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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『浅草四人姉妹』『風雲七化け峠』シネマヴェーラ渋谷

特集上映「新東宝のまだまだディープな世界」から2プログラム。

◆『浅草四人姉妹』
五つ星評価で【★★★姉ちゃん泣ける】
1952年、白黒、84分。初見。
佐伯清監督。
四人姉妹、上から女医、芸者、裁縫やってる子、代議士志望の高校生。
女医と高校生は見分けがつくが、次女と三女は私服になると混同して分かりづらかった。これは山口百恵と桜田淳子の顔を取り違えたりしないように、この時代の女優をもっと知ってれば大丈夫だったろうが、何と言っても高島忠夫以外、一人も知った役者がいなかったものだから難儀してしまった。メリハリの為に高島忠夫を四人姉妹に入れる訳にもいくまい。舞台は浅草なのでお決まりに浅草寺なども出てくるが、普通に下町に住む家族の物語であり、あまり浅草浅草してる風には見えなかった。ちょっと気になったのは映画を見に行こうと言って映った劇場が六区ではなくテアトル銀座だったこと(見間違いじゃないよなあ)。六区の劇場ではデートできん言う事か? 確かに私が出入りするようになった2,30年前ですら若者が出掛けるようなスポットもなく、何かおっちゃんがたむろするような劇場ばかりだったけど。
気立ては良くて、誰よりも苦労してるのに、口が悪いから恋が遠のいてしまう女医の長女が泣ける。
これが一本立てになって初めて入ったヴェーラ。
お客の入りは中々良く、二本立て好きとしては残念だが、興行形態の変更は成功であろう。



◆『風雲七化け峠』
五つ星評価で【★★★初アラカンかもしれん】
1952年、白黒、90分。初見。
鑑賞直後のツイート

牧歌的時代劇。大河内傳次郎人はいいが強くない。けっこうちゃんとしたどんでん返しもあるけどスッキリしない。

違うよ、大河内傳次郎じゃないよ。アラカンだよ。
多分、初アラカン(アラフォーとかそう言うんではなく)。
いや、高倉健の映画の客演か何かで見た事があったかもしれないが、バリバリの主役でアラカンと自覚して見たのは初めてである。「嵐寛寿郎」って百獣の王ライオンみたいな強さに溢れる名前だが、物凄い剣豪とかではなく、酒に溺れて浪人になってしまった気の良い正義漢のおじさん役だった。刀を持って立ち回りもあるが、弱くはないが、決して驚くような強さでもないのがこういう謎解き時代劇では珍しい。まあ、リアルであると言える。でも、圧倒的な強さで勝てない立ち回りは話のスピード感を削いで、ストレスを貯めてしまっていかん。
悪漢が逃げる村の祭りで村人が多数付けてるでっかいお面がちょっとアンデスっぽい。
グラマー女優三原葉子のデビュー作だそうで。私、三原葉子のあのあまり愛嬌がない顔が好きじゃない。うーん、猫と言えば猫っぽいから好きな人は好きなのかな。その三原葉子が隠れ住む「七化け峠」は単に地名で「化け」に意味はない。いわくありげな名前を付けるんじゃないよ、土地の人。
タイトルに付いてる「風雲」って煽り言葉も「風雲たけし城」以降、言葉のニュアンスが変わってしまったよなあ。勿論、発泡スチロールの大岩がバンバン落ちてくるようなギミックはない。「たけし城」以降、「風雲」って付いてると何か楽しそうだものなあ。



【銭】
通常一本立て興行価格1200円-400円(会員割引)。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
浅草四人姉妹@ぴあ映画生活
風雲七化け峠@ぴあ映画生活

