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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『ウォルト・ディズニーの約束』をUCT5で観て、物語を守ること壊すことふじき★★★(ネタバレ・・・かな)

五つ星評価で【★★★ディズニーとトラヴァースのどちらを支持するかで言えばトラヴァース】
『メリー・ポピンズ』原作は未読、映画は大昔見た筈だけど記憶が曖昧。

ディズニーのお約束と言えば、
ミッキーの耳が重なって一つにならないというのがあります。関係ないですね。

『メリー・ポピンズ』の作者トラヴァース女史とディズニーとの間の映画化を巡る血で血を争う熾烈な戦いの日々を描く。

どうも、けっこうみなさんディズニーに同情的なのであるが、
トラヴァース夫人に対しての方が私は同情する。
簡単に言うと、『アナと雪の女王』である。
原作を原案にしてしまう改変。あれは一番極端な例だと思うし、
ウォルト・ディズニー自身は関わっていないけど。
でも、ウォルト・ディズニーの精神は伝わってくるのではなかろうか?
ウォルト・ディズニーが原作付きの映画を作る時、
原作精神の再構築以上にディズニー作品への塗りつぶしを優先してる気がする。
一目見て、ディズニーと分かるパッケージング。
そして、原作の題名の知名度は上がるが、実物が手に取られなくなる。
ディズニーによってその物語が征服されるのだ。
それは抵抗して当然じゃないか。

という事で、エマ・トンプソンの涙の
「ペンギンの部分がひどすぎて」という照れ隠しセリフは、
大事な一線は守り通したという安堵とともに、
守り通せなかった些細な部分も山ほどある、という本音だろう。
ディズニーにもう少しデリカシーがあったら、
本当のペンギンを調教は出来ないにしても、
カトゥーン丸出しのアニメにはしなかっただろう。
資金面の問題か、技術面の問題か、それとも他に真意があるのかは分からないが、
もっと原作のテイストに合う映像化はやれば出来た筈だ。
ディズニーはそれをあえてしなかった。ディズニーテイストにして、
自社ブランドである事を誇示した、そうなんではないかと思っている。
だから、トラヴァース女史には同情する。
こんな話を又、商売にされちゃったりするし。
死ぬまで、いやいや死んでからもしゃぶられるのかヨ。

って意味でディズニーを「自己を押し付ける人」と考えると、
トム・ハンクスは適任。役に合わせるよりも、役を合わせる。
つまりトム・ハンクス本人がトム・ハンクスの個性をあまり減じないタイプだから。
とは言え、直前が『クラウド・アトラス』だったから、
何だかあの延長上に見えてしょうがなかった。
相手役がハル・ベリーだったらバリバリのスピンオフだと思っただろう。
ディズニーの父ちゃんの話がちょっと『ペコロスの母に会いに行く』を連想させた。
ええい、早く禿げてしまえ。

役者で言うと、運転手のポール・ジアモッティーが、
善人であるだろうけど、意外と内面が分からない感じでよかった。
彼の秘密が「自分が連続殺人鬼であること」とかじゃなくてよかった。


もう一人。
ミッキーマウスについて。
トラヴァース夫人が最初に着いたホテルで、
ディズニーからのありがた迷惑な歓迎のギフトを片づけて
最後に一体だけ片づけ損ねた縫いぐるみのミッキーに
「洗練さを学びなさい」と諭した場面は実によかった。

さて、洗練さとは何だろう。
スマートであること? 動きなどの所作が美しい事?
ネット辞書で引くと「優雅で品位の高いものにみがきあげること」。なるほど。
ディズニーの「ええがな、ええがな、みんな友達さけ仲良くやったらええがな」接待の正反対ということだ。多分、ディズニー社の一から十までが洗練ではない。
ミッキーもそういう世界でずっと暮らしてきたから洗練さを学ぶのは大変だったろう。
最終的にトラヴァース夫人は試写会場のチャイニーズシアターでミッキーと出会う。
ミッキーは実に洗練された仕草で彼女をエスコートするのである。
そして、何時までも洗練されない彼の生みの親のディズニーと、
その親から作られた洗練されてない映画『メリーポピンズ』に彼女は出会う。
なんて皮肉な。
洗練されていても、洗練されていなくても、そこに心が籠っていることが大事なことである。大事なことなのではあるが、その物語は彼女だけでなく、彼女の父親についても述べられる物語であるのだから、自分の姿形は道化のように描かれたとしても、父親については洗練された姿形で描写してもらいたかったのではないだろうか。そう思わなくもないのである。もっとも洗練から遠い人間に彼女がこの物語を渡してしまった時点でそれが適えられない事だったとしても。

