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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『劇場版 空の境界 第七章+終章』『劇場版 空の境界 未来福音 extra chorus』シネ・リーブル池袋2

◆『劇場版 空の境界 第七章 殺人考察(後)』

五つ星評価で【★★だって、つまらん】
2回目。
しんどい。これは単にサイコパス同士の痴話喧嘩。
第五章でラスボスを倒してしまったので、第七章の敵はチンケな小物。堂々五分でやりあってるように見えるが、これは式が不調と言う事にすぎない。


◆『劇場版 空の境界 終章 空の境界』

▲酋長(嘘)。

五つ星評価で【★最低】
初見。これだけ見れないでいた。
発作的に公開され、上映期間が一週間だけだったので見落としていた。
禅問答。こんなんでも喜ぶ人はいるんだろうな。


◆『劇場版 空の境界 未来福音 extra chorus』

▲瀬尾静音。


五つ星評価で【★★★★意外とイケる】
2回目。
短編3本と新長編とその新長編のスピンオフ。

短編はデザートみたいで楽しい。
新長編は敵に未来視と言う異能を連れてきたのが効いている。
勝てそうにない敵ほど面白い。
新長編のスピンオフはいらなきゃいらない。

後、新長編で出てくる瀬尾静音が計算された可愛さの極致。
純情でマヌケ(褒め言葉)で怖がりだけど、
何かが起きる時には一歩踏み出さずにはいられない。
第七章で彼女が寮で犬を飼っているのは、
この新長編エピソードでのトラウマを乗り越えたのだったら偉い。


【銭】
プログラムE(第七章+終章)で1500円均一だがテアトル会員限定で200円割引。
プログラムF(未来福音)で1500円均一だがテアトル会員限定で200円割引。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
劇場版 空の境界/第七章 殺人考察(後)@ぴあ映画生活
劇場版 空の境界/終章 空の境界@ぴあ映画生活
劇場版 空の境界 未来福音@ぴあ映画生活
▼関連記事。
空の境界第一章(2回目)+第三章(2回目)@死屍累々映画日記・第二章
空の境界第一章3D(3回目)@死屍累々映画日記・第二章
空の境界第三章(4回目)@死屍累々映画日記・第二章
空の境界第四章(3回目)@死屍累々映画日記・第二章
空の境界第五章@死屍累々映画日記・第二章
空の境界第五章(2回目)@死屍累々映画日記・第二章
空の境界第六章@死屍累々映画日記・第二章
空の境界第六章(2回目)+REMIX(3回目)@死屍累々映画日記・第二章
空の境界第七章@死屍累々映画日記・第二章
空の境界REMIX@死屍累々映画日記・第二章
空の境界REMIX(2回目)@死屍累々映画日記・第二章
空の境界未来福音@死屍累々映画日記・第二章

コカ・コーラ「ザ・タンサンアップル」

ザ・タンサンアップル

ザ・タンサンの新しい奴。
「ほのかなアップルの風味とヘパーミントエキスを使用した、スッキリとした清涼感が引き立つ強炭酸水です。」だそうである。

0キロカロリーなので甘くない。
甘くないのに、それなりにリンゴっぽい。
何やらアップルパイの甘味だけどこかに捨てちゃったみたいな味なのである。
一回呑んでみてもらえれば言ってる意味が分かると思う。

甘味を捨てたリンゴはそんなに美味しくないね。

『ピーターラビット』『犬ヶ島』ユナイテッドシネマ豊洲12,6

豊洲で同日に見た2本をまとめてレビュー。

◆『ピーターラビット』ユナイテッドシネマ豊洲12

▲控えめに言って、カラーギャング。

五つ星評価で【★★★恐るべき害獣】
映画内で老マグレガー氏は「兎を害獣」と断言する。
それはとても強い説得力を持っている。
ヒトは自分の統制下に収められない自然に対しては明確に敵意を持つ。
隣人のビア嬢は兎を可愛がっているが、
彼女が彼等の食糧を用意する訳でもなく、
老マグレガー氏の畑は兎の凌辱を受けに受ける。
ビア嬢はマグレガー氏の悩みを聞くでもなく傍観者に徹している。
あの状態を持ってして「兎を愛すべき動物」と断言するビア嬢の方が
私は変人だと思う。

