◆『犬部!』トーホーシネマズ渋谷4

▲「元祖、犬でブー伝説」。
五つ星評価で【★★★気持ちいい凡作】
評価として「駄作」とまで言うのは申し訳ない。ちゃんと見ていて楽しめるし、出てくる登場人物のキャラクター造詣にも惹かれる。ただ2時間弱で見せる映画という形態で、起承転結の「結」の部分が曖昧だ。犬や猫の虐待と言えるような環境(起)、それを見過ごせない主人公達(承)、16年後に再開した彼等は、再び、問題に向かい合う(転)。物語はベクトル上向きで終わるが問題は決して解決しきっていないのではないか。
林遣都が我武者羅に助けていたようにただ一人が問題に集中する事によるオーバーワークが、物語のラストで4人に希釈されたに過ぎない。そして、林遣都以外の「犬部」活動の挫折は描かれるのだが、それがとってもライトに描かれるので、又、同じ挫折が再び繰り返されないとは断言できない。甚だ怪しい物語の閉じ方なのである。この物語は実話にインスパイアされて作成されていて、現実と異なってしまう事もあるかもしれないが、廃部のようになった「犬部」の復活と共に後身の育成・拡大みたいな方向に話を振った方が良かったように思える。
林遣都のウザいけど温かいキャラが昭和っぽい。やっぱり主人公はバカで熱くて規格外の昭和野郎が良い。林遣都うめえなあ。
相方の中川大志はクールと言うよりは燃えないタイプ。林遣都とぶつかるが、彼には彼なりのビジョンがあり、そのビジョンに押し潰されてしまうという設定がなかなか良かった。
3人目浅香航大、なんか、特徴がないのが特徴みたいな。動物は好きだが序列の高い者には刃向かえない。でも、それってとても普通の事だから、やっぱり特徴ではないなあ。普通、この3人目のポジションはデブなり、チビなり、バカなり、ヤンキーなり、ともかく最初の二人と外見だけでも明確に違うキャラを出すのが定番なんだと思うが、だったら、岩松了とかの方がいい(ドラマのリアリティーとしては無理があるが)。
紅一点、大原櫻子。「女子が一人いないと」と言う要求だけで作られたような存在。普通、男子三人に女子一人だと4P、もとい、恋愛的な方向に話が進むが、恋愛方面は全て、犬や猫が担っているので、どうしてもそういう話にはならない。健康的と言おうか、不健康と言おうか、「尻尾がないと興奮できないのかよ、お前ら」と言おうか。いっそのこと動物も入れて8P、もとい、峰不二子みたいなキャラなら事件が起こるか? それだと誰をキャスティングすればいいのか? 菜々緒? 壇蜜? 菜々緒は意外と上手く犬部に溶け込んでしまいそうだが、壇蜜は犬部を瓦解させそう。いや、まず岩松了をメロメロにして、蛍雪次朗の土地の権利書を取りあげて、裏で酒向芳と祝杯をあげる。いやいや、映画的にラスボスいらないんだって。
岩松了もいい役だった。ちゃんと星一徹ポジションなんだよね。まあ、星一徹みたいに飛雄馬を潰しにはいかないけど(それでよし)。岩松了が出ている事で獣医の厳しさが分かりやすく表現できたと思う。
酒向芳の父ちゃん、酒飲んだら暴れそうで怖い。あの人、どう見てもストレス貯めそうな人だし。
蛍雪次朗は女房の犬を手放しちゃうでいいのかね? あの後どう考えても誰よりも成功しそうになくて首吊ってしまいそうなのはこの人。犬がいれば立ち止まりそうだよ。
あっ田中麗奈出てきた嬉しさ(不意打ちじゃん)。
ツイッターで悪乗りした。
林遣都「生きてるものは全て救う。犬、猫、大島優子、何でもだ」
大原櫻子「私は犬部の猫担当になります。先輩は犬部の大島優子担当ですから」
◆『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』トーホーシネマズ渋谷1

▲「お前なんかソイレント・グリーンになっちゃえ」。
五つ星評価で【★★★★ちょっと息切れ】
俺、爺さんだからちょっと息切れして、本格ミステリーの謎説き部分がよく理解できなかった。いや、単におバカだからかもしれんが。
しんちゃんはいつも通りだが、輪をかけておバカになってしまう風間くんがなかなか可愛い。けど、風間くんにしてみれば、これは立派な黒歴史だろう。風間くんが頑張る本当の理由がなかなか泣ける。
春日部防衛隊の中では一番ポテンシャル高そうなのに、ビビリで台無しになってるマサオくんが活躍すると嬉しい。
ボーちゃん、ネネちゃんにもそれぞれのパートがある。詰め込みすぎだと思う。
担任の女教師が妙に不気味なテンションなのは何故。
とりあえずもう一回見たい感が強い。
◆『バケモン』ヒューマントラストシネマ有楽町1

▲「毛(ケ)」が抜けて「裸(ラ)」になると、「バラモン」になる。そうさね、坊さんかね。
五つ星評価で【★★副読本じゃない?】
笑福亭鶴瓶師匠を17年間追い続けたドキュメンタリー。
17年というと犬部再開より一年長いな。その間に犬とか猫とか大島優子とか助けてやれよ。
閑話休題。
鶴瓶師匠は立ち振る舞いを見ているだけで、つまらなくはないのだが、このドキュメンタリー自体は師匠の人と成りを描くようにしているので、ゲラゲラ笑えるような作りにはなっていない。落語の「らくだ」や、話芸についても近くまでは通りかかるが、じっくり見たり聞かせたりはしない。つまり、これはそれらの落語や話芸(いわゆる本芸)を死ぬほど見て付きあってる人に対しての、副読本じゃないだろうか。作ってる人は面白いだろう。本芸を17年間見てきた上という条件を満たしているのだから。
いや、それはお金を払って映画を見に来ている人に対しての態度としてはおかしくない? これは前回までの公演の集大成だから、今までのビッチリ見てない人には分からんのよ。ごめんねってそんなのある? 歌手のライブフィルム・ドキュメンタリーで曲が一曲も流れんような状態じゃない? 私自身は鶴瓶の人となりや人生観より、単に鶴瓶の笑いの凄さに打ちのめされたかった。そういう作りこそが「お笑い」をやる人へのリスペクトじゃない? 「超笑い満載だったじゃん」であるならゴメン。俺にはそれを汲み取るレーダーが抜けていた。
【銭】
映画ファン感謝デーで各1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・犬部!@ぴあ映画生活
・映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園@ぴあ映画生活
・バケモン@ぴあ映画生活