特集上映「新東宝のもっとディープな世界」から1プログラム。
◆『日米花嫁花婿入替取替合戦』五つ星評価で【★★★★題名通り】
1957年、モノクロ、72分。
ダメ男の高島忠夫が婿養子としてアメリカかぶれの日比野恵子に飼われるような状態が延々続く。隣家は日本被れのアメリカ人夫婦。こっちも夫が妻の被れ方にいい加減我慢の限界が来ている模様。両方、ある事件をきっかけに夫婦仲が壊れて、壊れた夫婦仲が原因で真の伴侶を見つけるという題名通りの話。高島忠夫って「歌が歌える無能な男」というキャスティングに異常にピッタリだ。◆『背広さんスカートさん』五つ星評価で【★★★労働争議映画】
1956年、モノクロ、84分。
ホームラン商事の「背広さん」とヒット商事の「スカートさん」はライバル同士。同じ下宿に住む二人は徐々に接近していくのだが、ロミオとジュリエットのように会社が二人の仲を引き裂こうとする。『日米花嫁花婿入替取替合戦』では、鬼嫁だった日比野恵子は爽やかなスカートさん。タイトなセーターに広がるスカートが可愛いわあ。対する背広さんは舩橋元。山城新伍を朴訥にして誠実にしたような顔。丹波哲郎がコメディ・リリーフみたいな演技をしてて面白い。外見がトニー谷みたいな丹波哲郎ってもう失われた文化以外の何物でもない。
映画自体は〆が今一つ面白くないと思う。【銭】通常二本立てて興行価格1500円-400円(会員割引)。
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日米花嫁花婿入替取替合戦@ぴあ映画生活・
背広さんスカートさん@ぴあ映画生活
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特集「植木等と渡辺プロダクションの映画」から2プログラム。
◆『大冒険』五つ星評価で【★★★初クレイジーキャッツ】
『会社物語』は見たけど、軽いクレイジーキャッツの映画は何となく手を出さずにいて、これが初。風が吹けば桶屋が儲かる調に転がる話なのね。気分が乗ったから歌いだすというのではなく、歌謡パートみたいなのがあるのね。今はこういう作りの映画は日本ではない。
クレイジーキャッツは7人、ドリフターズ以上に役の割り振りで格差が激しい。
◆『ドリフターズですよ! 冒険冒険また冒険』五つ星評価で【★★★ドリフ2本目】
クレイジーキャッツ同様、歌謡パートのある劇映画。
ドリフターズ5人の出番格差はあるが、
それでもクレイジー・キャッツほどではない。
加藤茶、いかりや長介が話を引っ掻き回し、
高木ブー、荒井注、仲本工事がそれに追随していく。
ただ、松竹の渡辺祐介のそれぞれの持ち味をいかした宛書に比べると、
誰がどれやっても変わらないような描き方をされている。
ヒステリックで都会的。クレイジーキャッツの後釜にどうか?