最後に志村喬が出てきて「勝ったのは我々ではない。勝ったのはディズニー達だ」と言いそうなレビューになった。そうだな、菊千代的だな、ディズニーって。


【銭】
金曜UCT会員デーで1000円。

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ウォルト・ディズニーの約束@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

PS 約束してディズニーに『メリー・ポピンズ』を作ってもらった娘が映画を観て、
 「これは全然『メリー・ポピンズ』じゃない」と怒るみたいなエピソードは
 ないんですかね?
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『魔女の宅急便』をUCT3で観て、レビュー内に十八禁表現を含みますふじき★★★

五つ星評価で【★★★これは正々堂々失敗するとみんな思い込んでいたので卒ない出来にみんな軽くビックリ】
  
原作未読、宮崎アニメは公開時に観ただけだからもう忘れかけてる。

小芝風花ちゃん可愛いなあ。
ジブリのあのアニメと『呪怨』の清水崇というミスマッチに不安要素は凄く高かったのだ。『呪怨』はビデオ発売された一作目とメジャーでセルフリメイクした奥菜恵が出てる奴の予告編だけを強く推すのだけど、清水崇って若く世に出すぎたから演出が上手いって印象がなかった。頑張ったなあ。実力派、奥寺佐渡子の脚本が良かったのかもしれないけど、実に爽やかで見終わった後ああよかったと胸を撫で下ろす作品になってる。

感心したのは衣装。
キキやキキの母親の黒い服は軽い色を随所に取り入れ、無理がない程度にオシャレかつ野暮ったくなってる。後、アニメで印象の強いトンボの気持ち悪い横縞服は排除されてて、これにはホッとした。コリコの町の人間の服とかが微妙にリアルさを欠いているのも嘘の世界だからあり。みんなメリハリがありすぎて、どことなく舞台芝居に使われそうな感じの服に見える。衣装に合わせて町の背景も可愛い感じに作りこんでるので、あくまでリアルから離れた別の物語として見やすかったのかもしれない。

あと、黒猫ジジとカバは何か作り物感が抜群であかんかった。この映画がダメだという人がいるなら、多分、この部分から傷口が大きく開いてしまったのだろう。ジジは動きも拙かったが、声がバリバリのアニメ声で眩暈がした。あれは日本語で喋らせん方が良かったと思う。

ラスト、コリコの町の人に物凄く歓迎される場面。あれはハッピーエンドなのだが、実はあそこまで大歓迎されるのには軽い恐怖を感じる。振れ幅が大きいという事は次に何か悪い事が起こった時に簡単に態度を変えるという事だ。おソノさんのお産が失敗したら絶対、磔にされて火炙りにされるだろう。だから、ちょっとずつ、ちょっとずつ打ち解ける体でいいのだ。

それと、普通にエロい解釈が出来る部分が多かった。
だって13歳で一人立ちして、股間に箒の棒をこすり付けて、血だらけになって、血だらけになったショックで今まで出来たことまで、出来なくなってってヤバイくらいやらしい暗喩じゃん。『愛の罠』の新井浩文が出てたりするし。何気にキキ薄着が多いし。
眼鏡がのび太と符合するトンボを相手に、しずかちゃんの代わりに入浴コントの一発もかましてほしかったな(新井浩文相手に『愛の罠』やれなんて言わんからさあ)。


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PS チラシに「はじめましてキキですっ!!」って書いてあるのは、
 「はじめまして」の次をやる気まんまんって事かな?
PS2 次は対決物で「魔女の宅急便VS十字軍の宅急便」とか頭に浮かんだ。
 まあ、あかんな。