◆『高慢と偏見とゾンビ』トーホーシネマズシャンテ1

▲「キッコーマンとハイネケンとゾンビ」っての思い付いた。
五つ星評価で【★★★そのゾンビはゾンビではないだろうけど、それでも許せるゆるいゾンビ映画】
原作未読。元になる『高慢と偏見』は同じく原作未読だが、映画化された1995年の『高慢と偏見』、2005年版の『プライドと偏見』は多分、両方見た筈。
徐々に失効していくとは言え、かなり高度な知性がある点で、ゾンビ映画としてはB級と言わざるを得ない。あと、ダーシー卿が自分達の窮地を挽回せんとするが為にゾンビを活性化させる手を打つのもどうかと思う(しかもその手は自分達の窮地の挽回に寄与しないのだ/おいおいおいおい、何の為の一手だったんだよ)。
みたいなゾンビ映画としてのマイナスを抱えながらも、見ていてニヤニヤ微笑を禁じ得ないのは、大恋愛小説『高慢と偏見』に『ゾンビ』を組み込むという、誰もがそんな事やっちゃいかんと即答できる禁忌を織り込んだのにそれが成功してしまっている大胆な着想とストーリーテーリングに敬意を表さざるを得ないからだ。すげえすげえ。
リリ・ジェームス(次女)の剣技と脚線美(見せ方が凄く上手い)に惚れ惚れ。
ベラ・ヒースコート(長女)のお人形さんチックな美麗さもOK。
金持ちの家に日本の戦国時代の鎧甲冑が飾ってあるのもおもろい。
リリ・ジェームス(次女)が野蛮的には無敵なのに、恋にはヘタレなのも可愛いったらない。
◆『少女』トーホーシネマズ六本木1

▲物語の大半で着用される夏服よりこっちの冬服の方がフェティッシュ。
五つ星評価で【★★★★「少女」の映画が嫌いな訳がない】
歪な日本の構成要素が少女の周辺に再構成される。
作りものの世界を再構成するにあたって二カ所気に食わない部分があったが(後述)、何とも完成度の高い一本になっていると思う(これも原作未読だが、湊かなえ(一冊も読んだ事がない)の「呑み込めない感じ」が凄く映画に充満している。
役者が素晴らしい。
本田翼のラスト手前までチラリとも可愛さや輝きを見せない
常にカッターナイフを自分の手首の血管にあてがっているような白目の強い演技に
一つ演技の階段、上ったなと感じた。
この錆びたカッターナイフの刃のような感じを出しながら菅原大吉相手に
弱さも見せるという難しい演技をこなしてるのにも拍手したい。
山本美月は演技力がいらない役(失礼)だが、うまくピースが嵌っていた。
びっこ演技に違和感があったが、映画内の展開を見て驚かされた。
でも、それで「上手い感」はあまりない。
この子、顔がゆるくて凄く客を安心させる。
ああもう、俺、女子にバリバリ、コンプレックス人間だから
ビッコひいてる女の子はそれだけで好きなのだ(病んでる俺)。
稲垣吾郎のオーラの消し方が凄い。
普通に市井にあんな感じの人はいそう。
稲垣吾郎ではあるのだが、稲垣吾郎という元の存在をすっと消えさせる。
SMAPの他の四人はそうはいかない。
アンジャッシュ児島は児島らしい役。
でも、案外どんな役をやっても「児島らしい役」で片付けられそうな気もする。
それだけ役を近くに引き寄せてるのかもしれない(基本いつも同じだと思うが)。
本田翼の祖母は銀粉蝶さんだろうか?
怖い。本当にああいう人を連れてきたようにしか見えない。
菅原大吉も割とああいう人を連れてきて、ああいうブリーフ穿かせましたみたいな感じが漂うのだけど、それでも顔がいつも通りに菅原大吉だから、そこまで怖さを感じない。今まで一度も菅原大吉を見た事のない人がこの役を見たら、本田翼の祖母同様、かなりの怖さを感じそう。
PS 世界再構築において気に食わない部分:
①子供の地獄の絵が上手すぎる。あれは大人が描いた絵だろう。
②本田翼の私服が整いすぎている。
映画内の本田翼ならダーク系か、もう少し服に無頓着な感じだろう。
親から押し着せられている清楚な服だとしても、
ちょっと自分のモノとして着こなしすぎてしまって見える。
PS2 最終的に少女の周囲の大人は突出した障壁が3人、突出した支援者が1人。
少女の周囲の少女達は本田翼と山本美月も含めて、
全員、気が狂った悪人だ。それが「少女」と言わんばかりに。
PS3 対比される少年(真剣佑)は極めて常人なのだが、
それがつまらないと言えば、つまらない。
PS4 監督『しあわせのパン』の人か。攻めた映画作ったな。
PS5 「因果応報」で思いだすのは『少女椿』だったりする。
でも、『少女椿』の方が体温が温かいイメージだ。
◆『ジェイソン・ボーン』トーホーシネマズ六本木2

