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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『いぬやしき』109シネマズ木場5


▲じじい。

五つ星評価で【★★★★エモーショナルに浪花節なのが好きなのだけど、実際、とても重い命題が隠されている気がするってのはよくある思い込みか?】
私は「とんねるず」という漫才グループが嫌いだった。
半ば威嚇的な男とホモっぽい明るい男、ネタがどうという以前に
キャラが嫌いだった。

なので、木梨憲武主演という事を聞いて居心地の悪さを感じた
のをハッキリ覚えている。なのに、もう全然やられてしまった。
たまらなく面白かった。

ダメ出しをする人が言う減点部分もあるかもしれないし、
ハリウッドと比べると特撮も古かったりするのかもしれない。
でも、その辺は枝葉末節で全然気にならなかった。
それは多分、私が主人公「いぬやしき」同様、
確実に老いているからだろう。

物語の主人公「いぬやしき」は老いさらばえ、
家族から尊敬の念をひとかけらも与えられない、
余命数カ月の癌患者である。
こんなズタボロの設定の主人公は珍しい。

もう、冒頭から元気ではないし、ヨイヨイっぽいし、
そもそも喋る事すら不得手そうだ。
会社に行けば4回も同じ発注ミスをしたと
若い部下に詰られる。

これはあれなんじゃないか。
若い頃から常に不調があり、慢性的にどこか悪いのだけど
それを外に向けて発信しないうちに、
不調が当たり前になり、それを「老化」と誤魔化しているのではないか?

生きてるだけでも辛い状態なのに案外、本人が気づいていない。

彼「いぬやしき」が天変地異的な大事故に会うも、
その後、全くそれを気付きはしない。
彼の身体は新しく機械に置き換えられたが、それが自覚できない。
「元気になったぞ、やほー」みたいな感覚はなく、
おそらく事故前の不調がそのまま続いている。
つまり、それは生きてるだけでも辛い状態が継続しているという事だ。

もう一方の超人「ししがみ」が機械の身体でいながら
皮膚感覚(接触により体温を感じ取れる)が従来通りらしい事から、
五感に関しては味覚以外はそのままと推測される。
おそらく、それは極端な変更により、従来の自我を崩壊させない為に、
脳の感覚バランスを改造前後で、できるだけ同じように保つよう
調整されているのだろう。
ただ、他人の強いメンタルを感じ取れるなど
付加的に付いた補助機能もあるが、それは空を飛ぶ機能などと同様に、
もしかしたら人が強く思えば持てる超能力だったりするのかもしれない。

結論として「いぬやしき」は超人的なハードを持ちながら、
常に癌患者、もしくは老いた爺の不調をも与え続けられてる、
そう思うのだ。それは改造前後で彼が全く変わらないから。

もう一方の「ししがみ」は男子高校生。
彼も事故の前後では変わらない。
ただ、彼は生物として一番盛りの時期である。
動物のオスとして、もっとも多くの捕食を行い、
もっとも多くの生殖を可能とする成長が適えられる時期である。
なので彼は、彼に新しく与えられた機能を最速で自分の物に変えていく。
それはそういう応用が得手な時期だという事だ。

癌患者と言うリミッターが付いた超人と
制限内の最高値を弾きだせる超人との戦い。
ハードは同じであっても本来は勝負にならない。
勝負にならないのに、勝負になる所まで追いすがろうとする
「いぬやしき」を見ながら、人の思いを具現化してそこに見てしまう。
そんなのは浪花節で、もう浪花節がたまらない。
私はそういうベタな展開が好きなのだ。

どこかで、これと似てるケースを見てる気がする。
それは『生きる』の志村喬だ。

『生きる』の志村喬には目的と終点があったが、
「いぬやしき」には、延々と続く癌患者としての苦しみが残される。
これは未来永劫続く「煉獄」の苦しみと言っていいだろう。
その中で、おそらく鈍重な彼だけが、苦しみを忘れた振りをして、
他人に対して救いを与える事に希望を見出す。

なんか表面は派手派手なのだけど、とても美しい映画ではないだろうか。

徹頭徹尾、輝かないという木梨憲武の演技はよかった。
佐藤健のあれよあれよと転落してしまう孤独も素晴らしかった。
その佐藤健の拠り所になる二階堂ふみの原作まんまの
うざいけど愛らしい感じがちょっと夢に出そうなくらい上手い。
娘の三吉彩花はたまらん。パンツくらい見せてほしかった。
いや、見えてたかもしれない。じっくり見せてほしかった。ちくしょー、かーえーよなー。
パンツは見せなくてもいいけど本郷奏多くんもこじらせ感上手かった。
濱田マリ、斉藤由貴、伊勢谷友介あたりは安定してて、もう常に大丈夫しかない気がする。パンツはどうでもいいけど、斉藤由貴のパンツは被りたいかもしれん。伊勢谷友介のはパンツは被らん。ホモじゃないから。