私はガッツリ老マグレガー氏と、若いマグレガー氏に同情した。
あんなん兎の姿だからコメディーで済んでいるが、
外見があの大きさの鼠だったらみんな撲滅しようとするに違いない。
そして、あの兎達のもっとも恐ろしい点は人間に対する敬意が
微塵もないという事だ。種族が違うからしょうがないのかもしれないが、
自分達の思うようにならない現実に対して
相手の生命を奪う事で解決しようとする兎達には引いた(面白いけど)。

老マグレガー、サム・ニールなのね。まさか爺さんとは思ってなかったから油断して全然わからんかった。例えば若い時に来日したイギリス人が日本で『必殺仕置人』の山崎努を見ていたとしても、今、『モリのいる場所』の爺を念仏の鉄とは思うまい。そんな感じか。いやいや山崎努は独特だから分かっちゃうか?

ラストの兎写真はまあ、いんでない? 見たくない人はさっさと離席しちゃえばいいだけだから。映画内容が内容だったので、アレ見て可愛いとかは皮肉にも思わなかったけど。

最終的に彼等兎達はペットになる事で「自然」から逸脱し、
マグレガーとビアに管理されるようになる。そしてみんな幸せになる。

ちなみに「ピーター」の名前は勿論「聖ペテロ」から取られた物だろう。聖ペテロはキリストの最初の弟子でキリストがローマ皇帝に捕まった時、「あんな奴知らない」と三度も否定した男である。歴史上、一、二を争う後悔野郎である。

「ピーター」の敵「マグレガー」は「グレゴリーの息子」の意味を持つ。この「グレゴリー」が何者かと言うと旧約聖書に出てくる堕天使の一団。この堕天使が人間に余計な知識を与えた為、人々は神を敬わなくなり、世は千々に乱れ堕落した。神は大雨を降らし、いわゆる「ノアの大洪水」を起こす元凶になった人々である。

ピーターの擁護者「ビア」は「ベアトリクス」の略称。ポター夫人のフルネームが「ベアトリクス・ポター」なので、その物ではないが原作者と近似しているキャラクター。「ベアトリクス」には「航海者」「旅行者」の意味がある。

つまり、これは堕天使の子孫が知識(電気や爆薬)により、世を散々乱すが、罪を犯し、それを後悔するペテロの民がノアの箱舟を思わせる航海者の名前を持つ女性によって災害から救われる。何かなかなか聖書に寄り従った物語でねーの、という事。うん、当てずっぼうだけどね。


◆『犬ヶ島』ユナイテッドシネマ豊洲6

▲伊勢佐木町ブルースを歌っていそうな4匹と1人。

五つ星評価で【★★★太鼓が好き】
基本、和太鼓ドンドン打ちならす映画は好き。
アーティスティックな雰囲気がたまらない。


【銭】
毎週金曜日はユナイテッドシネマ・メンバーデーで会員1000円均一。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ピーターラビット@ぴあ映画生活
犬ヶ島@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
ピーターラビット@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
ピーターラビット@徒然なるままに
犬ヶ島@映画のブログ

『私はあなたのニグロではない』ヒューマントラストシネマ有楽町2


▲超強烈ポスター(タイポだけの癖に)。

五つ星評価で【★★私は付いていけなかった】
鮮烈なタイトルの黒人差別に関するドキュメンタリー映画。

いろいろ考えた上で作られてるだろうし、色々な事件があった事は分かった。その事件や活動家たちの生き方がモンタージュされているが、テーマとして上げられているマルコムX、キング牧師、メドガー・エヴァースらについて、この映画で新しく知りえた事は特になかった。メドガー・エヴァースなんて未だにどんな人か分からない。 映画自体かっこよくてスタイリッシュだけど、「これ」を伝えよう、「これだけは覚えて帰ってくれ」という芯を伝える気概が欠けている。欠けているのは映画か、俺か?


