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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』新宿バルト9-3、『のり平の浮気大学』『強情親爺とドレミハ娘』ラピュタ阿佐ヶ谷

同日鑑賞縛りで3本まとめてレビュー。

◆『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』新宿バルト9-3

▲ビンガム(上)に対して「お姉さんが教えてあげる」的上から目線の胸富士子もとい峰不二子(下)。

五つ星評価で【★★★★絵だな。絵が好きだな。】
ともかく空気が濃密だった。好き。
絵に惚れるようなタイプの映画なのだが、クリエイターにそれだけの実力があるならそれでいい。
原作者モンキー・パンチ氏は「俺のルパンは背中を撃てるんです」と言ったが、このシリーズのルパンはそのモンキー・パンチ氏の世界観にもっとも近いと思う(いや、モンキー・パンチ監督作品は見てないのが我ながら怪しいのだけど)。そういう意味で、不二子も病気の子供に甘くない。生きている者として対等に扱い、対等に勝負し、そして足払いして利を得る。そういう女なのだ、不二子は。
ビンカムの得体の知れなさはいいなあ。
今回のエピソードで劇場版3本が続きの話である事が分かった。そこはそうじゃないよう独立性を担保した方が本当は良かったと思う。もう、繋がってしまったからには次回作以降、その決着を付ける話になっちゃうんだろうなあ。それは話の展開の仕方としてはあんまり面白くなさそうだ。


◆『のり平の浮気大学』ラピュタ阿佐ヶ谷
五つ星評価で【★★安定した小品】
企画「添えもの映画百花繚乱」から2本で1プログラム。
1956年、白黒、56分、初見。
夫が三木のり平、妻が中田康子。
中田康子、脱ぐ訳でもないけど妙におっぱいでかいなと思った。おっぱいでかいのに、でかく見せないようにガッチリ固めたような服を着せたらかえって胸のでかいの強調しちゃったかのよう。


◆『強情親爺とドレミハ娘』ラピュタ阿佐ヶ谷
五つ星評価で【★★安定した小品】
企画「添えもの映画百花繚乱」から2本で1プログラム。
1957年、白黒、55分、初見。
父ちゃん柳家金語桜、娘ペギー葉山って名前だけ聞くと遺伝的に無理がありそうだが映像になるとそうでもない。森光子が町内会会長みたいな役で「時間ですよ」感が色濃い。


【銭】
『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』:一般料金1300円、前売りも同額だが、チケ屋で1280円でGET。
『のり平の浮気大学』&『強情親爺とドレミハ娘』:特集特別料金1500円だが3回券を3600円で購入。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘@ぴあ映画生活
のり平の浮気大学 愉快な家族@ぴあ映画生活
強情親爺とドレミハ娘@ぴあ映画生活

『町田くんの世界』ユナイテッドシネマ豊洲4


▲主役二人に次ぐ功労者の前田敦子(右)と、その名もなき相棒(左)。

五つ星評価で【★★★★ラストの処理が違うかとも思うがエールをこめて星一つサービス】
主役の町田くんと猪原さんはオーディションで選ばれた新人、頑張った。がんばれー。
町田くんの足の遅さと、何かに気づいた時のビックリシャックリみたいなのがかーいらしい。しかし、こーゆー底抜けの善人は今まで山下清とかレインマンみたいな人しかアプローチがなく、少女マンガで恋愛対象になる外見ってのは新しいわあ。善人と言うより好男子から外見を取り除いた『俺物語』も新しかったけど。あれはあれでちょっと毛色が違うな。あれは何でも出来る善人。町田くんは何も出来ないけど善人の度合いだけ桁外れ。多分、「善人」と言う要素はそこそこ必須要素ではあるものの恋愛の最優先に捉えられた事がなかったのだろう。
猪原さんのストレス貯まりすぎて足ガタガタなのかーいー。
太賀の気持ちいい負け犬ぶりも良い。
前田敦子の醒めたJKはずっと見てたくなるくらい魅力的。彼女は実は観客視点のキャラで、皆が感じてる事を文章化する。
あと名前分からないけど、あっちゃんと恋バナする女の子がホンワカいい空気持ってて良かった。

