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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『拳闘屋キートン』『ロイドのスピーディー』をシネマヴェーラ渋谷で観て、両極端やなふじき★★★,★★★

特集上映「映画史上の名作14」の1プログラム。

◆『拳闘屋キートン』
五つ星評価で【★★★スポ根キートン】
ボンボンのキートンが体育会系家族にいる美人を射止めるため、
いやいやながらボクシング修行に精を出す話。
キートン特有の「何でこんな事を思い付いたの?」という奇想もなく、
どちらかというとドラマに忠実な一本。
最終的に精神論で気合いがあれば強敵に勝てる
というのはキートンのテイストっぽくない。

キートンはいつも文化系男子で身につまされるわあ。

お目当ての女の子がほんのちょっとトリンドル玲奈似。

PS キートンには「拳闘屋」より「弁当屋」が似あうと思う。


◆『ロイドのスピーディー』
五つ星評価で【★★★ロイドのキャラって苦手。映画そのものは悪くないのだけど】
代表作の『用心無用』とかも見てないので、これが人生初ロイド。
ロイドのキャラって明るくって、エネルギッシュで、隣の兄ちゃんっぽくって、
「みんな俺のこと好きだろ」って自覚しているようで、
周りに迷惑かけても反省しなそうで、
その場がしのげればそれでいいと常に考えていそうで、どうも好きになれない。
映画の主人公に聖人君子でいてほしいとは思わないのだけど、
自分を律する慎ましさみたいな部分は持っていてほしいのだ。
これ一本しか見てないので当てずっぽうだけど、
ロイドを主役にした地上げ屋の映画とか簡単に成立しそう。

物語は転職ばかり繰り返すロイドが、
ひょんな事から恋人の父ちゃんの馬車鉄道の利権争いの情報を聞き出し、
大馬車カーチェイスで大活躍の末、義理の父ちゃんの廃業を救う。

やばいのは義理の父ちゃんの廃業を救った後、
その廃業を仕掛けた相手に、
「これで0円で入手は不可能になりましたね」とばかりに、
高値で馬車鉄道を売ってしまうのである。
その終わり方でハッピーエンドになっているが、
これは馬車鉄道を生活の依代としているご近所さんへの裏切行為に他ならない
(売却後、馬車鉄道の運行は全く保障されていない)

ベーブ・ルース本人が特別出演している。
ヨチヨチした感じの歩き方を見ると成程この人は人気出る人だというのが分かる。

ロイドが恋人と行くアメリカの遊園地おもろいなあ。
これ、このまま採用すればおもろいのにって遊戯施設が幾つもある。
子供用以上にデートスポットとして賑わっている様子だった
(映画エキストラに大量の子供呼べなかったって可能性もあるけど)

ロイドの恋人役の女の子は安い風俗嬢みたいで
外見だけなら「超・好みじゃない」タイプ。
いや、サービスがよければ風俗嬢の外見にはこだわらんけど
(そんな告白はいらん)。


【銭】
シネマヴェーラの会員ポイント9回でロハ入場。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
拳闘屋キートン@ぴあ映画生活
ロイドのスピーディー@ぴあ映画生活

『傷物語 Ⅰ 鉄血篇』をシネ・リーブル池袋1(奥)で観直して、パンツパンツふじき★★★

五つ星評価で【★★★パンツ】
一応、パンツを見直すために見に行った。
パンツ綺麗すぎて、通販の外人下着モニターみたい。
だから、あのパンツの下が毛深かったりしたら、やらしいだろうなあ、
とか無駄に妄想を巡らせたりする。
なので、どちらかと言うと「綺麗」に進めた為にエロくはないパンツに比べて、
重力の影響を受けすぎてる羽川翼のだらしない乳はエロい。

