2018年1月8日に見た3本、9日に見た1本10日に見た1本まとめてレビュー。
◆『山猫令嬢』角川シネマ新宿1企画「大映女優祭」の1プログラム。1948年モノクロ。
五つ星評価で【★★★脚本上の機転にビックリ】
娘は母を慕いたいと思いつ、そのガラッパチさに幻滅し、
母は娘を誰よりも大事に思っているのに方法が悪くそれが娘に伝わらない。
なかなかもどかしいドラマ。
中盤くらいにかなり意外な展開が入る。それが凄く良い。
「山猫令嬢」というタイトルはちょっと違う。これでは「令嬢」が「山猫」の属性を纏ってるように連想できてしまうが、実際は「山猫夫人とその令嬢」と言った趣きである。
母に三益愛子、娘に三条美紀。娘の恋人役に小林桂樹。
大学生役の小林桂樹という思いもよらない若い小林桂樹を見かけてしまったが、この人は若くても格好良くない人だった。ヒョロっとしてとぼけた顔をしている。大人になって渋みが出てからの方が全然いい。若者としての輝きがない若者役だった。
◆『52HZのラヴソング』ユーロスペース1
▲花屋
五つ星評価で【★★★中弛みはあるけどまずまず楽しめる】
歌いっ放しミュージカル(踊りっぱなしではないが、その方が自然で良い)。
タイトルの由来は分かりづらいが劇中で歌詞で解説される。
でも、タイトルの「HZ」が「ヘルツ」ってサラじゃ読めないだろ。読める邦題にすべきじゃないかな。原題まんまだけど、この題にそこまでこだわらなくてもいいし。
花屋とパン屋の店員とその利用客、この二組の男女の1日をずっと歌で進行して繋ぐ。
撮影の仕方としてこりゃカッコイイと気になったのは歌っているシンガーの移動が多い事。台車をスケボーのように扱いながら、バイクに乗りながら、電車の中で、など。歌っている彼氏彼女に動きがあるのは映画的でいい。もっとも良かったのはバイクに乗った女の子がメインボーカルで自分の悲劇を歌うと、後ろから煽るように大量のバイクのコーラスパートがくっ付いてきて、彼女をコテンパンにするような悪口コーラスを入れていくところ。あれはいい効果だった。
細かいエピソードがありつつ、最後は二組のカップルに話が収束するのだが、音楽家の彼女が一番美人で、花屋の娘はファニー・フェイスで悪人じゃないけど、迂闊っぽくて、あまり長続きしそうにない。サブエピソードだけど、一番の美男美女は美男美女じゃないのだけどレズビアン・カップル。あと、そーゆーのユルいのか二人の所に来る養子の女の子も可愛い。
そう言えばツイッターで「52人のヘルツォークがラヴソングを歌って踊る【嘘】」と呟いたら、公式アカウントに「いいね」を貰った。いいのか、それで?
◆『ジョジョの奇妙な冒険』トーホーシネマズ日本橋+目黒シネマ
▲どーん
五つ星評価で【★★★★いや、傑作やないけ】
あの変な原作を実写に落とし込んだ最適解。
マンガから抜け出したとしか思えないようなキャスティングだが、
爽やかフェイスの新田真剣佑を虹村億奏にセットして成功する目利きが凄い。
あのどっちかと言うと演技が御不自由な山崎賢人でさえ今回はそこにピッタリ嵌るような演技を組んできている。
神木隆之介はいつも通り庶民目線を翻訳してくれるし(しかも、すげー適役)、
小松菜奈はもうどこかおかしいくらい魅力的だし、
岡田将生なんてこんなに虹村形兆が似あうとは誰も知らなかった。
伊勢谷友介もあの変な帽子着こなしててグンレート。
街角は全てスペインのシッチェス・ロケらしい(屋内撮影は日本国内でのセットあり)。このシッチェスが素晴らしい。バリバリに垢抜けて美しい学園都市なのに、外観へのイタズラ書きのようなノイズが見事すぎて日本に見える。なんじゃその裏技。役者のメイク、服装、小道具、背景、CGによるスタンドに至るまで目に映るもの全てがちゃんとJOJOの世界に規格統一されている。それでいて物語の感情線が不自然でなく、ありえない話を説得させられてしまう。巧みの技である。
いや、凄い。これ以上の映像化は多分、不可能だろう。
これがヒットしないんだから不思議だ。おもしれーじゃん。
って、事で「第一章」とタイトルに名付けたが、多分「第二章」は作られないだろう。勿体ない話だ。誰かアラブの油田王篭絡してこい。
◆『恋山彦』神保町シアター特集「新春時代劇傑作選」から1プログラム。1959年カラー。
五つ星評価で【★★★ちょっと釈然としない】
マキノによるセルフ・リメイク大川橋蔵版。
「山彦」は三味線の名器の名称。だから「恋のストラディ・バウリ」みたいな題と言えば題である。
江戸時代、東北に平家の落人部落があり、その部落に逃げてきた女子と名器「山彦」を巡って、幕府と争いになる。
部落と幕府の争いは、最終的には闇打ちにより部落が全滅となるが、辛くも逃げのびた部落の跡継ぎと逃亡女子の手により、幕府方の重鎮・柳沢吉保に一刀を入れた所で終わり。
自分の故郷全滅にさせた報いがラスボスへの意趣返しだけというのは、物語解決のバランスとしてちょっと釈然としない。
◆『キングスマン:ゴールデン・サークル』トーホーシネマズ日本橋4
▲あえてキングスマンの写真を使わない。
五つ星評価で【★★★もう本当生命に対する尊厳感覚がないなあ】
相変わらず自分達が作ったキャラをバンバン消費するのが駒感覚すぎる。
前回の登場人物が地獄から戻ってきた一人を除きほぼ一掃される。
死んじゃったなら、映画の中ではもう日は照らされない。残念だなあ、あの辺。いやー、うーん、生き返りそうな気がしてきた。
ステイツマン側のシャンパン、ウィスキー、テキーラ、ジンジャーはそれぞれキャラが立ってて良い。ちなみに裸エプロンとかやってもらいたいのはジンジャー(ハル・ベリー)だけである。ジンジャー制服姿がキュート。
シャンパン、ウィスキー、テキーラってコナンの黒の組織かよ!
