実話系で10本。寝かせすぎて記憶が定かじゃないから簡単に。
◆『野獣たちのバラード』シネマヴェーラ渋谷五つ星評価で【★★★宇野重吉の声が重くて良し】
特集「日常と戦争そして旅 ウクライナ・ジョージア・ソ連映画」の1プログラム。
1965年、白黒、125分、初見、ミハイル・ロンム監督作品。
ソ連から見た第二次大戦中のドイツの独裁主義を弾劾する映画。最初に子供の笑顔を見せておいて、その映像にアウシュビッツの死骸の映像を被せてくるのは効果的だが、そんなんやるなよなしんどさ。
1000年持たせるヒトラーの本『我が闘争』の作成風景とか凄い。アドルフさん達、本気だったんだな。
◆『アダマン号に乗って』新宿武蔵野館1
▲アダQ、アダマン、アダセブン、帰ってきたアダマン。何言っとんねん、俺。
五つ星評価で【★★穏やかな船の様に流れがゆるやか】
フランスのセーヌ川に浮かぶデイケアセンターの船「アダマン号」の患者や看護師、職員の日常を映しだしたドキュメンタリー。上手い事回ってるので衝突や諍いも目を引くほど起こらず、映す姿が日常的。フランス人の病んでる人、介護してる人の見分けもそうそうつかず何となく船に乗るとか乗らないとかでなく、映画に乗りそこなった。
ちなみにアダマンチウム(ウルヴァリンの爪の材質)で出来た船ではない。木造船だそうである。
◆『Dr. Bala』ポレポレ東中野
▲海外の無医村にどんどん出ていく日本人医師バラー。ちょっと外見、山本太郎っぽい。
五つ星評価で【★★★★凄いよバラー】
規格外の医師バラー。大金を取らない現実的なブラック・ジャックみたいな先生。善人が活躍したり、褒められたりする映画は嬉しい。凄く面白い映画なのだが、感想ほっておいてる間にすっかり忘却にやられてしまった。
◆『バンクシー 抗うものたちのアート革命』ヒューマントラストシネマ渋谷2
▲バンクシーのイメージって肌の露出がない。案外、中山きんに君みたいだったら笑う。
五つ星評価で【★★作品より解説が長い】
出自や経緯は知らないでもないし、謎の覆面アーティストだから、全てを明らかにする事もできない。ならば、業界の人が御託を並べるよりも、より多くの作品が見たかった。バンクシーに対して、誰かが何かを語る部分の多さにちょっと辟易した。バンクシーの外聞が知れても、それが分かって作品の価値が変わるとも思わないから。
◆『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』ポレポレ東中野
▲「先生の言うことを聞いていたのに!!」と言うのがキラーワード。
五つ星評価で【★★★★当たり前の事が捻じ曲げられていく、それを許さないとした人たちの戦いの記録】
東日本大震災の津波が起こった時、被害にあった小学生の親達が自分たちの子供が助かったのではないかという事を争う裁判を追ったドキュメンタリー。誰かの罪を明らかにしようという目的ではなく、ここで事実を明らかにする事で次の被害を防ぐという正しい考えがある。そんな彼等に隠蔽しようという外圧がかかったり、組織内部での分裂が起きたり、たいへんつらい内容をフラットに撮影している。やらなければいけない事をやるプロの弁護士達がかっけー。
◆『共に生きる 書家金澤翔子』シネスイッチ銀座1
▲多分、私や普通の人の頭の中に「書家」や「芸術家」は必要以上に苦しみを感じて悲壮な思いで芸術を生み出さなくてはならないという固定観念がある。
五つ星評価で【★★★いい話だがいい話なのか】
ダウン症と診断された娘を書家として独り立ちさせる母の話、娘の話。
ただ、危ういなと思うのは「書」は体裁が整えば内容・精神が伴わなくても、立派に見えるので、形状記憶装置のブラックボックスロボットとして娘が「書」を出し続けてるだけなのでは、という疑問がある。それは私がたいそうな悪筆持ちであるにもかかわらずそういうインチキ書道が割りと得意だからそう思うのだ。粘度の高いポスターカラーを少量の水で溶いて面相筆に含ませて、筆を寝かせて書くと、それなりにダイナミックな書家らしい字体になる。もちろん私は高貴な精神性ゼロでそういうのが書けるのだ(書家らしいと自認してるだけで本当に人に鑑定されたらコテコテにダメ出しされるかもしれん)。
でもまあ、よかろう。精神性があろうが、なかろうが、古代中国の写経や写本を写して国内でも学生書道家が上手下手を争ったりするのだから(ソースは『とめはねっ!』)。そこに何が書かれているとか、どこまで意識しているか分からない。なら、ダウン症の彼女もそう違いがないのではないか。多分、何となくコンプレックス的に、そこで追い抜かされると思わなかった存在に追い抜かされた事がイヤなんだよな。