『セクシー・サイン 好き好き好き』神保町シアター

五つ星評価で【★★★モーレツ娘】
企画「夢見る女優 野添ひとみ」から1プログラム。
1960年、カラー、84分、初見。

こんなタイトルの映画、そら、見るよ。と思ったらプリント上でのタイトルは『好き好き好き』。こっちの題の方が映画のニュアンスと合ってる。そんなに「セクシー」じゃない。公開時に「セクシー・サイン」ってタイトルを公開タイトルとして付け加えたらしい。うんまあ、そりゃあ「セクシー・サイン」が付いていた方が見に行くけど、見透かされたみたいでイヤだなあ(「みたいで」じゃなく、見透かされているのである)。
なんか女子がみんなじゃじゃ馬で活き活きしてる。もちろん、映画の中だからという事もあるのかもしれないけど、吉永小百合の『私、違ってるかしら(1966年)』を見た時にも、意外と女の子がフランクで目上の人にも敬語とか使ってないなみたいに感じたが、それと通じる物を感じる。小川ローザの「オー、モーレツ」が1969年なので、1960年代の少女たちはみんな今より生意気だったのかもしれない。1960年代の少女って言うとフジ隊員とか、アンヌ隊員か。隊員になっちゃうと生意気くささが減じるけど、戦後から豊かな時代になって、ミニスカートを着てパーマをあてる中で、都会の女子はどんどん勝ち気になっていったのかもしれない。男どもに対して全く物おじしない、金でも、プレゼントでも実利に対して取れる物は容赦なく取る、と言うのはつい先日『SUNNY』で見たコギャルにも似てる。
という事で生意気な女の子3人が偶然出来た「惚れ薬」を元に色男・川口浩をそれぞれ落そうとするドタバタ。
うーん、ヘリポート付きの屋上でファッションショーをやってるって池袋西武だな。流石セゾンはオシャレ。

野添ひとみはやっぱり広瀬アリスに似てる。


【銭】
有料入場時に捺印するスタンプ5ケで無料入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
セクシー・サイン 好き好き好き@ぴあ映画生活

『曇天に笑う 外伝3』『映画おかあさんといっしょ はじめての大冒険』『劇場版ほんとうにあったこわい話2018』

同日鑑賞3本をまとめてレビュー。

◆『曇天に笑う〈外伝〉 ~桜華、天望の架橋~ 』新宿ピカデリー10

▲てんてんどんどんてんどんどん、そら天丼マンの歌じゃ。

五つ星評価で【★★展開怪しい】
外伝の前編は物語の始まる前と全て終わった後をまとめて見せた。
外伝の中編は物語の中の裏の話を見せた。
外伝の後編は物語全てが終わり、前編の後に更にもう1エピソード挿話した。

全編「大蛇」と言う大難に立ち向かう物語だが、後編は、その封印した「大蛇」の力を人が軍事利用しようとする、ありがちな話。
逃げた実験体を追って、かっての仲間が対立する。この「人工大蛇」に仕立て上げられようとしている実験体くんの挙動が胡散臭い。彼は、物語全体の主人公、曇天火の「大蛇」の血を輸血されているらしいのだが、それで外見から格闘技能までソックリってのは嘘くさい。そして、その実験体くんが曇天火に会いたがっている理由もピンと来ない。話を無軌道に膨らませて、小さな話を無理やり大きく見せようとしてるだけじゃないの? 無理目を感じる。

末っ子、曇宙太郎、神社の息子なのに屋内でも帽子被りっぱなしという礼に背く行動をしている。ハゲでもあるのか? いやまさかあのラスタ・カラーリングが帽子の柄ではなく、地肌とかではないよね?

最終的に主人公の曇天火は外国に行きたがって話が終わる。これも幕末・明治物のパターンすぎる。

髪の毛がブラックジャックみたいなお姉ちゃんはタイプよ。


◆『映画おかあさんといっしょ はじめての大冒険』シネリーブル池袋1

▲全員お手上げ。

五つ星評価で【★★お一人様鑑賞にはキツい】
貸切で鑑賞。
やはりお母さんといっしょに見なかったのが敗因か、ムチャクチャ楽しめたとは言いがたい(でも、この為に「おかあさんになってください」と言ってデリ嬢呼ぶのもいやだった)。