何気に松嶋菜々子戸田恵梨香の母親陣にほっとする。
北村有起哉にはほっとしない。いや、スタンスが違うから。

終盤のファンタジーに結論を委ねちゃうのは賛成できない。そうしないと終えられない訳でもないだろう。あの結び方がベストチョイスとは思えない。

それにしても、映画内の池松壮亮よろしく、世界は今、善人に飢えているのだと思う。だから、この映画は尊い。そういう映画少ないし、善人の映画って悲劇で終わる事が多い気がしてならない。


【銭】
ユナイテッドシネマ有料入場時のポイント2ポイントを割引に使って1000円で入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
町田くんの世界@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
町田くんの世界@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記

『花園の迷宮』『不連続殺人事件』新文芸坐

新文芸坐の企画「追悼内田裕也スクリーン上のロックンロール」から1プログラム。

◆『花園の迷宮』

▲マトリックスのショットガン・カメラがあったら、ちょっと向きを変えてみたい1枚。

五つ星評価で【★★★内田ロッカーなのに一番声が小さいぞ】
1988年のカラー映画。118分。公開時に見て2回目。工藤夕貴見たくて来た。
内田裕也は内田裕也でいつもの怪演である。映画内で唯一の肉体労働者だけど、戦前の軍人みたいに引きしまっているけどマッチョではないのね。昔の日本のオヤジ的な体型。内田裕也の存在感はいつも通りなのだけど、ロッカーなのに一番小さな声でボソボソしゃべるのはいいんか? とは言え休憩時間に場内で掛かる内田の歌声は凄くかっこいい。
そして、島田陽子と江波杏子と工藤夕貴が良いわ。
島田陽子はもう完全に男前の「島田陽子」という生き物。自分の人生を最後の最後で情欲から破滅させた男に向かって「来いよ、抱いてやるよ」と一喝する様は、ああ、思った以上に凄い役者だと思い知らされた。
その地獄の島田陽子に負けてないのが江波杏子。この人はいつもこういう地獄に棲んでいるイメージだから驚きはないけど。まあ、島田との対比でよりエゲツなさが輝いて良い。
最後に工藤夕貴。もうナイス小便くさい女の子。それでも、島田陽子と張り合うシーンがあって、やっぱ大した役者だなあと思わされる。
連続殺人事件ではあるが一番怪しい人間がそのまま犯人なのでミステリーとしては何か怪しい出来。どちらかと言うと女のドラマとして良い出来。デートムービーに多分向かない映画だが、この映画見ていろいろ話し合えるなら強固な結びつきのカップルになれると思うぞ。


◆『不連続殺人事件』
五つ星評価で【★★謎が謎を呼びすぎ】
1977年のカラー映画。140分(うわ長)。初見。
佐川哲郎って若くても若くない。田村高廣が金田一耕助っぽい衣装だが謎は解かない。桜井浩子(フジ隊員)が大人の服を着てると美人なのだ。あーもーミステリとして成立させる衝立が高くて多くて大きくてさっぱり分からなかった。何だよ、あの登場人物の多さ。しかも、逐次投入されて多くなる(殺されて減りはするが、ミステリの場合、殺された死体でも個性は残るので勘定的には減らない)。


【銭】
新文芸坐の有料入場ポイント8ポイントを使って無料入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
花園の迷宮@ぴあ映画生活
不連続殺人事件@ぴあ映画生活

『泣くな赤鬼』よみうりホール


▲「丈夫な子供を産むから」「分かってる」と言うセリフは言ってない。

五つ星評価で【★★★基本的に方向は正しい】
ちょっと忙しいので、驚異のザックリ感想で行く。
人が死ぬという事は悲しい。泣ける。意に添わず早期の退場なら尚更だ。それをとても丁寧に掬いとってる。そこに関してはちゃんと評価してあげたいと思うのだ。問題はそれ以上が構築できなかった事。
人が死ぬという事は悲しい。泣ける。でも、それはみんな知っている事だから、その上にもう一つ何か乗せる話を作るのが普通だと思う。本来、それは赤鬼、堤真一の構われなかった娘のエピソードとかから死に行く柳楽優弥に対して何かのアプローチをさせるとか、そういう方向に流れるのではないか? いやらしい話だが、両家に赤ん坊がいるのだから、そこで話膨らませたりも出来るのではないか。

