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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『イット』を109シネマズ木場1で観て、この恐怖感削減は意図的か?


▲このシーンは怖い。このトーンでずっと行ってくれれば…

五つ星評価で【★★★いい部分もあるがいかんせん「イット」が怖くない】
そう、負け犬少年(&ガール)が集まって、大人でも解決できない町の恐怖を撲滅する。このプロットがとても魅力的。集められた少年は皆、ひ弱かデブ、身長は低く、獰猛な(と言うより気が狂っている)体育会系には勝てない。彼等は吃音症だったり、臆病だったり、内気だったり、口を開くと「開くんじゃねえ」だったり、虐待を受けてたり、ともかく、弱者だ。その弱者がそれぞれの力を持ち合わせて、得体のしれない「それ」に勝つ。いいプロットだ。でも、ちょっと彼等の数が多い。もちっと整理できなかったのか(原作あるし、チャプター2との絡みもあるから、事はそう単純ではないか?)
このプロットが良いから、いい話を見終わった感はそこそこ高い。

でも、問題なのは「それ」が怖くないのだ。
ピエロって何にもしなくても怖いものなのに。
何にもしなくてもいいのにしちゃうんだ。馬鹿だなあ。

さて、「それ」が何なのかは解明されない。
どうやら、昔からいて、恐怖する人を食らう。
「彼」でも「彼女」でもないから「それ」としか言えない。
つまり「それ」は人格を認められない何かだ。
町に潜む恐ろしいシステムに近い。
「それ」はピエロを偽装する。何故か。
おそらく、子供を捕食する「それ」は
子供が敵意を見せない物に偽装するメリットを選んでいる。
版権的に問題がないならミッキーでもキティちゃんでもいいだろう。
おそらく、人々がアメリカに移住した頃から
「それ」はこの偽装をしている。
その時にはこれくらいしかそういうキャラがいなかったからだろう。

さて、ピエロは何故怖いのか。
私感ではピエロは白塗りが怖い。
「舞踊」を踊る時の山海塾や麿赤児のようだ。
白塗りは表情を塗りつぶす。
塗りつぶした表情の上に笑顔や泣き顔が描かれるが
それはあくまでそういう偽装である。
心の中ではどう思っているか分からない。
つまり、何も表情のない仮面をそいつは付けている。
原始、捕食者と向きあってきた経緯から、
人は相手の真意が読めない状態に対して恐怖を覚える。
それは真意が読めない相手がいきなり害意を剥き出しにして
捕食者に変わる可能性があるからだ。
「恐怖」と言うのは獲物である人類が持っている
捕食者に対する危険信号である。
だから、捕食を悟られないよう、感情が見えない、
もしくは別の感情を上書きして真の感情を隠匿しているピエロは怖い。
なのだが、乳児に近い幼児などは「この隠匿」その物に気が付かない。
だから、ピエロを恐怖なしに楽しめる。
社会性を身に付けた大人も
「まさかピエロがいきなり害意剥き出しで襲ってくる」とは思わないから
日常生活でピエロみてションベンちびったりはしない。
ただ、何となく怖い。怖いの原因はそういう所にあるのだと思う。

だから逆に「イット」のピエロは怖くない。
「イット」はその表情が饒舌で獣のように感情が剥き出しである。
そうすると、逆にピエロのコスチュームがただ単に派手で
人目を引いて捕食に有効でない頭の悪い所作にしかならない。
一番悪い組み合わせである。
例えば、「イット」がほぼ等身大の人間同様、病んだ感情を剥き出しにして
ピエロのコスチュームも雨曝しで色落ちなどしていれば、
それはそれで異様な怖さの空気が漂ってきたと思う。
それは害意をまき散らして然るべき当然の空気感を纏っているから。
その時点で、その「イット」は「それ」ではなく、「彼」感がとても強くなってしまうが。

映画内の「イット」は「それ」ではない。
素性は分からないが「彼」である。
「それ」と称される非人格性を剥奪されてしまっている。
恐怖映画としての、この悲劇。

そして、このアンバランスな状態であるからこそ、
恐怖シークエンスはいっぱい入れられる(モジリアニとか(笑))のに
根本で心底からは怖くない、変な恐怖映画として出来上がった。
これはこれで失敗ではなく、そういう物を意図して作ったのなら凄い。

だって、こういう構造の方がティーンとか大挙して見に来れるもの。
割と計算されて怖くなくしているような気もするが、
そうすると悪評はピエロを演じた役者に集まってしまうかもしれない。
それは可哀想かもしれないし、ギャラ貰ってるからしょうがないかもしれん。

多分、役者の顔を消して、ピエロをのっぺらぼうにしてしまえば
「イット」は「それ」になり、恐怖映画としてのグレードは上がると思う。
ただ、興行収入は落ちる。
怖すぎる映画は間違えて爆発的に入ってしまう事もあるけど
世間からそれほど熱狂的には求められていない(マニアは別)。
みんな怖がりたいけど、そこには「発狂したいほど」とか
「失禁したいほど」というレベルは求めていないから。
うんまあ、私もそうだから、「イット」は「イット」という名前の「彼」でいい。

女の子ちゃんがビッチで可愛いけど純情っぽさも残っててよかった。
あの河ポチャのブラとかヤバイ。
あ、このメンツって白雪姫と七人の小人なのか。
デブくん、童話の垣根を乗り越えて頑張ったな。
ただ、それでも童話の主人公にならないところがデブくんのペーソスな部分だ。やるせねえ。俺はお前の味方だぞ、デブくん。近寄って来たら汗くさそうだから「あっち行け」とか言うかもしれないが、心では支持してる(うさんくせえな俺)。


【銭】
109シネマズのメンバー割引デー(曜日)で1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
IT/イット “それ“が見えたら、終わり。@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
IT/イット “それ“が見えたら、終わり。@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
IT/イット “それ“が見えたら、終わり。@ノルウェー暮らし・イン・原宿
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