『立候補』をポレポレ東中野で観て、そのエド・ウッド臭にクラクラふじき★★★★
- Date
- 2013/12/17/Tue 00:05
- Category
- 映画(ライブドアブログ時代)
五つ星評価で【★★★★怖いよ、バリバリ怖いよ】
物事の既成概念が壊れるのは怖い。
何一つ、物を考えていなかろうと思った人の思慮深さが分かりかけた時、それはとても怖い。実際、この映画ではそこまでは到達していない。だが、道筋が見えかける。それがとても怖い。
全編のほぼ9割(体感計測)を占めるのはマック赤坂。
他も含めて泡沫候補に対しての密着ドキュメントである。
マック赤坂は政見放送で「スマイルセラピー」と叫んで、
ネタのようなボディ・ランゲージを振る舞う奇人である。
だが、彼は本当に奇人なのか。
ここが揺らぐ。
彼が単に変な人でないとするなら、それはとても怖い事だ。
マック赤坂は選挙期間中、
街頭で踊ったり、がなったり変なパフォーマンスをただただ続けている。
たまたま、その場にいた外国人に「お国にこういう人はいる?」
と尋ねるとみんな首を横に振る。
たまりかねたギャラリーから「抱負や演説を聞かせろ」と言われると、
そこでやっと話し出したりする。
真面目に話し出すと、人は劇的に去っていく。
そして通常のマック赤坂はかたくなに演説しないという姿勢を崩さないのである。
これは、間違えた方法論を取っているという事ではないだろうか?
劇中、マック赤坂に対抗する勢力、日本維新の会代表として
橋元徹元大阪府知事が出てくる。彼はTVバラエティ出身の代議士である。
TVバラエティで名を売ったが、愚者扱いはされていない。
マック赤坂は無名だ。名前を売る為に奇行を繰り返す。
名前は売れた。だが、彼の奇行は彼を愚者のジャンルに位置づけた。
この一度仕分けられたジャンル分けを覆すのは至難の業だ。
そして、もう一点。どうも彼自身に、もうそれを覆す意思があるように見えない。
彼は今の愚者の位置づけのままで、だが、その愚者が立候補した場合においても
全ての候補者と同様の権利を与えられるべきである、と存在で主張する。
わ、分かる訳ないだろ。そんなメタ主張!
だから、彼はもうどんなにあがいても選挙で勝利を得る事はないだろうし、
その主張で勝利を勝ち取る事も難しいだろう。
彼はエド・ウッドに似てる。
類い希なる映画への愛情を持ちながら、それを表現する方法を持たなかった男。
彼の敵は、イメージとして「ちゃんと政治してくれそうな人達」である。
いや、どうだろうか。実際は分かった物ではない。ただ、形式は整っている。
いわゆる政党が用意した人材、
それが「柔ちゃん」であっても形式が整っていれば当選してしまう人たち。
人は火急の状態に追い込まれなければ、
自分と比べてあまりに異質なものを代理人に選ぶことはしない。
そこに巨大政党の強みがある。巨大な政党であること自体が
選ぶ彼等と同質である事をある意味、保証しているのだ。
そして、巨大政党とマスコミがパイプで繋がっている事から、
自然、その活動は後押しされる。
「良さげな雰囲気」で、選ばれる選挙にも不安がある。
でもだが、だからと言って「マック赤坂」のような「奇人」を選ぶのにも不安がある。
他の泡沫候補のように「実直にいい人」である事だけが売り
という人も怖くてとてもじゃないが選べない。
「だけ」ということは、それ以上の強力な手腕を感じさせないということだ。
また、選挙を勝ち抜いて、民の代理人となり、日常の政治活動を始める時、
政党が持つ数の力がバックで必要になってくる。
基本、この国の政治は一匹狼では動かせない仕組みになっているのだ。
だから、国は変わらない。
そしておそらく、マック赤坂にもそれら全てが分かっている。
彼は愚者に見えるし、愚者としてしか振る舞っていないが、
いや、愚者にしか見えないが、多分、きっと、よく分からないし、
保障だってできないけど、愚者じゃないのだ。
認めたくない事なのだが、きっと、彼以外の全ての人間こそが愚者なのだ。
怖い怖い。
【銭】
1年間有効の10回券を10000円で購入。そのうち1回1000円分で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・映画「立候補」@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBを付けさせて貰ってます。お世話様です。
・映画「立候補」@元・副会長のCinema Days
・映画「立候補」@お楽しみはココからだ
・映画「立候補」@みんなシネマいいのに
PS ピンクを基調とした服を見て、シモダカゲキさんを思い出しました。
