けっこう、あれをどうやって映画化したかが分からない
というコメントをチョコチョコ見かけて気になってた。
折りよく100円で入手できたので読んでみた。
なるほど、これを最初に読んでたら、こんなん映画化できるとは思えんよなあ。
悪い口で言っちゃうと、雑誌のコラムに名を借りた妄想が羅列してあるだけ。
スケール感が同じケースとして、
『食いしん坊バンザイ』の映画化が難しそうだと言えば、
納得してもらえるんじゃないだろうか。
そのままでは映画にならない『食いしん坊バンザイ』の為に
主人公を設定して、あちこち色々、食べに行かざるを得ない設定を作る。
その設定の中で大きく現われる命題(主人公が立ち向かうべき問題)も設定する。
その問題に立ち向かう中で、主人公や、彼を取り巻く人間は何をどう変え、
彼ら自身がどう変わっていくか。
原作に全くないこれらの要素を取り込んで作った映画の脚本は
それだけ力作だったと思う。大変な作業だったと類推する。
でも、もう一歩踏み込みが足りない。
ドラマにはなったが、良いドラマにはならなかった。
何も感動して泣かせろ、と言ってる訳ではない。
もうちょっとあのメインの裁判、後ろでひっくり返せばよかったのに。
そうすれば主人公と検事に一緒にシンパシーをひっくり返された感を持たせられて、
それだけで後味が変わった筈だ。
残念だなあ(と言うほどそんな大層な映画でもないけど)。
一つ一つの裁判に対するコラムより、
巻末の傍聴マニアを集めた座談会の方が映画を作る上では
ドラマ作りに寄与している。
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