くのをためらってしまうシーンは
静かな決闘のようで良かった。

「実録」だからしゃーないんだけど、
狂犬二人にはラストもちっといい目を見させてやりたかった。
「作戦」なのだから、作戦を完遂させてやりたかった。
もっとも「作戦」を遂行していたのは小林旭側なのかもしれないが。


【銭】
新文芸坐の会員割引250円減の1050円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
仁義なき戦い 代理戦争@ぴあ映画生活
実録外伝 大阪電撃作戦@ぴあ映画生活

『おいしい結婚』を神保町シアターで観て、斉藤由貴がぶざまで最高にキュートふじき★★★★

特集「母と言う名の女たち」から1プログラム。

五つ星評価で【★★★★オール脇役大進撃】
1991年森田芳光脚本監督作。初見。

実は森田芳光はそんなに見てない。
なんか七面倒くさくてテンポがオフビートすぎるイメージがある。

実際、この映画も変なテンポだったが、まあ、斉藤由貴がだらしなくて可愛い。もう、それだけで完敗です。私、そんな尺度でしか映画見ない人だからそれでいいんです。バブルっぽい派手なパステルのスーツで女の子はいっぱい出てるけど、若くて知名度があるところでは斉藤由貴の同僚役の白鳥康代くらいか。

三田佳子と斉藤由貴が美人親子という設定だが、
熟女好みではないから特に三田佳子には惹かれない。
その三田佳子の取り巻き中年三人組が(小林稔侍、橋本功、斉藤晴彦)と豪華である。
この三人が三田佳子の今は亡き夫の親友という位置付けで家族の世話を焼いている。
ちょっと『スリーメン・アンド・ベイビー』っぽい。
で、斉藤由貴の見合い話を持ってくるがボーイフレンドに唐沢寿明がいて断られる。
唐沢寿明が若い。この後、孫悟空やったりラストコップやるとは思えない。
唐沢寿明の父が田中邦衛。たまに回ってくるダンディーな役である。
何故、田中邦衛にたまにダンディーな役が回ってくるのかについては全く分からないが、
どう考えても他にもっと適当な役者がいるだろう。

そいでまあ、斉藤由貴が最高に芋い。
「ぶざま」「だらしない」「芋い」と言いたい放題だが、それで可愛いのだから凄い。
豆狸っぽいちょっとダイエットした方がいいんじゃない時期で、
挙動不審に恋のやり取りに目を白黒させる、全然イケてない女子の斉藤由貴がほんまいい。お金のかからないスタジアムに行って「円盤投げ」をする。円盤投げなんて見た事がない。そんな競技やるのはもう絶対いい子。情緒不安定気味で唐沢君をけっこう振り回すのでダメ子ちゃんなんだけど、まあ、そういう子ども気質も良い。

三田佳子が斉藤由貴を食べさせるために、ブランド品を多く扱うような質屋を経営している。そこの男性社員二名が爆笑問題の太田と田中。積極的に笑わせには来ないんだけど、地味にいい背景でした。

タイトルが暗示するように「結婚(式)の新しいスタイル」を提示してたりもするけど、そんなに特にどうでもいいなあ(まあ、今更、結婚がどーのって言うような年でもないから)。


【銭】
神保町シアター当日一般料金1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
おいしい結婚@ぴあ映画生活

『くちづけ』『僕らのワンダフルデイズ』を目黒シネマで観て、良いけど悪しふじき★★★,★★★

目黒シネマの「俳優竹中直人特集」で未見2本がカップリングされてたので見ました。

◆『くちづけ』
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▲うーやんを演じた宅間孝行(左)は舞台版の演出家。

五つ星評価で【★★★貫地谷しほりの熱演が見たかった】
どっちかと言うとこっちを見たくて来た。
貫地谷しほりの熱演が評判が良かったが見逃してしまっていたので。
でも、堤幸彦なのである。そうだ、だから見逃したのだ。

とりあえず貫地谷しほりの凄さを再確認。この人はいい女優になったよなあ。
堤幸彦は舞台のように演劇的に撮るという方法に固執していたようだが、
それは空間を演劇的にしてフィクションの通り道を大きくするような効果もありながら、
映画である事、映画としてのダイナミズムを失ってしまうという当たり前の結果にも
繋がった。それでも、最終的には貫地谷しほりが全てどうにかしてみせた。


◆『僕らのワンダフルデイズ』
五つ星評価で【★★★なかなかいい話なんだけど】
いい話なんだけど主演の竹中直人の余計な演技がうるさい。
他はそのままで主役だけ変えて撮ったのを見たかった。
映画内のイベントが盛り沢山で飽きない。

こっちの映画でも親子をやっている貫地谷しほりの恋人役はAのT(秘密にする)。
今までのどんな映画で言われる親から娘への「あんな奴はダメだ」の最上級。
キャスティング担当偉い。うん、そら、いやだろう。普通の常人だったら必ずいやだよ。