構成はお兄さん、お姉さんが振り付きで歌を歌いながら、あちこちに冒険の旅に出る前半と、人形劇の、チョロミー、ムームー、ガラピコがアニメになってツムリ星の危機を救う3Dアニメが後半からなっている。もともと短い映画なのに、黒澤の長尺よろしく真ん中に6分の休憩時間が入る。フォント緩やかだけど渋い。
後半のアニメはまあ、普通。
前半の実写部分が観客との双方向やり取りが映画進行に隠されているので(筋は変わらない)、お一人様での貸切鑑賞だとちょっとキツイ。実写部分のストーリーが理路整然としてないのは、逆にそういう物語脳が未発達の客層に届ける作品だと考えれば逆に面白い気がする。ちなみに、アンパンマンでさえ価格は「2歳以上有料」なのだが、今作は「1歳以上有料」なのである。攻めてる。攻めてる。『センセイ君主』の「胸ボンババボン!」は「おかあさんといっしょ」の「ブンバボーン!」が元かもしれない。

あと、映画ラスト近くに記念撮影タイムが設けられている。こーゆーのは最初に告知しておいて、冒頭にあった方がいいよ。


◆『劇場版ほんとうにあった怖い話2018』シネリーブル池袋1

▲目がマジ。

五つ星評価で【★★★凄く良く出来ていながら掟破りはいかん】
四編からなるオムニバス。総計66分という短さは良い。
どれも一週間しかやらないのは勿体ない出来。
『音楽』:そう来たかという話術が功を奏した一本。リアル。
『孤独な女』:とてもオーソドックス。
 特別、変わった事をしなくても怪談は撮れると言う好例。
『殺人者』:霊体の怖さと、男の変貌の怖さと。
 ミニ『シャイニング』みたいな才気溢れる一本。
 『殺人者』というタイトルはミスリード狙いか?
『殺人者、その後』:やっちまった一本。
 リアルに見えるが、リアルな話である筈がない。
 こういうのをシレっと出してはいけない。
 全体の信頼度が揺らぐ。

 オムニバス作品の一部に、はきだめ造形
がかかわってる。


【銭】
『曇天に笑う〈外伝〉 ~桜華、天望の架橋~ 』:番組特別価格1500円
『映画おかあさんといっしょ はじめての大冒険』:テアトルメンバー割引1300円。
『劇場版ほんとうにあったこわい話2018』:テアトルメンバー割引1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
曇天に笑う〈外伝〉 ~桜華、天望の架橋~ @ぴあ映画生活
映画 おかあさんといっしょ はじめての大冒険@ぴあ映画生活
劇場版ほんとうにあった怖い話2018@ぴあ映画生活

『くちづけ』神保町シアター

五つ星評価で【★★増村保造デビュー映画】
企画「夢見る女優 野添ひとみ」から1プログラム。
1957年、白黒、74分、初見。

『負ケラレマセン勝ツマデハ』がえらく面白かったので、
勢いで、翌日も見に行ったのだが、普通の恋愛映画であって、
そういうのは向かん事をバリバリ思い知らされる。

野添ひとみ、目が大きいのう。「銃夢」のアリータかよ。
余談だが、アリータの目の大きさが予告見る度に慣れてきて
順応力って怖いと思い知らされてる。
話を野添ひとみに戻して、どこかぎこちなく、
身体が無理に大人っぽく成長してるところが
広瀬アリスに似てる。

そんな野添ひとみは、父は逮捕、母は病気と言う
絵に描いたような薄幸貧乏少女役。
お相手の川口浩はまだ冒険せずにナイーブな不良。
題名通り、口づけします。ヒューヒュー。

保造の撮る絵はいちいちかっこいいし、
野添ひとみも人形みたいなので、
とても保造が撮る絵に嵌るのだけど、何か話に乗れず。

映画内でローラースケート場のシーンがあって、
野添ひとみは役柄上コケてばかりの初心者。
この映画で上手くなったのか、元々、上手かったのかは知らないが
『負ケラレマセン勝ツマデハ』では
すこぶるスムーズにスイスイ滑っていた。


【銭】
水曜全員割引料金1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
くちづけ〈1957年〉@ぴあ映画生活

『負ケラレマセン勝ツマデハ』神保町シアター

五つ星評価で【★★★★面白くて時間を忘れるが冷静になるとちょっと薄気味悪くもなる】
企画「夢見る女優 野添ひとみ」から1プログラム。
1958年、白黒、106分、初見。

逆マルサの女的1本。小林桂樹の税務署員の憎らしいこと。
弁が立ち、心がない。なんてやな奴だ(映画内で復権するけど)。
 町工場vs税務署
この攻防戦が庶民の町工場が後手後手に回ってしまうので
必要以上にイライラしてしまう。