【銭】
水曜テアトル系1100円均一。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
私はあなたのニグロではない@ぴあ映画生活

『映画の教室2018上第三回』国立映画アーカイブ

五つ星評価で【★★私は戦意で高揚できない人です】
フィルムセンター改め国立映画アーカイブの企画上映「映画の教室2018上」。
全五回で今回のお題は「時代から観る日本アニメーション」
三回目は「戦中期 戦意高揚映画」で、戦時の戦意高揚映画2本。

『桃太郎の海鷲』1939年。この続きに『桃太郎 海の神兵』というのがあって、紛失フィルムが見つかったみたいな経緯で後者の方が有名だったり、鑑賞機会が多かったりする。戦意高揚映画と言う事で、鬼ヶ島に対して空母から戦闘機を出撃させて戦って勝利する。そこいらは案外、どうでもよくて(当時はよくなかっただろうが)、犬、猿、雉のパイロットたち、兎の整備士たちが可愛い。キビキビ動いて可愛く演技する。ちなみに悪役(鬼)はブルートっぽい。
『フクちゃんの潜水艦』1944年。フクちゃんで戦意高揚映画。フクちゃん凶悪。潜水艦に乗って沈められそうになるが、逆襲して敵空母を血祭りにする。こう、一切、笑いがなくて(もしかしたら何かあったかもしれないけど笑えんかったよ)、軍鬼になったフクチャンの戦いのみ。敵が空母13号という形で人影一つ出てこないから残酷だったりするところには落ちない。でも、日常会話のないフクちゃんはしんどい。









【銭】
国立映画アーカイブ一般入場料金520円+108円(前売券発行手数料)。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
《時代から観る日本アニメーション/戦中期 戦意高揚映画》@ぴあ映画生活

シネロマン池袋でジミー土田追悼20180601-20180607

◆『痴漢電車グッショリ濡らして』
五つ星評価で【★★★包まれるような安心感】
結城麻美、徳大寺笙子、黒沢ひとみ、橋本杏子主演、ジミー土田出演 
深町章監督、周知安(片岡修二)脚本、1988年のピンク映画。

レンタル全盛時代、主に人材(恋人、愛人、妻)をレンタルするレンタル会社を舞台にしたゆるいオムニバスの小コメディー。これ、レンタルじゃなく販売だったら人身売買じゃん(笑)。そして、18年後、「レンタル家族」を題材に園子温が『紀子の食卓』を作成する。いや、全然関係ないねんけんど。
結城麻美がボディーガード人材をレンタルと言いながら、「痴漢されないように密着して」とか「下着の中に直接、手を入れてくる痴漢もいるから、下着の中に手を入れてガードして」とか「指が痙攣すると痴漢を捕まえられないから(下着の中で)指の運動をして」とかピンク映画特有のロジックを展開してすっかり癒される。
ジミー土田は二つ目のエピソード、恋人役に徳大寺笙子をレンタルした依頼人。そら、ジミー土田起用だから童貞か何かだと思う観客の裏をかく落ちがある。でもやはり、その役にジミー土田はミスキャストだろう。勢いでどうにかしてたけど。まあ、大した役じゃない。大した役じゃない方がジミー土田っぽい気もする。
ラストエピソードは池島ゆたかのレンタル愛人とレンタル妻。橋本杏子キレイだなー。
池島ゆたかチーク塗って赤ら顔で田舎芝居みたいだ。泥鰌掬いしそうな顔だけどギリギリ成立するのはピンクだからだろうな。
出てくる女優はみな魅力的に撮られていて、アングルも凝ってる。尖ってはいないが、たいへん安心して見れるピンク映画。最近、尖っている事ばかりが評価されがちだが、こういうのんべんだらりとしたのも又いい。女優が綺麗に撮れてるって点をクリアしてくれるなら。


◆『未亡人の太もも 夜ごと悶えて』
旧題◆『未亡人セックス 熟れ盛り』
五つ星評価で【★★★★きゃージミー】
ジミー土田主演、小川真実、佐伯直、蛍雪次朗出演 
渡邊元嗣監督、双美零脚本、1992年のピンク映画。