【銭】
目黒シネマ一般入場料金1500円からチラシ割引で100円引いて1400円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
くちづけ@ぴあ映画生活

『ポルノ時代劇 忘八武士道』『殺し屋人別帳』をシネマヴェーラ渋谷で観て、体調悪くてごめんふじき★★★,★★

特集上映「甦る映画魂 The Legend Of 石井輝男」の1プログラム。

◆『ポルノ時代劇 忘八武士道』
五つ星評価で【★★★珍品】
多分、3回目くらい。
丹波哲郎は好きだし、これはこれでカルトで有名な映画だけど
無精っぽいデザインは似あわず、殺陣とかも強く見えないので、あまり良くない。
久々に見たので、もう完全に内容を忘れてて面白く見れた。
「吉原裏あるある」映画なのだけど、バリバリに「花魁」とかと遠い世界。
ここでの女は「SEXを振る舞う文化的な女」ではなくズバリ「性奴隷」。
アンヌ隊員ことひし美ゆり子がバリバリおっぱいをぶるんぶるんさせてます。
柔らかそうなパイオツでいいんだよなあ。
ラストちょっと船漕いだ。


◆『殺し屋人別帳』
五つ星評価で【★★珍品】
全編船漕ぎまくり。
変なキャラがいっぱい出てくるけど、
出した変キャラを捻りのない話の中で殺していくだけみたい。
初主演の渡瀬恒彦は若くて適当。何か石井輝男に初主演映画を任せちゃいけないと思う。


【銭】
シネマヴェーラの会員割引400円減の1100円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ポルノ時代劇 忘八武士道@ぴあ映画生活
殺し屋人別帳@ぴあ映画生活
▼関連記事。
忘八武士道 さ無頼(続編)@死屍累々映画日記

『お嬢さん』を下高井戸シネマで観て、たまんねーずらふじき★★★★

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▲主要四大人物

五つ星評価で【★★★★キム・テリかーいー】

裏切る事を目的に仲良くなる、という構図がイビツなのだが、
そうしないと生きていけないほど追い詰められているという事だろう。

二人の少女は意に反して仲良くなりすぎてしまう。
二人とも母親を欠損している。
母親とは子供に対して無条件に愛情を捧げてくれる存在だ。
二人とも愛に飢えていたのだ。
だから、彼女たちは飢えた愛の代わりに財産や自由を求めた。
だが、そこに「愛」が来てしまえば、その「愛」に蹂躙されない訳にはいかない。
二人はともに母であり、娘になる。
召使のキム・テリがお嬢様にされていた仕打ちに激昂して大暴れするシーンが楽しい。
あれは正に母として怒っているのだ。
そして、お嬢さんにはなれない、怒りに身を任す愚鈍な女として。

二人の少女の謀略の橋渡しになる男の詐欺師、
彼なんかとても可哀想な感じなのだが、愛を与える事なく
お嬢様の義理の親同様SEXで搾取しようとした故の結果なのだろう。

それにしても、あー面白かった。


【銭】
下高井戸シネマの招待券を850円でチケット屋でGET。
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お嬢さん@ぴあ映画生活
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お嬢さん@ここなつ映画レビュー
お嬢さん@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
お嬢さん@映画的・絵画的・音楽的

『追憶』を東宝シネマズ渋谷4で、『日本一短い「母」への手紙』を神保町シアターで観て、リアルな母と一代記的な母とふじき★★★,★★

母役を思いながら2本まとめてレビュー。

◆『追憶』
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▲果てしなくオーラがないのが上手い西田尚美(だよね)。
 まあ、本音で言えば岡田君の写真が使いたいんだけど。

五つ星評価で【★★★どこか主演の三人が上手く撮られていないように見えるのは俺の欲目だろうか?】

降旗康男監督×木村大作撮影だけど、
予告見た時から景色の絵を綺麗に(標準的に)撮りすぎてるのと、
主役男子三人が並べて立たせると岡田君が引き立たないのとで心配してたら、
心配してた通りになってしまった。

映画の背景としての景色はどこもかしこも綺麗に撮る必要はない。
ここぞと言うカットがバシっと決まればいい。
でも何か記念写真見たいに絶景が量産されていて、その景色に感情が乗らない。

岡田准一が小さいのは元から知っているのだけど、
小栗旬と柄本佑と並べて立たせると、とてもバランスの悪い絵になる。
岡田の服が黒で、小栗の服がオレンジだったりするので尚更大小が絵として強調される。
岡田がチビでかっこ悪くなるだけでなく、小栗も膨らんで見えてかっこ良くない。
そんなどっちも損する撮り方をするなよ(気になってるからそう見えるのかなあ?)。

岡田は過去の事件により、のっぴきならない状態に追い込まれる男だが、
基本正義漢であるのは間違いないが、行動が正しくないので観客からは支持し兼ねる。
そして、いつも限界まで追い詰められていて余裕がないので、大きな人間に見えない。

