『TAP』『パトリオット・デイ』『女流闘牌伝aki』『ちょっと今から仕事やめてくる』『ポエトリーエンジェル』
- Date
- 2017/07/23/Sun 10:22
- Category
- 映画(FC2独自レビュー)
またぞろ感想UPを5本終わらそうという目的のレビュー
(なんだけど、書いてる途中に瞬断で文書吹っ飛んで気分激落ち)
◆『TAP』東宝シネマズシャンテ2

▲「利休」っぽい水谷豊(この写真だけね)。
五つ星評価で【★★★演出力があるのかないのか】
怪物的なドラマ『相棒』を牽引する一癖ある名優・水谷豊が企画から実現まで40年かけて作った初監督作品。役者としてのキャリアは長いが素人監督の初監督作品なんで、出来上がりとしてはそれなりに停滞してユルユルな印象を受ける。40年間は寝かせ過ぎで、寝かせ過ぎた弊害で、どのキャラもどの場面も語りたい事がとても多く、焦点が絞りきれていないように見える。タップダンスを踊る全員がトラブルを抱えている必要はないし、そのトラブルが公演を行う事で全て快方に向かうというのは話として出来すぎていてリアルを損なう。それを「水谷豊の40年かけた夢だから」で片付けるのはたやすいが、133分の長さを70分くらいにスリムアップして、ドキュメンタリーと見間違えるようなタップダンス主体の映画にしたら、何回もリピート衝動を煽られたのではないだろうか? まあ、これは後だしジャンケンみたいな申し出だから、そんな事言われても困るかもしれないが。
この映画は停滞しているドラマ・パートを全て捨ててしまってもラスト24分を初めとするタップダンスの部分が素晴らしく、場面によっては圧倒される。チラシなどでも煽られているように、ここを売らなければいけない、というターゲットポイントは製作者・観客とも一致しているのである。だから、ここを中心に短く刈り込んで何回もリピートするような映画に作りあげれば良かったのに、と思う。ちょっとダラダラ長いので私はもう一回リピートする気にはなれなかった。
若手をサポートする水谷豊、岸部一徳、六平直政の円熟な演技みたいな宣伝文句をかなり聞いた。
水谷豊は良い。タップの映画であり、彼が主役であるにもかかわらず水谷豊はタップを踏まない。役柄上、彼はタップを奪われた男だからそれでいいのだが、彼がタップのリズムを杖で刻む事で、映画のタップダンスは形を得ていく。この彼が刻むビートが素晴らしい。彼の映画の主導権は彼が役者として真っ中心に位置し、ビートを刻み続ける事によって担保される。
岸部一徳は基本いつもの岸部一徳だろう。悪くないが岸部一徳と言うだけの事だ。
六平直政は大人しい善人役をやると気持ち悪い。本人が望む望まないにかかわらず、この人の笑顔は血の中でこそ輝く。そういった意味では今回の六平直政は残念だった。それが本当の六平直政に近い近くないにかかわらず、善人を演じる六平直政はどんな六平直政より嘘くさいのだ。影で脱税の一つや二つ、ドラッグ商売の一つや二つやってそうである。
PS 水谷豊が「かんぼーちょー」と叫んだら完璧だったが、
それはもう何もかも全てを捨ててのメタなネタだから、
やらなくても許す(と言うか、やったらダメダメすぎる)。
◆『パトリオット・デイ』109シネマズ二子玉川1

▲「おひけえなすって、おひけえなすって」
五つ星評価で【★★★面白い事に不安がある】
娯楽映画として普通に面白いのだけど、犯人側をただの悪い奴みたいに描写してるのが危険。犯人だって物を考える人間であるなら、犯行に及んだ理由がある筈だ。その辺は掘り下げられない。奴らはただ何となく極悪非道なのだ。犯人から人間性を奪った結果、とても見やすい映画になった。観客は主人公たちと一緒に犯人を追い、犯人を憎めばよい。それって何か危険じゃないか。でも、その危険に踏み込んだ結果、勧善懲悪で何やらとっても見やすい映画になってしまった。いいんか、これで? マーク・ウォールバーグは無名で普通だけど凄い人が相変わらず映える。まあでも、私はこの人見ると『ブギーナイツ』のちんちんでかい人という印象を拭えないのだけど。FBIの本部長のケヴィン・ベーコンは『トレマーズ』で、隠れたちんちんみたいなでかい砂漠虫のせいで屋根から降りられない人だし。そんなチグハグな二人がガチで戦える舞台を整備してくれてありがとうテロリスト。いや、そんな物言いも違うな。と言うか、チンチンで役者まとめようとするのやめろよ、俺。
◆『女流闘牌伝aki』新宿シネマート1

