ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『楊貴妃』をフィルムセンター小ホールで観て、チャイナ大奥大悲劇で泣けみたいな映画なのね★★

五つ星評価で【★★楊貴妃に感情移入でけへん】
フィルムセンターの企画上映。
全五回で今回のお題は「色彩の探求」
四回目は「イーストマンカラー②」で、お題を満たす映画は1955年溝口健二の『楊貴妃』。申し訳ないけど、中華圏のお家騒動みたいな話にどうにも乗れず。

溝口の『楊貴妃』は初見。
ここんとこチョコチョコ見だしたが、元々、溝口は『雨月物語』くらいしか見てなかった。これは溝口初のカラー映画で、発色を逆に抑え,落ち着いた色調。

京マチ子演じる楊貴妃が本人はいい人なのに、皇帝のお手付き用として大奥に献上され、彼女を取りたてた周りの者の素行の悪さに足を引っ張られ最後まで不運に扱われる。ちなみに皇帝は「ミスター色男金と力はなかりけり」森雅之。なんかこの人はいつも自分の人生思い通りに行かない役だらけな気がする。あと、山村聰が京マチ子側の癌みたいな役どころ。ああそうか『雨月物語』『羅生門』の二人なのか。

香港・日本合作だが、題材が中国というだけでスタッフ・キャストに香港の影がパッと見で見えない。出資と配給だけなんだろうか? 「楊貴妃」なんて世界三大珍味もとい世界三大美人くらいという情報しか知らない。細かいエピソードすら知らないのでツイッターに「チャイナ大奥大悲劇」と書いたけど、やはりあまり親身になれない中国の話はどうも身が入らんなあ、という感じ。


【銭】
フィルムセンター一般入場料金520円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
楊貴妃@ぴあ映画生活
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『映画キラキラ プリキュア・アラモード』『ユリゴコロ』『リンキング・ラブ』『ブレードランナー2049』

プリキュアとユリゴコロは東映株券繋がり。
ユリゴコロ・リンキン・ブレランは同日鑑賞繋がり。

『映画キラキラ プリキュア・アラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』新宿バルト9-5題名省略しないとマジ長いな。

▲全員集合。

五つ星評価で【★★★つまらなくない。いや、どちらかと言うと面白いんだけど一般社会人に対する訴求力は低い】
パティシエをモチーフにしたプリキュア戦隊、プリキュア・アラモードの劇場用映画。TV5人集まるくらいまでは見ていたけど、劇場用を見たら6人目がいるではないか。戦力の随時再投入とか本当に戦隊シリーズみたいやな。で、今回はその6人目シエルの過去エピソード。
シエルの師匠ジャン=ピエール・ジルベルスタインがスウィーツへの愛情を逆手に取られ、敵として立ちはだかる。ジルベルスタインは味への追及は果てしないが美的センスが今一で、グロい外見のスウィーツを作ってて中央から認められない異端のパティシエだ。えーと、お前、長髪はまだ許すが、動き回って調理をするのなら結わえるか、コック帽に髪の毛全部入れろよ。で、その師匠が「究極のスウィーツ」のうたい文句に騙されてせっせと怪物に餌をやってる状態。頼みの綱のプリキュアは動物の姿に変身させられ勝手が異なり有利に戦闘を進められない。で、この動物プリキュアがマヌケかつ、そこからの回避がまんがチックで楽しい。
最終的には勿論ハッピーエンドで終わるが、尺も短いし、普通に面白い。
敵の本陣は売れずに死んだパティシエの幽霊(ネタバレだけどかまわんだろ)。なので、有名パティシエの味覚をおかしなものにしたり、巨大なケーキに街を襲わせたり、街をお菓子に変えてしまったりする。
芋虫みたいに動くエクレアがきもい。
マドレーヌみたいになったエッフェル塔が可愛い。しかし、あの巨大建造物がマドレーヌになって軟体化した足を使って歩こうとすると大怪獣みたいで特撮側の視点でちょっと萌える物がある。


『ユリゴコロ』丸の内TOEI①

▲ナチュラル異常者吉高由里子と破壊神・佐津川愛美

五つ星評価で【★★★中心人物三人の演技はとても好感が持てる】
何でも原作は語り口その物にトリックが仕掛けられているのでそのまま映画化できない内容の話らしい。原作未読なのでその辺は意識せずに楽しく(というのも違うか/「他の死苦」と漢字変換されたがこれも違うよな)見た。どの辺がどうなのか。木村多江辺りの事なのか? ノートとか原作になかったら凄いけど、それはなさそうだな。

