◆『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』新宿ピカデリー2

▲ミル → ゴールド・ジム → ズオーター
五つ星評価で【★★★思い入れ的にはガミラス編は星四つ、白色彗星編は星二つ】
2199と2202を足した総集編映画。話が長いのでピックアップをどんどんせなどうにもならんので、割愛するのは構わんが、2199と2202で性質や傾向、大雑把に毛色の違う話なので2199で一本、2202で一本、別々に作って欲しかったというのが正直なところ。あ、2199で一本は既にあるのか。もう、覚えていない。
ドキュメンタリーのように語ると言う方式に向いているのは2199側。ヤマトには航路があり、始まりや経路、旅の終わりなどが明確なので、ピックアップその物が意図的な(フィクション的な)構造を感じづらい。逆に2202は短期決戦的な話だが、ヤマトの航路が行き当たりばったりな上、登場人物の思惑が戦争の結果や旅自体に影響を与えすぎている。要するに役者がいっぱいひしめき合って各自の主張がとても激しく、それが物語を変えていく構造である。こういうのは「歴史」と言うよりは「講談」だ。「物語」だ。2202で最後に倒されるズオーターは魔法で姿を変えられたドラゴンであり、彼は彼なりに主張があり、その主張を大声で叫んで死ぬ。これはもう「歴史」でも何でもなく、単なる舞台劇だ。なので、これを歴史のように描くのは向いていない。「歴史」は善悪はなく、ただ淡々と経過が進んでいくものだが、「物語」には「善悪」もあれば、「物語」を描くに至った「主題(テーマ)」もある。2202はそれが「宇宙で何やっとんじゃ」という「哲学論争」に近いものであった為、話が混乱してしまった。いわゆる「さらば宇宙戦艦ヤマト」でまことしやかに伝えられた概念「宇宙愛」である。
2199はヤマトが激戦に次ぐ激戦を乗り越えて、最後は敵を打ち負かしてしまい、それが故に後悔する。基本、オリジナルのヤマトと構成が変わっていない。
2202はオリジナルが「戦うべきではない、愛し合うべきだった」と言った後に、それでも「本気で殺しに来る相手がいたらどうするか」と言った話で、これはヤクザのように「このままでは舐められますけん、うちらの命が吹き飛んでも相手の玉だけは取ってきますわ」と言わす訳にもいかず、ファンタジー的な神風特攻で無理やり物語を閉じていた。それを2202では「本気で殺しに来る相手」との対話劇にしてしまった。議論内容は「愛」である。そういうのオタクは苦手なのよ。それにここで議論される「愛」は軟派な自由恋愛的な、言わば生活に密着した「愛」ではない。根源的に「愛」とは何なのか? おいおいおいおい、アニメでそんな事を語ろうと言うのか、しかも、それを求めている客もないのに。2202はやった。ズオーターはトラウマを持った新興宗教の教主みたいになってしまった。その教主と新婚直前の古代・森の二人の「愛」という概念に対する対決。そんなのは成立する方がおかしい。だって、そもそも文化が違う。違う文化に対して相手の文かを卑下してはいけないが、違う文化圏に属する者同士が分かりあえると言うのも又、幻想であろう。古代とミル(ズオーター新世代)は分かりあえそうになる。それが分かりあえそうになるのは、どちらも同じ日本人がデザインしたキャラクターだからじゃないだろうか。私にはそう思えてしまう。同じ地球人同士でもいろいろ分かりあえていないのに。
あー、2202は変な作品で、そういう意味では面白かったが、それは邪道な楽しみ方だろう。
次元断層による無限の戦争継続や、AIによる感情遮断戦争、移民船ヤマトの延長である宇宙戦艦銀河とか、ついつい惹かれてしまうSF要素もいろいろあった。でも、やはり、トータルとして主題の設定の仕方が最初に間違えていて、それを最後まで取り戻せなかった作品だと思う。
まだ、続くようなので、次はトータルデザインを間違えないようにと祈っている。
◆『BanG Dream! Episode of Roselia I:約束』新宿ピカデリー6

▲「私達がフェスに参加する為のアイデア、全員透明人間バンドよ(嘘)」
五つ星評価で【★★★みんな幼い】
いろいろクロスオーバー企画をやっているようだが、一見さんであり、これが最初のバンドリ作品。
ロゼリアという5人組ガールズバンドの結成から目標フェスへの参加直前まで、でいいのかな。
元になるテレビアニメでは複数のバンドが並列で描かれているようだが、映画ではロゼリア一本に縛られている。
5人の中で、表面上ヤケに冷静に見えるキャラが二人いるのは変わっていて目を引く。でも、そこが二人でいる必然性はあまり感じない。クール、クール、お節介、浮かれ熱血、内気、みたいな5人。
まあしかし、バンドの映画に言うのは筋違いかもしれないけど、バンドばかりやってる。男も家族(でてきてOKなのは姉妹まで)もいっさい出てこないで、ひたすらバンド活動ばかり。なので、人間ドラマとしては薄手に見える。ロゼリア高校生だと思うが、小学高学年くらいだったら違和感ないと思う。つまり、そういう未成長なメンタリティーに見える。
ケンカしてくっ付いてと言うのも、そりゃあ仲直りはするだろうけど、非常に論理的に不和相手と握手したように見えて、感情的なわだかまりが強く感じられないので、本当にそれで仲直りできてるんだろうかと勘繰ってしまう。
【銭】
「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択:番組価格1700円。
BanG Dream! Episode of Roselia I:約束:映画館休業が長く続いていて、おそらく4月に貰える誕生日クーポンがそのまま有効期限切れを迎えていずに残っていたので、それを使って1000円で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択@ぴあ映画生活
・BanG Dream! Episode of Roselia I:約束@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
・「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択@徒然なるままに
・BanG Dream! Episode of Roselia I:約束@或る日の出来事