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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『信さん』辻内智貴、小学館文庫を読書する男ふじき

かなり前に、映画観た直後くらいに読んだ。

随分、映画は膨らましたもんだなあ。
原作のままだと情緒を膨らませても30分くらいじゃないだろうか。
ラストについてもかなり違う。
でも、それが悪い訳ではない。

映画は監督、平山秀幸の物であり、
小説は原作者、辻内智貴の物である。
映画は、その小説を原案にしながら、
その時代全てを大きく描写するような作品に作り上げた。
小説はその時代の中に生きた一人の青年の無骨な生き方を
ちっちゃい宝石が人知れず輝くように書いた。

文庫に併載されている『遠い町』は朝鮮人の子供の話。
これも映画に吸収されてる。あのエピソードは好き。
ちなみに文庫の解説を書いるのは監督の平山秀幸。

そうかあ、この人は『セイジ』も書いたのかあ。

映画『信さん』のレビュー記事
ついでにセイジの記事

PS 文庫の表紙、首を切られたランニングの少年が波打ち際に立ってるみたいだ。

『エス。』神戸蘭子、ゴマブックスを読書する男ふじき

Sサイズモデル神戸蘭子のフォト・エッセイ。
  
あの声が聞こえないってのは明らかにマイナスでしょ。

『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』荒木飛呂彦、集英社新書を読書する男ふじき

文庫なら分からなくはないが、新書の内容ではない。

いいなあ。

カリスマになると、こういう好きな事を言う立場を獲得できて。
まあ、ただ、お仲間として役にも立たない無駄話がずっと続くのは楽しい。
Jホラー論で「貯めがあるのに何も起こらない演出がダメ」という論旨で
随分、想像力の乏しい見方をするのだな、と思った。
あの何もない事の怖さが分かるのが日本のホラー観客の質の高さだと思う。

まあどうでもいい。
あまり、争ってもしょうがない。

勿論、私はカリスマでも何でもなく、ただの映画観客だが、
何となく同列くらいの映画ファンが書いた物なので、ああだこうだも言える。
それくらいの本。

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争8』ママチャリ、小学生文庫を読書する男ふじき

不良が絡む事件性の強い話が続いた後なので、
この巻の猫の飼い主探しと
主人公の恋愛エピソードには
ジャブをテンプルに放たれて、
軽くお花畑が見えてる感じ程度に癒された。

『ますます酔って記憶をなくします』石原たきび編、新潮文庫を読書する男ふじき

酒の席、その帰り道での失敗談がこれでもか、と載っている。

・駅のホームで正座して爆睡。
・衣服を綺麗にたたんで冷蔵庫にしまう。
・鏡の中に入ろうとする。

こういうの読んでると、『猿の惑星・創世記』で
人間が猿に支配されてしまうのも、全面的ではないけど、
しょうがない面もあるなあ、とか思えてしまう。

『トラウマ映画館』町山智浩、集英社を読書する男ふじき

おもろい。

町山さんは私より2歳年上。
この2年の違いによるものなのか、
TVで映画を観れる環境が与えられなかったからなのか
(TVは一日2時間までみたいな家庭内ルール)、
観た事のある映画は1本もなかった。

でも、おもろい。
ネタバレも含んだ上で
映画の一番おいしい所を抜粋してるんだから、
そりゃあおもろいよって面はもちろんあるけど、
ちゃんとスタッフ、キャストの背景や、時代の流れの捕捉まで
読み物としてちゃんと読ませる物になっている。
つまりいい出来なのだ。

この間出たばかりの本なのに、濡れ本100円で中古購入。

集英社なんて一流出版社から出てるんだな、これ。
何となく、町山さんには聞いた事のないような出版社から
ヒッソリ著作を出し続けてほしいみたいな気持ちがあるので、
全くの余計なお世話だけど、そこは残念だ。