堤真一は先生が似合うので良い。
柳楽優弥はいつも通りすぎて、ちょっと食い足りない。
川栄李奈はベスト脇。いい位置でいい演技をする。
竜星涼のワイシャツでの守備の美しさが良い。手足長いってかっこいいなー。

PS 『抜くな赤鬼』とか超絶くだらないシモネタ思いついてしもた。
 (くだらないと分かりつつ書かずにはいられない)



【銭】
まんが雑誌の試写会応募で当てさせてもらいました。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
泣くな赤鬼@ぴあ映画生活

『つる』神保町シアター、『チャパクア』『見世物』K's cinema

同日鑑賞縛りで3本まとめてレビュー。

◆『つる』神保町シアター
五つ星評価で【★★痒い所に手が届かない変な映画(でも映画的には超変化球すぎて脚注付きなら面白いと思う/好きかって言われたら不安になるからそうでもないと答えるけど)】
企画「市原悦子と樹木希林」から1プログラム。
1988年、カラー、93分、初見。
市川崑監督。ずっと見たいと思ってたけど見れなかった映画。そんなに古い映画でもないけどどこにも掛からない。見たら掛からない理由が良く分かった。いやまあ、お年を召した後の吉永小百合の映画は中々、名画座とかで掛からないのだけど、やっぱりこの百本記念作品くらいからグンとおかしくなったのじゃないかと思う。
市川崑がそういう事を気にしないのか、役者の演技が本当にバラバラで溶けあってない。
ともかく野田秀樹の演技が一人だけ暴走してる。確かに一人だけ見ると上手いのだ。あれ、舞台で一人芝居だったら凄く魅せる演技じゃないかと思う。でも、他の誰の演技と波長が合わない。彼一人だけ民話の登場人物がそのまま現実世界にやってきたようである。多分、この野田秀樹はピュアで頭が悪くて、セックスとかはできないだろう。図体は大人だが小学三年生みたいな役である。
それと夫婦になるのが吉永小百合。ちゃんと若く見えるようにメイクをしているのだが、野田秀樹の母親役の樹木希林より貫禄があるのである。それでは小学三年生で演技してる野田秀樹と合う筈がない。終始、保護者のようであった。しかも、吉永小百合は鶴の化身なので、動き(特に歩き)に「そーっ」と鳥の演技を混ぜてくるのである。物凄く勉強熱心で理屈の上では正しいが、それとっても隠されたギャグっぽい。そして見栄を切るようなシーンで市川崑が付ける演出がけっこうホラーっぽい。凄い。何かもう何が敵で何が見方なのかも分からないような現場じゃなかろうか。
樹木希林はいつも通りだが、主要登場人物三人の中で唯一、常識的な演技をするのでとてもよく見える。この樹木希林と近所の夫婦(川谷拓三と横山道代)だけは至極真っ当に普通。鶴と旦那を除いて映画を作ったら傑作になったかもしれない。何だその『ゴドーを待ちながら』展開は?
あと、ただただ鬼のように怖い菅原文太と、そーっと怖い奥方の岸田今日子。菅原文太にパワハラされたらキツいわあ(これは文太がパワハラする映画なのである)。そして、存在感が怖い岸田今日子。何故、妊婦にしたのか全く分からず。妊婦が醸し出す母の慈愛とかなく、卵を呑みこんで腹が膨れてる蛇みたいだった。
あとキャストロールに常田富士夫の名前があったが、どこに出てるか分からなかった。猟師役だろうか? あれ、セリフとかない役なのに。
石坂浩二がナレーションなんて『ウルトラQ』じゃん。

