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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『ヴァンパイアナイト』をシネマート新宿2で、『ブレイブ・ウィッチーズ』を角川シネマ新宿1で観て、両方困ったふじき★,★★

同日鑑賞2本をまとめてレビュー

◆『ヴァンパイアナイト』
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▲姉妹。

五つ星評価で【★ここんところの中で抜群にダメ】
温泉宿に誘導された客がヴァンパイア・ハンターと一緒に生き残る為に脱出する。
チームは5人、ハンター、女警察官、その妹のアーチェリー選手、モテない男、介護されている母。介護されている母には秘密がある。

話がもうつまんなくて、捻りがない。
狩られるヴァンパイヤは制約に乏しい。日中でも動ける。
高速移動ができるが、他の獣には化けない。多分、力持ち。
ほぼゾンビである。
女刑事の柳ゆり菜、目がクリクリしててかいーなー。
アーチェリー妹はまあ普通。
モテない男はモテない具合を検証する為にサバ・ゲーのミニドラマが編入されてる。
前野朋哉がモテない事は「百聞は一見にしかず」なので、
ワザワザ話を展開しなくてもいい。前野朋哉何でも出る感じだな。
吸血鬼は単なる白塗り隈取野郎。
デザイン的にはヘビメタ臭を取っ払ったデーモン小暮。
何がダメかをまとめると①話に枝葉が多いのに本筋は単純でドラマ上のカタルシスがない。②ヴァンパイアのヴァンパイアとしての性能や弱点が全く提示されず、彼等を退治できる者が特殊な能力者等ではなく、限りなく素人。強弱に対する基準が全くない。


◆『ブレイブ・ウィッチーズ』
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▲作品全体に百合っぽい空気濃厚。

五つ星評価で【★★いつも通りで、特別注目するような物が何一つない】
TVシリーズの一話分30分の番外編。
特別な事が特に何もなく、これ一話30分で特別公開と称して商品化する理由がよく分からない。普通に大人の事情があるのだろう。
スカートのない世界で女の子たちがパンツ見せながら魔法で戦う。いつも通りだ。
それだけ。
何がダメかをまとめると①30分という短い尺で、ミニドラマ的にカットが多いので退屈はしない。でも、これが「映画館」で掛かる一本の作品として適当かと言うと、ファンの感謝デーにでも迷い込んでしまった感じを受けてしまう。話が小さいからかな(30分で決着付ける話に大風呂敷も敷けないだろうけど)。


【銭】
『ヴァンパイアナイト』:テアトルのメンバーズカード+曜日割引で1000円。
『ブレイブ・ウィッチーズ』:1200円公開だが、額面金額1000円の前売券をチケット屋で1000円でGET。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ヴァンパイア ナイト@ぴあ映画生活
ブレイブウィッチーズ ペテルブルグ大戦略@ぴあ映画生活

『アイヒマンを追え!』を新文芸坐で観て、その演出と言うかキャスティングはイヤふじき★★

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▲後からつけると約束した写真。

五つ星評価で【★★ゲイの優しく崩れた顔】

ナチスものはドキドキゾクゾクする。
それはナチスが人類にとってどんな悪い事をやっても許される
歴史上の一二を争う大看板の悪役だからだ。
今日はいったいどんな絶望を見せつけてくれるの? 圧倒的な被虐感覚!

この映画は戦後処理として重要な位置にある、
イスラエルでのアイヒマン裁判の前段、
如何にしてアイヒマンは捕縛されたかをドイツ法曹界視点で描く。

アイヒマンなどという男は小者も小者で、
絶滅収容所への捕虜移送責任者、ならびに移送計画者にすぎない。
彼の課題はいかに効率よく収容所に囚人を送り込むかと言うだけで、
収容所での捕虜の暮らしによって彼の罪を問うたのはナンセンスだろう。
彼は職務に忠実だっただけで、
その職務においてはユダヤ人の殺害が罪に問われない特殊な環境下にあった。
彼は自分の身を守るために転向などは許されず処理を続けるしかなかった。

そのアイヒマンを追う検事の親玉みたいなのが主人公。
もう一人、検事長の部下がいるが、こいつの顔が
世間一般が「こんな」と思ってるゲイっぽい顔立ちでとてもイヤだった。
甘ったるくて厚化粧になりそうな顔、芦屋雁之助顔。

戦後の政権中枢にナチ残党が残っていたというのは初耳。


【銭】
夜間会員割引で800円。カップリング併映は『手紙は憶えている』で、これはギンレイで観てたのでスルーした。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男@ぴあ映画生活