そんな魂胆が見える。だから、これをクレイジーキャッツの映画に
翻案するのは決して難しくはないと思う。
学生運動・サイケ・身の立て方、ここでドリフを囲う話題は
みな大人の物だ。でも、ドリフって子供相手の商売だから、
どこか場違いな感じがしてしまう。
PS そう言えばコント55号も出てた。
全速力でおかしな事を言いながら止まらずに通りすぎて
振り向きもしないみたいな感覚はドリフよりずっと病的だった。
PS2 本人は嫌がりそうだと思うのだけど、
加藤茶と菅田将暉の目の剥き方はちょっと似てる。【銭】『大冒険』:神保町シアター有料入場スタンプ5回分で無料入場。
『ドリフターズですよ! 冒険冒険また冒険』神保町シアター一般入場料金1200円。
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大冒険@ぴあ映画生活・
ドリフターズですよ!冒険冒険また冒険@ぴあ映画生活
ユナイテッドシネマ豊洲同日鑑賞2本をまとめてレビュー
◆『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』ユナイテッドシネマ豊洲9
▲かーいー4人。
五つ星評価で【★★★★かーいくて大冒険】
スマーフェットかーいー。あの人懐っこいデザインが好き。
他のスマーフ達もそれぞれ一癖あってかーいー。
新キャラ「スマーフ・ブロッサム」のイカレ具合が最高。
浪花節な物語も大好きだ。
ガーガメルはトレンディ・エンジェルの斉藤さんに似てる。
◆『ナラタージュ』ユナイテッドシネマ豊洲4
▲高そうなコートだ。
五つ星評価で【★★えーと、あの人がつまらない】
有村架純はギリギリ。身内じゃないけど身贔屓で許してあげたい。
今まで童顔を活かして「女の子」もしくは「女の子の面を持つ女性」を
演じていたけど、この映画では「大人の女性」を演じなければいけない。
朝の連続ドラマで長期間、演技を見ていたから故の弊害かもしれないが
たまに、みね子(朝ドラ主人公)になってしまう。
大方、ちゃんとやってたけど「あ、みね子」と思うシーンがあって
そこはちょっと残念だった。
坂口健太郎くんは「そう来るのか」と思わせて大層よかったです。
若さ故に、物凄い勢いで壊れていく役。
ならば、松本潤はこの坂口健太郎の対極の役を演じなければいけない。
であるのに、恋愛対象にも関わらずつまらない男に見えてしょうがない。
何故、この男を好きにならなくてはいけないのかが大変希薄。
それが過去への恩であるのなら、もうちょっと人生経験
ありそうな役者をキャスティングした方が「らしかった」と思う。
顔に皺がある佐藤浩市みたいな役者。
松本潤は若い。
大人として演じようとしている有村架純と年の差が見えない。
教師と女生徒に見えない。細かい所から説得力は瓦解していくよ。
という事で、浸れなかった。
【銭】『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』:ユナイテッドシネマメンバー特別価格1000円。
『ナラタージュ』:ユナイテッドシネマメンバーポイント2ポイント使用で1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
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スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険@ぴあ映画生活・
ナラタージュ@ぴあ映画生活
同日鑑賞3本をまとめてレビュー
◆『アヤメくんののんびり肉食日誌』シネ・リーブル池袋2
▲御両人(地味にフレディっぽいセーターだな)。
五つ星評価で【★★リアル人間として確立できず】
原作がマンガらしいのです。
おそらく原作のマンガの中ではそれぞれにこだわりがあるニッチ同士が小さな特殊な村世界の中で分かれたり、くっついたり、というのは、そんなに違和感がない話運びなのではないかと推測する。『ドラゴンボール』や『はじめの一歩』のような頁めくり速度が異常に早い主人公と過度に一体化するマンガを除けば、カルト枠のマンガは作者が語る内容を客観視して見る形式だから、登場人物が人間として満たない様な存在でもそれほど気にはならない。遠い世界の出来事を伝聞で聞いてる感覚と言ったらいいだろうか。
この伝聞状態をそのまま掘り下げずに人間が演じる実写ドラマにしてしまうと、ありえないメンタリティ同士のキャラが「変人」という設定だけで特殊な恋愛をする事になってしまう。
主人公の椿(足立梨花)は恋より化石。美人だが酒に弱い。こういう娘はアレじゃない。本人が望む望まないにかかわらず、早目に攻略されちゃうんじゃない。大学って専門分野のみで成り立ってる訳でもないし。そもそも「化石化石」とそれしか考えられない事にリアリティーがない。彼女が彼氏に求めるのは「骨格」。ニッチではあるがそういう人もいるであろう。でも、いきなり骨が好きと言いだすのは突然すぎるし、設定だからそうであるようにしか見えずに薄い。何故、どんな状態の、とかちゃんと語らせないと「ニッチ」にすら見えない。
彼女に近づいてくる高名な考古学者の息子のアヤメ(黒羽麻璃央)、こっちも何か変。自分が好きになった女子に対して「おっぱい触らせてもらっていいですか」といきなり聞かないだろう。しかも、この言葉の意味は深く説明される事もない。これもこういう人はいるかもしれないが、彼が何故そんな事を言ってしまったのか、そんな事を言うに至る心理プロセスについてもう少し説明してくれないと、全く彼がどんな人間か分からない。容姿が出川哲郎だったら単に変質者だろう。
なので、恋愛ドラマらしいものが展開されるのですが、男女どちらにも共感性が低いので、見ていて盛り上がりに欠ける。黒羽麻璃央くんは普通にイケメンだと思うし、足立梨花ちゃんのホワホワした顔立ちは好きなのだが。足立梨花ちゃん服もとてもオシャレで明るい服を着ているのだが、地道に埃っぽい所で行う作業にアレラの服はオシャレすぎるのではないか。骨の削り出しとか汚れるんじゃないのかな?
