
▲ポスターだ。
※ 記事内容にネタバレを含みます。
五つ星評価で【★★★おいおい】
「ノー・タイム・トゥ・ダイ」というタイトルなのであるが、「W」の悲劇かよ、というネタをネタバレできないツイッターで呟き損ねた。「ノー No」でなく「ナウ Now」かよって言うね。でもまあそこを除けば、シリーズの中では最良ではないが最悪でもなかったと思う。そんなにアベレージが高くないシリーズなのである。何にせよ、これは驚いた。それは『スタ・ウォーズ 帝国の逆襲(EP5)』で、ダース・ベイダーにルーク・スカイウォーカーが斬り殺されてしまうようなものだろう。もしくは『スタ・ウォーズ シスの復讐(EP3)』で、この世界線ではダース・ベイダーは生まれませんでしたと言ってシレっと終わってしまったりとか。基本、やってはいけない事をやった。これをやっていいのなら、ボンドは劇的な死を迎えながら自己を犠牲にしてみんなを救うラストで毎回、終了してもいい。ラストの災害で必ず死ぬ名探偵コナンかよ。今回までのダニエル・クレイグ出演五作品を風変わりなスピンオフとして位置づけるとしても、やはり、作品としては禁じ手だろう。
たまにツイッターに流れてくる既定の中で、ボンドは黒人でも成立するか、女子でも成立するか、みたいな話があり、今回のノーミはそのちょっと意地悪な回答なのだが、それと同じくらい「死ねる」かどうかと言うのは、ジェームズ・ボンドの物語の根幹部分である。それは、「ジェームズ・ボンドが実は宇宙人(ジェイソンだって宇宙人なんだから追い付け追い越せでなくはない)」、「ジェームズ・ボンドが目から光線を出す」、「ジェームズ・ボンドがムエタイで戦う」とか、同様、当然忌避すべき項目なのである。だから、そのプロットに関しては物凄く評価しない。おめえらようけ酷い事をしくさりやがって、この落とし前どないつけてくれんねん、という感じ。本気でラス5分付加した夢落ち完全版もありかと思う。
で、まあ、それ以外はそこそこ。
世界の危機の作り方は独特だし、アクションの見せ場は楽しいし、荘厳なオーケストレーションによる007テーマを含む音楽はたいそう気持ち良かった。ノーミはビックリさせられ、パロマに魅せられ、サフィンの能面の気色悪さはなかなか好みではある。
ただ、ノーミ、パロマ、サフィン、マドレーヌ、などみんなキャラとしては強烈なのに中身がない。サフィンは何の為に何を企んでいるかと言う内面が希薄なので、大きな凶器を手にした精神異常者にしか見えず、能面の下の口の部分は「えっ、もしかしたら超カミソリ負け」みたいに見えて、何かよく分からない人だった。ノーミなんてボンドに対する当て馬キャラでしかない。でも、この辺のストーリーラインの弱さはショーン・コネリーの時代からあった話なので、まあ、話なんか繋がっていてくれればいいよ、くらいに思う事も出来る。007って困った事に割とそんなシリーズなのよ。
まあともかく、次はどうするの? と言うのは楽しみに待ちたいと思う。
【銭】
有料入場ポイント2ポイントと引き換えに割引後価格1000円で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ@徒然なるままに
・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ@ノラネコの呑んで観るシネマ
・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ@yukarinの映画鑑賞日記α
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・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2回目)@死屍累々映画日記・第二章