
▲ダダの人間標本ビジュアル。いや、バケルくんか。
五つ星評価で【★★役者はまずまず、話はどこか何かが欠けている】
「怪物くん」と称される規格外人物が、「この怪物に出会うまで、私たちはみんな独りだった。」という状態を打開したかのような映画のコピーがあるのだが、別に「怪物くん」が何かをしてそうなった訳でもなく、強いて言うなら自然にそうなる事が「友情」物なのだ。しかし、この「すんげえ暴力野郎」と誤解されていた奴が、「その暴力に理由がある実は正義の人」である事が明らかになって、周囲と打ち解けていくという構図は全くもって
『honey』と一緒だ。テンプと言えばテンプなのかもしれないが、高校の始業式の時に問題を起こすなんてのが一緒と言うのはちょっと一緒すぎだろう。直接・間接の違いはあるが、正義を行使されて友達になるのが佐野岳、
『honey』では横浜流星。近寄りがたいん彼の意外な一面に触れステディ位置に登りつめたい女の子が浜辺美波、
『honey』では浅川梨奈。怪物くん側の菅田将暉が暴力は振るうものの天然で頭脳が天才、
『honey』の平野紫耀は暴力は振るうものの礼儀正しく学力は赤点タイプ。怪物くんの方が精神的に幼稚なので近くにいたら異質かもしれない。ああいうヘラヘ笑いながら暴力振るうような奴は菅田将暉だからみんな許せるのだ。今日、へらへら笑いながら暴力を振るう伊藤雄之助のドラマを見てそう確信した。
菅田将暉はナチュラルな天才「怪物くん」を好演。彼の何が原因で他人と異なるようになり、それがどう異なり、親の佐野史郎からどう思われて遠ざけられ、又、どういう判断で呼び戻されようとしているのか。この辺は映画からはみ出してる部分で良く分からない。アウトライン透けるくらいである。いや、この辺はちゃんと描くべきでしょ。お試しマンガ読む限り、実際あんなキャラなのだが、そのキャラの出自を描かないのは強い「逃げ」を感じる。
土屋太鳳は冷血ガリ勉役。この娘は「美少女」とか「可愛子ちゃん」みたいな枷を外した方が演技が面白くなるので、この役自体は面白く演じていた。多少の不細工は池田エライザと浜辺美波で補完するからよろしい。この土屋太鳳(や菅田将暉)の着用するブレザーやセーラー服が物凄く色の濃いオレンジで「月曜ドラマランド」感を果てしなく強く醸し出している。土屋太鳳ちっちゃいので池田エライザと並ぶと池田エライザが膨らんで見えてしまって、その辺はちゃんと撮る側が気を付けてあげればいいのにと思った。
池田エライザは「私、可愛いので」と口に出しちゃうKYキャラで成績の良い土屋太鳳に勉強を教えてもらおうと近づく役。それは補習授業の時間にあるオフ会に出席する為という裏の目的があるのだが、達成されても、そのオフ会に怪物くんが付いていくという膨らみそうなエピソードもあるのに映像化されない。えつ、何、このクソ脚本。おそらく原作ではこのネット女がオフ会でネット野郎どもにヒドイ目に会ってリアル友達の怪物くんとグッと近づくんであろう。まあ、尺がなかったのかもしれないが、それなら彼女ごと話を切った方がスッキリすると思う(バッサリ役が小さくなる池田エライザには災難だろうが)。
浜辺美波可愛いわあ。すげえ細かくて緻密な演技ぶち込んでくるけど、一人だけ演技のスピード感が違って見えなくもない。
佐野岳はどうでもいい。いつもそんな位置にいないか?
山田裕貴、金持ちで育ちがいい役らしいのだが、金髪で目つき悪いのでヤンキーっぽい。マンガではサラサラ金髪で美形なのかもしれない。ただどうも山田裕貴がお金持ってる風だと、ドラッグか何かを扱ってるように見えなくもないから、これは誰か他の人にオファーした方が良かったのでは?
速水もこみち、「恋はいい。良くも悪くも人を変える」と言っておきながら、池田エライザから告られたら、速攻、断ってしまう。え、何、どうしたいの、このクソ脚本。バッティングセンターに無理やりバー・スペースみたいなのを設けて「モコず・キッチン」みたいにしてるけど、あのバースペース、高校生が来るくらいだから儲かりそうにない。この恋バナを大きくしないもこみちの下りもカットしたりすると池田エライザ、いつもニコニコ笑うだけのモブキャラみたいになってしまう。案外、そういって役柄を剥奪されたのが佐野岳だったりして。
古川雄輝が菅田将暉と並ぶと割とちゃんと兄弟に見えるのおもろい。
まあ、可愛い浜辺美波ちゃんが見れて、土屋太鳳の泣きの演技が良かったからいいか。みたいに登場人物多いと何かしらフックにかかるものがあるのだけど、映画、見終わった後の「見終わったあ」という感じは全くなかった。「あ、終わってもた」みたいな感じ。
【銭】額面1400円の前売券をチケット屋で1000円でGET。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
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