◆『DCスーパーヒーローズVS鷹の爪団』シネ・リーブル池袋2
▲どう、無理やり実現したかはちょっと知りたいところ。
五つ星評価で【★★★退屈な部分と面白い部分が交互にあり】
低予算フラッシュアニメで有名な鷹の爪団と湯水のように金を使うDCの格差コラボ。
バゲッジ・スケールとか過去作の焼き直しも見られるが、今回は本気で資金格差がひどい筈だから、これを再採用したのは正しい。話運びはいつも通り。個々の小ネタは凄く面白いのだけど、フラッシュ・アニメの抑揚のなさで一時間越えるのは長さ的にキツい。
DCスーパーヒーローズは上手い絵を描く人に見られたがっている人が描いたみたいな絵。お金がないので絵はフレーム内を平行にただ動くみたいになっている。まともに動かせるスキルの人がいないのかもしれないが、もちっとちゃんと動かさんとアニメとして勿体ない。美男美女だが一昔前っぽいデザインだ。何故か、アクアマンだけ実写と全然イメージが違う。おそらく今回のが原型のアメコミ版に近いデザインなのだろう。
全体、なかだるんではしまうのだが、たまに物凄く考えさせられる程度の高いセリフがポンポン滑り込んでくるのは流石フロッグマン監督」。一筋縄ではいかない。
◆『アンダー・ハー・マウス』シネマート新宿1
▲かっけー姉ちゃんエリカ・リンダー。
五つ星評価で【★★エロい。】
冒頭レズ・セックスの吐息から始まる。
エロい。
主役ダラスを演じるエリカ・リンダーの少年を思わせるユニセックスな外観が凄い。ちゃんと胸や腰の括れなどあるにもかかわらず、少年っぽくも見えるって凄いデザインである。このエリカ・リンダーを引き立たせる普通の女子っぽい女子役にナタリー・クリル。「ザ・女の子」的。この二人の絡みがステキ。昔、高名な写真家のデビッド・ハミルトンが勢いに任せて作った
『ビリティス』みたいだ。あれ、面白いんだろうか。
ペニバンがこれでもかと市民権を得ているように描かれている最初の映画(だと思う)。ベッド・シーン以外は、あるあるな差別構造描写で、これを面白いとは言い難い。なんでまあ、大層イビツな映画。
【銭】『アヤメくんののんびり肉食日誌』:テアトル会員割引+曜日割引で1000円
『DCスーパーヒーローズVS鷹の爪団』:テアトル会員割引+曜日割引で1000円
『アンダー・ハー・マウス』:新聞屋系の招待券をいただいて、それを使わせていただきました
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アヤメくんののんびり肉食日誌@ぴあ映画生活・
DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団@ぴあ映画生活・
アンダー・ハー・マウス@ぴあ映画生活

▲国産初カラー映画だけど、画像はモノしかおいてなかった。デコちゃん。
五つ星評価で【★★鈍いからか、ああ、カラーだねとしか今回も思えなかった】
フィルムセンターの企画上映。映画の教室2017下
全五回で今回のお題は「色彩の探求」
二回目は「フジカラー」で、お題を満たす映画は1951年木下恵介の
『カルメン故郷に帰る』。何回となく見る機会があったのに何回となく見逃し、今回が初見。
