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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『それいけ!アンパンマン ブラックノーズと魔法の歌』を銀座テアトルシネマで観た男ふじき

五つ星評価で【☆☆☆☆純粋に子供向けの作品ですが、大人が観ると違った楽しみ方ができます。「傑作」と言い切っちゃうにはちょっと自信が揺らぐので☆3.8くらいかな】

毎年、大人一人での来場は、その回でたった一人きりという過酷な情況の中、
今年も「アンパンマン」を見逃す訳にはいかない。

というのは「アンパンマン」を観ないと作物の育ちが悪いとか、
「アンパンマン」を観ないと、腰痛がひどくなるとか、
「アンパンマン」を観ないと、古い戒律の悪魔が蘇ってしまうとか、
そんな理由がある訳ではなく、単に毎年、楽しみにしてるからです。

らりらりいいいいいいん
馬鹿でいいんだもおおおおおん
アンパンマンが、アンパンマンが観たいんだもおおおおん。


と劇場で叫んだりはせず、今年も苦虫を噛み潰したような顔で粛々と観て来ました。
それにしても「苦虫を本当に噛み潰した」人っているのか?

今年のアンパンマン、「ブラックノーズと魔法の歌」は乳幼児が接する
イノセント(悪い人のいない)なアンパンマンワールドとしては珍しく、
悪人のキャラクターが出てきます。

いや、そんなん、バイキンマンだっているじゃん。
と思う人もいるかもしれないけど、あれはクラスの暴れん坊タイプで、
「しょうがない」状態で住民に認知されています。
つまり、「困るから出て行け」とか「近寄るな」とか言われるほど悪くありません。

今回、登場したブラックノーズは人々の幸せを喜ぶことが出来ない人間。
人々が幸せにしていると魔法の笛を吹いて、問答無用で病気にしていきます。
みんなが明るくニコニコ笑っていたユートピアが病んでいく。
つまり、位置づけ的にはアンパンマンの世界を壊すものです。

そのブラックノーズに小さい頃に拾われ、教育を受けて、
身動きの出来ないブラックノーズの代わりに魔法の笛を吹くのが
今回のゲストキャラであるカーナ(声:中谷美紀)です。

カーナは「美味しい」や「楽しい」を享受する事が幸せではないと教育されています。
だから「笑顔」を浮かべません。
「笑顔」その物が禁忌、タブーなのです。

新しい世界に触れ、「美味しい」や「楽しい」を体験し、引かれながらも、
母(ブラックノーズ)の教育の為、それが正しいと思えないカーナ、
正しくない事は正さなければならない。
毎夜、笛を吹いて住民を病気にしていくカーナ、その状態の方が幸せと信じて。
だが、その行為はどう考えてもおかしい。
悩み、苦しみ、絶対である母親を説得しようとカーナは里に帰る。
すると、母から笛を吹くことは住民の幸せではなく、自分だけの幸せのためだ、
と教えられる。

カーナの絶望。

笛を吹いて病気をばら撒いていたことを母から住民に告知されてしまうカーナ。

母に追いつめられるアンパンマンの窮地をカーナが助けて大団円。

こんな作りです。
運命に蹂躙されるカーナの心の動きを追ったストーリーと演出が素晴らしい。


普通に幼児が見て、追っかけられる話ですが、内容は深い。

カーナが潜伏しながら住民を病気にしていく様子は
何かスパイ物でも見るようだ。
でも、カーナに罪はない。
カーナはそれがみんなの幸せになると思ってやっていたのだ。
オウムの犯罪みたいだ。
ユダヤ人殲滅だってこういう全員の幸せ実現の為に
という大義名分の元に実行されたかもしれない。

災害を思わせる(つまり破壊に禁忌を持たない)存在のブラックノーズだが、
カーナに対してはあくまで構造の上だけだが、母の側面も持つ。
母の位置にある者、子供にとって絶対であるべき者、
これが子供を裏切り間違えた存在として描かれている。