へそ曲がりの森繁、気狂いの伴淳、超甲斐性なしの有島一郎に、
冷徹な小林桂樹の対比が好対照で良い。

戦争帰りの伴淳は分裂症。
極度に緊張したり、酒を呑んだりすると戦時の人格に変わってしまう。自分がいる現在が吹き飛んで過去の戦場に意識が戻ってしまう。別人格と入れ変わるというよりは、記憶障害、アルツハイマーに近いかもしれない。昔はこういう人が沢山いたに違いない。

野添ひとみは森繁の娘で工場内でローラースケート履いてゴロゴロしてる。可愛いけど出番はそんなに多くない。


【銭】
一般料金1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
負ケラレマセン勝ツマデハ@ぴあ映画生活

PS なんか薄ら寒くなるのは、主人公達はへこたれてないけど、
 ラストシーンで彼等が幸せになってる訳でもないし、
 その幸せへの道筋ができた訳でもないからだ。
PS2 この映画の前年に撮った『くちづけ』では、野添ひとみが
 ローラスケート場でローラースケート上手く滑れないシーンが出てくる。

『ニンジャバットマン』『トウキョウ・リビングデッド・アイドル』『ワンダー 君は太陽』『曇天に笑う 外伝2』『ジェイン・ジェイコブズ』

摘まんで5本まとめてレビュー。

◆『ニンジャバットマン』新宿ピカデリー8

▲♪ニンジャー、摩天楼キッズ、って曲なかったっけ?

五つ星評価で【★★★突き抜けてる部分が嬉しくもあり、悲しくもあり】
はっきり言ってよう分からん部分も多い。と言うのは、アメコミ読者鑑賞用に、アメコミ読者じゃないと分からないようなクスグリがいっぱい用意されてるからだ。つか、それはプロのシナリオライターならちゃんと一見さんでも分かるように紹介せえよと思うのだけど、扱い的には、『ウルトラマン・ザ・ムービー』の類にウルトラ兄弟が現われても「何だ、あのウルトラマンに似た赤い怪獣は?」とか思わないように、それは事前知識で知っておくべき事らしい。
えーと、そう言うの(いわゆるプロ向け作品である事)は事前に告知してほしいもんだ。客数減るから告知しないだろうけど。
うーん、そこまでアメコミ読者ではないよ。他の普通のお客同様。
正義の味方側バットマンと執事のアルフレッドは知ってる。ロビン役が4人いる。いや、一人のロビンしか知らんよ。どーも代替わりしてるらしい。代替わりしてるのにみんな一度に出てくるなんて、彼等同士の細かい事情は知らんが、どうも色々屈折してて、知ってる人にはそれがたまらないらしい。
悪役はゴリラ・グロッド(知らん)、デスストローク(知らん)、ジョーカー&ハーレイ・クイン、ペンギン、トゥー・フェイス、ポイズン・アイビー、キャット・ウーマン。実写映画に出ていたキャラは知ってるけど、今作がアメコミを準拠として作られているので細かい設定とか微妙に違いそうだ。まあ、数はいっぱい出てるけど、ジョーカーとゴリラ・グロッドを除けば、筋的にはにぎわかしのガヤなのであまり問題はないが。

ともかくジャパニメーションの総力を結集したかのような美麗な絵と素晴らしいアニメートには魅力がある。見応えがある。冒頭から楽しい。それは認めたい。

ジョーカーのイカレ具合もとてもジョーカーらしい。だが、「ジョーカーらしい」と言う事は、見ていて、とてもメンタルが疲れるという事なのだった。ゼイゼイ。いやあねえ。ハーレイ・クインはビジュアル好きだけど、もちっと内面の狂っているけど甘えてくるカワイ子ちゃんな感じで萌えたかった。割とジョーカーに尽くすだけのキャラでしかなかったみたいで個性が乏しくない?
城ロボは日本版ゆえのアイデアだろうけど活きてる感が低い。
スタイリッシュに仕上げたけど、そのスタイリッシュほどには面白くはならなかった。そんな感じだろう。一つ作れば充分で、くっつくならもっと美学に照らし合わせたくっつき方をしなければ意味がない。