まあ、地味な色の中に刺し色されるヌードダンサー・カルメンらの着衣の派手な原色が際立つ。「カラー」を見せるための映画になっている。その「カラー」が表わすのは文明的だったり、都会的だったり、虚飾だったり、バカ騒ぎだったり、その反面の価値観として、笠智衆の校長先生と盲人の音楽教師が中心になる、墨絵のような品行方正かつ貧しくてもいたわりあっていく世界がある。この二つが対比され、カルメンのカラー側は楽しいながらも、正しくない物として描かれ、品行方正側は正しさを背景にカルメン達を糾弾、批判する。ここが息苦しい。正しい事はいい事だけど、正しい事で全てが塗りつぶされる世界は息が詰まってしょうがない。どちらも相立つように描きながらも、教条的な方々の方を贔屓してるようなのが、正しくない自分としてはちょっと居心地が悪かった。とは言うものの、カルメン達にもうちょっと「慎み」があれば良いのだけど、「慎み」がないのは、大部分の田舎の人の特徴なのだから、それをカルメン達だけに求めるのもおかしいだろう。
【銭】フィルムセンター一般入場料金520円。
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カルメン故郷に帰る@ぴあ映画生活▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
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カルメン故郷に帰る@或る日の出来事

▲なかなか美女であるイルカ調教女。
五つ星評価で【★★こんなに雑だなんて】
ジャンルで言うと「バタフライ・エフェクト」もの。
主人公が過去に干渉し、未来を改変しようとするも
思いもよらぬ障害で未来は暗転する奴。
この主人公二人羽織(現在+過去の自分二人組)が
取り組む未来の変え方が凄く雑。異常に雑。
要は失われた恋人を選ぶか、
恋人を失った後に授かった20年一緒に暮らした娘を選ぶか、
の二択を迫られるのだが、そもそもこの二つは背反していない。
おまえら、バタフライ・エフェクトを舐めてるだろイルカ調教師の彼女は可愛い。それは認める。
【銭】新聞屋系の無料招待券もろうた。
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あなた、そこにいてくれますか@ぴあ映画生活

▲右がポーズもバッチリの影の主役。
五つ星評価で【★★★福田雄一らしい。まあ、これでいんでね】
『斉木しげるの災難』もちょっと見てみたい。
「斉木楠雄」を最初に漢字変換した時
「斉木九州男」で出たのがちょっと受けた。
まあ何つか疲れてたんですよ。
もう、映画的快楽とかそういうの置いといて
爆笑すらしなくてもよく、ただただゆるく
時間を過ごしたいと思って入場。
コレはコレ。
つまんなくてもまあええわ、という気持ちで鑑賞。
そうそう、こんなゆるさがただ欲しかった。
いい感じにくだらない。
映画的には盛り上がりがなく平坦。
果てしなくネタの羅列みたいである。
とてもTVっぽいのだけど、これはこれでいいだろう。
熱血、元ヤン、バカ、中二病なども一々面白いが、
橋本環奈がバリバリよい。もう、これは彼女のための映画である。
恋もヘッタクレもないと言われる橋本環奈が
一週回ってとっても魅力的である。
ああいうオツムがミジンコみたいな楽観主義の女の子もかーいーじゃん。
まあ、何と言ってもそれは橋本環奈の美貌あっての事なのだろうけど。
背の低い橋本環奈が厚底の内履きを履いているのが何気に好き
(脚、綺麗に見えるしね)。
あと、お母さん役の内田有紀は勿論大好きです。
【銭】ユナイテッドシネマのメンバーポイント2ポイントを使って割引1000円。