▲「これがakiだあああああ!」
五つ星評価で【★★★★麻雀をアクションとして描写する面白さ】
主人公の性格や、動機付けに「お前それはちょっと違うんじゃないの」と異議を唱えたくなる部分は数々あるのだけど、麻雀シーンの見せ方がアクション映画として論理的に構築してあって面白い。勝負と言うのは必ずしも殴る蹴るだけではないのだ。生活のためのビジネス麻雀を営む主人公が勝てない相手を前に自分のルーツや麻雀を見つめ直すというのはいい意味で型にはまった展開。
どんな映画でも中堅どころでそれなりの役を演じるバイプレイヤーの岩松了が麻雀名人役で出演している。岩松了という役者は決して「かっこいい役」を演じる役者ではなく、どちらかと言うと「世間にいるどうでもいい人」とか「面白味はあるけどかっこよくはない人」とか、そういう役が充てられる役者である。この映画では全く予想だにしていなかったのだが、かっこいい。人生を背負って、人生を込めて麻雀を打つ男。岩松了が最高にかっこよく見えるところに「麻雀」というジャンルの奥深さとアバンギャルドぶりを見せつけられた。
私自身は麻雀は素人で複雑な手とか分からないのだが、まだまだ映画のジャンルとして開拓可能な空気を感じさせられた。

