名画座企画「三大映画祭週間2010より」
世界三大映画祭で受賞しながら、
日本で紹介されなかった作品を集めた映画祭の中から、
2作品をセレクト と、チラシに書いてある。
ふーん、まずそういう元の企画があったのね、というのに驚いた。
あと、「そりゃあ折り紙つきの映画2本じゃん」という訳で堪能堪能。
◆『ハッピー・ゴー・ラッキー』五つ星評価で【★★★マイク・リーらしい。あまりにマイク・リーらしい】
なんて書きながらマイク・リーは
『ヴェラ・ドレイク』しか観てないや。
でも、なんとなく映画から受ける印象は同じ延長上にある。
当たり前の事を当たり前の人が演じてるのに、
観ている方が何かイライラを募らせちゃうこの感じ。経験済感バリバリだ。
という事で、
『ヴェラ・ドレイク』のヴェラ・ドレイクにイライラしたように、
『ハッピー・ゴー・ラッキー』のポピーにもイライラさせられる。
彼女自身、別に悪い人じゃないのだけど、実に勘に触るのである。
常に蛭子能収の笑みを浮かべたおせっかいな久本雅美って言えば、
ちょっと苛立ち感が伝わるんじゃないだろうか。
彼女が生来のルンルン感覚から、
ルンルン感覚を否定しながらも引き寄せられる厳格な自動車教習教員を
無意識に追い込んでしまう様が描かれる。
いたたまれねえ。
私は追い込まれてしまう側です。
多分、基本、女はポピー寄り、男は教習教員寄りなんだと思います。
だから、おそらくこれは
『ブルー・バレンタイン』同様、
一番デートムービーに向かない映画。
この、ルンルン感の否定は突き詰めると
ジャン・ジャック・アノーの
『薔薇の名前』に行き着いたりするのかもしれない。
どっちも怖いのはストレスを与える方はそれを罪だとは全く感じてない点だ。
『薔薇の名前』だったら、私もストレスを与える側だけどね。
で、映画は楽しみきれないんだけど、
主役のポピーを演じるサリー・ホーキンスがベルリン銀熊賞を取ったのは
実に納得出来る結果なのである。何となく、映画はそんなに好きじゃないけど、
『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンを褒めざるをえないのに似てる。
◆『夏の終止符』五つ星評価で【★★★★凍てつく大地で二人の男が激突する男の映画】
いやあ、こっちの方が面白かった。
番組としては日本でも知名度のあるマイク・リーがメインだけど、
娯楽度はこっちの方が高いと思う。
『南極料理人』と
『デンデラ』と
『ノーマン・マクラレンの隣人』を
足して、全ての笑いを除外したような映画。
何じゃそりゃ、と思うでしょ。
いやあ、でも、そんな映画なのよ。
フランケンハイマーで同タイトルがあるけど、
『北国の帝王』ってタイトルでもいいよ、この映画。
それくらい、男度が高い。
凍てつく北極の大地で、その土地の生き字引から、
その存在を疎まれた時、白熊が肉を求める厳寒の大地に追い出され、
彼自身、食べる物もなく、どう生き抜いていくのか。
こんな設定に燃えない奴は男じゃない。
まあ、いろいろ問題もあるんだけど、
ハラハラドキドキ、最後まで目が離せません。
【銭】キネカ大森3回券の1回を使用。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
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ハッピー・ゴー・ラッキー@ぴあ映画生活・
夏の終止符@ぴあ映画生活