◆『トウキョウ・リビングデッド・アイドル』シネマート新宿2

▲なかなかかっけーショット。あっ、主役の子じゃないや。

五つ星評価で【★★後半の間が悪い】
「なるほどそこは新機軸」という部分がチョコチョコあるけど、
適度にゆるい笑いが収まる前半中盤と比べて、
アクションばかりの比重が高い後半の間が悪くてどうにもダラダラ。


◆『ワンダー 君は太陽』トーホーシネマズ新宿4

▲感染の話から『あん』のハンセン病を思いだしたりもする。もちろんオギーのはうつらないのだけど。

五つ星評価で【★★★★泣かせる話には弱いのだけど、作りがクレバーだから、これで泣いても言い訳が立つ】
超新星フラッシュマンのレー・ワンダを思い出していた俺。
そして、ワンダーウーマンとかこつけて「DCじゃないのかよ」と突っ込みながら、
ワンダーくん(いやそんな名前ではない)の顔がジミー土田にちょっと似てやしないかと思った。
チューバッカ美味しい。
本人のエピソード以上に姉ちゃんのエピソードがたまらん。あの視点の切り替えにはやられる。


◆『曇天に笑う 外伝2』新宿ピカデリー7

▲白黒ショー(違う、白黒ショーはそんな意味違う)。

五つ星評価で【★★何か凄く退屈してしまった】
これはつまらん。話し運びがルーチンに乗っ取りすぎてるからだろうか。そんなに長い尺でもないので別にどうでもいいなあと思ってたら終わってしまった。元々の物語に詳しくないので、取りあげられたスピンオフ・キャラに興味がサッパリなかったので、特にダメだったのかもしれない。


◆『ジェイン・ジェイコブズ』ユーロスペース2

▲ずごごごごごごご。

五つ星評価で【★★★★最近のドキュメンタリーでは白眉の出来】
すんげ体調悪くて、そんな時にドキュメンタリーもどうかと思っていたのだが、見ていて面白くて目が冴えてしまった。
都市計画の違いによる、都市の生き死にをジェイン・ジェイコブズ(善玉)とロバート・モーゼス(悪玉)の一騎打ち形式で見せる。最終的にロバート・モーゼスは都市開発の主役の座から追われるが、映画外の事ではあるが、大都市としてニューヨークを計画した人物として彼を再評価する動きもあるらしい。おそらく、それは結果論ありきで、彼が手掛けなかったら手掛けなかったで、もっとよい都市になってた可能性が皆無と言う訳でもないだろう。
このモーゼスの大量の金を集めて作る大規模な街づくりは下町や長屋を潰してハイウェイを隣接した団地を作るみたいな発想だから日本でも取り入れられている。日本の団地が米国ほど荒廃がひどくないのはひとえに日本の治安がいいからに他ならない。ヤクザが銃で警察官を撃ちながらさびれた団地を根城にドラッグを売ったりはしないからだ。
私が住んでる東京の狛江市で、狛江駅に隣接していた狛江第一小学校が移転して跡地の開発がとても適当に進んでしまった為に住民としては昔の方が町としてのバランスがいいと思ってしまう。荒廃と言うほどの荒廃ではないが、きちっとした見通しを立てないと都市は生きもすれば死にもする。死んだという程ではないが、ずいぶん活気が失われてしまったなあと実感している。


【銭】
『ニンジャバットマン』:ピカデリー前回有料入場割引で1300円。
『トウキョウ・リビングデッド・アイドル』テアトル会員割引+曜日割引で1000円。
『ワンダー 君は太陽』:トーホーシネマズメンバー割引週間で1100円。
『曇天に笑う 外伝2』:番組固定料金1500円。
『ジェイン・ジェイコブズ』:ユーロスペース会員割引で100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ニンジャバットマン@ぴあ映画生活
トウキョウ・リビング・デッド・アイドル@ぴあ映画生活
ワンダー 君は太陽@ぴあ映画生活
曇天に笑う〈外伝〉 ~宿命、双頭の風魔~@ぴあ映画生活
ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
ニンジャバットマン@SGA屋物語紹介所
ニンジャバットマン@徒然なるままに
ワンダー 君は太陽@映画のブログ
ワンダー 君は太陽@お楽しみはココからだ
ワンダー 君は太陽@或る日の出来事
ワンダー 君は太陽@ここなつ映画レビュー