本当は前回、後半、ちょっと船を漕いでるし、
週替わりで貰える小説にも興味があったので行ったら、
小説は配布冊数を越えててもう貰えなかった。

しかし、最終的に3本の映画にする、というので
途中でぶった切って構成とかグチャグチャで、
後半、何が起こる訳でもない会話が続くシーンは
私、ダメだったな。


【銭】
テアトル会員割引で1300円。

▼関連記事。
傷物語〈Ⅰ鉄血篇〉(1回目)@死屍累々映画日記
熱血篇@死屍累々映画日記

2015年着服記録

お金を拾ったら、都度ツイッターで呟いてる。

2014年は877円だった。
2015年は……

01/02     1円
01/05    20円(自販機釣銭忘れ)
03/25     1円
03/31    500円
04/04     2円
04/17     1円
04/24     1円
04/25     1円
05/08    100円(自販機釣銭忘れ)
05/17     5円
06/09    50円
06/10    50円
07/03     5円
07/08    20円(自販機釣銭忘れ)
07/08    100円
07/14     1円
07/23     1円
07/31    100円
08/06     1円
08/06    10円
08/22    10円(自販機釣銭忘れ)
08/23    10円
08/24    10円
08/27     1円
09/08    10円
09/17     1円
09/18    10円
10/26    10円
10/30     8円
11/09     1円
11/18    50円
12/12     1円
12/15     1円
12/22    10円
12/27     1円

計     1104円

2014年は29回拾ってたから6回余計に拾ったことになる。
いやあ、去年は拾うたなあ、ほんま(額はそんな上がらんけど)。

日本インターネット映画大賞・外国映画2015年分の投票記事だ、ふじき

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『 外国映画用投票テンプレート』

【作品賞】(3本以上10本まで)
  「ベテラン」 8 点
  「マッドマックス 怒りのデス・ロード」 6 点
  「ひつじのショーン」 6 点
  「激闘 ハート・オブ・ファイト」 2 点
  「ヒックとドラゴン2」 2 点
  「カンフー・ジャングル」 2 点
  「みんなのための資本論」 1 点
  「群盗」 1 点
  「犬どろぼう完全計画」 1 点
  「シャークネード」 1 点
【コメント】
 3位までが圧倒的。但し、洋画も豊作であり、
 泣く泣く落としてしまった物も多い。


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【監督賞】              作品名
   [ダンテ・ラム     ] (「クリミナル・アフェア  」)
【コメント】
 「激闘」も素晴らしかった。

【主演男優賞】
   [ニック・チョン    ] (「激闘 ハート・オブ・ファイト」)
【コメント】
  あの役作りは普通じゃない。

【主演女優賞】
   [リリー・ジェームズ  ] (「シンデレラ点      」)
【コメント】
 王道を選んでしまった。

【助演男優賞】
   [ニンジャ       ] (「チャッピー      」)
【コメント】
 yoyo テンシヨン

【助演女優賞】
   [ヨーランディー    ] (「チャッピー      」)
【コメント】
 yoyo テンシヨン

【ニューフェイスブレイク賞】
   [サラ・スヌーク    ] (「プリデスティネーション 」)
【コメント】
 普通じゃない。

【音楽賞】
  「クリード
【コメント】
 あの場面で、あの曲の使い方は反則。でもまあ反則でも勝てばいいか。

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【私が選ぶ○×賞】
   [[ひみつ           ] (「ひみつ        」)
  「ひみつ           」
【コメント】
 ひみつ

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 この内容(以下の投票を含む)をWEBに転載することに同意する。
(同意しない方は「同意する」を「同意しない」に書き改めて下さい)
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▼関連記事。
各ベスト10作品のコメント記事は後から書きます。

日本インターネット映画大賞・日本映画2015年分の投票記事だ、ふじき

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『 日本映画用投票テンプレート』

【作品賞】(3本以上10本まで)
  「悦楽交差点」 10 点
  「海街Diary」 8 点
  「日本と原発 4年後」 2 点
  「ビリギャル」 2 点
  「コワすぎ最終章」 2 点
  「超コワすぎFILE02」 2 点
  「俺物語」 1 点
  「ガールズ&パンツァー劇場版」 1 点
  「ハーモニー」 1 点
  「這いよれ!ニャル子さんF」 1 点
【コメント】
 「悦楽交差点」のキツさと「海街diary」の優しさ。
 あと同傾向の作品はできるだけその中の一番を選ぶようにしてるけど、
 コワすぎは良すぎて2本入れてしまった(3本入れるのは抑制した)。


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【監督賞】              作品名
   [白石晃士       ] (「コワすぎ最終章     」)
【コメント】
 去年に引き続き、プロジェクト完遂能力、物語をうねらせて観客を黙らせてしまう力を支持。

