感情表現の欠落回復を目指して路上で歌う主人公が、メジャーデビューの足掛かりをつかむが、一回の失敗で全てが灰燼と帰す。失った中で彼女が得た物は、と言うキツイ話を、何だか無駄な物を色々ぶら下げた演出で描く。枝葉が余計で幹が何かが分かりづらいのだけど、新人の櫻井はるはそんな中でも自分を出しきっている。惜しむらくは、その彼女を周りが盛り立てるように映画が作られていない事だ。似たり寄ったりのアングルで撮られてる彼女は妙にゴツゴツ映ってて対象に対する愛情が薄いなとか思わされる。
彼女を取り巻く外界は彼女を壊そうとするかのように極端にトゲトゲしく、自己中心的に彼女に牙を剥いてくる。それを見せられる観客はたまらん。又、そうした無遠慮な押し付け感情に対して彼女が抵抗するすべもないのを見せられるのだから、ダブルにきつい。
これは実はもっと単純に、コミュニケーション障害だが、物凄い歌を秘めている化け物が周りの小物にいいように餌食にされる話で、COCCOが主役を演じれば説得力があったと思う。
【銭】
シネパレス、木曜メンズデーで1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・アリスノウタ@ぴあ映画生活
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