『The NET 網に囚われた男』『殺されたミンジュ』をキネカ大森2で観て、ギドクらしいかいなあ?ふじき★★★,★★

キネカ大森の名画座企画「キム・キドク監督特集」

◆『The NET 網に囚われた男』
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▲森山未來っぽい。

五つ星評価で【★★★公安ってどこの国でもイヤな奴満載】
北朝鮮の漁師がエンジントラブルで韓国に流れつき、
韓国の公安にスパイ容疑で拷問される。
北に戻れば転向しただろうと又、拷問される。

韓国では調度の良いオフィス然とした取調室で質疑を受けるが
相手に答を聞く気はなく、決まった答にはめようとし、
その為にただ殴る蹴るの暴行を加える。
北朝鮮では、実にリアルでそっけないぶっきらぼうな地下室で質疑を受ける。
ここでも徹底的に殴られる。北も南もない。やってる事は全く一緒だ。
他人の人格を否定する。それは自分の利益の為。

利益誘導がシステム的に組み込まれているので分かりづらい韓国より、
こん棒を持った野蛮人が「おらが利益」を暗に要求してくる北朝鮮の方が
私的には怖いかな。

主人公の娘が可愛いらしい。奥さんもいい人だ。でも、みずぼらしい。やるせない。


◆『殺されたミンジュ』
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▲在りし日のミンジュ。

五つ星評価で【★★観念的すぎる】

冒頭、組織的に追い詰められて少女が殺される。
ミンジュはこの少女の事だろう。
映画内で「ミンジュ」という名前は出てこなかったように思う。
少女が殺された理由も最後まで明かされない。そこは大事ではないのだろう。
チラシに原題が書いてあった。『ONE ON ONE』、マンツーマン、一対一。
少女ミンジュを複数人で狩っていた者を今度は謎の集団が狩る。
数で優位に立っていた狩人を「一」に戻す行為がされる。
加害者が「一」に戻る事で、初めて被害者の「一」と向きなおれる。
内面的にはそうかもしれないが、映画は外面しか追わない。
なので単に、犯罪者集団が一人ずつ謎の集団の手にかかっている、
そういう映画でしかない。

そして一人一人退治しても行きつく先には果てがないようだった。
謎の集団のリーダーが納得するためには
ソウルの全ての人間を生贄に捧げなければならないかのようだった。

この映画にない「ミンジュ」の殺される理由、
彼女も又、何者かを複数人で取り囲み、加害したのかもしれない。
最初から最後まで真実が分からない中で、単に人が加害しあっている。
単純で奥深そうで変な映画。キム・ギドクの名前で許されてるように感じてしまう。

謎の集団のリーダーが藤木悠に似てるので、
何をやっているにせよ成功するようには見えない感が漂ってしまうのには困った。
藤木悠って大成功しない顔なのだ。


【銭】
2017年4月始まりで購入したキネカード(名画座回数券)。キャンペーン期間中につき半年間で3回入場券付で2000円。うち2回目を使用。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
The NET 網に囚われた男@ぴあ映画生活
殺されたミンジュ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
The NET 網に囚われた男@ここなつ映画レビュー
殺されたミンジュ@ここなつ映画レビュー
殺されたミンジュ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

『旅役者』を神保町シアターで観て、成瀬は一矢報いたふじき★★★(ネタバレ)

ラストを含めたおおよその荒筋が書いてあるので、
見てない人は控えてもらった方がいいと思います。


五つ星評価で【★★★これは積極的に好きラインの方】
「映画監督成瀬巳喜男初期傑作選」プログラムの一本。
「日本一の馬の足」を自称する、馬の足歴15年の役者が地方の興行主に被り物を壊されたことから喧嘩になり、本物の馬に代役を取られる。ジャンルで言えばコメディー。
この芸にストイックな馬の足役者の演芸論は正鵠を得ているし、そのメソッドにより演じられる馬は確かに凡百の馬の足より優れているに違いない。その実、観客はそれほど馬の演技に関心がある訳ではないので、馬を演じる人間の渾身の演技より、馬の愛嬌の方に軍配が上がってしまう。やり場のない怒りに突きあげられた役者は、ライバルの馬に演技対決を申し込む(馬にその気はないけど)。馬は走る。馬になりきった役者も走る。そこで、いきなりENDマーク。