これは子供を否定できる母親を暗示しているのではないだろうか
(DVや子供を殺してしまう母親)。

凄いな。

ブラックノーズは後半、カーナに対して「愛していない」とはっきり言う。

ハードだな。

リアルな物語の構成に意訳すると、次みたいになるかもしれない。

公団住宅の屋上に不法に居座る老女と幼女。
老女は幸せそうな団地の住民の笑い声が気に触ってしょうがない。
幼女は遠巻きに住民たちを見詰めている。
たまに不憫に思った住民からお菓子などを恵んでもらうが
老女にそれは体内で毒に変わると教えられているので、
菓子の甘さに引かれながらも物凄い不安を感じてしまう。
ある日、老女は幼女に
「下の住人があんなに大きな声で笑いあってるのは病気だ。
 この薬をこっそり少しずつ飲ませてきなさい」と毒を手渡す。
少量の毒を水タンクに入れて、少しずつ住民を不健康にしていく幼女。
気に触る笑い声もなくなってきて、老女は安眠する。
住民が一様に衰弱するので幼女は老女に間違えていないか問いただす。
老女は幼女に真実を告げ、そして不要になった幼女を
単独実行犯として私刑集団に売り渡す。
動けなくなった住人の為に金を貰いながら、雑用をこなす老女
いまや、公団住宅は彼女なしには生活が出来ない家族でいっぱいだ。
老女はその地を支配したのだ。

わざと大団円は省いたが、こんな話だ。
うん、凄いな。
ハードだな。

君達、未来に進む子供たちに、
今は親でさえも牙を剥くような
不遇な時代かもしれない。
それでも、明るい未来を信じて、
君達はともにみんなで歌うのだ。

そう主張されてる。

アンパンマンには「子供が喜ぶ幼稚な物語」
というだけではすまない諦念と希望が描かれている。

まあ、勝手にいいように妄想してるだけかもしれないけど。



【銭】
常設ダフ屋で前売券を480円でGET。その後見かけた最安値は350円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
それいけ!アンパンマン ブラックノーズと魔法の歌@ぴあ映画生活

PS 併映の短篇はまあ普通だよ
 (別に普通が悪い訳じゃないから全然それでよし)。
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『ゾンビランド』をテアトルダイヤで観た男ふじき

五つ星評価で【☆☆☆普通です】

ゾンビランド、普通に面白いけど、
メガ面白いとか、ギガ面白いって感じはないですね。

ダメ男の頑張りストーリーだったら
ビッグ・バグズ・パニック』が大傑作でたまらないし、
ゾンビコメディーだったら『ゾンビーノ』の出来もいい。『ゾンビランド』はジャンル映画というより、いい話をするためにジャンル映画を利用したみたいな出来がちょっと気になってる。でもまあ、普通に面白いんで、これはこれでいいでしょう。

ネットのレビュー読んでると「ゾンビはいやだけど」って
感想が割と多いみたいなんだけど、ゾンビが出てくるだけでそんなに嫌なんかなあ? 
リアルだったら、駅の浮浪者の方が怖いし、嫌だけどなあ
(浮浪者でゾンビってのが最低か)。
恐怖映画で滅多に本当に恐怖したりしないから、みんなもっと
自信を持ってというのも変だけど、
もちっと頻繁に恐怖映画を観に来ればいいのに。


【銭】
映画ファン感謝デーで1000円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ゾンビランド@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事にトラックバックを付けさせて貰ってます。お世話様です。
ゾンビランド@LOVE CINEMAS調布
ゾンビランド@甘噛み^^ 天才バカ板!
ゾンビランド@よしなしごと
ゾンビランド@カノンな日々
ゾンビランド@うまい棒めんたい味の如く映画を語る
▼関連記事。
・ゾンビランド@死屍累々映画日記・第二章
ゾンビランド:ダブルタップ@死屍累々映画日記・第二章

PS ちなみに、ウディ・ハレルソンが映画内で探し求めるお菓子トゥインキーの
 写真は「LOVE CINEMAS調布」さんに写真が貼り付けてあるんで、
 映画観て興味持った人はLINK飛んで見てみて下さい。