◆『北の桜守』トーホーシネマズ川崎4

▲吉永小百合に対して「あれ、いい女だからやっちゃいましょうぜ」と輪姦を呼びかけるSEX大好き野郎(右)。
五つ星評価で【★★でもメタにだったら面白い】
吉永小百合の120本目の出演作。吉永小百合は1945年樺太から日本へ逃げ帰る二人の子持ちの妻役、かつ、1971年網走で軽いボケを発症しながら一人暮らしする老母役を演じる。吉永小百合は1945年生まれの73歳である。1945年、長男が大きく見積もって中学生13歳だとすると昔は出産年齢が若かっただろうから20歳で長男を出産と言いたいところだが、ちょっと大きめに換算して25の時に初産したとするなら樺太で38歳。そこから26年後の網走は64歳と言う設定になる。医療的に若年性と言うより自然な老齢のボケみたいに言われていたので、この年でもちょっと早目ではあるが、ギリ違和感ないくらいか。ただ引き上げの前後で「いい女だからやっちゃいたくなる、やっちゃおうぜ」などの言葉を貰っているので、実際は若い時は30歳くらい、結果年取ってからは56歳というくらいの感じではないだろうか。56歳でボケは今の時世だと早いが昔はもうちょっと爺ちゃん婆ちゃん早く死んだからそのくらいでもいいのかな、という気もする。若い時30歳くらいの設定じゃないと阿部寛とのバランスも悪いし(阿部寛もいくつだかよう分からんような役だが)。ちなみに阿部寛は1964年生まれの54歳。吉永小百合の19歳年下である。
若い時の吉永小百合の役が30~38。横に同じ年頃の女性を配置してたら違和感あるかもしれないが、彼女だけだからまあ見えなくはない。個人的には実年齢と「吉永小百合」という呪われたブランドを知ってるから、「やりたい」対象に私はならないが。あれは思いきったセリフだが、吉永小百合に対するサービスであり、世界観的には違和感の残るセリフだった(子供同様、吉永小百合もダブルキャストでもいいんだろうけど、それは吉永小百合自身はともかく周囲が許さない雰囲気が作られているのだと思う/まあ堺雅人は小学生の役は無理だからダブルでしょうがないんだろうけど)。
後半、現代編(と言いながら2018年から見る1971年は47年も前にあたる)では56~64。迫りくる老いに静かに恐怖すると言うのは、実年齢73歳でまだしっかりしてるのだけど、どちらかと言うと今の彼女の心境ではないだろうか? この辺は観客が彼女の年を知っているからこそ、56~64ではなく、73歳としてのリアルを感じているように思える。まあ、でも、よくも遂に、あの吉永小百合が老齢でボケる役を演じるのだと思えば感慨深い物がある。ただ、誰が旗を振っているのかは分からないが実年齢73歳、劇の上での年齢56~64歳の彼女はそれなりに上品に美しく仕上げられており、この役本来のもっと時代に置いていかれる年寄りの感じと言うのは表現として薄かったのではないだろうか。「あの吉永小百合が老齢の役を」と言うショックで観客が惑わされてるように思える。
みたいな年との相関という意地悪な(ただそういう検証もあって然るべきだろう)突き付けをするなら、若い時はそこまで若くは見えない。それは当たり前だ。本当に若く見せたいのならダブルキャスティングするなり、モーション・キャプチャー充てるなりすべきであろう。でも、客はそれを求めていないだろうから、これはしょうがない状態で今のままで良い。但し、若く、可愛くはないから、晒し者にされているようで私はあまりこういう配役を好まない。
年を取ってのボケの演技などは鬼気迫る物を感じる。ここで「老い」を演じないと、次の作品で「老い」を演じる機会が与えられるか分からない。そういう切実さが出るのかもしれない。ただ、ボケてない時の吉永小百合は若い頃を演じている吉永小百合より26年加齢したようにはあまり見えない。観客がそれを求めていないからそれでいいのだろうけど、やはり作品としてはそこに弱さが出てしまう。この物語は彼女を中心として二つの時代を描くのだが、役柄上、若い彼女と老いた彼女にメリハリが必要なら、そこはメリハリが見えるような形で観客に見せるべきだろう。