あの人も普通じゃなかった。そう言えば最近『ペコロス』に出てたな。
物事の既成概念が壊れるのは怖い。
何一つ、物を考えていなかろうと思った人の思慮深さが分かりかけた時、それはとても怖い。実際、この映画ではそこまでは到達していない。だが、道筋が見えかける。それがとても怖い。
全編のほぼ9割(体感計測)を占めるのはマック赤坂。
他も含めて泡沫候補に対しての密着ドキュメントである。
マック赤坂は政見放送で「スマイルセラピー」と叫んで、
ネタのようなボディ・ランゲージを振る舞う奇人である。
だが、彼は本当に奇人なのか。
ここが揺らぐ。
彼が単に変な人でないとするなら、それはとても怖い事だ。
マック赤坂は選挙期間中、
街頭で踊ったり、がなったり変なパフォーマンスをただただ続けている。
たまたま、その場にいた外国人に「お国にこういう人はいる?」
と尋ねるとみんな首を横に振る。
たまりかねたギャラリーから「抱負や演説を聞かせろ」と言われると、
そこでやっと話し出したりする。
真面目に話し出すと、人は劇的に去っていく。
そして通常のマック赤坂はかたくなに演説しないという姿勢を崩さないのである。
これは、間違えた方法論を取っているという事ではないだろうか?
劇中、マック赤坂に対抗する勢力、日本維新の会代表として
橋元徹元大阪府知事が出てくる。彼はTVバラエティ出身の代議士である。
TVバラエティで名を売ったが、愚者扱いはされていない。
マック赤坂は無名だ。名前を売る為に奇行を繰り返す。
名前は売れた。だが、彼の奇行は彼を愚者のジャンルに位置づけた。
この一度仕分けられたジャンル分けを覆すのは至難の業だ。
そして、もう一点。どうも彼自身に、もうそれを覆す意思があるように見えない。
彼は今の愚者の位置づけのままで、だが、その愚者が立候補した場合においても
全ての候補者と同様の権利を与えられるべきである、と存在で主張する。
わ、分かる訳ないだろ。そんなメタ主張!
だから、彼はもうどんなにあがいても選挙で勝利を得る事はないだろうし、
その主張で勝利を勝ち取る事も難しいだろう。
彼はエド・ウッドに似てる。
類い希なる映画への愛情を持ちながら、それを表現する方法を持たなかった男。
彼の敵は、イメージとして「ちゃんと政治してくれそうな人達」である。
いや、どうだろうか。実際は分かった物ではない。ただ、形式は整っている。
いわゆる政党が用意した人材、
それが「柔ちゃん」であっても形式が整っていれば当選してしまう人たち。
人は火急の状態に追い込まれなければ、
自分と比べてあまりに異質なものを代理人に選ぶことはしない。
そこに巨大政党の強みがある。巨大な政党であること自体が
選ぶ彼等と同質である事をある意味、保証しているのだ。
そして、巨大政党とマスコミがパイプで繋がっている事から、
自然、その活動は後押しされる。
「良さげな雰囲気」で、選ばれる選挙にも不安がある。
でもだが、だからと言って「マック赤坂」のような「奇人」を選ぶのにも不安がある。
他の泡沫候補のように「実直にいい人」である事だけが売り
という人も怖くてとてもじゃないが選べない。
「だけ」ということは、それ以上の強力な手腕を感じさせないということだ。
また、選挙を勝ち抜いて、民の代理人となり、日常の政治活動を始める時、
政党が持つ数の力がバックで必要になってくる。
基本、この国の政治は一匹狼では動かせない仕組みになっているのだ。
だから、国は変わらない。
そしておそらく、マック赤坂にもそれら全てが分かっている。
彼は愚者に見えるし、愚者としてしか振る舞っていないが、
いや、愚者にしか見えないが、多分、きっと、よく分からないし、
保障だってできないけど、愚者じゃないのだ。
認めたくない事なのだが、きっと、彼以外の全ての人間こそが愚者なのだ。
怖い怖い。
【銭】
1年間有効の10回券を10000円で購入。そのうち1回1000円分で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・映画「立候補」@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBを付けさせて貰ってます。お世話様です。
・映画「立候補」@元・副会長のCinema Days
・映画「立候補」@お楽しみはココからだ
・映画「立候補」@みんなシネマいいのに
PS ピンクを基調とした服を見て、シモダカゲキさんを思い出しました。
あの人も普通じゃなかった。そう言えば最近『ペコロス』に出てたな。
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