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斉木楠雄のΨ難@ぴあ映画生活▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
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斉木楠雄のΨ難@だらだら無気力ブログ
特集上映「新東宝のもっとディープな世界」から1プログラム。
◆『魚河岸帝國』五つ星評価で【★★★★見所満載】
1952年、モノクロ、96分。
新聞の採用記事を見てやって来た大卒の田崎潤は築地市場で鮮魚を運ぶオート三輪のトラック運転手をまとめ上げる「魚河岸帝國」と呼ばれる叩き上げの社長山村聡に雇われる。そこは柄の悪い伊藤雄之助や女に手を出した破門僧・千秋実など札付きのたまり場で、田崎潤は同僚とも社長ともぶつかりながら仕事に根付いていく。
場内貼りのポスターに『決斗勝閧橋』となってたので後から改題公開されたのかもしれない(ピンク映画おなじみのやり方である)。
で、まあ、見どころ満載だ。
1952年の魚河岸市場、場所は築地。
船から魚が積みだされ、市場で競られ、仲買人に買われて、最後に店に売られて行くまでが描写されてる。ドキュメンタリー『築地ワンダーランド』みたいだ。主人公がオート三輪を使って運び出すのは仲買人から店までの配達。
築地の当時の風景、蠢く人だらけ、人は速足か走り、大混雑、ちょっとコミケっぽい(そういや昔の会場の晴海も近い事だし)。
人だらけの築地をスピード規制を違反して走るオート三輪の疾走感。
タチの悪い伊藤雄之助(いつも通り貧乏人が絶品)が騒いですぐ始まるケンカ。
思ったよりラブ三昧であちこちで咲きそうで咲かなかったりして最後にはやっぱり咲く恋の花。
そんな中、田崎潤が大卒なんぼか(会社追い出されたので新卒ではない)の状態なのに、もう全然「神宮寺艦長」と変わらない容姿に容貌が出来上がっているので若者としてのフレッシュ感が毛ほどもない。まあ、不器用な朴訥さは出てた。
若者として台頭してくる田崎潤を押さえつける暴君社長・山村聡は禿ヅラで叩き上げで日雇い労働者の親方だ。酒を飲んでDVも辞さない星一徹風と言おうか、金持ってる丹下団平テイストと言おうか、あんなん父ちゃんだったら人情持っててもイヤはイヤだな。威張る、威張る、昔のワンマン社長はこんな感じだなな威張り方でいっそそこは気持ちいい感じもするが、やっぱ身内にいたらイヤだな。
その育ちの悪いワンマン社長を横目て見ながら会社乗っ取りを企む大卒の専務は役者誰だか知らないがサンドイッチマン伊達に似てる。見るからに信用できない顔立ちで「ニタ~」っと笑う。うん、外見はサンドイッチマン伊達だ。ごめんごめん。
そして最終的に田崎潤と恋のゴールインする女優は多分、花柳小菊さんという人らしいんだが、全然知らん。田崎潤のオート三輪に同乗して「スピードが遅いわ」と横から運転に口出ししてアクセル噴かせた挙句、事故って、田崎潤に入院代を支払わせるのだから、私に言わせればトラブルその物の自己中女としか思えないのだが、田崎潤頭がおかしいのか惚れてしまう。流石キチガイ艦長・神宮寺。
この頃、勝閧橋の橋桁はまだ固定されていず、船の通行によって開いたり閉じたりしていた。その映像も見れるし、開いてる勝閧橋の端から端にジャンプで渡るオート三輪みたいなアクション・シーンもある。勝閧橋を再度開かせるって、理由は忘れたが劇場版アニメっ側の『こち亀』でやってたよな、確か?