【主演男優賞】
   [藤原竜也       ] (「探検隊の栄光      」)
【コメント】
  「俺物語」の鈴木亮平にあげるのが妥当なのだろうけど、何か小さい映画で熱く燃えて一人で映画支えてる感じの藤原竜也が妙に愛しい。

【主演女優賞】
   [古川いおり      ] (「悦楽交差点       」)
【コメント】
 今年はこの豪腕を避けては通れない(去年の安藤サクラと同じコメントだ)。

【助演男優賞】
   [永瀬正敏       ] (「さいはてにて      」)
【コメント】
 この人がクズをやると、現実にこういうクズがいるようにしか見えない怖さがこもる。

【助演女優賞】
   [深津絵里       ] (「寄生獣・完結編     」)
【コメント】
 「深夜食堂」の多部未華子と悩んだが、映画そのものの評価を明らかに底上げしている深津絵里の地力を讃えたい。

【ニューフェイスブレイク賞】
   [藤野涼子       ] (「ソロモンの偽証 前編・事件」)
【コメント】
 ちゃんと育ててあげてほしい。

【音楽賞】
  「Boruto
【コメント】
 ナルト同様、和と洋の合体したあの劇畔はとても気持ちがいい。そう言えば世代を継ぐ話は「クリード」ばっかでもなくて、これもだよな。

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【私が選ぶ○×賞】
   [[ひみつ           ] (「ひみつ        」)
  「ひみつ           」
【コメント】
 ひみつ

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 この内容(以下の投票を含む)をWEBに転載することに同意する。
(同意しない方は「同意する」を「同意しない」に書き改めて下さい)
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▼関連記事。
各ベスト10作品のコメント記事は後から書きます。

『ブリッジ・オブ・スパイ』をトーホーシネマズ渋谷6(B1F)で観て、ジェフ・ブリッジやないんかいふじき★★★

五つ星評価で【★★★主演はトム・ハンクスだけど誰でもええわ】

脚本がしっかりできてて、演出がちゃんと脚本のまんまやってるから、よっぽど変な人を据えない限り、主役は年輪を感じさせる人なら誰でも大丈夫。例えば、間寛平が主役で裁判所や東ドイツで「かいーの」を連発したら映画は壊滅してしまうだろうが、ごくごく普通に日本の映画宣伝部がやるみたいに「橋」で引っ掛けて、ジェフ・ブリッジスが主演でも映画その物は大丈夫。じゃ、何でトム・ハンクスなのかと言うと、抜群の興行成績、つまりトム・ハンクスがお客を持っているからだろう。一応、トム・ハンクスも間寛平みたいな時期(『ビッグ』)があったが、まあ、今、あそこに戻る気もあるまい。で、脚本のコーエン兄弟、監督のスピルバーグがビッグネームで、役者は世界的に有名なのはトム・ハンクス一人だけ。この「トム・ハンクス主演」というのが宣伝の根幹で、キャスティングで宣伝が全て終わっている、と言っていいだろう。

まあ、別にトム・ハンクスが悪い訳でもなく、トム・ハンクスは良かったよ。
あと、私自身は良く知らないけどロシアのスパイ、アベルを演じたマーク・ライランスももう一人の不屈の男(Standing Man)で、彼自身が何か行動を起こせる訳ではなく、全て受け身の体制なのであるが、信念を曲げない姿勢で言えば、私にはこちらの方が恰好良く映った。外見は目がウルウルしてる波平なんですけどね。

「Standing Man」=「不屈の男」って訳は決まりきった訳なんだろうか?
もう、これ以上ないドンピシャな訳なのだが。
トム・ハンクス演じるドノバンが不屈の男である事に異論はないが、周り全ての小人物が一人でも誤った行動を起こせば、成功はおぼつかなかったろうから、やはり幸運であったとは思う。そして、私がロシア人だったらドノバンのスキャンダルでっちあげ写真とかを撮らせて、最終的にドノバンが不屈であっても彼の権限を行使できなくなるそういう絵図を描くな。最低だな、俺。

ただ、これ映画の最初で「史実に基づいた」と訳されているけど、
「inspired true story(史実に触発された)」と英字幕が出るので、
本当はこんなスッキリした話ではなく、
もっとエゲツない裏取引とかあったのかもしれない。


【銭】
トーホーシネマズデーで1100円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ブリッジ・オブ・スパイ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
ブリッジ・オブ・スパイ@ペパーミントの魔術師
ブリッジ・オブ・スパイ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