小栗旬は、とても気持ちのいい男を演じているが、主演の岡田とだけは打ち解けない。
なので「とても気持ちのいい男」が話の中で効果的に作用しない。
小栗旬の妻になる木村文乃にちょっと『オールド・ボーイ』っぽい影を感じるけど、
それは違うよな、そんな昔から知ってた訳ではない筈だから。

柄本佑は岡田と小栗を埋めるキーパーソンとしていい感じなのだが、出番が少ない。
生活に疲れている。明るくない。暗い。

三人とも程度の差はあれ疲弊している。それを観客が見せられるのもどんなもんかなあ。
話の転がり方には納得が出来るのだが、誰にも感情移入できないようでは映画にならん。
これ、昔の邦画なら、30後半の彼らくらいでよかったけど、この三人がそれぞれ家族の生活を支えているという事に「今のリアリティー」がないのかもしれない。本来は紆余曲折色々あった大人が演じると味が出るのだが、そうするとこれは『64』の佐藤浩市くらい老けさせないと人物像として成立しないのかもしれない。みんな若くってそんなに重荷を背負って生きてるように見えないじゃん。

役者としては安藤サクラが相変わらず上手い。
矢島健一、北見敏行、安田顕、三浦貴大の刑事組もいいコンビネーション。
そして相変わらずどんな時代でも突出して屑が似あう渋川清彦。
だけどこの映画の一等賞はりりィ。あのダメ母のリアリティは凄い。惜しい役者を亡くしました。

PS いかん。書こうと思ってずっと忘れてた。
 岡田准一くんが地元・富山で使う車のナンバープレートが「45-02」で、
 「仕事の鬼」の宛て数字だ。



◆『日本一短い「母」への手紙』
五つ星評価で【★★でも、裕木奈江が見れたから「るん」】
特集「母と言う名の女たち」から1プログラム。
一般興行の時に見逃した一本。1995年の映画でこれも木村大作撮影。

裕木奈江は可愛いし、自分を捨てた母を受け入れられないのもまあ分かる。
原田龍二は爽やかで、自分を捨てた母でも、受け入れてしまうのも分かる。

ただ、捨てた母の十朱幸代が捨てた理由もあまり明確じゃないまま、水商売の成功者としてそれなりの大人物になっており、上から、もしくは対等の目線で子供と対峙しようとするのは十朱幸代だから許されるのであり、実際は『追憶』のりりィみたいなのがリアルなんだろうなあと思う。そこの部分をファンタジーにしないと映画として成立しないから、これはこれでしょうがない。

22年前の映画だから、どの役者を見てもみんな今と比べると若々しい。
それは当たり前なのだが、ただ一人笹野高史だけは、この映画の時点で
今の笹野高史として完成されているのが凄すぎて笑う。


【銭】
『追憶』:トーホーシネマズデー1100円。
『日本一短い「母」への手紙』:神保町シアター当日一般料金1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
追憶@ぴあ映画生活
日本一短い「母」への手紙@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
追憶@映画的・絵画的・音楽的
追憶@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
追憶@ここなつ映画レビュー
追憶@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

『サクラダリセット後編』『劇場版 Fairy Tale Dragon Cry』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』をトーホーシネマズ渋谷1,渋谷1,日本橋5で、『劇場版Free!絆』を新宿ピカデリー2で観て、どれもモヤモヤふじき★★,★★,★★,★★

もやもや4本を軽くレビュー

◆『サクラダリセット後編』
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▲トリオ漫才っぽい。

五つ星評価で【★★ぶっちゃけ話に付いていけなかった。】

中盤、今のサクラダで能力が暴走する件と、能力者が能力を失う件と、過去のサクラダの話がグチャグチャに並列に並ぶ中でミッチーの薄くて変な演技だけが悪目立ちして、話の本筋(主に過去のサクラダの因縁と今、サクラダがどのように維持されているか)を見失ってしまった。うん、分からん。封印したという事実は分かるが何の能力をどんな理由で封印し、それが今、どう維持されているかが全く理解できなかった。
付いていけなかった自分の責任か、付いていけない物を提示した製作者側の責任か、そこを追求してもしょうがないのなら、まあ、足を踏み外しちゃって楽しめなかった感が残るだけっす。後半、野村周平とミッチーの選挙演説は実に聞き応えがあるのだが、正論が人の心に響く事によって収束する事態と言うのは物語としては弱い。響く相手のメンタリティーによって物語が左右されていしまうからだ。その相手を完全に「こうするだろう」「こうしてほしい」と信じきって仲間の命を取引に使うのは、相手に対しても仲間に対しても失礼ではないだろうか。失礼も何もその道しかなかったという事にしたいのだろうが、それはやはりドラマ作劇上の弱さでしかないと思う。
これは前編でも感じた事で、今回のミッチーの能力にしてもそうなのだが、訳もなく複雑で、複雑であるが故に他の能力と組み合わせると意外な効果を発揮したりする。だが、理由もなく複雑なので、逆にその「意外な効果を発揮」させるために能力の複雑さがあるように見えてしまう。そこはそう見えないような手を製作者側が考えるべきだったんじゃないだろうか?