松坂桃李×吉高由里子×松山ケンイチ でこの三人がみんないい。
みんなそれぞれが嵌りそうな絶妙な役をキャスティングされている。
松坂桃李って謎に悩んで絶叫しそうだし、
吉高由里子って先天的に人と違ってて
映画じゃなくても率先して人を殺しそうだし、
松山ケンイチの地味な善人は鉄板。
松ケンはオーラがない役ほど光る。
そのオーラのない松ケンに優しさで蹂躙される吉高由里子、
あのパジャマの胸元を開けると吉高由里子の嫌悪するひっつき虫が
体内からあふれ出し、世界を嫌悪感で埋めていくビジュアルには痺れた。

あと、一人で映画が壊れてもいいぐらいのギリギリの演技をする佐津川愛美にも痺れた。このブレーキが壊れた演技でこの映画に嵌れなくなってしまった観客だっているに違いない。しかし、考えようによっては佐津川愛美主演の『ユリゴコロ』も面白いかもしれないと思いつつ、映画は天然で変な感じが溢れる吉高由里子で正解だったろう。佐津川愛美は舞台で『ユリゴコロ』の主役を演じたら似あいそう。映画が拾ってしまう細かい機微とかがあえて無視され、席の近い遠いに関わらず彼女の強くて大きな演技は劇場中に伝わりそう。囁き声でおかしい吉高由里子と拡声器でおかしい佐津川愛美みたいな違いである。佐津川愛美が囁き声でおかしさを表現できない訳ではないが吉高由里子より精度は落ちる。逆に吉高由里子が拡声器を使うように異常を歌いあげるのは虚構の構築が大きすぎてバラエティー感が出てしまうと思う。天然の巫女と演技する巫女みたいだなあ。それって『ガラスの仮面』の北島マヤと姫川亜弓みたいである。

メインビジュアルのコピー
人殺しの私を、愛してくれる人がいた。

より、劇中の独白で予告にも取り上げられた
あなたの優しさには容赦がありませんでした。
の方がいいコピーだと思う。

PS ユリゴコロと
 ヨリドコロと
 ヨシタカユリコは
 ちょっとずつ似て非なる。


『リンキング・ラブ』丸の内TOEI②

▲左が石橋杏奈。右が田野優花。

五つ星評価で【★★ガチャガチャうるさいがAKBをコピーして歌って踊るパートは意外に大健闘】
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』した過去で、親の恋愛を成就させるために30年早いAKBを仕掛ける羽目になる話。冒頭から自分に甘いカス女に我儘放題やらせてしまうので、若い女だけ撮ってればそれでいいのか金子修介成長しないな金子修介とか思ってしまう。予算がない映画の場合、役者の地力がないと、もう火を見るよりも明らかに映画の質が落ちていくので、多くの登場人物がドワっと出てきてしまう前半は本当にキツい。西村雅彦、大倉孝二、中尾明慶の逐次導入で徐々に映画の体を成していく。女の子の登場人物が多い中、チョイ役でしか出ない架空のアイドル「ココ・リボーン」の人選がそこまで手が回らなかったという感じで可愛くないのが本当に可愛そうな感じだ。確かにあそこにいい女の子を集めてしまうとAKBもどきがスカスカになってしまうのだけど。
映画の売りであるバブル時代の女子がAKBをコピーして踊るパート。これがやりたかったんだろうなと素直に分かる。ここが実によく撮れてる。AKBの曲とダンスの良さ(美しさ)が再認識できる。ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンのフォーメーションの美しさ。実際は中心人物が二人抜けてしまうとダメなくらい緻密じゃないといけないのではないかと思わなくもないが、そこは映画だし、観客側も目が肥えてないからいいだろ(じゃ書くなよ俺)。

西村雅彦(「まさ彦」と改名してるらしい/お前なんか「雅彦」で充分だ)も大倉孝二もいつも通りだし、本当筋書きを進めるためだけの大した役じゃないんだけど、出てきた時の映画の安定感が半端ない。中尾明慶は前半後半でメリハリがある役だが、普段見ない顔である前半が面白かった。加藤諒が凄いのは顔だけだという事。うん、顔だけだった。

石橋杏奈かーいー。
名前は知らんけどモデルの子と、アッシー使う子と、内気なでかい子はおいしい役。
内気にくっ付いてる容貌がちょっと劣る子もグループにいると秘かに人気が出そう。
田野優花(主役)うっとうしい。AKB在籍の彼女がAKBのシステムを
バブル時代に構築していく事自体がメタ・ギャグなのかもしれないが、
それは知らんし、そんなに深くAKBを知ってる訳でもないので、
私には彼女はあんまりピンと来なかった。あのゴツくて濃い顔は好みじゃない。

PS 淋菌ぐーLOVE?


