
▲「よくぞ集まった。冒険者の諸君」的な1枚。
五つ星評価で【★★★ジャンルに伴うジレンマがある】
子供達の冒険物語としてはとても面白い。よく出来たロール・プレイング・ゲームみたいである。決められた筋立てをゴールを目指して進む。実はこの展開で恐怖は発生しない。題材として「おばけ」を使っているのに毛ほども怖くない。そこが個人的に好きでない理由だ。ここでの「おばけ」は「怪異」だったり「異形」だったりはしない。「でてこい。俺の友達、妖怪××」や「ピカチュウ100万ボルトだ!」などの妖怪ウォッチの妖怪やポケモンと等しい。そこに恐れはない。それは制御できるからだ。そして「おばけ」のビジュアルが可愛い。そこに商売上の戦略を感じてしまう。また、「おばけ」が基本的に人間のことを嫌っていない。それは彼等が人間が扱いやすい駒であるからではないのか。駒であるなら、彼等に独自の自由はない。彼等はルールの奴隷になる。ルールの奴隷になった妖怪と言うのはもう「妖怪」ではなく、「プログラム」にすぎない。だから、ゲームとしてはこの映画は楽しい。でも、そこを越えないし、本当はそこを越えた物であってほしい。ついでに「命がけの試練」がどう考えても命を落としそうにないのも気になる。タイムアップで本当に命を落として、神木隆之介と図鑑坊がニヤっと笑ったらダークでクールだが、そんな事は製作委員会にさせてもらえまい。
私、単に恐怖映画ではトラウマになろうが何だろうが恐れおののかせてほしい。と言う事で、出てくる「怪異」や「異形」を恐ろしいように磨き上げ、とても本で制御など出来ないような存在に仕立て、一度のミッションで重傷者を出し、「怪異」や「異形」も、絶体規範の中で押し付けられたルール故に仕方なく味方をしてくれるような、そういう苦難に満ちた映画であっても良い。それでこそ「怪異」や「異形」も光り輝く存在になるのだと思う。それをジュブナイル的な冒険物語にはみな求めてないだろうから実現しない事も知りつつ。
ガッキー、徐々におばさんっぽくなっているのだけど、可愛い。子供達と比較対象になる存在としての表情の付け方が上手い。
小学生女子もポワンとしてよし。男子三人もそれぞれの色があってよい。あの世代の男女はもっとよそよそしいかとも思うが、それは爺だからそう思う事であって、今は違うのかもしれない。畜生、呪われてしまえ。呪われた美少女にキスをする役目は俺にやらせろ。
ゴーストブックその物のCGや、世界観の中で家が勝手に解体再構成するなどは、とても気持ちいい仕上がりだ。

▲女の子が男の子の分身を自らの股間方向の空間にいざなってるという意味で意味深にいやらしい構図。
それにしても、妖怪ですら、何かの役に立たないと取り扱ってもらえない世の中と言うのは実に世知辛い。
【銭】
ユナイテッドシネマのメンバーズポイント2ポイントと引き換えに1000円で鑑賞。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
・ゴーストブック おばけずかん@映画.com