▲こっちが本物。
◆『ちょっと今から仕事やめてくる』東宝シネマズ新宿6

▲「兄さん、兄さん、駅のホームで何やけど、かーいーこおんねんで」

▲連れられていった先に薄着でいそうなお姉さん。
五つ星評価で【★★★吉田鋼太郎が怖くて凄い】
ブラック企業で働く工藤阿須賀が謎の男福士蒼汰と出会って仕事についての自分を取り戻す話。
という粗筋でチラシにも「ブラック企業」と書いてあるのだが、映画を見てみると吉田鋼太郎演じる「部長」がもっぱらブラック個人なのだった。すげえ。こええ。多分、あの人一人排除すればあの会社はとてもいい会社になる。そうなって業績が上がるかどうかは謎だけど。
工藤阿須賀:虐められる新入社員。
吉田鋼太郎:パワハラ部長。
黒木華:部内のやり手。パワハラ部長を好ましくは思ってないが、自然に虐めに加担する構造に手を貸すようになる。
福士蒼汰:謎の男。
福士蒼汰が印籠もって「えいえいえいえい控えおろう」で、実は社長令息だったりすると水戸黄門的に面白いけど、それはリアリティーに欠けた話で、福士蒼汰その物は工藤阿須賀の会社と何ら関わりを持たない。あくまで「気づき」を得るのは工藤阿須賀であり、だからこそカタルシスを感じるような結末ではない、ある意味やりきれない終わり方である。単純明快に諸悪の根源・吉田鋼太郎がひどい目にあったりはしないのだ。あくまで工藤阿須賀が出す結論を優先しており、吉田鋼太郎に下される罰などは「ついで」という扱いなので、その点はお目こぼしされてしまう。それは実に正しいのだが、正しくなく罰を下されてヒイヒイわめく吉田鋼太郎も見たかった。うん、そうだ。そんなに人間が出来てないからな、俺。
黒木華が何となく枕営業させられていて、吉田鋼太郎からもバックからズンズン突かれていそうな役で、そうじゃないとしてもそうであったら嬉しいので、そういう方向で名器と言う事でお願いします。そうするとネクタイちょっといいねと言う時の「ネクタイ」はフロイト流解釈でいうところのチンチンになるので、工藤阿須賀の調子がいい時はネクタイもそびえ立つみたいに何だ、エロくっていいなって、だからチンチン解釈すんのやめろよ、俺。
そのチンチンとチンチンの交流で、工藤阿須賀と福士蒼汰は二次創作物ではBL的な関係になるのだが(断定すなよ俺)、福士蒼汰がネクタイを締めずに工藤阿須賀のネクタイをそびえ立たせるって何かやらしい暗喩だなあ。そんな事になってるのにネクタイの「ネ」の字も干渉できない不能の吉田鋼太郎、それはストレスも溜まって爆発させるだろう。そういう話かよ。違うよ。チラシ見てると吉田鋼太郎が工藤阿須賀のネクタイ掴んで顔を引き寄せてるシーンがあるよ。ネクタイがチンチンだったら、こんなしんどい絵面はない。
そう言えば福士蒼汰側のエピは偉そうにラストの落ちネタみたいな設定にしてたけど、それはそんなに面白くない。そっちにしか絡まないイエロー・キャブ小池栄子はいつも通り達者だけど、特に映画自体のバランスを欠いてまでブイブイ言わしたりはしない。そういう意味ではイエロー・キャブ佐藤江梨子でもいい役だ。いや、そんな置き換えわざわざしなくていいだろ俺。
悪い話ではないのだけど、ボロ泣きしたい気持ちに応えるほど泣き要素がある訳ではない。プロモーションで「泣ける物語ですよアピール」が強かったのに、催涙ガスが撒かれてるんじゃないかくらいの号泣を呼び起こされなかったので悶々してしまった。チンチンは置いといて、最終的にはそういう結論の映画である。
PS 『ちょっとそこまで会社やめてくる』とかタイトル間違えてた。
PS2 主要登場人物の名前に「山」が付いてる。
「山」は「仕事」を表わす使い方もありますね。
主役、工藤阿須賀は「青山」。青い仕事をする男。
部長、吉田鋼太郎は「山上」。仕事の上にいる男。
謎の男・福士蒼汰は「山本」。仕事の「本」を思いださせる男。
そして黒木華は「五十嵐」。「嵐」のカンムリが「山」カンムリ。
仕事が「50の風」?50パーで仕事の助けになったり、
仕事の邪魔になったりという意味かな?
そして、主人公の故郷が「仕事がない」山梨。
これは意図してやってるわ。
◆『ポエトリーエンジェル』テアトル新宿

▲画像は後で入れるよ。入れたよん。
五つ星評価で【★★★★推したくなる】
岡山天音の不敵な面構えではあるけど、何も成し遂げてない若者と言った顔立ちが好き。彼が独唱する「自由詩」の未完成ぶりと実生活に肉付けされて成長していくまさかが面白い。
そして、武田玲奈の存在感。それは周りが用意してくれた席かもしれないが、彼女はちゃんと役者としてそこにいた。
東京03のカクちゃんが出てる映画は予算は小粒だけど、しっかりしてる感がある(他に何出てたか思いだせないにもかかわらずってオイオイ)。
【銭】
『TAP』:トーホーシネマズのメンバーサービス週間で1100円。
『パトリオット・デイ』:109シネマズデーで1100円。
『女流闘牌伝aki』:テアトル会員割引+曜日割引で1000円。
『ちょっと今から仕事やめてくる』:映画ファン感謝デーで1100円。
『ポエトリーエンジェル』:映画ファン感謝デーで1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・TAP -THE LAST SHOW-@ぴあ映画生活
・パトリオット・デイ@ぴあ映画生活
・ちょっと今から仕事やめてくる@ぴあ映画生活
・女流闘牌伝 aki-アキ-@ぴあ映画生活
・ポエトリーエンジェル@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
・TAP -THE LAST SHOW-@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
・パトリオット・デイ@ここなつ映画レビュー
・パトリオット・デイ@ノルウェー暮らし・イン・原宿
・パトリオット・デイ@映画的・絵画的・音楽的
・パトリオット・デイ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
・ちょっと今から仕事やめてくる@映画的・絵画的・音楽的
・ちょっと今から仕事やめてくる@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
(なんだけど、書いてる途中に瞬断で文書吹っ飛んで気分激落ち)
◆『TAP』東宝シネマズシャンテ2