『泣き虫しょったんの奇跡』ユナイテッドシネマ豊洲2


▲「俺だって喫茶店でこんなウェイトレスさんに話しかけられたかったやい」

五つ星評価で【★★★極めて演歌的な一本】  
ずっと待ってたのに最後までショコタンが出て来なかったよ。

将棋と言うのは極限の論理ゲームと思うのだが、将棋その物の狂気には触れず、役者の芝居の積み重ねで世界を構築した。すげえ演歌っぽい映画。出ずっぱりの人から、ちょっとだけ出演の人まで、何とも役者が魅力的に映っている事。逆に言えば「それだけ」な感じもかなり強い。割と大した話ではないと思うのです。

将棋と言うゲームの特性に付いては、映画の中で全く何も語られない。おそらく語るのを避けたのだろう。
だから、この映画の中で将棋はただ「強弱」があるだけで、戦法の違いによる組み合わせや、相手の試合の棋譜を読む事による相手の指し方の予習など全く描かれない。大胆かつファンタジー。

主人公・松田龍平は腫れぼったい目とゴツイ手首が良い。らしい。
初恋の相手と同僚に上白石萌音と石橋静河。美人ではないが感情が露骨に顔に出るような癖が強い二人。リアルにいそうだし、いてほしい感じの人選。
イッセー尾形いいなあ。負けた男のかっこ良さが滲み出てる。
松たか子もああいう人いそうで、とてもいい。そして、松たか子が演じるからこその説得力。
プロ棋士を目指す三段リーグの住人達、妻夫木聡、駒木根隆介、永山絢斗、ナイーブで良い面々。渋川清彦は何の説明もなかったからプロ棋士とは思わなかったな(チラシにプロと書いてある)。
藤原竜也の贅沢な使い方。
渡辺哲の贅沢とは思わんけどそれしか出んのかいな使い方。
プロ編入試験の対極棋士は全員本物の棋士なのか。いや、強さが気持ち悪いくらい滲み出てた。

手足を折って『芋虫しょったんの奇跡』だ。


【銭】
ユナイテッドシネマ金曜メンバー割引で1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
泣き虫しょったんの奇跡@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
泣き虫しょったんの奇跡@あーうぃだにぇっと

『恋の豚』テアトル新宿

恋の豚2
▲スリムな並木塔子(左)とふくよかな百合華(右)。そー言えば、スリムはともかくムスリム(イスラム教徒)は豚は卑しい生き物であるとして、嫌うのだ。まさか「夢のようなスリム」で「ムスリム」とか。相変わらずコジツケが天才的だな、俺。ちなみに並木塔子は百合華が決して嫌いな訳ではないと思う。相反する位置にはいるけど。

五つ星評価で【★★★とても評価がいいけど私は普通。決して嫌いではないけど】
企画「OP PICTURES+フェス2018」で上映された一本。
日本映画で一番外れが少ない(と言っておおよそ間違いない)城定秀夫監督の最新作。ネットやツイッターでの評価はバカに良い。うーん、悪くはないし、愛すべき小品だけど、ドツカレてドーン感がない。

主演は百合華。性格良さそうで癒される。
「豚」と言う題名通りぽっちゃり女子だが、私、そういう性癖はないけど、あっ、この子ならポッチャリもいいかもしれないと思わせる。思わせる女優も女優だが、そう撮ってしまう監督も監督だ。相変わらず濡れ場に眼鏡は欠かせない。変態よのう。

彼女が好きになる適当な男「カズくん」を演じるのは守屋文雄。『痴漢電車 マン淫夢ごこち』のサソリさん(超絶痴漢)やった人。この「カズくん」のダメ男なのにきゅんきゅんがちょっと見え隠れする所が絶妙。彼はああ見えて育ちがいいと思う。目の前の欲望に飛びつきながらも、人に対して否定をしない。彼は優越感も劣等感も持たないし、人に持たせない男。

あと一人、話のキーパーソンとして出てくるのが並木塔子。彼女も育ちが良く、比較的、人に対して劣等感を刺激するような物いいをしたりする印象がないが、これはちゃんと教育で教えられ、抑制している様に見える。
恋の豚1
▲並木塔子(左)と守屋文雄(右)