PS 黒島結菜は物凄いパワーの能力者でありながら位置付け的に助演。
 存在は巨大なのに、後ろで影を潜めている小さい役、というとても変な役。
 主役は野村周平ひとり。
 でもまあ、恋愛関係をちゃんと描いたので後編での黒島結菜は報われて良かった。


◆『劇場版 Fairy Tale Dragon Cry』
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▲無駄なサービスカットはなかなか良いと思う。

五つ星評価で【★★「おらおら根性見せろよ」が基本。】
まあ、そんなにつまらん訳でもないのだが、
「根性があればどんな敵にも最後は打ち勝ってしまう」病に主人公達はかかってる。
主人公達が勝つ理由が、「気合いが入ってるから」だけではいかんと思うぞ。

『Fairy Tale』劇場版アニメの二作目だが、
一作目はかなりちゃんと世界観の説明とかしてたと思う。
原作者が映画に絡むと、映画のソウル(魂)は正しい方向に向くが、
全体、話が物凄く大雑把になってしまう気がする(『ワンピース』とかもそう)


◆『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
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▲こんなテカテカ床の上にはミニスカート女子とか置いてほしい。

五つ星評価で【★★周りの評判はいいが、私は乗り損ねた】
ヨンドゥと金色の軍団は好き。

事件の当事者のスターロードは抜かして、
ドラックス、ガモーラ、ロケット、グルートの活躍が薄くて、
いい所をヨンドゥが浚っていった。だから、ヨンドゥだけは凄くいい。

幼稚園で金色くんとケンカした春日部防衛隊ガーディアンズがヒロシのいる家に帰ったら本当の父親という大金持ちがいるのだけど、そいつは青髭野郎で、魔手から逃れようとしていたら金色くんが保護者連れて抗議に来たからぶっ飛ばした、という産みの親より育ての親(&仲間的な意味でのファミリー)という物語。

前回も今回も周りの評価程乗れず。
ガモーラ(姉)とネビュラ(妹)の邂逅は良かったかな。


◆『劇場版Free!絆』
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▲戦隊シリーズっぽい構図

五つ星評価で【★★話が予定調和だと思うな】
ビックリするほど劇場に女子しかいなかった。
おではハルちゃんよりはマコト推し。
ハルちゃんはずっと悩んでいながら、その悩みを口に出さないタイプなのでしんどい。
「ちぃーっす、このハルカ様のお悩みは~」みたいにオリラジ藤森調に喋ってくれれば映画は30分で終わったのである。
うんまあ、私はこの物語の原型をじっくり体験していないので、信者の人が嵌るようには嵌らない。そこはやっぱり、普通の一見さんが行くとこうなのだと思ってください。前回の『ハイ☆スピード!』もアレコレ言うためのテキストとしては面白かったと思うけど、信者女子が熱い視線を送るようには私自身は楽しめてないから。前回のブザマにつんのめる感じの赤毛ツンツンのアサヒが出てこなかったのは残念。

PS 悪夢のシーンはきもくていい。あと、泳いでるシーンは本当にお達者。


【銭】
『サクラダリセット後編』:トーホーシネマズデー1100円。
『劇場版 Fairy Tale Dragon Cry』:トーホーシネマズデー1100円。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』:トーホー6ポイント使用。
『劇場版Free!絆』:ピカデリー前回有料入場割引+ネット割引で1200円
▼作品詳細などはこちらでいいかな
サクラダリセット 後篇@ぴあ映画生活
劇場版FAIRY TAIL -DRAGON CRY-@ぴあ映画生活
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス@ぴあ映画生活
劇場版 Free! -Timeless Medley- 絆@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
サクラダリセット 後篇@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
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劇場版フェアリーテイル 鳳凰の巫女@死屍累々映画日記
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ハイ☆スピード!@死屍累々映画日記

『顔のないヒトラーたち』を新文芸座で観て、この絶望感がたまらんふじき★★★★

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▲この左のおばちゃんが凄く良い。

五つ星評価で【★★★★メンゲレだあ】

『アイヒマンを追え』同様、ナチスものはやはりドキドキゾクゾクする。
私、アイヒマンは普通の事務屋で、ナチスという奔流の中で大逆人に祭り上げられてしまった、どっちかって言うとやった事やその結果に比べれば、取るにたらないつまらない悪玉だと思うのだけど(その評価の違いが好き)、この映画に顔を出すメンゲレは違う。