▲「利休」っぽい水谷豊(この写真だけね)。
五つ星評価で【★★★演出力があるのかないのか】
怪物的なドラマ『相棒』を牽引する一癖ある名優・水谷豊が企画から実現まで40年かけて作った初監督作品。役者としてのキャリアは長いが素人監督の初監督作品なんで、出来上がりとしてはそれなりに停滞してユルユルな印象を受ける。40年間は寝かせ過ぎで、寝かせ過ぎた弊害で、どのキャラもどの場面も語りたい事がとても多く、焦点が絞りきれていないように見える。タップダンスを踊る全員がトラブルを抱えている必要はないし、そのトラブルが公演を行う事で全て快方に向かうというのは話として出来すぎていてリアルを損なう。それを「水谷豊の40年かけた夢だから」で片付けるのはたやすいが、133分の長さを70分くらいにスリムアップして、ドキュメンタリーと見間違えるようなタップダンス主体の映画にしたら、何回もリピート衝動を煽られたのではないだろうか? まあ、これは後だしジャンケンみたいな申し出だから、そんな事言われても困るかもしれないが。
この映画は停滞しているドラマ・パートを全て捨ててしまってもラスト24分を初めとするタップダンスの部分が素晴らしく、場面によっては圧倒される。チラシなどでも煽られているように、ここを売らなければいけない、というターゲットポイントは製作者・観客とも一致しているのである。だから、ここを中心に短く刈り込んで何回もリピートするような映画に作りあげれば良かったのに、と思う。ちょっとダラダラ長いので私はもう一回リピートする気にはなれなかった。
若手をサポートする水谷豊、岸部一徳、六平直政の円熟な演技みたいな宣伝文句をかなり聞いた。
水谷豊は良い。タップの映画であり、彼が主役であるにもかかわらず水谷豊はタップを踏まない。役柄上、彼はタップを奪われた男だからそれでいいのだが、彼がタップのリズムを杖で刻む事で、映画のタップダンスは形を得ていく。この彼が刻むビートが素晴らしい。彼の映画の主導権は彼が役者として真っ中心に位置し、ビートを刻み続ける事によって担保される。
岸部一徳は基本いつもの岸部一徳だろう。悪くないが岸部一徳と言うだけの事だ。
六平直政は大人しい善人役をやると気持ち悪い。本人が望む望まないにかかわらず、この人の笑顔は血の中でこそ輝く。そういった意味では今回の六平直政は残念だった。それが本当の六平直政に近い近くないにかかわらず、善人を演じる六平直政はどんな六平直政より嘘くさいのだ。影で脱税の一つや二つ、ドラッグ商売の一つや二つやってそうである。
PS 水谷豊が「かんぼーちょー」と叫んだら完璧だったが、
それはもう何もかも全てを捨ててのメタなネタだから、
やらなくても許す(と言うか、やったらダメダメすぎる)。
◆『パトリオット・デイ』109シネマズ二子玉川1

▲「おひけえなすって、おひけえなすって」
五つ星評価で【★★★面白い事に不安がある】
娯楽映画として普通に面白いのだけど、犯人側をただの悪い奴みたいに描写してるのが危険。犯人だって物を考える人間であるなら、犯行に及んだ理由がある筈だ。その辺は掘り下げられない。奴らはただ何となく極悪非道なのだ。犯人から人間性を奪った結果、とても見やすい映画になった。観客は主人公たちと一緒に犯人を追い、犯人を憎めばよい。それって何か危険じゃないか。でも、その危険に踏み込んだ結果、勧善懲悪で何やらとっても見やすい映画になってしまった。いいんか、これで? マーク・ウォールバーグは無名で普通だけど凄い人が相変わらず映える。まあでも、私はこの人見ると『ブギーナイツ』のちんちんでかい人という印象を拭えないのだけど。FBIの本部長のケヴィン・ベーコンは『トレマーズ』で、隠れたちんちんみたいなでかい砂漠虫のせいで屋根から降りられない人だし。そんなチグハグな二人がガチで戦える舞台を整備してくれてありがとうテロリスト。いや、そんな物言いも違うな。と言うか、チンチンで役者まとめようとするのやめろよ、俺。
◆『女流闘牌伝aki』新宿シネマート1