今回、楽しかったのは悪の組織の超理屈。
まあ、なるほど、その考え方なくもないかも。
初悪役のジュリアン・ム-アがとても良い。
あと、全体なげーよ。【銭】『山猫令嬢』:企画全体前売券額面1000円を920円でチケット屋でGET。
『52Hzのラブソング』:ユーロスペース会員割引1200円
『ジョジョの奇妙な冒険(1回目)』:トーホーシネマズ日本橋6ポイント鑑賞で無料。
『ジョジョの奇妙な冒険(2回目)』:目黒シネマ夜間割引900円。
『恋山彦』:神保町一般1200円。
『キングスマン ゴールデン・サークル』トーホーシネマズ、フリーパス15本目。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
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山猫令孃@ぴあ映画生活・
52Hzのラヴソング@ぴあ映画生活・
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章@ぴあ映画生活・
恋山彦@ぴあ映画生活・
キングスマン:ゴールデン・サークル@ぴあ映画生活▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
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キングスマン:ゴールデン・サークル@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評・
キングスマン:ゴールデン・サークル@或る日の出来事・
キングスマン:ゴールデン・サークル@ここなつ映画レビュー・
キングスマン:ゴールデン・サークル@映画のブログ・
キングスマン:ゴールデン・サークル@徒然なるままに・
キングスマン:ゴールデン・サークル@ノルウェー暮らし・イン・原宿・
キングスマン:ゴールデン・サークル@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
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【概略】
謎の麻薬組織【ゴールデン・サークル】の攻撃により、【キングスマン】本部が壊滅!一流スパイへと成長したエグジーは、アメリカの同盟スパイ機関【ステイツマン】と共に新たな戦いに挑む!
アクション
.0★★★☆☆
前作で死んだと思っていたハリー(コリン・ファース)が生きていたというのは嬉しい驚きとして、労働階級のエグジーがすっかり紳士面なのは気にくわない、しかも活躍してるという…。しかも...
- 2019/05/28(火)16:55:51 |
- いやいやえん
ここのところ継続実施中のDVDによる落穂ひろい鑑賞。
今回は2本のアジア映画です。
1本目は台湾映画『52Hzのラヴソング』(「52ヘルツのラヴソング」と読みます)。
昨年12月にロードショウされました。
さて、映画。
- 2018/11/21(水)20:40:21 |
- キネマのマ ~ りゃんひさ 映画レビューなどなど
約30年の歴史を誇る人気漫画が、鬼才三池崇史の手によりとうとう実写映画化。吉と出
- 2018/04/09(月)22:06:36 |
- SGA屋物語紹介所
【概略】
“スタンド”と呼ばれる特殊な能力を持つ高校2年生、東方仗助。彼が暮らす杜王町は、緑豊かで平和な町。ところが最近、謎の変死事件が続発していた。それは凶悪なスタンド使いアンジェロの仕業で、ある事件をきっかけに仗助に対して激しい憎しみを抱くようになる。そんな中、仗助の前に承太郎と名乗る男が現われ、仗助は実の父親を巡る秘密と、奇妙な事件の背後に蠢く凶悪なスタンド使いたちの存在を知...