PS 主演、橋幸夫でどうだ(いやダメだろう)
PS2 鰤が大好きな辻さんでも……

『ピンクとグレー』をトーホーシネマズ渋谷3(4F右)で観て、すげえな夏帆ちゃんふじき★★★

五つ星評価で【★★★ピンクからグレーに世界が変わる仕掛けはよく出来ている】

原作がどうなっているのか分からないが、チラシに書いてある通り、「幕開けから62分後の衝撃」の「ある仕掛け」は実によく機能している。これが映像として実に上手い機能の仕方をしているので、文章で読ませる原作がどうなっているのかが逆に気になる。輪っかになってループするなら、なかなかいい商売だ。映画では重視されずにスルーされた「6通の遺書」こそが原作側の「仕掛け」ではないだろうか、と推測してる。

映画としてはその「仕掛け」が一番の見所であり、逆にその「仕掛け」を外してしまうと実はそんなに大した話ではない。「仕掛け」の裏に隠されていた「謎」もそんなに心臓突かれるような大きな物でなかったのがちょっと残念だ。

「サリー」「リバちゃん」「ゴッチ」って
仇名の付け方は微妙に寒い気がするんだけど、それは私が年を取ってるからか?

いやあ、夏帆ちゃん女優だなあ。
この可憐で可愛くて毒々しい夏帆ちゃん見れただけで、この映画は見てよかった。
役者としてこういうのってやりたい役だろうな。

同じように菅田将暉もふり幅の大きい美味しい役だ。

今回、主役に抜擢された中島裕翔は前の二人ほどは美味しくない。
彼の役のふり幅を大きくすると観客が話を追いきれなくなってしてしまうので、
彼の役には制約があるのだ。うん、でも、彼は辺りがよくて悪くない。

さて、岸井ゆきの(現実な方の彼女)は、夏帆ちゃんと対比される役どころである。
夏帆ちゃんが(夢と超現実)で、どこにもいないのに比べると、
岸井ゆきのは本当にどこにもいそうだ。
舞台の渋谷で100人くらい徒党を組んでいそうだ(それは嘘)。
彼女は『友だちのパパが好き』でも好演している。
匙加減のできるいい女優だと思う。

柳楽優弥(現実な方の彼)はミスキャストだと思う。
これは柳楽優弥が上手いとか下手とかではなく、
「パッと見」のイメージがきつい化粧をした菅田将暉と
ちょっと被って役の境目が分かりづらいからだ。
別に誰でもいいのだが、一目で全然違う顔の人間を連れて来る方がいい。
極端に言えばフォーカスをズラして、顔をはっきり映さなくてもいい。

ああ、それにしても芸能人になってあの店に行きたいなあ。


【銭】
トーホーシネマズデーで1100円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ピンクとグレー@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
ピンクとグレー@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
ピンクとグレー@ペパーミントの魔術師

PS 実は泉ピン子だったという『ピン子とグレー』じゃなくってよかった。
PS2 「ダダ」の事を「ダダ星人」という奴は死刑。

『母と暮せば』をUCT11で観て、吉永小百合が吉永小百合だふじき★★★(ネタバレ)

五つ星評価で【★★★吉永小百合という劇薬の扱いとしては最近一番】

ラストシーンについて語っているネタバレ原稿です

130分は長い。
64分の『傷物語』と同じ代金ならお得かもしれないが、いやいやいやいや。
要は適正な長さではないのではないか(実は『傷物語』の64分も適正な長さではなく、あの短さなのに長い)。
えーと、『母と暮せば』の前半、中盤のスローペースで居眠りをしてしまって罪悪感を高ぶらせている。二宮和也演じる息子と黒木華演じるその恋人が、普通の青年であるという事を表わす為なら、その過去にこだわる必要はなかっただろう。過去に戻るまでもなく、普通の人にしか見えない。吉永小百合も他の出演者も何ら特別に見える人は出ていないし、そういう演出もされていない。にもかかわらず、そういう普通の人が残虐な兵器で殺戮されたという語りが胸に迫る。あの地獄を映像化しなかったのは正解で、映像以上に心にずっしりとシコリが残るような嫌さを与えてくれる。同時に感心したのは原爆投下直後の「あ」というあの一瞬、あれはああだったろう。もうあの一瞬で世界が変転してしまったのだろうという事が映像で素晴らしい切り取り方をされていた。