▲「これがakiだあああああ!」
五つ星評価で【★★★★麻雀をアクションとして描写する面白さ】
主人公の性格や、動機付けに「お前それはちょっと違うんじゃないの」と異議を唱えたくなる部分は数々あるのだけど、麻雀シーンの見せ方がアクション映画として論理的に構築してあって面白い。勝負と言うのは必ずしも殴る蹴るだけではないのだ。生活のためのビジネス麻雀を営む主人公が勝てない相手を前に自分のルーツや麻雀を見つめ直すというのはいい意味で型にはまった展開。
どんな映画でも中堅どころでそれなりの役を演じるバイプレイヤーの岩松了が麻雀名人役で出演している。岩松了という役者は決して「かっこいい役」を演じる役者ではなく、どちらかと言うと「世間にいるどうでもいい人」とか「面白味はあるけどかっこよくはない人」とか、そういう役が充てられる役者である。この映画では全く予想だにしていなかったのだが、かっこいい。人生を背負って、人生を込めて麻雀を打つ男。岩松了が最高にかっこよく見えるところに「麻雀」というジャンルの奥深さとアバンギャルドぶりを見せつけられた。
私自身は麻雀は素人で複雑な手とか分からないのだが、まだまだ映画のジャンルとして開拓可能な空気を感じさせられた。