メンゲレはもう本気で狂っている。ヒーロー物に出てくるどのマッド・サイエンティストよりもおそらく狂いのレベルが段違いで高い。TVでは規制されるし、映画だってあまりに強烈な狂人は嫌悪感を感じてしまうからエンタティーメントには適さない。だから、凡百のフィクションにはメンゲレに並ぶ狂人は出てこないのだ。うん、ゾクゾクした。人間はここまで狂えるのか。

若い検事がヒョンな拍子から市井に隠れ住む絶滅収容所の職員に関する案件を知り、周囲全てから嫌がられながらも一歩一歩解明していく様子を映画化。登場人物は異なるが『アイヒマンを追え』の裏面としても機能する(バウアー検事総長は同一人物だが、実際の捜査に働く人員が同じ人間には見えない)。

主役の若い検事、サポートするおばちゃん事務員、検事総長、後から手伝う敏腕検事、若い検事の恋人、最初に話を持ち込む記者、この辺がゴロゴロいい顔。役者がいいと映画が引き立つ。


【銭】
夜間会員割引で800円。カップリング併映は『サウルの息子』で、これもギンレイで観てたのでスルーした。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
顔のないヒトラーたち@ぴあ映画生活

『劇場版シドニアの騎士』をシネリーブル池袋1で観て、超SFやんふじき★★★★

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▲キャラクターが日本人形っぽいと思うのは私だけか?

五つ星評価で【★★★★濃密なSF】
SFを堪能。
ともかくSFでSFでSFなのだあ。
設定から絵からモチーフまでSFが充満している。
フアーストランの限定二週間公開の評判は良かったが行きそびれ、
やっと今回が初の鑑賞。ちなみに原作未接触、元になったTVアニメも未鑑賞。

宇宙空間に現われ、地球人を攻撃してくる謎の敵。
最終的にこいつが何者で何を求めて人類に攻撃を仕掛けてくるかは不明なのだが、死んだ味方のパイロットを偽装した敵が、人と怪物を融合させた状態で襲ってくるのは疲れた身体にかなり悪趣味で精神やられてアハハハハハ、逆に面白かった。
映画内で答は示されなかったが、敵と人類は将棋やゲームをするかのようにコミュニケーションを取っていたのではないだろうか? 集合体同士の融合が可能な敵には人類の一個体が死ぬ事の意味が掴めていないのかもしれない。この後、続くのか続かないのかは分からないが、続くのならしっかりお付き合いさせてもらいたいと思う出来だった。

意図的にそうしてる風にも取れるのだが、キャラクター間の相違が少ないのでキャラクター間の混同は全くなかった気はしない。でも、あったとしても困るほどではない。


【銭】
テアトル会員割引で1300円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
劇場版 シドニアの騎士@ぴあ映画生活

『ヴァンパイアナイト』をシネマート新宿2で、『ブレイブ・ウィッチーズ』を角川シネマ新宿1で観て、両方困ったふじき★,★★

同日鑑賞2本をまとめてレビュー

◆『ヴァンパイアナイト』
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▲姉妹。

五つ星評価で【★ここんところの中で抜群にダメ】
温泉宿に誘導された客がヴァンパイア・ハンターと一緒に生き残る為に脱出する。
チームは5人、ハンター、女警察官、その妹のアーチェリー選手、モテない男、介護されている母。介護されている母には秘密がある。

話がもうつまんなくて、捻りがない。
狩られるヴァンパイヤは制約に乏しい。日中でも動ける。
高速移動ができるが、他の獣には化けない。多分、力持ち。
ほぼゾンビである。
女刑事の柳ゆり菜、目がクリクリしててかいーなー。
アーチェリー妹はまあ普通。
モテない男はモテない具合を検証する為にサバ・ゲーのミニドラマが編入されてる。
前野朋哉がモテない事は「百聞は一見にしかず」なので、
ワザワザ話を展開しなくてもいい。前野朋哉何でも出る感じだな。
吸血鬼は単なる白塗り隈取野郎。
デザイン的にはヘビメタ臭を取っ払ったデーモン小暮。
何がダメかをまとめると①話に枝葉が多いのに本筋は単純でドラマ上のカタルシスがない。②ヴァンパイアのヴァンパイアとしての性能や弱点が全く提示されず、彼等を退治できる者が特殊な能力者等ではなく、限りなく素人。強弱に対する基準が全くない。


◆『ブレイブ・ウィッチーズ』
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▲作品全体に百合っぽい空気濃厚。

五つ星評価で【★★いつも通りで、特別注目するような物が何一つない】
TVシリーズの一話分30分の番外編。
特別な事が特に何もなく、これ一話30分で特別公開と称して商品化する理由がよく分からない。普通に大人の事情があるのだろう。
スカートのない世界で女の子たちがパンツ見せながら魔法で戦う。いつも通りだ。
それだけ。
何がダメかをまとめると①30分という短い尺で、ミニドラマ的にカットが多いので退屈はしない。でも、これが「映画館」で掛かる一本の作品として適当かと言うと、ファンの感謝デーにでも迷い込んでしまった感じを受けてしまう。話が小さいからかな(30分で決着付ける話に大風呂敷も敷けないだろうけど)。