『ブレードランナー2049』丸の内ピカデリー1

▲男性性器の先端に関する手術の広告的なゴズリング。

五つ星評価で【★★物凄い良い絵と話を撮って貰ってるとは思うのだが、ペースが退屈ペースで長い】
ともかく前作に引き続いた絵や世界観が撮られていて、それが破綻していないところが凄い。
でも押し寄せる鬱展開とテンポの悪さにちょっとグロッキー。
ゴズリングが打ちのめされるだけの役で御苦労様。ゴズリングナイナイ岡村系の顔なんだよなあ。そう思うと目のクリクリしてる所も何かイヤ。
AI彼女いいなあ。あの三位一体セックス、あれだけ成人枠で一本映画作ってほしい。

ウォレス社が何を考えてるのかがよう分かりませんでした。偉そうだな、という事だけ。

何となくちょっと『ダ・ヴィンチ・コード』っぽいと言えば、ぽいか。

チラシにあるコピー
人間とレプリカントを分けるものとは何か? 本当の人間らしさとは何なのか? この、永遠かつ壮大なテーマに挑んだ一流のスタッフ&キャストたち! 映画史に残るラストシーンに、その答がある」。

一作目のラストで、人間とレプリカントは野生種か工場規格であるかだけで、何ら変わらない(勿論、ブレードランナーであるデッカードはこの二種を選別できるがその事に大きな意味はない)という結末だったと思うのだが。分けたいのならレプリカントは腕が4本とかにしてしまえばいいのだと思う。それが出来ない文化文明でもなさげだし。

PS ラストシーンでデッカードはユリゴコロを取り戻し、
 Kはユリゴコロを失ったと考えるなら、ブレードランナーはイヤミス。


【銭】
『映画キラキラ プリキュア・アラモード』:2800円で常設ダフ屋から購入した東映の株主券(6枚券)のうち東映配給作品として1枚を使って鑑賞。
『ユリゴコロ』:2800円で常設ダフ屋から購入した東映の株主券(6枚券)のうち東映配給作品として1枚を使って鑑賞。
『リンキング・ラブ』:額面1400円の前売券を常設ダフ屋で980円で購入して鑑賞。
『ブレードランナー2049』:松竹の前回有料鑑賞クーポンを使用して1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!@ぴあ映画生活
ユリゴコロ@ぴあ映画生活
リンキング・ラブ@ぴあ映画生活
ブレードランナー 2049@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
ユリゴコロ@映画的・絵画的・音楽的
ユリゴコロ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
ブレードランナー2049@或る日の出来事
ブレードランナー2049@タケヤと愉快な仲間達
ブレードランナー2049@SGA屋物語紹介所
ブレードランナー2049@ノルウェー暮らし・イン・原宿
ブレードランナー2049@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
ブレードランナー2049@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

『愛しのノラ』をユーロスペース1で観て、悪くはなし、ただ強烈ではなし★★★


▲左から妻と猫と主人公。

五つ星評価で【★★★猫映画なのに】
ツイッターでの観た直後の感想。

久しぶりに貸し切った。うんまあ猫が可愛くて短くて良いよ。情感は伝わってくる。

平日16:55の回とは言え、公開一週間目の映画館で貸切はまずかろう。
猫は2匹出てくる。黒い奴がクロ、白い奴がシロ、まんまだ。
この二匹がちゃんと名演しつつ、主人公の脚本家とその妻も
演じている二人の情感が伝わってくる。特に大きくも小さくもない日常を
仕事と猫に照準を合わせて描く。こういうライトな映画はあってもいい。
まあ、でも、もう少しお客が入ってもいいんでない?