「馬の足」に心血を注いでいる、ある意味役者根性がある面倒くさい男、この飲み屋の女を口説くのに「演技論(メソッド)」を語って威張り散らしたりもする器の小さい男がギャフンと言わされるのは、可哀想だけど、ちょっといい気味でもある。この男と後ろ足の男が運命にさいなまれながらずっとクサっている場面が映画のかなりの部分を占めているのは、バランス悪い。それならラストシーンの後ももうちょっと見たかった(見てもほがらかな展開になりそうにもないから割愛したのかも知れないが)。

素晴らしいのはラストの馬の足だ。

ドブロクで酔っぱらって本物の馬に因縁を付ける被り物を付けた馬の足が本当に素晴らしい。いや、実の馬と並べると、確かに着ぐるみみたいだし、人間が入っているのも百も承知で、動物や生物としての馬ではない。外見は違うし、壊された被りもののお面が劇中で言われる「狐」より「禍々しい悪神」のように見えてしまっている。にも関わらず、「馬であり続ける」「馬であり続けたい」という思いの強さが爆発して、その存在は馬でないにもかかわらず、限りなく馬なのだ。実態は違うし、動きも実の馬の動きから考えるとインチキだが、そこには「馬とはこうだ」という観念上の馬が確かに存在している。「演技対象である馬への愛」がただ分かる、それなのに投げやりでもあるラストシーンがムチャクチャ響いた。

ベスト馬の足映画


【銭】
神保町シアター当日一般料金1200円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
旅役者@ぴあ映画生活

『ラストコップ THE MOVIE』『リライフ』をユナイテッドシネマ豊洲9,5で観て、もうバカなんだからと同窓会的なとふじき★★★★,★★

同日鑑賞2本をまとめてレビュー

◆『ラストコップ THE MOVIE』
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▲若い二人。

五つ星評価で【★★★★窪田くんのあの声が好き】
30年間眠り続けた昭和の刑事が目覚めて、平成の草食系刑事とバディを組む。
「こんなもん」と思われるフォーマットで正々堂々とベタな展開を連打する
なかなか食えないTVドラマの映画化作品。

唐沢寿明の昭和っぷりと窪田正孝の平成っぷりのギャッブが楽しい。
唐沢寿明の30年前の奥さんか和久井映見。
朝ドラの愛子さんと違ってちゃんとしてるようだ。
その和久井映見の今の旦那が宮川一郎太。この人超被害者がよく似あう。
唐沢と和久井の実の娘役に佐々木希。
かーいくてたまらんがネジが外れてて、それも又、かーいー。
藤木直人さんは私の知ってる藤木直人さんとは違ってしまった。まあ、いいか。

ちょっと真面目に感心したのが話の閉じ方。
あの閉じ方は本当にクレバーだ。そして絶対的に不可逆だし。
佐々木希はマジ可愛い。
棒演技とか言われてたけど、そんな事ないよ。
可愛いし、面白いし、お得な役だ。


◆『リライフ』
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▲平佑奈かわいすなあ。

五つ星評価で【★★みんなどこかで見たようなヤング役者の面々が花火大会・文化祭などテンプな青春を送るちっちゃい映画】
実の所ツイッターでの評判があまりよろしくなかったのでスルーしようと思っていた。
でも、映画館に行ったら時間の繋がりが良かったので、ただそれだけで見てしまった。
まあ、そんな事もあるよ。映画は大体、評判通りだったけど。
その評判は、

よくある話をよくある通りにこなしていて、グッと来ない。

みたいな感じかな。
27歳の無職が17歳の学生生活をやり直し(リライフ)する事で人生を見つめ直すという映画だけど、このリライフを影で操る秘密組織「リライフ研究所」が何の為にそのような実験を行っているのか、実行するための諜報機関をも超越する科学力や社会的な政治力などが何に支えられているのか、というリアリティ・ラインが整備されていない。組織その物が善意の組織か、世界征服を企むような悪の組織であるかさえ分からないのである。
なので、物語は絵空事にしか見えない。というか、基本設定が成立していない状態は絵空事以下であろう。
そうではなかったが、いきなり夢オチに差し替えても全く違和感ないというのは脚本がそれだけどうでもいい現実感のない事をダラダラ描いているという事だろう。