【銭】
『ヴァンパイアナイト』:テアトルのメンバーズカード+曜日割引で1000円。
『ブレイブ・ウィッチーズ』:1200円公開だが、額面金額1000円の前売券をチケット屋で1000円でGET。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ヴァンパイア ナイト@ぴあ映画生活
ブレイブウィッチーズ ペテルブルグ大戦略@ぴあ映画生活

『アイヒマンを追え!』を新文芸坐で観て、その演出と言うかキャスティングはイヤふじき★★

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▲後からつけると約束した写真。

五つ星評価で【★★ゲイの優しく崩れた顔】

ナチスものはドキドキゾクゾクする。
それはナチスが人類にとってどんな悪い事をやっても許される
歴史上の一二を争う大看板の悪役だからだ。
今日はいったいどんな絶望を見せつけてくれるの? 圧倒的な被虐感覚!

この映画は戦後処理として重要な位置にある、
イスラエルでのアイヒマン裁判の前段、
如何にしてアイヒマンは捕縛されたかをドイツ法曹界視点で描く。

アイヒマンなどという男は小者も小者で、
絶滅収容所への捕虜移送責任者、ならびに移送計画者にすぎない。
彼の課題はいかに効率よく収容所に囚人を送り込むかと言うだけで、
収容所での捕虜の暮らしによって彼の罪を問うたのはナンセンスだろう。
彼は職務に忠実だっただけで、
その職務においてはユダヤ人の殺害が罪に問われない特殊な環境下にあった。
彼は自分の身を守るために転向などは許されず処理を続けるしかなかった。

そのアイヒマンを追う検事の親玉みたいなのが主人公。
もう一人、検事長の部下がいるが、こいつの顔が
世間一般が「こんな」と思ってるゲイっぽい顔立ちでとてもイヤだった。
甘ったるくて厚化粧になりそうな顔、芦屋雁之助顔。

戦後の政権中枢にナチ残党が残っていたというのは初耳。


【銭】
夜間会員割引で800円。カップリング併映は『手紙は憶えている』で、これはギンレイで観てたのでスルーした。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男@ぴあ映画生活

『The NET 網に囚われた男』『殺されたミンジュ』をキネカ大森2で観て、ギドクらしいかいなあ?ふじき★★★,★★

キネカ大森の名画座企画「キム・キドク監督特集」

◆『The NET 網に囚われた男』
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▲森山未來っぽい。

五つ星評価で【★★★公安ってどこの国でもイヤな奴満載】
北朝鮮の漁師がエンジントラブルで韓国に流れつき、
韓国の公安にスパイ容疑で拷問される。
北に戻れば転向しただろうと又、拷問される。

韓国では調度の良いオフィス然とした取調室で質疑を受けるが
相手に答を聞く気はなく、決まった答にはめようとし、
その為にただ殴る蹴るの暴行を加える。
北朝鮮では、実にリアルでそっけないぶっきらぼうな地下室で質疑を受ける。
ここでも徹底的に殴られる。北も南もない。やってる事は全く一緒だ。
他人の人格を否定する。それは自分の利益の為。

利益誘導がシステム的に組み込まれているので分かりづらい韓国より、
こん棒を持った野蛮人が「おらが利益」を暗に要求してくる北朝鮮の方が
私的には怖いかな。

主人公の娘が可愛いらしい。奥さんもいい人だ。でも、みずぼらしい。やるせない。


◆『殺されたミンジュ』
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▲在りし日のミンジュ。

五つ星評価で【★★観念的すぎる】

冒頭、組織的に追い詰められて少女が殺される。
ミンジュはこの少女の事だろう。
映画内で「ミンジュ」という名前は出てこなかったように思う。
少女が殺された理由も最後まで明かされない。そこは大事ではないのだろう。
チラシに原題が書いてあった。『ONE ON ONE』、マンツーマン、一対一。
少女ミンジュを複数人で狩っていた者を今度は謎の集団が狩る。
数で優位に立っていた狩人を「一」に戻す行為がされる。
加害者が「一」に戻る事で、初めて被害者の「一」と向きなおれる。
内面的にはそうかもしれないが、映画は外面しか追わない。
なので単に、犯罪者集団が一人ずつ謎の集団の手にかかっている、
そういう映画でしかない。

そして一人一人退治しても行きつく先には果てがないようだった。
謎の集団のリーダーが納得するためには
ソウルの全ての人間を生贄に捧げなければならないかのようだった。

この映画にない「ミンジュ」の殺される理由、
彼女も又、何者かを複数人で取り囲み、加害したのかもしれない。
最初から最後まで真実が分からない中で、単に人が加害しあっている。
単純で奥深そうで変な映画。キム・ギドクの名前で許されてるように感じてしまう。