【銭】
ユーロスペース火曜サービスデー1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
愛しのノラ~幸せのめぐり逢い~@ぴあ映画生活

『米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー』をユーロスペース2で、『虹をわたって』『ザ・タイガース 世界はボクらを待っている』を神保町シアターで観て、よしよし、うん、うん。

同日鑑賞5本から3本まとめてレビュー

◆『米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー』ユーロスペース2

▲刑務所から釈放される活き活きカメジロー。

五つ星評価で【★★★★ぐいぐい来る。分かりやすい。沖縄が何を怒ってるのかが分かる】
沖縄が怒っている事が太平洋戦争の終戦処理からずっと続いている事がよく分かった。
そして日本本土が沖縄の犠牲の元で繁栄を築いた事も。
一度難癖を付けるとどんな土地に行ってもヨタ者のように難癖付けまくる米軍のやり方もよく分かる。あの国は本当に国内に対する政治と国外に対する政治が二枚舌(ダブル・スタンダード)なのだ。自分達が権力を握っていて、その権力に逆らえない弱い者には断固とした圧政を強いる。そこに民主主義はない。それはおそらく今でも変わっていない。キチガイ国家なのである。
そんなアメリカの暴政に一人で断固反対を貫いた男。マルコムXタイプと言うよりはキング牧師タイプ。非暴力を貫くがその舌鋒は強力。正しい事を信念を貫き折れ曲がらない男の姿は見ていてとても気持ちいい。


◆『虹をわたって』神保町シアター

▲まーりちゃあーん。

五つ星評価で【★★★天地真理を見てるだけで幸せになれる】
天地真理映画である。
うわあ可愛いなあ。今はいないタイプ。
ジュリー、岸部シロー、萩原健一なんかがすっと絡んでいく。
『時間ですよ』で絡むマチャアキは出てこない。
なべおさみの役名が「マフィア」。実際はそんな大層な役ではなく、
ヤクザの三下にもなれないチンピラ役。
なべおさみは口の回る調子のいいチビというイメージで
そこそこ需要があったっぽい。
しかし、天地真理ただ歩いてるだけで可愛いな。
ある意味PVみたいな映画。


◆『ザ・タイガース 世界はボクらを待っている』神保町シアター
五つ星評価で【★★★グループサウンズでSFだ】
ザ・タイガースはザ・タイガース役。
マリッジ・ブルーの銀河のお姫様が怪音波(タイガースの曲)で地球に不時着。お姫様の部下は女官と運転手。運転手天本英世はヘラクレスという凄い名前を充てられて、白い全身タイツに銀のペイズリーという凄い格好で恥ずかしげもなく演じている。流石役者。そしてお姫様がマリッジ・ブルーになる婚約者役は先代圓楽。貼り付いた笑顔が信用おけないぞ。
このお姫様とジユリーが何となく恋仲っぽくなるが、ジュリーは地球に留まり、お姫様は母星に帰る。うん、落ちてない。これも『虹をわたって』同様、ザ・タイガースが出ずっぱりで、いきなり歌のシーンがあるアイドル・ムービー。これにもなべおさみが出てる。


【銭】
『米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー』:ユーロスペース会員割引価格1200円。
『虹をわたって』:神保町シアター一般入場料金1200円。
『ザ・タイガース 世界はボクらを待っている』:神保町シアター平日マチネー割引料金1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー@ぴあ映画生活
虹をわたって@ぴあ映画生活
ザ・タイガース 世界はボクらを待っている@ぴあ映画生活

『8年越しの花嫁』をニツショーホールで試写で観て、役者の地力だろうか★★★


▲トリガールと亜人。

五つ星評価で【★★★予告編通りの話で驚くような展開はないが、役者の力で見せる映画】
佐藤健と土屋太鳳が中心でいい演技をして、それに寄り添うように北村一輝、浜野謙太、中村ゆり、杉本哲太、薬師丸ひろ子が好演を添える。ベタなんだけど、とても気持ちのいい映画だった。

佐藤健は「かっこいい」を封印して野暮ったい兄ちゃん。内省的でコミュニケーション能力は低いが、ちゃんとやるべき事をやるタイプ。佐藤健、短髪にするとはんにゃの金田に似てるのがマイナスだけど、それくらいのしょぼい感じが役に合ってる。

土屋太鳳は私、顔つきが好きでないので強固な反対派という、本人が割とどうにもできない所から嫌いなのだけど、今回はよかった。役に合ってた。マンガの映画化みたいな可愛子ちゃんの役が実はこの人は似あわない。その手の演技の幅が狭く、みんな同じ演技にしてしまうのだけど、今回のようなリアルな役だとちゃんと演技が合ってる。で、決して可愛かったり、美しかったりする役ではない。寝顔は腫れてしまって不細工だし、リハビリ中の無表情もとても気に障る、イライラさせられる。でも、その演技は正しいので、ストンと腑に落ちる。上手くなったじゃん。