『故郷忘じがたく候』司馬遼太郎、文春文庫を読書する男ふじき

3話が収まってる短編集。

珍しく二つはつまらんかった。

◆『故郷忘じがたく候』
 文庫表題作。豊臣の時代、朝鮮から日本に連れてこられた民が
 400年経った近代に何を思うか、その思いを描く。
 うーん、どうでもいいなあ。
 登場人物が立体的に描かれている訳でもなく、
 そんなに興味を引かれなかった。

◆『惨殺』
 明治初年、少数で東北征伐に向かった官軍の悲惨な結末。
 話が終わってない。
 これが冒頭になって、もっと続くような話なんである。
 当然、不満足。

◆『胡桃に酒』
 『魔界転生』にも出てた、あの方の生涯(あえて誰かは秘す)。
 へー。ほー。
 題材が「色」なので、その行為も書かれるが、
 ちっとも幸せそうじゃない。難儀だなあ。
 これを読んだ後に見ると、大河ドラマに出てる
 その人はまるでママゴトをやってでもいるみたいだ。
 まあ、司馬遼太郎がどこまで真実を書いたかも分からんと言えば分からんけど。
 まがまがしく鄢く濁って光る一編。

『だから、僕は学校へ行く!』乙武洋匡、講談社文庫を読書する男ふじき

あの縦型の車椅子の乙武くんである。
  
飾らない文章が素晴らしい。
余計なものが付いてないのだ。
言いたい事が凄く正しくズバっと
伝わってくる感じ。
  
言葉を大事に扱わなければいけない
そういう生活を好む好まないに関わらず
選ばされた、それゆえの能力かもしれない。
  
それにしてもすごい行動力である。

『キム兄の感じ』木村祐一、幻冬舎よしもと文庫を読書する男ふじき

ちょうどキム兄が書いたぐらいの面白さだなあ(そ、そらそうだろう)。

ちゃんと仕事をこなしました。
でも、それ以上じゃないです、みたいな。

最近、キム兄を思い出そうとすると、ケンコバを思い浮かべてしまう。
同じスタンスにスポっとはまる人物が出てきてしまったという事だろう。

読んで損した感はないけど、得した感もない。
大当たりな感じが乏しいからだろうなあ。
こういうのは一回でも「ぷっ」と吹き出す大笑いがないと印象に残り辛い。

ごめん、キム兄。
絶対、そんなん書かんだろうけど、
エミリちゃんとの夫婦生活を書いてほしいわあ。

『うつから帰って参りました』一色伸幸、文春文庫を読書する男ふじき

バブルと寝た脚本家、
一色伸幸(代表作『私をスキーに連れてって』)が
自らのヤク中(睡眠導入剤ハルシオンの大量摂取)の病歴と
鬱病の始まりから収束までを書いたエッセイ。

読んで驚くのは、ともかく正直すぎる事だ。

ヤク中や、鬱の病歴を書いたから正直と言うのではなく、
結婚や出産について、さしたる覚悟もなく面白そうだったから
結婚相手への愛よりも、結婚によって自分に何が起きるかと言う好奇心の方が
勝っていたなどとバカ正直に書いてたりする事に目が引かれる。

相手がいる話だから、なかなかこうは書けない
相手は相手だけでなく、相手を含むコミュニティー全体だ。
それと全て対峙する覚悟がなければ、なかなかこうは書けない。

読んではいないが、話題で存在を知っていた
マンガ『彼女が死んじゃった』が経験から出た著作であることも初めて知った。

『木村家の人々』とか見直したいなあ。
成人映画を除いたら滝田洋二郎の映画で一番好きなのは
『木村家の人々』だ。
成人映画を含んだら『桃色身体検査』かなあ。
滝川真子ちゃん可愛かったなあ。

話はずれたが、そういう事だ。
いきなり話を戻したから何が「そういう事だ」なのか全くわからない。
1990年近辺の邦画をいっぱい観た経験のある人にはご一読をお勧めします。
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