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『センターライン』池袋シネマロサ2

五つ星評価で【★★★面白いけど騙された感もあり】
人工知能(AI)を被告にした法廷劇。
66分の中編でテンポがよく、ガンガン話が捗る感じが心地よい。だが、反面このテンポが曲者で一つ一つを検証する時間を取らずに猛スピードで走り抜けて何か無理やり納得させられてしまったようにも見える。見終わった後、話の筋は分かったが、そこにいる登場人物の心の動きがその話にちゃんと乗っているのかを今一つあやふやに感じた。

裁判で主人公の検事は死者を出した交通事故の運転AIを過失致死傷罪として起訴するが、AIとの交流の中で真実に揺れる。
敵役の国選弁護人はAIに対する侮蔑意識を強く持っているが、裁判においてはAIを守るため搭乗者の自殺説を取る。
問題は裁判される被告のAIが殺人をしたと発表していながら、裁判では事故の時に具体的に何が起きたかについて黙秘している事である。これがAIに対して同情しにくくしている。と言うか、AIが自身が裁判されるという事に対して何を考えているのかを観客が掴みづらい。AIに感情がある事をほのめかしながら、AIの死生観に対してはぼかす。都合のいい所だけ感情を引きだしていないか? いや、それが感情が発芽するかしないかの境目であるという事なのかもしれないが、それはそれでそう言ってもらわんと分かりづらい。

そもそも最初の前提として、アトムなんかのロボットから「ロボットは嘘をつかない」と一般に観客は思い込んでいるが、開発中のAIに対して、絶対に嘘をつかないとは言いきれないという事も示唆されないと裁判劇として公正ではないのではないか。そう言えば、AI的な育てられ方をした『2001年宇宙の旅』のHAL9000もギリギリ嘘は付かなかった。ただ、相対するボーマン船長などに対して、生命に関わる危機などの助言を言わないなど誠実ではなかった。まあ、彼等の立場は本来は仲間だったのがHAL9000が人との信頼関係を失い敵同士になってしまったから、誠実には出来なかったのかもしれないが。そういう意味で、ボーマン船長は織田信長で、HAL9000は明智光秀のようである。『2001年本能寺の変』かよ!


【銭】
確か短尺なので当日一般料金1500円だったが、映画ファン感謝デーなので1000円で見せてもらった。ロサの感謝デーは確か1000円なんだと思う。ブラボー。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
センターライン@ぴあ映画生活
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fjk78dead

Author:fjk78dead
ふじき78
映画を見続けるダメ人間。
年間300ペースを25年くらい続けてる(2017年現在)。
一時期同人マンガ描きとして「藤木ゲロ山ゲロ衛門快治」「ゲロ」と名乗っていた。同人「鋼の百姓群」「銀の鰻(個人サークル)」所属。ミニコミ「ジャッピー」「映画バカ一代」を荒らしていた過去もあり。

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