▲こっちが本物。
◆『ちょっと今から仕事やめてくる』東宝シネマズ新宿6

▲「兄さん、兄さん、駅のホームで何やけど、かーいーこおんねんで」

▲連れられていった先に薄着でいそうなお姉さん。
五つ星評価で【★★★吉田鋼太郎が怖くて凄い】
ブラック企業で働く工藤阿須賀が謎の男福士蒼汰と出会って仕事についての自分を取り戻す話。
という粗筋でチラシにも「ブラック企業」と書いてあるのだが、映画を見てみると吉田鋼太郎演じる「部長」がもっぱらブラック個人なのだった。すげえ。こええ。多分、あの人一人排除すればあの会社はとてもいい会社になる。そうなって業績が上がるかどうかは謎だけど。
工藤阿須賀:虐められる新入社員。
吉田鋼太郎:パワハラ部長。
黒木華:部内のやり手。パワハラ部長を好ましくは思ってないが、自然に虐めに加担する構造に手を貸すようになる。
福士蒼汰:謎の男。
福士蒼汰が印籠もって「えいえいえいえい控えおろう」で、実は社長令息だったりすると水戸黄門的に面白いけど、それはリアリティーに欠けた話で、福士蒼汰その物は工藤阿須賀の会社と何ら関わりを持たない。あくまで「気づき」を得るのは工藤阿須賀であり、だからこそカタルシスを感じるような結末ではない、ある意味やりきれない終わり方である。単純明快に諸悪の根源・吉田鋼太郎がひどい目にあったりはしないのだ。あくまで工藤阿須賀が出す結論を優先しており、吉田鋼太郎に下される罰などは「ついで」という扱いなので、その点はお目こぼしされてしまう。それは実に正しいのだが、正しくなく罰を下されてヒイヒイわめく吉田鋼太郎も見たかった。うん、そうだ。そんなに人間が出来てないからな、俺。
黒木華が何となく枕営業させられていて、吉田鋼太郎からもバックからズンズン突かれていそうな役で、そうじゃないとしてもそうであったら嬉しいので、そういう方向で名器と言う事でお願いします。そうするとネクタイちょっといいねと言う時の「ネクタイ」はフロイト流解釈でいうところのチンチンになるので、工藤阿須賀の調子がいい時はネクタイもそびえ立つみたいに何だ、エロくっていいなって、だからチンチン解釈すんのやめろよ、俺。
そのチンチンとチンチンの交流で、工藤阿須賀と福士蒼汰は二次創作物ではBL的な関係になるのだが(断定すなよ俺)、福士蒼汰がネクタイを締めずに工藤阿須賀のネクタイをそびえ立たせるって何かやらしい暗喩だなあ。そんな事になってるのにネクタイの「ネ」の字も干渉できない不能の吉田鋼太郎、それはストレスも溜まって爆発させるだろう。そういう話かよ。違うよ。チラシ見てると吉田鋼太郎が工藤阿須賀のネクタイ掴んで顔を引き寄せてるシーンがあるよ。ネクタイがチンチンだったら、こんなしんどい絵面はない。
そう言えば福士蒼汰側のエピは偉そうにラストの落ちネタみたいな設定にしてたけど、それはそんなに面白くない。そっちにしか絡まないイエロー・キャブ小池栄子はいつも通り達者だけど、特に映画自体のバランスを欠いてまでブイブイ言わしたりはしない。そういう意味ではイエロー・キャブ佐藤江梨子でもいい役だ。いや、そんな置き換えわざわざしなくていいだろ俺。
悪い話ではないのだけど、ボロ泣きしたい気持ちに応えるほど泣き要素がある訳ではない。プロモーションで「泣ける物語ですよアピール」が強かったのに、催涙ガスが撒かれてるんじゃないかくらいの号泣を呼び起こされなかったので悶々してしまった。チンチンは置いといて、最終的にはそういう結論の映画である。
PS 『ちょっとそこまで会社やめてくる』とかタイトル間違えてた。
PS2 主要登場人物の名前に「山」が付いてる。
「山」は「仕事」を表わす使い方もありますね。
主役、工藤阿須賀は「青山」。青い仕事をする男。
部長、吉田鋼太郎は「山上」。仕事の上にいる男。
謎の男・福士蒼汰は「山本」。仕事の「本」を思いださせる男。
そして黒木華は「五十嵐」。「嵐」のカンムリが「山」カンムリ。
仕事が「50の風」?50パーで仕事の助けになったり、
仕事の邪魔になったりという意味かな?
そして、主人公の故郷が「仕事がない」山梨。
これは意図してやってるわ。
◆『ポエトリーエンジェル』テアトル新宿

▲画像は後で入れるよ。入れたよん。
五つ星評価で【★★★★推したくなる】
岡山天音の不敵な面構えではあるけど、何も成し遂げてない若者と言った顔立ちが好き。彼が独唱する「自由詩」の未完成ぶりと実生活に肉付けされて成長していくまさかが面白い。
そして、武田玲奈の存在感。それは周りが用意してくれた席かもしれないが、彼女はちゃんと役者としてそこにいた。
東京03のカクちゃんが出てる映画は予算は小粒だけど、しっかりしてる感がある(他に何出てたか思いだせないにもかかわらずってオイオイ)。
【銭】
『TAP』:トーホーシネマズのメンバーサービス週間で1100円。
『パトリオット・デイ』:109シネマズデーで1100円。
『女流闘牌伝aki』:テアトル会員割引+曜日割引で1000円。
『ちょっと今から仕事やめてくる』:映画ファン感謝デーで1100円。
『ポエトリーエンジェル』:映画ファン感謝デーで1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・TAP -THE LAST SHOW-@ぴあ映画生活
・パトリオット・デイ@ぴあ映画生活
・ちょっと今から仕事やめてくる@ぴあ映画生活
・女流闘牌伝 aki-アキ-@ぴあ映画生活
・ポエトリーエンジェル@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
・TAP -THE LAST SHOW-@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
・パトリオット・デイ@ここなつ映画レビュー
・パトリオット・デイ@ノルウェー暮らし・イン・原宿
・パトリオット・デイ@映画的・絵画的・音楽的
・パトリオット・デイ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
・ちょっと今から仕事やめてくる@映画的・絵画的・音楽的
・ちょっと今から仕事やめてくる@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
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