吉永小百合の息子を演じるのが堺雅人。樺太引き上げが10歳前後だろうから、36くらいの役。妻の篠原涼子も同じくらいと思っていいだろう。面倒なのは堺雅人童顔なのでこの役は年齢不詳に見える。この堺雅人と篠原涼子の年齢が樺太引き上げ時の吉永小百合とだいたい同じくらいと言うメタ構造は面白いのだけど、そんなのは年の事だけ取り出して見てるから分かるだけで、映画見ててそんな事を思ったりはしない。まあ、二人とも現代っ子で若い頃を演じた吉永小百合よりも子供だ。お金をいっぱい持ってるにすぎない。これは感覚的には正しい世代感覚だと思う。ミネソタ24も面白いし。でも、ミネソタ24の話を膨らませると吉永小百合の話ってどんどん縮みかねないから、かなり面白げなエピソード削ってると思う。難しい所だ。でもまあ、コンビニ黎明期は話題にしたかったんだろうなあ。
そのミネソタ24の出資者で篠原涼子の父役が中村雅俊、彼と佐藤浩市、岸部一徳あたりは吉永小百合と映画の中で同世代である。彼等、野郎が一人もボケずに吉永小百合だけ先にボケるってのも何か変じゃないかい? この辺、脚本の那須真知子の計算の行き届いてなさを感じる。うんでも、それでもこれオリジナル脚本だし(原作表記なし)、こんなイビツな配役体制をベースに脚本書いてるのだろうから、御苦労様と言うべきなのかもしれない。仕事って大変だよなあ。
あとビックリしたのが映画内でいきなり舞台劇が導入される事。
チラシ見て映画鑑賞後に初めて知ったのだけど「てつ(=吉永小百合)の心象風景を演劇的に表現する」という物なのだそうだ。そんなのいきなり見せられて、これは「吉永小百合の心象風景を演劇的に表現したものだなあ」などと分かるものかあ! そらそうならそうと何か前振りくらい入れろよ。映画としてとても「変」だ。
PS 吉永小百合が北野桜、堺雅人が北野守、二人合わせて
「北野桜守」なのだ、きっと(←違うらしい)。
PS2 老齢の吉永小百合が桜に執着する態度が
若い時の吉永小百合の行動に希薄。
よくよく考えればそういう兆候も見られた、程度。
逆にこれが主題であるなら、これに関わる記憶を
後半部分で思いだせるように何回も補完してもよかったろう。
PS3 滝田洋二郎監督も御苦労様。
PS4 配役表に蛍雪次朗があって、どんな役か全く覚えていない。
だったら滝田洋二郎監督は大杉漣も使いたかったんじゃないかな。
PS5 ああ、こんないっぱい書けたり書くとは思ってもなかった。
◆『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』トーホーシネマズ川崎3

▲サッパリ美人とトンガリ禿と動けるマツコ姉さん、ケーキ自爆ニグロは写真の外。
五つ星評価で【★★★★ごくごく普通に面白い】
ドウェイン・ジョンソンの中身はゲームおたく。ロック様なかなかの演技。フェロモンむちむち美女なのにガリ勉処女のカレン・ギランも演技上手。とは言え、中身をインスタ映え女子高生にしたジャック・ブラツクの演技力には敵うまい。タフなセクシー美女戦士のカレン・ギランは勿論仕上がってて可愛いのだけど、ゴツゴツした容貌のマーサもちょうどいいくらいに可愛いと思う。
童貞と処女のファーストキスが美しくないのがツボ
ゲームの進化から言ったら
板 → ビデオ → オンライン課金ゲーム とかか?
じゃあ、次の悪役は金持ちプレイヤーのビル・ゲイツとかでどや。
あの、ドンドコドコドコが気分上がっていーなー。
【銭】
『北の桜守』:チケット屋で額面1100円の前売券を350円でGET。ちなみにチケ屋で見た最安値は250円。
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』:トーホーシネマズの会員ポイント6ポイントを使って無料入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・北の桜守@ぴあ映画生活
・ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
・北の桜守@お楽しみはココからだ
・北の桜守@新・辛口映画館
・ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル@ノラネコの呑んで観るシネマ
・ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル@ノルウェー暮らし・イン・原宿
・ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
・ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル@いやいやえん