謎の集団のリーダーが藤木悠に似てるので、
何をやっているにせよ成功するようには見えない感が漂ってしまうのには困った。
藤木悠って大成功しない顔なのだ。


【銭】
2017年4月始まりで購入したキネカード(名画座回数券)。キャンペーン期間中につき半年間で3回入場券付で2000円。うち2回目を使用。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
The NET 網に囚われた男@ぴあ映画生活
殺されたミンジュ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
The NET 網に囚われた男@ここなつ映画レビュー
殺されたミンジュ@ここなつ映画レビュー
殺されたミンジュ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

『旅役者』を神保町シアターで観て、成瀬は一矢報いたふじき★★★(ネタバレ)

ラストを含めたおおよその荒筋が書いてあるので、
見てない人は控えてもらった方がいいと思います。


五つ星評価で【★★★これは積極的に好きラインの方】
「映画監督成瀬巳喜男初期傑作選」プログラムの一本。
「日本一の馬の足」を自称する、馬の足歴15年の役者が地方の興行主に被り物を壊されたことから喧嘩になり、本物の馬に代役を取られる。ジャンルで言えばコメディー。
この芸にストイックな馬の足役者の演芸論は正鵠を得ているし、そのメソッドにより演じられる馬は確かに凡百の馬の足より優れているに違いない。その実、観客はそれほど馬の演技に関心がある訳ではないので、馬を演じる人間の渾身の演技より、馬の愛嬌の方に軍配が上がってしまう。やり場のない怒りに突きあげられた役者は、ライバルの馬に演技対決を申し込む(馬にその気はないけど)。馬は走る。馬になりきった役者も走る。そこで、いきなりENDマーク。

「馬の足」に心血を注いでいる、ある意味役者根性がある面倒くさい男、この飲み屋の女を口説くのに「演技論(メソッド)」を語って威張り散らしたりもする器の小さい男がギャフンと言わされるのは、可哀想だけど、ちょっといい気味でもある。この男と後ろ足の男が運命にさいなまれながらずっとクサっている場面が映画のかなりの部分を占めているのは、バランス悪い。それならラストシーンの後ももうちょっと見たかった(見てもほがらかな展開になりそうにもないから割愛したのかも知れないが)。

素晴らしいのはラストの馬の足だ。

ドブロクで酔っぱらって本物の馬に因縁を付ける被り物を付けた馬の足が本当に素晴らしい。いや、実の馬と並べると、確かに着ぐるみみたいだし、人間が入っているのも百も承知で、動物や生物としての馬ではない。外見は違うし、壊された被りもののお面が劇中で言われる「狐」より「禍々しい悪神」のように見えてしまっている。にも関わらず、「馬であり続ける」「馬であり続けたい」という思いの強さが爆発して、その存在は馬でないにもかかわらず、限りなく馬なのだ。実態は違うし、動きも実の馬の動きから考えるとインチキだが、そこには「馬とはこうだ」という観念上の馬が確かに存在している。「演技対象である馬への愛」がただ分かる、それなのに投げやりでもあるラストシーンがムチャクチャ響いた。

ベスト馬の足映画


【銭】
神保町シアター当日一般料金1200円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
旅役者@ぴあ映画生活

『ラストコップ THE MOVIE』『リライフ』をユナイテッドシネマ豊洲9,5で観て、もうバカなんだからと同窓会的なとふじき★★★★,★★

同日鑑賞2本をまとめてレビュー

◆『ラストコップ THE MOVIE』
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▲若い二人。

五つ星評価で【★★★★窪田くんのあの声が好き】
30年間眠り続けた昭和の刑事が目覚めて、平成の草食系刑事とバディを組む。
「こんなもん」と思われるフォーマットで正々堂々とベタな展開を連打する
なかなか食えないTVドラマの映画化作品。

唐沢寿明の昭和っぷりと窪田正孝の平成っぷりのギャッブが楽しい。
唐沢寿明の30年前の奥さんか和久井映見。
朝ドラの愛子さんと違ってちゃんとしてるようだ。
その和久井映見の今の旦那が宮川一郎太。この人超被害者がよく似あう。
唐沢と和久井の実の娘役に佐々木希。
かーいくてたまらんがネジが外れてて、それも又、かーいー。
藤木直人さんは私の知ってる藤木直人さんとは違ってしまった。まあ、いいか。

ちょっと真面目に感心したのが話の閉じ方。
あの閉じ方は本当にクレバーだ。そして絶対的に不可逆だし。
佐々木希はマジ可愛い。
棒演技とか言われてたけど、そんな事ないよ。
可愛いし、面白いし、お得な役だ。


◆『リライフ』
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▲平佑奈かわいすなあ。

五つ星評価で【★★みんなどこかで見たようなヤング役者の面々が花火大会・文化祭などテンプな青春を送るちっちゃい映画】
実の所ツイッターでの評判があまりよろしくなかったのでスルーしようと思っていた。
でも、映画館に行ったら時間の繋がりが良かったので、ただそれだけで見てしまった。
まあ、そんな事もあるよ。映画は大体、評判通りだったけど。
その評判は、