【銭】
一般入場料金1600円だが、テアトルの会員割引+曜日割引が効いて1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
恋の豚@ぴあ映画生活
▼関連記事。
世界で一番美しいメス豚ちゃん@死屍累々映画日記

『タクシー運転手』早稲田松竹


▲顔の異種格闘技みたいな二人。

企画「1980年5月、映画が描くふたつの光州事件」。
できれば併映の『ペパーミント・キャンディー』の方を見直したかったのだけど、時間が合わずに断念。『殺人者の記憶法』の若き日のソル・ギョング見たかったなあ。で、最終日の最終回1本だけ。レイトショー時間帯と言うのに満席近かった。

五つ星評価で【★★★あちこちゆるい】
公開時、ツイッターなどで割と評判のいい映画だったけど評判ほどではないように感じた。光州のタクシー・ドライバーが自分達の身をもってソン・ガンホを守ろうとするところは、ちょっとそこは盛り過ぎだろうと醒めてしまった。
あと、あの強烈な個性のユ・ヘジンが借りてきた猫のようにおとなしく普通の人を演じていたのはアンサンブル的に全体の調和を乱さなかったのでちょっと良かった。しかし減らず口を封じられたユ・ヘジンはかなりアイデンティティを喪失していた。ジャッキーからユニーク・アクションを奪うような物か。何て残酷な。この映画とは全然無関係にソン・ガンホとユ・ヘジンとオ・ダルスの個性剥きだし三人組で何か一発きっついコメディーを作ってもらったりしてほしいな。
ユ・ヘジンの話の後で何だけど、民衆を殺戮する軍隊側を完全に感情のないシステムとして描いていて情動漏れ漏れの民衆と対比されてそれがごっつう怖かった。

ちなみに同じ時代を描いて、貧乏上がりのソン・ガンホが同じく根拠なく信じていた政府政策の真実を知って戦いを挑んでいく、根本の構成が似ている『弁護人』の方をより強く推します。


【銭】
一般入場料金1300円、夜間割引800円だがアンケート記入で招待券が当たって今回は無料鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
タクシー運転手 ~約束は海を越えて~@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
タクシー運転手 ~約束は海を越えて~@SGA屋物語紹介所
タクシー運転手 ~約束は海を越えて~@ノラネコの呑んで観るシネマ
タクシー運転手 ~約束は海を越えて~@お楽しみはココからだ

『アントマン&ワスプ』トーホーシネマズ日本橋7(ネタバレ部分あり)


▲ワスプ(雀蜂/左)とアントマン(蟻男/右)。二人ともスーツの色味が果てしなく地味。でも、カラーリングがミクロイドSだったら、それはそれで恥ずかしいからせんないか。

※ ラストについて触れている箇所がありますので未見の方はご注意ください

五つ星評価で【★★★快調なテンポと適当さ】  
アントマンの一番の魅力は他のマーベル・ヒーローと比べて適当な事にある。アントマンの能力はサイズを変える事だが、サイズが変わる事による生物学的なデメリット等は一切考慮されない。ただ無邪気に質感や重量とともにサイズだけが変わるのである。例えば身長が5倍になったら体重は容積の単純換算で5×5×5で125倍になり、その重さを支える骨の強度が従来の物では成り立たなかったりみたいな話は無視なのである。大きくても小さくても強度は変わらないと言うのは都合がいい嘘で、多分、スーツが外界と完全遮断されているなら可能だろう。でも、そうするとスーツを着用すると着用した途端に中の人間は死んでしまう。呼吸でも熱でも完全な遮断の上で人間が生きるのは難しい。
その辺、一切、無視して大きい小さいを繰り返すのは、とても都合が良いではあるのだが、効果としてはとても面白い。
一定の容量空間(例えば自動車車内)に占める密度の取り方を0から100まで変える事によってこんなに面白いアクションが可能だとは。これはカトゥーン・アニメの大袈裟なアクションの魅力に近い。物理的にありえないような大袈裟な衝撃。それを正義タイプではない適当な主人公が演じるのがたまらん。このスーツをキャプテン・アメリカが着たら悩みだしそうだ。
アントマンは考えない。
アントマンに比べて理性的理知的である筈のニューヒロイン、ワスプもいきなり出てきて大活躍するが、彼女も考えない。彼女にあるのは行動と信念だけなのである。この人は大日本帝国軍人の鬼軍曹に近い。科学は後から付いてくる。
そして、この超科学(魔術に近い)を開発したマイケル・ダグラス老博士は「超天才」、その設定だけで全て逃げきってる。うおおおおおおー、適当(褒めてる)。