でもまあ、お話(脚本)と、絵と緩急(演出)がバリバリに凡作ではあるが、役者陣は「あっ、あの人」という見覚えのある面々が沢山出てきたので楽しめた。

中川大志:主役。『四月は君の嘘』のサブの善人役と『きょうのキラ君』のキラ君。
 友達としてとってもいい奴が嵌るヤング役者。
 27歳の大人とその27歳の意識を持ったままの17歳の高校生を
 キッチリ演じ分けてるのはなかなか上手い。
 今回、映画の仕上がりがそんなに「グッ」と来ないので主役としては損してる。
千葉雄大:謎の会社の謎の男。最近、本当にチョコチョコあちこちに出てる超童顔。
 この人がこの顔で女の子を縄で縛ったりしたらすげえ映えると思う。
 M顔でSが映える役者(どこかSとしてのイラダチが見える気がする)。
高杉真宙:女みたいな名前だけどサブのイケメン。『PとJK』のナイーブな不良。
 しかし、この金髪イケメンがクラス一の秀才と言う高校は
 どんなレベルの高校なのかが全くもって分からない。
 落ちこぼれ高校にも見えないが、学力高そうにも見えない。
 強いて言えば「まんが高校」。マンガの中なら許せるけど、現実感が皆無。
 でも、マンガの映画化ってそんなんなんだよな。
 この映画もリアルを増やして設定を煩雑化させる親が一人も出てこない。
 みんなみなしごかよ!(最近のマンガの映画化はこんなん多いよなあ)
平佑奈:映画のヒロイン。平佑奈は出る映画出る映画、顔は同じだけど
 役の質感を変えてくるから偉い。
 今回はヤリスギに一歩踏み出しかけてる瀬戸際の演技。
 あのギコチナイ笑いは古沢健監督が付けた変な擬音ですげえ楽しい。
 基本、役の質感を演技の匙加減を変えてちゃんと調整できる、と言うのはそんなに
 特別な事ではない筈だが、一切やらん人も多いし(やれんのかもしれないが)、
 彼女みたいにキッチリ毎回作ってくるのはやっぱり偉いと思う。
 『きょうのキラ君』の冷静な幼馴染、
 『サクラダリセット』の得体のしれない系女役、
 『暗黒女子』のとても普通下級生。ポロポロ出てるなあ。
池田エライザ:エライザちゃん、エロくって好き。
 この映画の中の平佑奈は男目線から見て、可哀想には見えても常人ではないので
 ごくごく普通に「抜けるライン」として池田エライザを添えてるのはとても秀逸。
 可愛い女の子が感情バリバリなのはもうたまらん。
 が、この子が「勉強できる」って設定は高杉真宙同様、毛一つもリアル感がない。
市川実日子:『シン・ゴジラ』以降、凄く真剣に仕事をやってる女子系のオファー
 ばかりだが、元々はこの人、もっと「ぼーっ」とした役をメインにこなしていた印象。
 『シン・ゴジラ』以降、どんな役でもこなせる女役者バカだと思っている。
夏菜:モビット女。朝ドラで人気落としてしまったりあったけど、『GANTZ』から
 ずっと好き。25歳の高校教師役だが、制服着ればまだJKで通るんじゃないだろうか。
 あー、プールか何かに落ちて、仕方なくJK制服着せられて、全校生徒に見られる
 みたいな羞恥設定が見たい。というほど、出番がある役ではないのだが、
 アクセントとしていい演技してます。

しかし、女子はそんなに男子と花火大会に浴衣きて行きたいのか?
文化祭はあんな盛り上がらないだろ。
卒業旅行とかで終電に帰るような怠惰な事しちゃダメだろ。

誰かが設計図引いたようなテンプな高校生活だな(現実的ではないけど)。


【銭】
どちらも金曜、ユナイテッドシネマ・メンバーズデーに観たので1000円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ラストコップ THE MOVIE@ぴあ映画生活
ReLIFE リライフ@ぴあ映画生活

『サーカス五人組』『妻よ薔薇のやうに』『乙女ごころ三人姉妹』を神保町シアターで、『浮雲』をトーホーシネマズ日本橋3で観て、成瀬に惨敗ふじき★★,★★,★★,★★

成瀬4本まとめてレビュー

おで、成瀬とは合わないみたいだよ。

◆『サーカス五人組』『乙女ごころ三人姉妹』『妻よ薔薇のやうに』『浮雲』
五つ星評価で【★★どれもどれもだなあ】
日本映画の名監督として名を馳せてる成瀬巳喜男だが実は1本も見た事がなかった。
という事で「にわかシネフィル」っぽく、何本か通って見てみた。成瀬巳喜男という人は悪い人ではないのだろう。そういうのはヒシヒシと感じる。でも、私とは何となく生きてるスピードが違う(威張ってる訳ではない)。『マカロニほうれん荘』のキンドーさんがなんだ馬の介のテンポと絶妙に合わないように、私と成瀬も絶妙にテンポが合わない。あんまり背伸びはするもんじゃないね。順番を付けるなら、サーカス、乙女ごころ、妻よ、浮雲の順かな。