よくある話をよくある通りにこなしていて、グッと来ない。

みたいな感じかな。
27歳の無職が17歳の学生生活をやり直し(リライフ)する事で人生を見つめ直すという映画だけど、このリライフを影で操る秘密組織「リライフ研究所」が何の為にそのような実験を行っているのか、実行するための諜報機関をも超越する科学力や社会的な政治力などが何に支えられているのか、というリアリティ・ラインが整備されていない。組織その物が善意の組織か、世界征服を企むような悪の組織であるかさえ分からないのである。
なので、物語は絵空事にしか見えない。というか、基本設定が成立していない状態は絵空事以下であろう。
そうではなかったが、いきなり夢オチに差し替えても全く違和感ないというのは脚本がそれだけどうでもいい現実感のない事をダラダラ描いているという事だろう。

でもまあ、お話(脚本)と、絵と緩急(演出)がバリバリに凡作ではあるが、役者陣は「あっ、あの人」という見覚えのある面々が沢山出てきたので楽しめた。

中川大志:主役。『四月は君の嘘』のサブの善人役と『きょうのキラ君』のキラ君。
 友達としてとってもいい奴が嵌るヤング役者。
 27歳の大人とその27歳の意識を持ったままの17歳の高校生を
 キッチリ演じ分けてるのはなかなか上手い。
 今回、映画の仕上がりがそんなに「グッ」と来ないので主役としては損してる。
千葉雄大:謎の会社の謎の男。最近、本当にチョコチョコあちこちに出てる超童顔。
 この人がこの顔で女の子を縄で縛ったりしたらすげえ映えると思う。
 M顔でSが映える役者(どこかSとしてのイラダチが見える気がする)。
高杉真宙:女みたいな名前だけどサブのイケメン。『PとJK』のナイーブな不良。
 しかし、この金髪イケメンがクラス一の秀才と言う高校は
 どんなレベルの高校なのかが全くもって分からない。
 落ちこぼれ高校にも見えないが、学力高そうにも見えない。
 強いて言えば「まんが高校」。マンガの中なら許せるけど、現実感が皆無。
 でも、マンガの映画化ってそんなんなんだよな。
 この映画もリアルを増やして設定を煩雑化させる親が一人も出てこない。
 みんなみなしごかよ!(最近のマンガの映画化はこんなん多いよなあ)
平佑奈:映画のヒロイン。平佑奈は出る映画出る映画、顔は同じだけど
 役の質感を変えてくるから偉い。
 今回はヤリスギに一歩踏み出しかけてる瀬戸際の演技。
 あのギコチナイ笑いは古沢健監督が付けた変な擬音ですげえ楽しい。
 基本、役の質感を演技の匙加減を変えてちゃんと調整できる、と言うのはそんなに
 特別な事ではない筈だが、一切やらん人も多いし(やれんのかもしれないが)、
 彼女みたいにキッチリ毎回作ってくるのはやっぱり偉いと思う。
 『きょうのキラ君』の冷静な幼馴染、
 『サクラダリセット』の得体のしれない系女役、
 『暗黒女子』のとても普通下級生。ポロポロ出てるなあ。
池田エライザ:エライザちゃん、エロくって好き。
 この映画の中の平佑奈は男目線から見て、可哀想には見えても常人ではないので
 ごくごく普通に「抜けるライン」として池田エライザを添えてるのはとても秀逸。
 可愛い女の子が感情バリバリなのはもうたまらん。
 が、この子が「勉強できる」って設定は高杉真宙同様、毛一つもリアル感がない。
市川実日子:『シン・ゴジラ』以降、凄く真剣に仕事をやってる女子系のオファー
 ばかりだが、元々はこの人、もっと「ぼーっ」とした役をメインにこなしていた印象。
 『シン・ゴジラ』以降、どんな役でもこなせる女役者バカだと思っている。
夏菜:モビット女。朝ドラで人気落としてしまったりあったけど、『GANTZ』から
 ずっと好き。25歳の高校教師役だが、制服着ればまだJKで通るんじゃないだろうか。
 あー、プールか何かに落ちて、仕方なくJK制服着せられて、全校生徒に見られる
 みたいな羞恥設定が見たい。というほど、出番がある役ではないのだが、
 アクセントとしていい演技してます。

しかし、女子はそんなに男子と花火大会に浴衣きて行きたいのか?
文化祭はあんな盛り上がらないだろ。
卒業旅行とかで終電に帰るような怠惰な事しちゃダメだろ。

誰かが設計図引いたようなテンプな高校生活だな(現実的ではないけど)。


【銭】
どちらも金曜、ユナイテッドシネマ・メンバーズデーに観たので1000円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ラストコップ THE MOVIE@ぴあ映画生活
ReLIFE リライフ@ぴあ映画生活
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