感心するのは吉永小百合の扱いについてもである。
山田洋次は吉永小百合を腫れもののように扱わなかった。
見えるままに撮った。

近作
『ふしぎな岬の物語』では技術を持った年齢不詳の仙人的な役柄。
『北のカナリアたち』ではビックリ、SEXY吉永小百合。
『おとうと』では善人。

やはり、何か「尊敬」というファクターがかかってしまっておかしくなってる気がする。まあ、『おとうと』なんかは同じ山田洋次監督作品なのだが、今と比べるとまだお年の召し方が極端ではなかったので、映像で騙して撮れるというのをやってのけている。今作はまるで高倉健が『あなたへ』で、もうどうにもこうにもお爺ちゃんである事を隠せなかったように、吉永小百合も老いを隠せない。失礼な物言いは承知だが、ラストシーン近く寝床で葛藤する吉永小百合の身体の小ささや、皺の寄り方は、作られたものではなく、何時でも「死」と地続きの場所にいる老人が持っているものだ。この「死」をちゃんと見せる強さが映画をとても強固な物にしている。
怖い。
それは『サンセット大通り』で盛りを過ぎたグロリア・スワンソンを年老いた怪物として撮ったのと似てなくもない無情な撮り方だ。『サンセット大通り』はそれを意図的に観客に叩きつけているが、『母と暮せば』はそれを計画的にそうと思わせないしたたかさで観客に叩きつけている(のだと私は類推している)。

キーパーソンとして出てくるのが黒木華。
彼女が一緒に出て、二宮和也について同じ方向で同調しているシーンでは、吉永小百合は元気であるし、気候も夏でカラっとしている。この黒木華に吉永小百合が「息子に縛られる必要はない」という事を不承不承ながらも承知させる。
その後、黒木華が現れるのは冬。夏の軽装とは打って変わって、黒い礼装を身に付け、新しい婚約者と吉永小百合の元にやってくる。この美しい黒の和服とキラっと輝く髪止めなどは黒木華をとても大人に見せる。これは黒木華が二宮和也との子供の恋愛に見切りを付けて社会の一員として大人になった事を表わしているのだろう。そして、その際の「黒」はおそらく二宮和也に対する「葬礼」の「黒」に違いない。「人は人から忘れられる事によって二度目の死をいただく」という事を何かの映画で言っていたが、黒木華はそれを宣言する事によって老いた吉永小百合にトドメを刺しに来たのだ。本来であれば、これは新しい門出なのだから、とても明るい空気で撮ってもいい場面だ。それを山田洋次は北風が部屋の中に隙間風でビュービュー吹き付ける凍えるような場面として撮った。黒木華は最後に「ごめんなさい」と言って吉永小百合を抱きしめる。「黒」がまるで吉永小百合を覆い隠すように。冷え切った室内から帰る二人。通過儀礼は終わった。私個人は室内よりもこの帰路の二人の方が照明が明るく自然に撮っていたように思える。吉永小百合の住む住居は死に憑りつかれた閉じられた空間で、外界と隔絶されている。彼女にとっての未来(=息子)がキッチリ絶たれているなら、もう彼女は二宮和也同様に忘れられるしかない。

そして吉永小百合は死ぬ。
葬儀の席は光に満ち溢れ、吉永小百合は二宮和也と一緒にその席上を歩き、外に出ようとし、きらめく光の中、エンドロールになる。これはあからさまなサービスだろう。この後、二人には忘れられ、真の死を迎える事しか道がないのだから。逆に、映画内でお墓参りのシーンがあったように「原爆」や「戦争」も含めて、彼女たち同様、忘れられて真の死を迎えてはいけないという逆の意味でのメッセージかもしれない。


【銭】
額面1100円の前売券をチケット屋で840円でGET

▼作品詳細などはこちらでいいかな
母と暮せば@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
母と暮せば@Akira's VOICE
母と暮せば@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

PS 『母とライトセーバー』
PS2 『ちんちんと暮せば』という作品と対になってるそうです。
 おいおいおい。
PS3 長男の立場がないなあ。一回、夢枕にホラーで立っただけ。
 長男の写真とか全然、出てこないし、
 長男のレコードとかだったらすぐ売ってしまいそう。