▲こんな寄り添うような関係性ではない。
五つ星評価で【★★やはり問題は都合の良すぎるストーリー、演出は流石】
もう前の四作はよく覚えてない。人の違う『ボーン・レガシー』は別として
基本、「お前の知らない過去があるから、それを見つけながら問題解決しろ」
みたいな筋でボーンが毎回担ぎ出されている印象。
今回、父ちゃんの謎まで出てくるとは思わなかった。
次はきっと母ちゃんの謎に違いない。
いや、もう、「お前の知らない過去うんぬん」はどうでもいいでしょ。
どれだけ知らされてないんだよって逆に信憑性薄いわ。
今回の話の弱点は「謎を解く事=今の悪漢の悪事を同時に防ぐ事になる」、
こんな都合のいいストーリー展開はあかんと思うわ。
トミー・リー・ジョーンズは手堅い嫌われ役だが、
アリシア・ヴィキャンデルの小さい図体なのに「やり手感」バッチリなのも良い。
アリシア・ヴィキャンデル上手い。納得させる演技を持ってくる。
マッド・デイモンはメリハリを付けようとしてるのか、単に肉体年齢なのか老けた。ちょっとした皺がボーンっぽさを減じてるように思える。
ヴァンサン・カッセルのボーンっぽい作戦員の無敵っぷりはとても面白いのだけど、
オペレーションを彼一人に任せすぎだし、過去の因縁まで彼に被せるのは間違いだ。
◆『貞子vs伽椰子』トーホーシネマズ日本橋1

五つ星評価で【★★★★白石晃士の超絶演出力と投げやりなラストに茫然とさせられるカルトホラー】
ともかく、貞子と伽椰子を対決させるという唖然とするようなストーリーテーリングが無理なく破綻せずに進んでいる、天才・白石晃士の手腕の冴えが素晴らしい。気まぐれな天才がラストシーンで物語ぶん投げちゃったのにも唖然としたけど。それで終わりです、で締めちゃいかんだろ。
あの安くて効果の高い大女優佐津川愛美が山本美月とペアを組んで話を引っ張っていくので、貞子パートは大丈夫。大丈夫かしらと思っていた玉城ティナの呪怨パートもなかなか良い。玉城ティナなかなかやるじゃん。
恐怖におののく3人の女の子を並べてしまうと、残念ながら山本美月がジャンルムービー的に大根というのが分かってしまう。普通の芝居では特に気にならないのだが、ジャンルムービーだから、彼女は彼女の演技で観客に恐怖を伝染させなければいけない。彼女が怖がっている演技をしている事は分かるんだけど、観客側がその怖さに乗れない。佐津川愛美、玉城ティナとメリハリを付けるためにそういう演技を充てられたのなら損をしてると思うのだが、何となく山本美月って感情の高低ギャップがあまり出ない芝居をする人みたいなので、おそらくこれが限界なのだろう。
俊雄をマスコットみたいにせず、得体のしれない変な子供に引きずり降ろしたのは演出側のいいプラスポイント。
【銭】
高慢と偏見とゾンビ:トーホーシネマズデーで1100円。
少女:トーホーシネマズデーで1100円。
ジェイソン・ボーン:トーホーシネマズデーで1100円。
貞子vs伽椰子:トーホーシネマズ、メンバー割引週間で1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・高慢と偏見とゾンビ@ぴあ映画生活
・少女@ぴあ映画生活
・ジェイソン・ボーン@ぴあ映画生活
・貞子vs伽椰子@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
・高慢と偏見とゾンビ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
・高慢と偏見とゾンビ@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
・少女@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
・少女@だらだら無気力ブログ
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・ジェイソン・ボーン@ノルウェー暮らし・イン・原宿
・ジェイソン・ボーン@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
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