反物を織るために、他の鶴を捕まえてくるのが全てを丸く納める手段じゃないだろうか。

PS そうそう、劇伴が何故か「アメイジング・グレース」で、
 その意味不明さと効果のおかしさにちょっと震えた。



◆『チャパクア』K's cinema

▲映画の印象と著しく違う映画ポスター。

五つ星評価で【★おで、こーゆーのダメなんの】
企画「奇想天外映画祭アンダーグラウンドコレクション2019」から1プログラム。
1966年、カラー、82分、初見。
コンラッド・ルークス監督。勢いで見た。
ドラッグ&アルコールでの入院の日々の心情を映画に焼き付けたデビュー作。
「心情を」焼きつけたのがミソで、ラリラリで不整合で、映画自体が酔っぱらっているかのよう。音楽も独特。そして、女の子は魅力的。うーん、それは大事だけど、そこだけでは好きになれなかった。


◆『見世物』K's cinema
五つ星評価で【★★★★★ヤバい。凄い面白いよ】
1927年、白黒、無声映画(伴奏あり)、76分、初見。
トッド・ブラウニング監督。『フリークス』の監督が5年前に撮った映画という事でイソイソと見に行った。
無声映画である事に意表を突かれた。でも、全然それが苦にならなかった。
題名がアレなんで、フリークス達が出てくるかと思ったが、そういう人達は出てこなかった。
主役の名前がクック・ロビン。イケメンでプレイボーイ、金の為なら女を捨てるのを厭わない、とってもイヤな奴。こいつがイケメン設定なのに服のセンスが1927年なので、むちゃくちゃダサイ。横縞ボーダーシャツ、変なハイウェスト・パンツにチョビ髭。タイプで言うと、玉木宏。それがダサくて、悪くて、モテモテ。
ヒロインがサロメ。サロメの芝居の要点を見世物にして、そのトリック明かしてくれるのも面白かった。目が情感あふれる。彼女のほかにも要所要所美人多し。
悪漢が「ギリシャ野郎」。凄いネーミングだ。そして硬い表情がクールでヒール度ビンビン。そして、ジュード・ロウに似てる。
主人公の横嶋シャツ野郎が最後に下す決断がベタだけど良い。


【銭】
『つる』:神保町シアター一般入場料金1300円。
『チャパクア』:当日料金は1500円だが特集共通三回券を3000円で購入。その使用1回目。
『見世物』:上記三回券の使用2回目。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
つる・鶴@ぴあ映画生活
チャパクア@ぴあ映画生活
見世物@ぴあ映画生活

『にっぽんのお婆ぁちゃん』神保町シアター

五つ星評価で【★★★爺ちゃん婆ちゃんだらけ】
企画「水木洋子と女性脚本家の世界」から1プログラム。
1962年、白黒、94分、初見。
今井正監督。画面いっぱい爺さんと婆さんで覆われる絵の強さったらないわ。
主役は北林谷栄、ミヤコ蝶々。ミヤコ蝶々は孫がいるからお婆ちゃんだが、そういう関連性を除けば、遠目でなら「おばさん」で通るんじゃなかろうか。北林谷栄は正々堂々、老婆である。ちょと待て。間に26年間ある『となりのトトロ』とか、その3年後の『大誘拐』とほぼほぼ変わってないぞ。なんて化け物。

左卜全が阿波おどりを踊る為だけに産み出された謎の生物っぽい。

PS 大した分量書いてないのに書き忘れた。
 市原悦子と田村高廣も出てるんだけど、老人役じゃなくって
 二人とも若者組だぜい!(くらくらする)



【銭】
神保町シアター一般入場料金1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
喜劇 にっぽんのお婆ぁちゃん@ぴあ映画生活

『映画の教室2019上第三回』国立映画アーカイブ

◆『映画の教室2019上第三回』
五つ星評価で【★★★比較的ソフト】
国立映画アーカイブの企画上映「映画の教室2019上」。
全五回で今回のお題は「PR映画に見る映画作家たち」
三回目は「桜映画社:村山英治・杉井ギサブロー・大塚康生」で、短編各1本。