北村一輝なんて一つ前は『無限の住人』の超変態だろ。あのコスチュームで演じてほしかったってそれは無理。佐藤健と土屋太鳳は『るろうに剣心』コスで立ち向かえって、それも無理。いや、北村一輝のあの濃い顔は人情芝居が割と似あうんだよなあ。浜野謙太の先輩役も一目で「ダメ」と分かる人選でよかった。浜野謙太が新郎になる結婚式なんて兼業役者と思えない実にいい演技。

一周回って佐藤健はともかく優しい役。『ユリゴコロ』の宣伝コピーに

あなたの優しさには、容赦がありませんでした。

というセリフがあるが、この『8年越しの花嫁』の佐藤健も大概な野郎である。


【銭】
スポーツ新聞の懸賞に載ってた試写会。。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
8年越しの花嫁 奇跡の実話@ぴあ映画生活

『八重子のハミング』をギンレイホールで観て、介護の道は殺さぬゾンビ道★★


▲夕陽。

五つ星評価で【★★若年性アルツハイマーで記憶を失う妻を介護する12年間】
……という重い題材で、キツイ表現も多い中、それでも最後までとくとくとちゃんと見つめさせられるのは、随所に埋められた気を抜く場面であったり、高橋洋子というファニーな存在の絶妙なリアリティーのなさ(アクの弱さ)だったりにあるのだと思う。これが逆に高橋洋子が升毅を介護する映画だったらリアリティーがのしかかってきて悲惨すぎる。升さん成人用オムツ似あいそうだし、苦み走ったいい男であるだけに絶望感が半端ない。

介護はもう本当、大変そう。徐々に記憶を失っていくというのも恐ろしいが、それは序の口で、ある一定のラインを越えたら意思の疎通が出来ない何かに変わってしまっていて見ていて辛い。それはゆっくりと子供に帰っていってるという事なのだが、意思の疎通の敵わない子供は「ご飯を食べるのを嫌がったとしても」物理的に制圧できるのだけど、大人が同じように暴れられだしたら手の施しようがなくて大変だ。綺麗事ではなく、物理的に大変なのだ。

つまり、これは「人に噛みつく」という要素をなくしたゾンビをひたすら世話して過ごさなければならない勇者という物語で、加えて、勇者なのに糞尿処理をしなければいけなかったりもする。泣きながらも笑顔を絶やさない升毅が勇者だわあ。

高橋洋子演じる「母さん」は二児の母であり、元音楽教師で「おんな先生」と呼ばれていた、とても知的な人間なのである。彼女を中心に物語ればジュリアン・ムーアの『アリスのままで』になる。でも、そういう描き方はしなかった。これは被介護者の受難の話ではなく、変質してしまった伴侶を介護する夫側の視線で語られる物語だ。これが介護に対する一番一般的な視点であろう。この映画の中の人物は「母さんはきっと今こう思ってる」とか「母さん、とても幸せそう」とか根拠のない想像を口にしない。おそらく、それは気休めであり、そういう事を言ってもすぐ覆されかねない事を知っているからではないだろうか。だから逆に「母さん、笑ってる」「母さん、今、楽しそうだよ」みたいな事実は口にする。そこがリアル。相手(高橋洋子)の事は今では分からない存在になってしまったが、それでも大切にしようとする升毅の態度がバッチ正しい。升毅は高橋洋子が何故、そういう事をするのかは分からないのだと思う。分かってもしょうがないと思っているかもしれない。でも、大切にする。その姿勢が知的だ。この映画の升毅のように知的でないと、きっと「俺が、俺が、こんなにお前の事を思ってやっているのに、お前と来たら俺の事を何も分かろうとしない!」と叫びだして悲劇に邁進してしまいそうだ。ゾンビに変わってしまった伴侶に昔の面影を求めてはいけないのである。ただ、『ペコロスの母に会いに行く』くらい、相手のファンタジーを信じる事が出来るなら(信じられる素地があるという事かもしれないが)それはそれで幸せだと思う。

升毅の親友役の医者・梅沢富美男がとても情に厚いE男を演じているのだけど、そう言えば医者なのに知的には見えない。どこかで「べらんめい」とか言って諸肌出して桜吹雪とか見せそうでもあるのだ(そんな医者はいないて)。