亀有名画座を舞台に撮られたピンク映画業界内幕もの。
ジミー土田は新東宝社員、営業職で横丁シネマ(亀有)に入り浸ってる、
支配人が蛍雪次朗で新東宝で助監督をやっていて血の繋がらない娘(佐伯直)がいる。
ジミー土田の下宿の未亡人(小川真実)は秘かにジミー土田を思っている。前夫は杉本まこと時代の若者なかみつせいじで、新東宝の監督と言う役柄。
蛍雪次朗が近所で見かけた男が元男優の久保新二、久保新二の妹が伊藤清美(脱ぎなし)。
登場人物に一人として新東宝と無関係な人間がいない、と言うのはやはり珍しいのではないだろうか。
飲み屋のシーンのグチで「今、映画が劇場でかかるのはビデオセールスのためだ。でも、ピンク映画は違う」という辛辣なセリフが出てくる。1992年頃と言えばミニシアターが乱立してきてビデオスルー作品を積極的に劇場に掛けていた頃。それでも、今と比べてしまうと劇場も成人映画もまだこの頃の方が全然パワーがあった。
蛍雪次朗の髭がない。髭を剃った後でも成人映画に出ていたのか。と言うか、髭がないといい役者なんだよなあ。髭があった頃の蛍雪次朗はやっぱ役者としては特徴が強すぎて見づらいから。
そして、この映画ではやはり主演を張るジミー土田がいつも通りだけどいい。いつも通りもてなくて、軽くて、負け犬で、キャンキャン吠えてる。吠え方が集大成っぽい。若くは見えないけど、青春の息苦しさを伝え続けるルサンチマンの塊みたいな存在なんだよね。森田公一とトップギャランの「♪青春時代が夢なんて後からほのぼの思うもの」という歌詞通りと言うか、ジミー土田だったら後からもほのぼの思わない感が強すぎる。ジミー土田を見て『フェノミナ』のクリーチャーを思いだしてしまった。ヤバい。ヤバい。君はワンダー。でも、ジミー土田なんて単に顔が悪いだけなのに、君はワンダーなのが凄い。その上、美談にならない(知らない所で美談になってそうではある)。
映画内で併映作品『痴漢電車グッショリ濡らして』のポスターが映る。なかなか面白い趣向であった。


◆『妻の秘密 エロすぎ熟れ頃』
旧題◆『若妻 しげみの奥まで』
五つ星評価で【★★★川瀬陽太、薫桜子が素晴らしい】
川瀬陽太主演、薫桜子、里見瑤子出演。
深町章監督脚本。 2007年のピンク映画。

川瀬陽太が探偵になって、浮気の素行調査をする中、依頼人の薫桜子とできてしまう。その依頼人の旦那が川瀬陽太の妻・里見瑤子と同窓会で浮気をしているかもしれないとか何とか、ラスト土曜ワイドみたいなロケ地で何か一悶着あったが睡魔に襲われてハッキリ覚えていない。ああ、薫桜子の身体が素晴らしかった。里見瑤子が初々しいのはまだデビューして間もない頃なのか? そして、成人映画と一般映画を行ったり来たりしている川瀬陽太の意図的に頼りないセリフ回しが抜群に面白い。
ちなみに、この映画にはジミー土田の出演はなし。追悼特集で三本揃えてこない自由さがシネロマン池袋らしい。いや、らしいと言うほどシネロマン池袋と密度の濃い付きあいをしてないが(池袋北口にっかつからから付きあってるから期間的にはそこそこ長い)、今はなき亀有とか上野オークラと比べるとラフな感じがする。今はなき新橋ロマン、浅草世界館と同等くらいか。飯田橋くららよりはちゃんとしてる。全部イメージでしかないけど。


【銭】
一般入場料金は1800円だが、劇場に無料で置いてあるスタンプカード割引で1500円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな(一本のみやねんけど)
若妻 しげみの奥まで@PG

『ホドロフスキーの虹泥棒』早稲田松竹

名画座企画「マジカル・ホドロフスキー・ツアー2018」。


▲七色の娼婦。黄色と紫がいいなあ(モモクロかよ)

五つ星評価で【★★負け越し増える】
初見。
ホドロフスキー初のメジャー資本作品らしい。
なのでホドロフスキーらしい奇手は
頭のおかしい富豪クリストファー・リーが出る冒頭10分くらいで
それ以外は思ったよりオーソドックスに
「こんなんも撮れるんでっせ」みたいに普通に撮ってる。
いや、やっぱ変なことやらんと、ホドロフスキーは。
小人や見世物市など「らしさ」が漏れてる所もあるが全体おとなし目。
クリストファー・リーのパートと賑わう泥棒市場撮ったところで
予算がなくなったんじゃないだろうか?