◆『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』イメージ・フォーラム2
▲「いたたたたたたたた」
五つ星評価で【★★★国立西洋美術館の精神性が凄いのだが、鑑賞者の精神性が劣り気味なので、あまり伝わらず】
彫刻運ぶとき、ギプスみたいになる外観がおもろいなと思った。他は特に記憶なし。
◆『夢みる校長先生』シネスイッチ銀座1
▲「校長先生の夢は全女子生徒と結婚する事です」「そんな映画の訳があるかあ!」
五つ星評価で【★★★校長先生が夢を見たっていいじゃないか】
キョンキョンがナレーター。
校長先生が、と言うか、一つの教育単位として、学校が他と違う事をやろうとすると、割といろんな手があるのだ。その上手くいった例と、その手引き集。
◆『シン・ちむどんどん』ポレポレ東中野
▲対抗二人のダメ加減を見て、そら、玉城デニー勝つやろと思った。
五つ星評価で【★★★てーげーな題名だ】
ダースレイダーとプチ鹿島による選挙映画第二弾。
第一弾の方が楽しく見れたのは途中から「沖縄」への傾倒が大きくなりすぎたからか?
◆『キャメラを持った男たち 関東大震災を撮る』ポレポレ東中野
▲後ろでチロチロ燃えている。今よりずっとみんなステテコ。
五つ星評価で【★★惨状見たさに見に行った俺がダメ】
関東大震災の時、その惨状を映画フィルムに残した人達がいた。
どんな人達がどんな経緯で撮影したか、などの検証。
「すんげえ惨状」みたさに見に行くが、そんな「すんげえ惨状」は映らない。
遠方に煙が見えたり、人が密集してたり。
パニック状態がひどいと、カメラ撮影もできそうにないし、あまり状態がひどいと撮影クルーそのものが被災に会ってフィルムも残らなかっただろう。
ただ、何気に撮影した地面に死体が積み重ねられており、その意思のない脱力さと、膨らみ方が、空襲やナチスの収容所で見れる死体の山と同様であり、今、死に行く人は撮影できなくても、死んでしまった人は山ほど身近にいた異常さを垣間見させてくれる。
【銭】野獣たちのバラード:シネマヴェーラ渋谷一般料金1300円-会員割引400円。
アダマン号に乗って:武蔵野興行水曜サービスデーで1100円(おそらく旧料金)。
Dr. Bala:ポレポレ東中野5回券6000円のうち2回目使用。2023年2月19日購入。
バンクシー 抗うものたちのアート革命:テアトル会員割引+曜日割引で1100円(旧料金)。
「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち:ポレポレ東中野5回券6000円のうち3回目使用。2023年2月19日購入。
共に生きる 書家金澤翔子:テアトル会員割引+曜日割引で1100円(旧料金)。
わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏:イメージ・フォーラム月曜サービスデーで1200円(おそらく旧料金)。
夢みる校長先生:テアトル会員割引+曜日割引で1200円。
シン・ちむどんどん:ポレポレ東中野5回券6000円のうち4回目使用。2023年2月19日購入。
キャメラを持った男たち 関東大震災を撮る:ポレポレ東中野5回券6000円のうち5回目使用。2023年2月19日購入。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
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ありふれたファシズム 野獣たちのバラード@映画.com・
アダマン号に乗って@映画.com・
Dr. Bala@映画.com・
バンクシー 抗うものたちのアート革命@映画.com・
「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち@映画.com・
共に生きる 書家金澤翔子@映画.com・
わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏@映画.com・
夢みる校長先生@映画.com・
シン・ちむどんどん@映画.com・
キャメラを持った男たち 関東大震災を撮る@映画.com『野獣たちのバラード』は映画.com内では『ありふれたファシズム 野獣たちのバラード』というタイトルで表記。