出演の理由が「特別出演」だから、と言う事しか思い浮かばない井上順も個性の強いだけの役を好演。でも、あの役カットしても差し支えないなあ。

PS 高橋洋子が元女子プロボクサーで、
 映画の題が『八重子のサミング』だったら怖いわあ。


【銭】
ギンレイホール、会員証で入場。カップリングのもう一本は『人生フルーツ』。既鑑賞で、起きて見ていられる気持ちが全くなかったので今回はスルーした。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
八重子のハミング@ぴあ映画生活

『シーモアさんと、大人のための人生入門』をギンレイホールで、『超能力だよ全員集合!!』を神保町シアターで観て、どちらも寝ぼけてる感じ

◆『シーモアさんと、大人のための人生入門』ギンレイホール
ギンレイピアノ映画祭から1プログラム。
五つ星評価で【★★人物ドキュメンタリーの難しいところ】
ピアノに関係する映画&ピアノ演奏付き無声映画の祭典というのはなかなか活かしてる、てな事で時間があって見てなかった1本だけ。俳優のイーサン・ホークがピアノ教師シーモア・バーンスタインにインタビューして作ったドキュメンタリー映画。イーサンが感銘を受けたシーモアさんの人と成りを見も知らぬ私たちに解説してくれるという構図な訳だが、イーサンが受けた感銘がちゃんと私には伝わってこない。私にとってシーモアさんは遠い世界の他人だからもともとあまり強い関心を持てないのだ。だから、監督であるイーサン・ホークが画面に出てくる場面はちゃんと面白い。主題がハッキリすると同時に、イーサン・ホークには関心があるので集中力が持続するのだろう。
自分のピアノ人生の頂点(有名演奏家)を捨ててピアノ教師になったシーモアさんの境遇はドラマチックだが、人と成りが落ち着きすぎてて、そういうスキャンダルな経歴がリアルにあったように見えない。奏でるピアノの音色はオルゴールのようで気持ちいい。でも、だからこそ逆に凄みを感じづらい。そこが映画のネックではないだろうか?


◆『超能力だよ全員集合!!』神保町シアター
五つ星評価で【★★ドリフ4本目】
特集「植木等と渡辺プロダクションの映画」から1プログラム。
メンバーか荒井注から志村けんに変更されている。
志村けんの役柄は中本工事の腰巾着。
仲本工事と志村けんと高木ブーはほぼストーリーに参与しない。
いかりや長介と加藤茶はいつも通り。
「超能力だよ」と言いながら、映画内に超能力は出てこない。


【銭】
『シーモアさんと、大人のための人生入門』:映画祭価格、会員500円。
『超能力だよ全員集合!!』:神保町シアター一般入場料金1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
シーモアさんと、大人のための人生入門@ぴあ映画生活
超能力だよ全員集合!!@ぴあ映画生活

『刺青』をフィルムセンター小ホールで観て、まだまだおもろい映画はあるね★★★★★

五つ星評価で【★★★★★不勉強に私が観てないだけだけど】
フィルムセンターの企画上映。
全五回で今回のお題は「色彩の探求」
三回目は「イーストマンカラー①」で、お題を満たす映画は1966年増村保造の『刺青』。いや、面白いわ。ビックリだわ。

増村の『刺青』は初見。
「色」という観点からも素晴らしい映画でした。
若尾文子の「可愛い」「美しい」では推し量れない魅力が凄い。
「ドス強い」とでも言おうか、自分を曲げる事なく、
欲望に固執する様から目を離せない。


【銭】
フィルムセンター一般入場料金520円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
刺青@ぴあ映画生活

『氷菓』をユナイテッドシネマ豊洲9で、『検事とその妹』をシネマヴェーラ渋谷で観て、ええやんまあええやん

同日鑑賞2本をまとめてレビュー

◆『氷菓』ユナイテッドシネマ豊洲9

▲濃い美少女二人と軽い青年二人。山崎くんはジャニーズじゃないから写真OKなのか。そんなイメージだったから、思わずちょっとだけ好印象。

五つ星評価で【★★★アリスと藤子の空気感が好き】
学園ミステリー「古典部」シリーズなのだそうだけど、
謎を解明するというオマケは別として、
そもそも「古典部」が何をする部なのかがよく分からない。
「古典文学部」という事なのだろうか?
それは又つまらなそうな。
「リアルに源氏物語を再現」とかそんな事を考えてるのかしら?
いやらしいって、それは俺か。