有名どころはピーター・オトゥールとオマー・シャリフの
『アラビアのロレンス』コンビ。
オマー・シャリフが品性下劣な泥棒で、
ピーター・オトゥールが争いを嫌う変人紳士。

主人公のオマー・シャリフが自分の生活の為なら
貧乏人からも躊躇なく盗むし、特別な美点もないので共感しにくい。
ピーター・オトゥールも世捨て人が高じて、正気に見えないので
これも取っ付きづらい。

威汚いオマー・シャリフが長い事、生活を共にした
ヨイヨイのピーター・オトゥールを全財産を捨ててまで
助けるかという葛藤のドラマな訳なんだけど、
そういう「人生の機微」みたいな奴、ホドロフスキーと遠くない?
個人的な意見としては、ホドロフスキーに「人生の機微」が分かるとはあまり思えない。いや、逆に分からないでいてもらいたいくらいだ。

これは言っておこう。七色の娼婦がステキである。クリストファー・リーが芋い。


【銭】
二本立ての一本『サンタ・サングレ』とは時間が合わずパス。夜間一本割引で800円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ホドロフスキーの虹泥棒@ぴあ映画生活

『リアリティのダンス』『エンドレス・ポエトリー』早稲田松竹

名画座企画「マジカル・ホドロフスキー・ツアー2018」。
『リアリティのダンス』がつまらなかった為に二の足を踏んでいた『エンドレス・ポエトリー』なのだけど、二本一緒にやるという事なので『リアリティのダンス』の再検証がてら足を運んだ。いやあ、どっちもつまらんかった。ただ、つまらないのだけど、見た事自体は後悔してない。もう一回見る必要は感じないけど。

◆『リアリティのダンス』

▲「そうだ、私だ、マモー」

五つ星評価で【★★グダグダ】
二回目。初見時、ホドロフスキーであるのに、このつまらなさがどうにも信じられず、すぐもう一回見なおしたいと思ったのに怖気づいて回避してしまった。今回は面白かろうと、つまらなかろうと、それが何であるかを探る雪辱戦である。
結果、どうにもつまらない。『サンタ・サングレ』『ホーリー・マウンテン』でも冗長な部分はそこそこあるのだが、非凡な絵心がその冗長さを捩じ伏せていた。今作はその絵心がゆっくり長い時間の中に拡散して、いいタイミングでバーンと出る衝撃効果が少なかった。スピード感が圧倒的に悪い。スピード感の欠如とホドロフスキー特有の絵作りに対する執着の弱さが映画を冗長にしている。一番の戦犯はホドロフスキー自身が得意満面に思っている少年の母の台詞を全てオペラのように歌わせて処理した事だろう。あれで、スピード感が削がれると同時に劇伴が台詞に引きずられて魅力を奪われてしまった。又、少年と少年の父の二人が主役なのだが、この二人が引き離されてそれぞれ別に展開する話が分かりづらい。

・オペラ方式導入によるテンポの悪化
・主役(父)のプンプン・キャラが不快。
・主役(息子)のメソメソ・キャラが不快。
・助演(母)の歌いセリフが不快。
・特に興味を引かれない分かりづらい物語。
 起承転結のない悪い意味での唐突展開。
・不具者、ピエロなどのホドロフスキーの好きなアイコンに対するアプローチがおそろしく雑で、観客側からは好感が持ちづらい。意図的にそうしている風にも見えるが、何故そうしているかの意図が不明である。今になって、常識人である事のアピールでもないだろう。
・ホドロフスキー自身であり、彼の父の物語であるのだから、彼自身は複雑な愛着を持っていて、勿論この話を嫌いではないだろう。ただ、それを同じように観客が興味を持って受け入れるかどうかと言う事に対して彼は客観視すべきである。ホドロフスキーはそれを怠った。いや、許してもらえると信じたのか。それならそれで見通しが甘いと思う。これは会社創業百年に作られる「会社史」みたいな作品であり、その会社に関係しない人には、やはり面白くは見られない物語である。すんげえ他人事。
・「俺の父ちゃんこんな変な体験してて凄いだろ」という話であると同時に「その凄くて変な父ちゃんに追い込まれる可哀想な自分ヨヨヨ」という話である。でも、抵抗するでもなく、蹂躙されるがままの少年は可哀想とは思っても好きにはなれない。ホドロフスキー自身はこの可哀想な彼自身を観客に可哀想である事によって好きになってもらいたかったのかも知れないが。