今回このバックス・バニーみたいな面々がスクリーンいっぱいに追っかけっこするのをただ見てるだけである。基本、物語にヴィラン(悪玉)と語るほどの大悪党は出てこない。

極小化システムを盗んで売って大儲けしようとする悪党はマフィアと言うより、部下の少ないチンピラだし(メインは3人くらい)、あんなん、あーた、鼻くそですよ。鼻くそ。どっちかって言うとアントマン&ワスプ&博士(お荷物)の能力が「超人」の域に達していないからチンケな悪役とバランス取れてるってだけ。

マスクを付けてアントマン達と敵対する「ゴースト」もベクトルが違うだけで「悪」ではない。ゴーストもアントマン同様、考えなしに機能をだだ漏れさせながら使っているだけである。と言うよりもゴーストの場合は機能があって、人格がそれに引きずられてる訳だが。なので、ゴーストさんはもうちょっとちゃんとした人格を与えてあげて魅力のあるキャラにしてあげてほしかった。

アントマン&ワスプ&博士&ゴースト&チキチキ強盗団&FBIの家駆け付けチーム&ペーニャ、の仁義なきずっこけ追っかけアクション・ムービー。 in バックス・バニーみたいな世界。だから、蟻とかがたまに命を落としたりするんだけど、ほぼほぼ心が痛まない。あれはそういうシステムだから。俺、蟻とか虫に感情移入はしないんだ(虫は無視だ)。あれがルーニー・チューンズだったら、蟻に天使の羽根と神様の輪っかが付いて天国に召されただろうけど、流石にそれをやったらドラマとして破綻するから抑えたんだろうな。それはしょうがない。

チラシにゴーストの素顔載せてしまってるのはどうかしてる。
逆にゴーストのスーツ姿がチラシに載ってないのもどうかしてる。

ガクーンと気分が落ちたのがラスト。
これで、このラインも『アベンジャーズ』に取り込まれてしまうのだな。割と同じグループにいながらも、地上寄りの汚いコメディーやってますよって感じで極力、影響を受けずに別枠にいたのに。そしてそれが『アントマン』の魅力なのに。全体構想からして見ればしょうがないのかもしれないけど、実に勿体ない。これで、ゲスい話であり、アベンジャーズとかと同じ地球で働いてるけど、ご近所の話だから温かい目で見てやってね、という息抜きラインは『デッドプール』だけになったのだな。あー、あれは興行系列的に違う地球らしいのだけど。どんな些末なシリーズでも見ないと『アベンジャーズ』に差し障りありまっせというのは緩慢な脅迫で、ちょっとイヤだなと思う。

世界観的な意味合いでディズニー(マーベル)地球とソニー地球が融合する中、Xメンとデップーの20世紀地球が別の軌道にあるという事でいいのかな? ファンタ4はどこだろう? まあ、もっと遠い所にDC地球があって、デップーだけはそこに非常勤で出入りしてる感じなのが流石デップー。

相変わらずアントマンの娘が犯罪犯したくなるくらい可愛かった。

マイケル・ダグラスの奥さんが行きっ放しになった世界からやっと帰ってきて体質が変わってるって、ちょっとジャミラっぽいので、水をかけたら悶え苦しむかもしれない(やめてあげて)。

初代ワスプがどんどん小さくなり世界を救ったが(『火の鳥 鳳凰編』だがや)、アントマンが機械の故障で際限なく大きくなっていったら宇宙はともかく、地球くらいは滅亡するのでは?


【銭】
トーホーシネマズデーで1100円(サニー満席だったからこっちにしたよ/でもこっちも最前列)
▼作品詳細などはこちらでいいかな
アントマン&ワスプ@ぴあ映画生活
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