- 2018/04/04(水)07:46:50 |
- いやいやえん
本年度のアメコミ映画第1弾は、ぶっとんだスパイアクションで熱心なファンを産んだあ
- 2018/03/04(日)22:51:22 |
- SGA屋物語紹介所
キングスマンは、世界的麻薬組織ゴールデン・サークルの攻撃によって壊滅した。 残されたエージェントのエグジーとメカ担当のマーリンは、バーボン・ウイスキーの蒸留所を経営するコテコテにアメリカンな同盟スパイ組織ステイツマンと手を組むことに。 一方、ゴールデン・サークルのボス、ポピーは、驚愕の陰謀を始動させていた…。 スパイアクション第2弾。
- 2018/02/11(日)13:26:10 |
- 象のロケット
変死事件が続発している、自然に囲まれた杜王町。 リーゼント頭の高校2年生・東方杖助の武器は<スタンド>という特殊能力で、絡んでくる連中を叩きのめしていた。 ある日、杖助の実父ジョセフ・ジョースターの孫だという男・承太郎が現れる。 彼にも<スタンド>の能力があるが、他にも<スタンド>の使い手がこの町にいると言う…。 人気コミック実写劇場版。
- 2018/02/11(日)13:25:05 |
- 象のロケット
バレンタインデーの台湾・台北。 花屋の女性店主シャオシンは朝から大忙しだが、今夜一緒に過ごす彼氏はいない。 チョコレートの配達に追われるパン職人の青年シャオヤンは、報われない片思い中。 公務員の女性レイレイは、売れないミュージシャンの恋人ダーハーを10年間支え続けウンザリしている…。 ミュージカル。
- 2018/02/11(日)13:23:49 |
- 象のロケット
『キングスマン ゴールデン・サークル』 を試写会で鑑賞しました。
本作もキレッキレのアクションにテンポの良い展開で面白い!
【ストーリー】
謎の組織「ゴールデン・サークル」によって、ロンドンにある高級スーツ店を隠れみのにしたスパイ組織「キングスマン」の根城がつぶされてしまう。残ったのは、以前スカウトされて腕を磨いたエグジー(タロン・エガートン)と、教官でありメカ担当のマーリン(マーク・...
- 2018/01/24(水)12:29:36 |
- 気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-
映画 『キングスマン:ゴールデン・サークル(2D/日本語字幕版)』(公式)を本日(1/5)公開初日に、劇場鑑賞。採点は、★★★★☆(最高5つ星で、4つ)。100点満点なら70点にします。
※なお、前作の映画『キングスマン』は鑑賞済み(感想記事)。
ディレクター目線のざっくりストーリー
ロンドンの高級スーツ店 “キングスマン” の実...
- 2018/01/24(水)10:15:35 |
- ディレクターの目線blog@FC2
本作では、第1作で活躍したハリー(コリン・ファレル)も登場しますが、専ら、その後継者のエグジー(タロン・エガートン)が、アメリカの諜報組織の手助けを受けながらも、世界最大の麻薬組織ゴールデン・サークルを壊滅すべく、様々の武器を使って戦います。荒唐無稽と言ったらそれまでですが、イギリスの諜報組織「キングスマン」に所属するエグジーとハリーが見せるアクション・シーンは、なかなかも見もので...
- 2018/01/23(火)05:43:11 |
- 冥府の映画的・絵画的・音楽的
映画「キングスマン:ゴールデン・サークル」を鑑賞しました。
- 2018/01/21(日)19:30:14 |
- FREE TIME
キングスマン:ゴールデン・サークル@よみうりホール
- 2018/01/18(木)14:56:20 |
- あーうぃ だにぇっと
荒唐無稽な大人気スパイ映画続演。
『キングスマン:ゴールデン・サークル』
~あらすじ~
謎の組織「ゴールデン・サークル」によって、ロンドンにある高級スーツ店を隠れみのにしたスパイ組織「キングスマン」の根城がつぶされてしまう。残ったのは、以前スカウトされて腕を磨いたエグジー(タロン・エガートン)と、教官でありメカ担当のマーリン(マーク・ストロング)だけだった。二人は敵を追...
- 2018/01/15(月)21:46:16 |
- シネマ・ジャンプストリート 映画のブログ
**** ネタバレ注意! ****謎の犯罪組織”ゴールデン・サークル”の攻撃により、”キングスマン”はエグジーとマーリンを残して全滅。残された非常手段を使い、二人はアメリカの同盟組織”ステイツマン”と合流。二つのチームは共同で”ゴールデン・サークル”を追うことになるが、そこには死んだ筈のハリーの姿が…?!「キングスマン」の続編で、今度の相手は世界最大の麻薬組織。前作の悪役はサミュエル・ジャク...
- 2018/01/15(月)20:36:45 |
- 【徒然なるままに・・・】
今年一番最初に観る作品はこれにしようとだいぶ前から決めていた。前作の「キングスマン」が大変面白かったことと、何と言っても愛しのチャニング・テイタムが出演しているから。年初めを大好きな俳優を観て迎えるのは、眼福以外の何物でもない。だけど…。まあ、面白かった。だが、期待した程では無かった。っていうか、期待外れだったことは否めない。チャニング・テイタムも私基準ではあんまり活躍していなかったし(でも...
- 2018/01/15(月)12:44:56 |
- ここなつ映画レビュー
【ネタバレ注意】
『キック・アス』、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』、『キングスマン』と傑作を連発してきたマシュー・ヴォーン監督だが、続編のメガホンをみずから取るのははじめてのことだ。
しかし、さすがはヴォーン監督。傑作の続編『キングスマン:ゴールデン・サークル』は、またも傑作だった。
■「ゴールデン・サークル」とは?
気になったのは副題の「ゴール...
- 2018/01/15(月)00:59:51 |
- 映画のブログ