ミステリーとしてはまずまず。
謎が小さいし、そんなん知ってる人に聞けよって突っ込みを
かわせないのがちょっと痛いか。
かわせるように防御線張っておけばいいのに。

主人公二人にキャッチフレーズが付いてて
「好奇心MAXお嬢様:千反田える」=広瀬アリス
「IQ未知数の省エネ探偵:折木奉太郎」=山崎賢人

何でそんなに何でもかんでも気になんねんと言うのと
何でそんなに省エネ行動取りたがるねんと言うのが
せっかく最初の話なのに語られていないのは残念。

山崎賢人は決して上手い俳優ではないので、
ボロが出なければ褒めてあげていい(優しすぎか?)。

広瀬アリスの茫洋とした黒目に「何が何でも」感を
強く感じる。あの握ってしまうのはいいなあ。
青春少年少女は実にあんな事をやったりやられてたりしそう。
ええのう。

はぐらかす岡山天音・追う小島藤子という組み合わせも面白いのだが、
この二人も最初に関係性を言葉で伝えてそれっきりと言うのも何だか。

岡山天音、小島藤子って『ひよっこ』でアラサーみたいな役だったのに。
いや、小島藤子好きだから出てくれるだけで嬉しいけど。
(おはスタ時代から知ってるぜ)

文集の題名の話は私的には榊原郁恵の「夏のお嬢さん」だ。
シネマッシモさんの所の話だと、これは西暦2000年くらいの話らしい。
すると、本郷奏多くんは郁恵ちゃんの歌はまだ知らないな。


◆『検事とその妹』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★丹波痩せてる】
特集上映「新東宝のもっとディープな世界」から1プログラム。
原節子作品のリメイクらしい。
リメイクでも充分古い。1956年のモノクロ作品。
兄・丹波哲郎が検事になるのを秘かに支える妹・日比野恵子。
丹波かっけーし、日比野は綺麗。
この丹波・苦学生時代のエピソードが
艱難辛苦にじっと耐えるだけみたいなのが存外にキツイ。

「♪泣くな妹よ妹よ泣くな~」の聞き覚えのあるフレーズは
この(と言うより原節子版)が出自らしい。映画音楽とは思わんかった。


【銭】
『氷菓』:ユナイテッドシネマ、メンバーズデー(曜日)で1000円。
『検事とその妹』:通常二本立てて興行価格1500円-200円(夜間割引)-400円(会員割引)。カップリングの『背広さんスカートさん』は別カップリングで見てたのでスルーした。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
氷菓@ぴあ映画生活
検事とその妹@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
氷菓@ペパーミントの魔術師
氷菓@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

『イット』を109シネマズ木場1で観て、この恐怖感削減は意図的か?


▲このシーンは怖い。このトーンでずっと行ってくれれば…

五つ星評価で【★★★いい部分もあるがいかんせん「イット」が怖くない】
そう、負け犬少年(&ガール)が集まって、大人でも解決できない町の恐怖を撲滅する。このプロットがとても魅力的。集められた少年は皆、ひ弱かデブ、身長は低く、獰猛な(と言うより気が狂っている)体育会系には勝てない。彼等は吃音症だったり、臆病だったり、内気だったり、口を開くと「開くんじゃねえ」だったり、虐待を受けてたり、ともかく、弱者だ。その弱者がそれぞれの力を持ち合わせて、得体のしれない「それ」に勝つ。いいプロットだ。でも、ちょっと彼等の数が多い。もちっと整理できなかったのか(原作あるし、チャプター2との絡みもあるから、事はそう単純ではないか?)
このプロットが良いから、いい話を見終わった感はそこそこ高い。

でも、問題なのは「それ」が怖くないのだ。
ピエロって何にもしなくても怖いものなのに。
何にもしなくてもいいのにしちゃうんだ。馬鹿だなあ。

さて、「それ」が何なのかは解明されない。
どうやら、昔からいて、恐怖する人を食らう。
「彼」でも「彼女」でもないから「それ」としか言えない。
つまり「それ」は人格を認められない何かだ。
町に潜む恐ろしいシステムに近い。
「それ」はピエロを偽装する。何故か。
おそらく、子供を捕食する「それ」は
子供が敵意を見せない物に偽装するメリットを選んでいる。
版権的に問題がないならミッキーでもキティちゃんでもいいだろう。
おそらく、人々がアメリカに移住した頃から
「それ」はこの偽装をしている。
その時にはこれくらいしかそういうキャラがいなかったからだろう。