▲二階堂ふみ

ベストシーンは二階堂ふみの家でのあの集団がいるところ。
あれはかっこよかった。
でも、三吉彩花がパンツじっくり見せてくれるならベストシーンを変える用意がある、って最後まで下ネタかよ、俺。


【銭】
109シネマズのメンバーポイント6ポイントで無料鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
いぬやしき@ぴあ映画生活
▼他のブログさんをTBするより、ちょっと早く記事をあげたい感じなので今回は初TB割愛。
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コメント

二階堂は強気なイメージがありましたが、はかなげなキャラを好演しておりましたね。こういうのもできるんだな、と
木梨ノリタケと佐藤健というと自分は仮面のりだーVS仮面ライダー電王だな、と思ってしまったり

  • 2018/06/11(月) 21:56:21 |
  • URL |
  • SGA屋伍一 #TyXokUWg
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

こんちは、伍一どん。

> 二階堂は強気なイメージがありましたが、はかなげなキャラを好演しておりましたね。こういうのもできるんだな、と

勢いで演じちゃう若手が多い中、役作りが真摯だよなあ、と思う。



> 木梨ノリタケと佐藤健というと自分は仮面のりだーVS仮面ライダー電王だな、と思ってしまったり

実生活では妻は安田成美なのにドラマでは濱田マリ、
実生活ではあっちゃんに振り回されたりなのにドラマでは「ぽっち」
みたいにも見れる。

  • 2018/06/12(火) 00:58:02 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
  • [ 編集 ]

こんにちは!

俳優ではないコメディアンの木梨憲武が主役てどうなの?と一抹の不安を完全に払しょくしてくれた彼の好演は見事でした。
確かにハリウッドとかと比べると特撮は見劣りしちゃいますが、頑張って作っている感は十分出ていたのでスピード感とかは楽しめました。
欲を言えばおどおどしている二階堂ふみをもう少し長く観たかったかも。

  • 2018/11/03(土) 14:26:16 |
  • URL |
  • ヒロ之 #-
  • [ 編集 ]

Re: こんにちは!

こんちは、ヒロ之さん。

> 欲を言えばおどおどしている二階堂ふみをもう少し長く観たかったかも。

でも、二階堂ふみの役は原作でもあんな感じだった筈なので、膨らますのは難しそう。多分、彼女の出番を増やすと本郷くんか三吉さんの出番辺りが削られそうだし。

  • 2018/11/04(日) 05:55:23 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
  • [ 編集 ]

こんにちは

意外と木梨憲武が浮くこともなく、
映画の登場人物としてきちんとはまってた気がします。
二階堂ふみちゃんは、こういうおとなしいはかなげな役どころもきちんと自分のものにしているあたり、素晴らしい役者だなと感じました。
ありがちの展開とはいえ、そこそこ面白く感じましたが、
邦画のSFアクションレベルももあがってきたのかな?
恋愛もの、どらまものが多いのは変わらずですが…

  • 2018/11/07(水) 10:16:57 |
  • URL |
  • maki #jQTfdwCM
  • [ 編集 ]

Re: こんにちは

こんちは、makiさん。

> 二階堂ふみちゃんは、こういうおとなしいはかなげな役どころもきちんと自分のものにしているあたり、素晴らしい役者だなと感じました。

上手いよねえ。



> ありがちの展開とはいえ、そこそこ面白く感じましたが、
> 邦画のSFアクションレベルももあがってきたのかな?

邦画のSFアクション、佐藤信介監督が一人で頑張ってる気がしないでもないです。

  • 2018/11/07(水) 12:38:09 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
  • [ 編集 ]

犬屋敷さん

木梨は、マイケル・ジャクソンを真似たときが一番好きでしたねー。
よく主役で起用したもんだと感心します。

  • 2019/03/22(金) 23:19:33 |
  • URL |
  • ボー #0M.lfYJ.
  • [ 編集 ]

Re: 犬屋敷さん

こんちは、ボーさん。

> よく主役で起用したもんだと感心します。

でも、ちょうどいいくらいのオーラのなさでした。

  • 2019/03/24(日) 01:08:12 |
  • URL |
  • fjk78dead #-
  • [ 編集 ]

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詳細レビューはφ(.. ) https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201804210000/ いぬやしき ORIGINAL SOUNDTRACK [ (オリジナル・サウンドトラック) ]

  • 2018/04/23(月)05:47:26 |
  • 日々“是”精進! ver.F