『アメリカの家庭生活 第二部 おかあさんの仕事』1964年カラー29分。桜映画社の自社作成映画。前半はアメリカの主婦の仕事、後半はアメリカの老人問題。当時と今ではアメリカも日本も生活様式が変わっているだろうから、こういう定点観測みたいな記録は面白い。アメリカの主婦って日本と違ってやってる事がかなりゆるい。日本の主婦働き詰めである。三食の用意は毎日としてるとして、洗濯は週二回、掃除は週一回、買い物も週一回、家計簿付けるの週一回、あと社会奉仕週二回だっけかな。土曜はまるまる家族団らん。TVは週一回程度。高温多湿な日本と違うのかもしれないけど、洗濯・掃除・買い物を毎日やってないのが驚きだ。
『たすけあいの歴史 生命保険のはじまり』1973年カラー30分。生命保険文化センターのPR映画。杉井キサブローの初期映画。絵面は耽美とか抜きでマンガ。生命保険の始まりをそもそも自然界でも助け合う動物同士があるって、話をでかい方向にすり替えてるの面白い。
『草原の子テングリ』1977年カラー22分。雪印乳業のPR映画。大塚康生の初期短編。これがあるから今日は客層混雑してたのだろうと思ってる。いや、ドタバタの明朗具合がほんまに大塚康生。


【銭】
国立映画アーカイブ一般入場料金520円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
《映画の教室 2019/桜映画社:村山英治・杉井ギサブロー・大塚康生》@ぴあ映画生活

『轢き逃げ 最高の最悪な日』丸の内TOEI①(病みがち)

◆『轢き逃げ 最高の最悪な日』丸の内TOEI①

▲「水谷豊の身体を使って人体消失の手品を練習する檀ふみ」的なスチール。

五つ星評価で【★★★やるやる水谷豊】
轢き逃げ事件の加害者、捜査する刑事、被害者の父と母、を丹念に丁寧に描く。
予告から水谷豊演じる被害者の父がもっと主演でグイグイ個人捜査するのかと思ったが、思った以上に加害者パートが長く、全体的にはちょっと偏りのある群像劇といった感じだった。『相棒』で飽きているからか、刑事の捜査パートが短いのは、ミステリとして弱いか。いや、そもそもミステリではないのだな、きっとこれは。「奇談」に近い。不気味に事件をかぎまくる水谷豊が実は内閣諜報部で幾つもの国を船に乗って渡り歩いてきた海洋スパイとかだったら、ジャッキーの『フォーリナー』っぽくなるがそうはならなかった。映画の中に敵がいないからしょうがない。いや、敵に格上げできるのは岸部一徳くらいだけど、映画内では妙に水谷豊に近づいていく様がホモっぽいしなあ(そんな事はありません、多分)。
前半の加害者で、加害者の心痛と、でも自首は出来ないというギリギリがちゃんと描かれている。事故を起こした彼が無名の役者なので、本当に事故を起こしたようにしか見えずなかなかいい没頭感。彼は日本テレビの升アナに似てる。そら真面目だろ。彼の婚約者も真面目な美人。この二人のデートがバリバリにバブルで若者っぽくない。そこは水谷豊に要求してはいけないか。と言うか、私も若者ではないからあれが今の本当の若者のデートだよと言われたら土下座で謝るしかないけど。
加害者側の三人には若手を起用、フレッシュ。
刑事に岸部一徳と毎熊克哉。なんて安定した組み合わせ。毎熊克哉なに、このベテラン感!
加害者の親に水谷豊と檀ふみ。水谷豊が有能じゃないけどあちこち駆けずり回る様が実直でいい。道路押してたのは何なんだろ、あれ。娘の日記帳が出てきて、娘のどんな過去が現れるかと思ったら、そこに関心はないのね。そういうのはそういうので珍しい展開。まあ、娘が実は美術館をアジトにする麻薬ブローカーだったりしても困るし、喫茶スマイルがその販路の一部だったりしても困るだろう。親同様船が好きなのは麻薬の取引を船員とするからだったりして。いや、だから、違う。あの娘はと言えば、事故のショットが最高。ああ、事故るとあんな風に見えるんだと言うのがショットとして凄く良かった。目に焼き付いた。その凄い演技をやったのに、娘に「裏」がない事で薄っぺらい人間に見えてしまうのは役として損な扱いだ。そう言えばあの美術館の制服は何か趣味悪い。でも、あのコスでSEXしたい気がする。ダメだよ、俺。あの娘の相手も絶対そういう要求をしたに違いない。俺みたいな奴なのかよ、あいつ。ゲー。
檀ふみはあまり役者として見る機会が少ないのだけど普通に良い。