『サーカス五人組』はチンドン屋や運動会の生演奏を生活の糧とする5人の楽師が町に入って、サーカスの労働争議に巻き込まれて舞台に立ったりしながら町を出て行くまでの話。昭和10年頃のドサ回りのサーカスがどんな事やってたのかが分かって風俗的に面白い。ドラマものんびりいろんな局面があって退屈しない。映画内のサーカスで見れるのは、花形の空中ブランコ、ナイフ投げを応用した美女を的にした拳銃芸、ダンスレビュー、自転車曲芸、など。動物見世物はないようだった。映画で代わりに見る事が出来るのだからリーズナブルと言っていいでしょう。

『乙女ごころ三人姉妹』門付け芸人の母を持つ三姉妹の悩み。門付け芸人とはほぼ「流し」と考えていい。お金を貰って歌舞音曲を奏でる人。江戸時代からあったが、貧乏人がやる賎業であり、ゆすりまがいの強要や、売春などとリンクする部分もあったので、さげずまれて当たり前な感じがこの頃でもまだ残っている風である。長女は駆け落ちして家を出てしまい、三女は末っ子故に甘えて暮らしている。割りを食うのが次女で、やりたくない門付けの仕事を有無を言わさずやらされている。
そして次女は長女、三女の幸せの為に自らの幸せを捨てていく。内容キツい。何か、必殺シリーズの前半の貧乏人が巨悪でひどい目に合う部分だけで終わってしまうような、そんな話だった。
この映画が成瀬のトーキー第一作で、おっかなビックリ音を入れているようである。セリフのあるシーンとないシーンの差が顕著。もともとサイレントでも伴奏は入ってたから、伴奏だけあって延々セリフがないシーンはサイレントっぽく感じる。喋るシーンは比較的ずっと喋って間を繋いでるんじゃないだろうか。

『妻よ薔薇のやうに』ダメ夫が妻と愛人の間で板挟みになる軽コメディー。明るい修羅場みたいな独特のトーンが面白いが、ちょっと体調不良でウンウン唸りながら見たので(実際には無言です)楽しめなかった。きっと再見したら楽しめる気がするのだけど、ちょっとその余裕がない。

『浮雲』高峰秀子デコちゃんは好きなのだけど、妻と分かれられない森雅之と不貞の関係を止められない状態は見ていて辛い。高峰秀子も幸薄いが、森雅之も病的にあちこちで女と寝てしまう。いかんよなあ。こういう社会性より愛が優先されてしまう映画は苦手。
うさんくさい商売として、この頃(1955年)から宗教ビジネスが出てくるのが先見の明があるよなあ。


【銭】
神保町シアターは三作品とも「映画監督成瀬巳喜男初期傑作選」プログラムで各1200円。
『浮雲』は午前十時の映画祭価格で1100円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
サーカス五人組@ぴあ映画生活
乙女ごころ三人姉妹@ぴあ映画生活
妻よ薔薇のやうに@ぴあ映画生活
浮雲〈1955年〉@ぴあ映画生活

『ブルーに生まれついて』『ジュリエッタ』をギンレイホールで観て、青と原色ふじき★★,★★

◆『ブルーに生まれついて』
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▲イーサン・ホークとカルメン・イジョゴ

五つ星評価で【★★ジャズの良し悪しは分からん】
伝説的トランペッター、チェット・ベイカーがドラッグ取引トラブルで再起不能の怪我を負う。彼と彼の内縁の妻による再生と再起の物語。
ジャズは分からん。ジャズの音色は私の心には残念ながら染みない。
なので、イーサン・ホーク演じるチェット・ベイカーのトラブル前の演奏と
トラブル後、再起後の演奏の違いがよく分からない。
多分、演奏の音を全てシャッフルしても騙されてしまうに違いない。
というくらい、ジャズ的な教養がないのである。