さて、ピエロは何故怖いのか。
私感ではピエロは白塗りが怖い。
「舞踊」を踊る時の山海塾や麿赤児のようだ。
白塗りは表情を塗りつぶす。
塗りつぶした表情の上に笑顔や泣き顔が描かれるが
それはあくまでそういう偽装である。
心の中ではどう思っているか分からない。
つまり、何も表情のない仮面をそいつは付けている。
原始、捕食者と向きあってきた経緯から、
人は相手の真意が読めない状態に対して恐怖を覚える。
それは真意が読めない相手がいきなり害意を剥き出しにして
捕食者に変わる可能性があるからだ。
「恐怖」と言うのは獲物である人類が持っている
捕食者に対する危険信号である。
だから、捕食を悟られないよう、感情が見えない、
もしくは別の感情を上書きして真の感情を隠匿しているピエロは怖い。
なのだが、乳児に近い幼児などは「この隠匿」その物に気が付かない。
だから、ピエロを恐怖なしに楽しめる。
社会性を身に付けた大人も
「まさかピエロがいきなり害意剥き出しで襲ってくる」とは思わないから
日常生活でピエロみてションベンちびったりはしない。
ただ、何となく怖い。怖いの原因はそういう所にあるのだと思う。

だから逆に「イット」のピエロは怖くない。
「イット」はその表情が饒舌で獣のように感情が剥き出しである。
そうすると、逆にピエロのコスチュームがただ単に派手で
人目を引いて捕食に有効でない頭の悪い所作にしかならない。
一番悪い組み合わせである。
例えば、「イット」がほぼ等身大の人間同様、病んだ感情を剥き出しにして
ピエロのコスチュームも雨曝しで色落ちなどしていれば、
それはそれで異様な怖さの空気が漂ってきたと思う。
それは害意をまき散らして然るべき当然の空気感を纏っているから。
その時点で、その「イット」は「それ」ではなく、「彼」感がとても強くなってしまうが。

映画内の「イット」は「それ」ではない。
素性は分からないが「彼」である。
「それ」と称される非人格性を剥奪されてしまっている。
恐怖映画としての、この悲劇。

そして、このアンバランスな状態であるからこそ、
恐怖シークエンスはいっぱい入れられる(モジリアニとか(笑))のに
根本で心底からは怖くない、変な恐怖映画として出来上がった。
これはこれで失敗ではなく、そういう物を意図して作ったのなら凄い。

だって、こういう構造の方がティーンとか大挙して見に来れるもの。
割と計算されて怖くなくしているような気もするが、
そうすると悪評はピエロを演じた役者に集まってしまうかもしれない。
それは可哀想かもしれないし、ギャラ貰ってるからしょうがないかもしれん。

多分、役者の顔を消して、ピエロをのっぺらぼうにしてしまえば
「イット」は「それ」になり、恐怖映画としてのグレードは上がると思う。
ただ、興行収入は落ちる。
怖すぎる映画は間違えて爆発的に入ってしまう事もあるけど
世間からそれほど熱狂的には求められていない(マニアは別)。
みんな怖がりたいけど、そこには「発狂したいほど」とか
「失禁したいほど」というレベルは求めていないから。
うんまあ、私もそうだから、「イット」は「イット」という名前の「彼」でいい。

女の子ちゃんがビッチで可愛いけど純情っぽさも残っててよかった。
あの河ポチャのブラとかヤバイ。
あ、このメンツって白雪姫と七人の小人なのか。
デブくん、童話の垣根を乗り越えて頑張ったな。
ただ、それでも童話の主人公にならないところがデブくんのペーソスな部分だ。やるせねえ。俺はお前の味方だぞ、デブくん。近寄って来たら汗くさそうだから「あっち行け」とか言うかもしれないが、心では支持してる(うさんくせえな俺)。


【銭】
109シネマズのメンバー割引デー(曜日)で1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
IT/イット “それ“が見えたら、終わり。@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
IT/イット “それ“が見えたら、終わり。@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
IT/イット “それ“が見えたら、終わり。@ノルウェー暮らし・イン・原宿
IT/イット “それ“が見えたら、終わり。@ノラネコの呑んで観るシネマ
IT/イット “それ“が見えたら、終わり。@あーうぃ・だにえっと
IT/イット “それ“が見えたら、終わり。@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
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