そら、つまらんわなあ(個人の意見です)。


◆『エンドレス・ポエトリー』

▲エライコッチャ、エライコッチャ、踊らにゃソンソン

五つ星評価で【★★こっちもグダグダ】
初見。正々堂々『リアリティのダンス』の続編で、前作の終りからバッチリ続いて始まる。相変わらず、母ちゃんはオペラで、父ちゃんは激怒しまくりで、息子は過剰にメソメソしていて、頭っから気が滅入る。主役の息子に対するストレスがぐんぐん高まったて破裂して、家出した所から話は家族の話ではなく、ホドロフスキーの青年時代の話に移行する。ストレスに耐えるしかなかった少年時代と比較し、別種のストレスを与えられながらも徐々にストレスを跳ね返していく青年時代の物語の方がちょっとだけ楽に見れる。但し、奇跡的に話はつまらないまま進むのである。
青年期の話は「詩の心を持つ友人」がわんさかフリークスのように彼の周りを取り囲む。彼は家を出た途端、もう十年来の詩人のように評価されてしまうのだが、それがどうにも単に言葉遊びで誰にでもできるようにしか見えないので、説得力がない。
彼は童貞で、童貞を失い、愛や友情を作ったり、壊したりする。
彼を束縛する故国からフランス語も喋れないのに渡仏する所で話が終わる。仮にまだ続きが作られるなら舞台はフランスになるだろうが、この先は成功の気配しかないからあまり面白い展開はないのではないかと思われる(別にこの二作で面白い展開があった訳ではないが)。

やっぱり、ホドロフスキーが一足飛びで世間(チリ)に認知されてしまう辺りがつまらない。ホドロフスキー的には大人物である自分ちゃんがどうやって童貞を失ったかをみんなに知ってもらいたかったのかもしれないが、別にそれは知りたくない。余計なお世話である。グレート・カブキっぽい渡辺直美女はあの後、もうホドロフスキーの人生には出てこないのかしら? それも薄情だよなあ。うさちゃん百匹殺したホドロフスキーに深情け求めるのは間違えてるか。

『魁!!男塾』の直進行軍かよ!
(ここだけ異常に愉快だった)
ホドロフスキーが宮下あきら読んでたらおもろいなあ。


【銭】
通常料金1300円で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
リアリティのダンス@ぴあ映画生活
エンドレス・ポエトリー@ぴあ映画生活
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リアリティのダンス@ノラネコの呑んで観るシネマ
リアリティのダンス@映画のブログ
エンドレス・ポエトリー@ノラネコの呑んで観るシネマ
▼関連記事。
リアリティのダンス(一回目)@死屍累々映画日記・第二章

PS どちらの作品でも勃起してないペニスをモザイクやボカシなどの画像隠蔽処理をしなかったのは評価したい。チンチンを明らかにしたことしか評価しないのかよと言われそうだが、なんつっても私はデジタル・リマスタ版『エル・トポ』で幼稚園児みたいな少年のペニスにモザイクがかかった事を激怒したのだから。そんなんで興奮する訳ないだろ。いや、アナログ・フィルム版『エル・トポ』も見ているが少年のペニスは勃起していなかった筈だ。勃起の有無に関わらず興奮しねえよ。規制に激怒した。逆に大人のチンチンは汚いから(私感です)ボカシの一つも入れてくれてもよかった。