イーサン・ホークの熱演には申し訳ないが、
「大変そうだなあ」くらいしか思えなかった。

PS 助け合う心がすれ違い、決定的なタイミングを逃してしまった 
 ドラッグ付き『ラ、ラ、ランド』であるとも言える。
PS2 もしくはドラッグが関係していない、
 つんくとつんくの奥さんの物語かもしれない。


◆『ジュリエッタ』
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▲娘の元親友と母

五つ星評価で【★★全く無関係な作家を思いだす】
ペドロ・アルモドバルらしい原色バリバリの映画。

母の行いに腹を立てた娘が母を捨てて12年、
母は娘の親友と出会い、娘の消息を聞いた事で思慕を募らせる。

すんごく的違いの話をすると横溝正史を思い出した。
原色が市川崑っぽいとかではなく、
物語の発端となる母ジュリエッタと、その前夫がとってもSEX大好き人間なのである。
横溝正史の愛憎乱れる混乱した血縁の物語の中に、
一人か二人SEX大好き人間が隠れており、
彼等が活躍する事で話は千々に乱れていくのだ。

ジュリエッタは好き者。
前夫とあったその日にSEXした。
前夫も好き者。何かと都合をつけては身近な女を囲い、
それが原因で殺しは起きないが愛憎乱れ討つ。
この乱れ具合が、横溝正史っぽかった。そんな風に思ったのは私くらいだろう。


【銭】
ギンレイホール、会員証で入場。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ブルーに生まれついて@ぴあ映画生活
ジュリエッタ@ぴあ映画生活
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ブルーに生まれついて@ここなつ映画レビュー
ブルーに生まれついて@映画的・絵画的・音楽的

マンガ『ガンプラはなぜ37年も売れ続けているのか?』原作ゆきもり 作画ロドリゲス井之介、ビッグコミックススペシャルを読書する男ふじき

ガンプラがずっと売れ続けている理由をバンダイへのインタビューから読み解くルポマンガ。

インタビューを砕けた形で分かりやすく描いてあるのはいいが、基本インタビューに忠実に描いてあるだけのマンガになっていて、情報伝達手段としてのマンガの適応性は認めるが、読み物としてはつまらない。それは最終的に驚くような目新しい結果が出ないからであるのと、インタビューという形式がマンガの喜怒哀楽表現に向かないからである。もっと嘘でいいから笑ったり泣いたり怒ったりする方がマンガとしては面白い。インタビューされる人をそういう風に描けないのならインタビュアー自身が道化になるべきだ。その点、この読み物はマンガとしては覚悟が足りていない。

初出が記載されていないので、単行本として独自に売り出したものだろうが、内容は雑誌掲載の方が適しているだろう。要はコツコツお客の為に粉骨砕身しろという事しか書いていないので、それは人生訓として小出しに雑誌に載るならいいが(いいか?)、単行本として同じような話が一冊続いてツラツラ読まされてもつまらん。

巻末に載っていた同じ作者の既刊マンガ(フィクション)の方が面白そうである。

キャプション遊び

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▲吉野家VS松屋
 「お前のそのオレンジの登録商標が気に食わんかったんや」
 「奇遇やな。わしもじゃ」

『ダイヤルMを廻せ!』『暗くなるまで待って』を新文芸坐で観て、2本とも安定感抜群ふじき★★★,★★★

特集上映「ワーナー・ブラザーズ シネマ フェスティバル」の1プログラム。
どっちも凄く昔(ブログ解説以前)に1回ぐらい見てる。
でも、古すぎて全然覚えていない。

◆『ダイヤルMを廻せ!』
五つ星評価で【★★★ヒッチコック!】
真犯人の性格が悪くてビックリ。
だが、完全犯罪は蟻の一穴から崩れるのである。
あんなキッチリカッチリ秒刻みで計画した犯罪が成功するとは到底思えない。
グレース・ケリーは流石に美人。


◆『暗くなるまで待って』
五つ星評価で【★★★ヘップバーン】
ヘップバーンが盲人になって、麻薬入りの人形を暗黒組織と奪い合う。
つまり、これは『ドント・ブリーズ』の被害者が強くない版。
スティーヴン・ラングの代わりに暴漢と戦うのはオードリー・ヘップバーン。
楽勝の筈なのに体裁にこだわって成功を逃してしまう暴漢たちに同情する。
最初から殺す気で取り掛かれば、ずっと早く解決しただろうに。


【銭】
新文芸坐の会員ポイント8回分で無料入場。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ダイヤルMを廻せ!@ぴあ映画生活
暗くなるまで待って@ぴあ映画生活
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