満腹感強くて、いい映画でした。◆『闘争の広場』五つ星評価で【★★★労働争議映画】
1959年、モノクロ、80分。
勤務評定を巡って文部省と日教組が激しく対立し、教師がストなどを行う中、その労働争議を教師側から描く。うーんとまあ、アカの映画だ。こんな題材で映画撮ってたりしたのね。文部省に繋がる教育委員会が(一部善人はいるものの)ブラック労働を押し付けて教師の人間性を踏みにじる悪者として描かれてる。これ今の右傾化社会だったら逆の視点で描かれそうだ。
主役のとてもいい教師役に沼田曜一。「先生」は先生でも医者役を演じた『天国はどこだ』に通じる所があるのだが、私、この人の顔を見て善人とは思えないのだよなあ。『地獄』で気持ち悪くなるようなゲス野郎を演じたあの顔の方が本当だと思う(もちろん本人の真実の姿としてではなく、役者の役の到達点として)。【銭】通常二本立てて興行価格1500円-400円(会員割引)。
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魚河岸帝國@ぴあ映画生活・
闘争の広場@ぴあ映画生活
『ありふれた職業で世界最強』が鍛冶屋なのに勇者より最強という物語なら、これは村人なのに勇者より最強というパラドックスを描く。ただ、これも村人が勇者以上を得るために常人以上の努力をするものの、基本的には世界全体の構造をだまくらかして強くなる物語なので爽快感が薄い。別に主人公は卑怯でもかまわないし、物語の上で誰をだまくらかしても構わないのだけど、JOJOがそうであるように、そういうだまくらかす姿勢そのものを嫌悪感を抱かせないように作者側は何らかの手を打たなければならない。何だろう。この物語では読者が主人公を信頼できない感じがする。それは主人公が自信たっぷりに実績も読者に見せていないのに、そこそこ万能だからじゃないだろうか? 種は明かせないが、自信たっぷりで上から目線って感じがちょっとイラっとする。うーん、私はそう。
五つ星評価で【★★★★長い話をとてつもなくカットしてるらしく、それが逆にスピーディーなテンポでええんやわあ】
特集上映「新東宝のもっとディープな世界」から1プログラム。
1953年、モノクロ、136分から70分にカットされた。
乙羽信子が婚前から孫がいてもおかしくない年までを演じ切る。何が凄いって乙羽信子の兄役の宇野重吉が学生服着て若者役なのだ。宇野重吉は物心付いた時から年齢不肖ながら謎の貫禄で爺さんだったけど、学生服着ても貫禄あって若者に見えない。若者の中に潜伏してる何か怪しい奴みたいだ(演じてる時点で若いかどうかはよう知らん)。
で、乙羽信子もいい。何か度胸がすわってる。気持ちいい。ファニー・フェイスでもってして、キツイ口調で正論かます。割と周りの男がクズばかりなのを包みながらいなしていく。しかし、夫もクズで舅もクズで息子もクズってのは因果応報だとしたら祖先供養か何かをやり直した方がいいレベルだ。自分が傷付きながら、無理を通して、周りを幸せにするようなキャラは日本人だったら大好きである。そして、そういうキャラに乙羽信子が似あう。
殿山泰司が帳場を預かる番頭役で出てるけど、何かとても普通の端役。女好きっぽい顔はそのまま、全然、事務的に番頭をこなしている(まあ、エロい部分がカットされてる可能性もあるけど)。
あのラストで終わりってのは逆にいいセンスかもしれんが(秘密)、ポンと10年くらい簡単に飛んでしまう編集はとても小気味よい。旦那も舅も変死、旦那が他の男に孕ませた不義の子を育てるなど、そんなレアな人生を『女の一生』扱いするのもどうかとも思うが、庶民的な顔立ちの乙羽信子が演じる事で『彼女の一生』から『私たち女の一生』になってるという訳だ。全ての女が乙羽信子にはなれないが、全ての女が乙羽信子の朋友であり、「乙羽信子と私たち」の関係を築く事で、最終的に『女の一生』という題はやはり違和感がない。やるなあ。
PS 原因は謎だが日一日と女性になってしまう男、高橋一生を描いた『女の一生』という作品があっても良いと思う。【銭】通常二本立てて興行価格1500円-200円(夜間割引)-400円(会員割引)。カップリングの『新遊侠伝 遊興往来』は時間の都合で全く見れず。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
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女の一生〈1953年〉@ぴあ映画生活
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