特集「追悼上映・土本典昭の世界・ドキュメンタリーの海へ」の中の1プログラム。
『水俣レポート1 実録 公調委』 「公調委」は「公害等調整委員会」の略。原告と被告の間を公正に取り持つための第三者組織。の筈なのに、原告の三文判をついて作った偽造書類の委任状で、何時の間にか、原告が知らない原告の代表者が仕立て上げられたりしていて、そんな物が大したチェックもなしに通ってしまおうとしている。今も昔も、そんなバカな、と言うほどの単純なやり方の方が通ってしまうようだ。社会的なヒールに必要なのはふてぶてしさ。
『わが街わが青春 石川さゆり水俣熱唱』 成人として成長した胎児性水俣病患者が企画する石川さゆり公演っていう異色のドキュメンタリー。これ目当て。正確には、水俣病に興味はなく、ドキュメンタリーの文面に現われた「石川さゆり」、これを確認したかった、が本音。石川さゆり20歳、ロングドレスで演歌を歌うその姿に濃密なオーラが漂う。可愛い。うまい。俺的には映画の他の要素はともかく、石川さゆりはともかく良かった。それで良し。
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下北沢にある短編映画館トリウッドによる世界の短編アニメ集。定期的に開催されており、ここで取り上げられた作家が後から有名になったりもするので、先物買いが好きな人はチェック要。今回は4週4プログラム(週代わりではなく、1日に4プログラムの公開形態が4週間、続く)
Aプログラムは6本で計、約40分。
『鏡の中に』 このセンスのよさ、展開の意外さ、技術の確かさ。カンヌ映画祭出品というのにも、ただうなづいてしまう。今回6本の中の白眉。この5分をより多くの人に味わってもらいたい。
『一足の靴下』 何である、アイデアル的な1本。
『ブタちゃん、空を飛ぶ』 子供マンガな1本。
『原始の愛』 おいおい。こりゃあ、いかんだろう。2分17秒の作品だけど、2分くらいいらんと思う。
『渾身の自画像』 言っちゃうけど、大したオチじゃない。最初からそれが分かっていれば、技術力も高いし、別に腹も立たないと思う。
『これでおあいこ』 スゥエーデンで作られた粘土アニメだが、登場人物は全員、黒人で、背景はニューヨークのスラム。変なの。この黒人の人形造形がとっても稚拙。だけど、表情付けがとっても的確。うまいんだか下手なんだか悩む。近くにあまり黒人がいないのか、黒人が何だか昔の手塚治虫のマンガに出てくるようなカリカチュア度合いの高い黒人だ。個人的には落ち込むぐらい恥をかかされたのなら、「ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ」と言って、ブードゥー教の秘術で呪いかえしをしてほしかった。