『孤狼の血』丸の内TOEI①


▲血の飛び散り具合がええんじゃ。

五つ星評価で【★★★★これはこれであり。】
北野武の『アウトレイジ』を見た時はかなり面白く感じたが、あれはヤクザ映画と言うより、ヤクザ映画の形式を借りたヤクザ演技オンパレードお披露目興行という特殊な映画だった。人々はその次々と打ちだされる特殊なヤクザ演技に酔いしれた。逆にそういうヤクザとして大見栄を張るシーンばかりを羅列しているのだから、話はツギハギでリアリティーのカケラもない。そういう所では勝負しないという事だろう。
あれに比べれば『孤狼の血』はずっと70年代の実録ヤクザ映画に近い。但し、主役二人にウェイトを絞ったため、脇を彩るヤクザについては理由もなく最初からいがみ合っているカキワリみたいな描き方になってしまった。要は一人一人がスビンオフで成り立つくらい人間として描かれていない。あくまでいがみ合いを成立させる為の装置として各ヤクザが配置されているように感じる。逆に言えば、そんな脇役全てが活き活きと映しとってた70年代の実録ヤクザ映画の奥深さよ。

主役は前半が役所広司、後半が松坂桃李。この二人にウェイトを絞ってる感じだから、当然、このふたりは凄くいい。
役所広司の崩れた刑事の大きな存在感、後半、主役が松坂桃李にバトンタッチするのだが、姿がいない中でも松坂桃李を媒体として映画を支配する役所広司の威力は普通に「流石」である。役所広司って何をやっても役所広司の姿形発声で外見は大きく変わらないんだけど、演じるキャラクターの人生や気持ちがその作品ごとに違って伝わってくる。今回の野郎も食えないけどいい野郎だった。

後半の主役を担う松坂桃李も若くて硬くて、役所広司と対になるような立ち位置をちゃんと掴んで演じてていい。冒頭、スーツにネクタイの凄くサラリーマン然としてまとまった感じの彼、シャツは白で、この白いシャツがヤクザと関わってるうちに、凄くリアルに血で汚されていく。後半、ネクタイは外すがシャツは白いままで、まるで彼の心が傷付いて悲鳴をあげているように血で汚れる。もう汚しようがなくドップリ血に染まってる感じの役所広司の外観とも対照的である。あと、無表情のままずんずん怒りを募らせていくのが、これもちゃんと伝わってきて、後半の目を向くとか、茫然とするとか、の表情は熱病にうなされているかのようで秀逸。

真木よう子数日前に見た『焼肉ドラゴン』であんなに清純な役だったのに、オメコ担いで生きていくみたいなギャップに驚愕。まあ、この人はどっちの極端もやれる人だからなあ。女役者バカ。そう言えば仲代達矢の無名塾をケンカ別れで出たのだから、役所広司とは同門共演になる(確か真木よう子と仲代達矢は後に和解した筈)。役所と真木の関係はSEXするような恋愛関係ではなく、全方面と背中を合わせながら戦うような共犯関係だった。この立ち位置はリアルに似てるかもしれない。おそらくこれが初共演。

江口洋介、湘爆二代目も遂にヤクザの組長にのし上がったか。こんなに怖い顔だったのかと思ういい面構えで、奥様の名前で呼ばれるのが何か微妙にマヌケ。

音尾琢真、真珠マン。こーゆー大きくも小さくもない(チンコの話ではない)役が妙に似合う。物語のキーパーソンなのだけど、知らんうちにすーっと退陣。まあ、あれか。ほじくり返されてから出てないのか。

石橋蓮司、えーなーこの金子信雄っぷり。とりあえず、この人の後を継ぐようなナマグサ爺さんって他にいない。多分、この人が演じたら演じた役は「全部、石橋蓮司の役」に仕上がっちゃうだろうから、他が思い浮かばないのかもしれない。

阿部純子、この映画でしか知らないけど、ヒロインとして上手いところ突いてくる。そして、あーそーなんですかという意外性もある。その意外性をちゃんと許容できるように役作りをしてるんじゃなかろうか。

嶋田久作、多分、江口洋介の対抗組織の組長で後ろ盾が石橋蓮司。この嶋田久作の出番が異常に薄いから、二大ヤクザ抗争が部下がちょっかい出し合うような割とライトな抗争になってしまったんじゃないか? どっちがどっちの組とか分かりづらいし。分かりづらくても見てて問題がないからいいだけど。


【銭】
4回分東映株主券2000円をチケット屋で買って4回分のうち1回(2枚目)。
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孤狼の血@ぴあ映画生活
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孤狼の血@お楽しみはココからだ
孤狼の血@ノラネコの呑んで観るシネマ
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