劇場に脚を運んだ時点で負け試合は決まっていた気もするが、
観ている最中とっても不快だった。
主人公は普通のコミュニケーションがとれず、
AV嬢を演じる時だけ、生きる実感が湧く痛い女。
そういう主人公が絵に描いたように
不幸に落ちていく様を見るのは楽しくない。
理路整然と話せない幼女に平手打ちを見舞ってるのを見せられてる感覚だ。
そして、この転落劇が原作のようにルポとして書かれるなら
興味を引く対象足りえるのだが(現に話の大半は原作に類例がある)、
フィクションとして書かれるにはインパクトに乏しい。
フィクションはもっと大きく劇的に痛い嘘をつかないと
フィクションとして成立しないのだ。
で、強い違和感の原因は多分女性シナリオライターの手による
脚本のリアリティーのなさにある。
今時、AVで自分探しというシナリオの題材も古くてきついけど、
「陵辱物を撮られるんだよ。あなた、売られたんだよ」ってセリフには、
今までのAV史上で、普通に生活の糧として(円満に)
陵辱物を撮ってきた全てのAVスタッフに謝ってもらいたい
(そりゃあ犯罪紛いの陵辱物が皆無とは思わんけど)。
「AV女優だけど馬鹿にしないでください」みたいなセリフが出てくる。
AV女優を人として馬鹿にしてなきゃ、こんな話は書けない気がする。
このセリフを一番言われなければいけないのは書いてる脚本家本人だ。
【銭】
テアトル新宿、水曜1000円均一。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・名前のない女たち@ぴあ映画生活
PS 唯一よかったのは鳥肌実演じるインチキタレント事務所の社長が
事務所の椅子に腰掛ける時の、ドカタの親方チックな自堕落な腰掛け方。
鳥肌実っていい崩れ方してきてるなあ。
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