『でっかく生きる』『ゴールド・ディガーズ』をシネマヴェーラ渋谷で観て、ダンスとミュージカルだふじき★★★,★★★

特集上映「映画史上の名作14」の1プログラム。

◆『でっかく生きる』
五つ星評価で【★★★ジーン・ケリーかく踊れり】
徴兵直前に駆け込み結婚したジーン・ケリー、3年後妻のもとに帰ると貧乏だった妻の実家は戦争特需で大邸宅に、妻はミスコンクィーンになり離婚を求められる。ジーン・ケリーはお得意のダンスと誠実かつ軽妙な人柄で妻の愛を取り戻せるのかという、ダンスコメディー。
女性とはもちろん、子供、犬、石像とまでダンスしまくるジーン・ケリーのある意味見境のない神業のようなダンスが見もの。犬と踊るなんて今だったら絶対CGだ。
屋敷に住む妻、妻の父母、祖母、執事に女中。妻を除いてみんな個性的で面白い。祖母は誰よりも理解があるし、執事は仕事は完璧だが毒舌家、etc,etc。その中で群を抜いて妻がつまらない女なので、恋愛ドラマは今一盛り上がらない。夫を亡くした同僚の妻ペギーの方が絶対いい人だし、報われるべきなのに。
まあ、話は収まるところに収まって終わるのだけど。

PS ダンスはフレッド・アステアの方が好きだな。


◆『ゴールド・ディガーズ』
五つ星評価で【★★★ワーナーの人海戦術ミュージカル】
舞台の音楽に連れてこられた青年は企業の御曹司。
兄と企業の弁護士は彼に舞台から手を引かせようとするが、
舞台のダンサーに絡め取られて妨害される。

金持ちの紳士が、下町の貧乏娘に恋で絡めとられるラブコメ・ミュージカル。

大恐慌をテーマにしたミュージカルの舞台化、という事から
ゲンの悪いミュージカル・ナンバーがかかったりする。
人海戦術のミュージカル・カットはどれも素晴らしいが、
金持ちと貧乏人の3対3の恋の取引が終わった後にかかる二曲はいらなさげ。

ぷちゃむくれた音楽家の弟より、
実務に長けた管財人の兄貴の方が全然かっこいいと思う。


【銭】
シネマヴェーラの会員割引で1000円。年会費更新で1400円も供出。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
でっかく生きる@ぴあ映画生活
ゴールド・ディガーズ@ぴあ映画生活

『ラバランチュラ 全員出動!』をHTC渋谷2(7F大)で観て、虫でシャークネードだふじき★★★★

五つ星評価で【★★★★スティーブ・グッデンバーグがいまやブルース・ウィリス】

売りは『ポリス・アカデミー』の面々が怪獣を退治するって事だけど、
別に同じ役者が数人出てるだけで『ポリス・アカデミー』の続編ではない。
主演のスティーブ・グッデンバーグは『ポリアカ』でも主演。
脇を擬音男のマイケル・ウィンスローと
ちっちゃい黒人婦警だったマリオン・ラムジーが固める。
マイケル・ウィンスローの擬音はボチボチ出てくるが、
基本、『ポリアカ』とは一線引いた世界だ。

でも、普通に面白い。
鮫がトルネードに乗って飛んでくる『シャークネード』の鮫を
炎を吹く蜘蛛に変えただけ。
後は異常なくらい一緒。だから面白い。
『ジョーズ』を熊に変えた『グリスリー』かよ。
いや、あれは大した事なかった筈だ。

蜘蛛の特撮とか、じーっと見つめていると
そんなにお金かかってなさそうなのが伝わってくる。
でも「気は心」。
蜘蛛の基本的な動きとかちゃんとしてるので、
お金はなくても貧しい絵にはなっていない。

しかし、スティーブ・グッデンバーグもいい年で、いい皺で、
アクション映画出立ての頃のブルース・ウィリスっぽい
(ランニングシャツとか着せられちゃってるし)。
「ナイス××」ってセリフはなかなかナイスだと思う。

って事で程よい油断が効いて、いい感じで面白いぜ。


【銭】
未体験ゾーンの映画たち2016作品の一本。基本1300円均一だが、前回の入場券を持って行くと割引で1100円になるので、それ使って鑑賞。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ラバランチュラ 全員出動!@ぴあ映画生活
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