ちゃんと映画の筋として、そこでそうするのという展開もあり、なかなか楽しめた。欲を言えば映画らしい派手な部分がこれでもかとない。娘がダンスやってたのだから、浅草サンバカーニバルの衣装で轢かれるとかすればよかったか? いや、派手にするってそういう事じゃない。やはり、水谷豊が娘の気持ちを知る為に娘のダンス衣装を着て、、、、、だからそーじゃないと言ってるだろ、俺。

映画として派手だったり、ミステリだったりしないけど、かと言って一人一人の心情を物凄く深く抉るような書き方はしてないとか、感想書いてる人に言われたりもしてるのだけど、加害者側も被害者側も両方取りあげたので、ここから個々の心理をもっと深くと言うのは長さから避けたんじゃないか。あと、凄く泣けたりする訳じゃないのが逆にちょっとリアルだったかもしれない。

二種類あるチラシはどちらも観客が、これ見て「見たい」と思わないようなデザインだなあ、と思った。


【銭】
東映株主券2980円(201902~07)をチケット屋で買って6回分のうち1回(5枚目)。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
轢き逃げ -最高の最悪な日-@ぴあ映画生活

『歎異抄をひらく』『コンフィデンスマンJP』『貞子』

同日鑑賞縛りで3本まとめてレビュー。

◆『歎異抄をひらく』新宿シネマート1

▲左手奥が主人公。鎌倉時代の百姓なのでどうやらザンギリで正しいらしい。右手前は修行僧の先輩。ゆるふわ髪でビジュアル系説法かよ!(街頭で女子に説法モテモテの描写が本当にある、、、っつか流石にそういうモテモテとかは演出だろ、、、、いいんか? 実在した本当の親鸞上人の弟子だろうに)

五つ星評価で【★★これはアニメ向きでない題材】
親鸞上人のいう「善人なおもて往生す、いわんや悪人をや」の真の意味とは? 弟子になった少年が解説する。
宗教説法を物語の形にしてアニメで描くというのは向いていない。アニメのメリットはデフォルメできる事なのだが、最初から最後までデフォルメらしいデフォルメがない。せいぜい猛獣として熊が出てきた事、少年として出てきた主人公が年老いた事ぐらいだろう。一般にはそういうのはデフォルメ(誇張)とは言わない。親鸞上人の物語に巨大ロボを出したり、変身シーンは入れられないだろうが、奇抜なものやアクションにアニメは効果を発揮する。つまり相性がいい。Aさんが話してるのをBさんがずっと聞いているみたいな地味なシーンの連続はアニメより人間の役者のほうが向いている。人間の役者は黙っていたり止っていたりしても完全には静止していないからだ。絵と違う。佇まいその物に表情がある。会話劇などは確実にアニメより実写の方が説得力などについて高い効果を得られるだろう。
それでも、アニメで作られてしまうのは、客層の間口を弱年層にまで広げたいという希望と、制作費が実写よりは安いからだろう。それは本来作品と関係のない部分だ。チーン。
アニメの登場人物は基本みんなイケメンに描かれているが、凄く美麗に描き切ったという風には描かれていない。どちらかと言うと事務的に処理してるように見える。作画陣に取って、この顔を描くのがストレスだったのではないか。みんな農民とか僧侶だからイケメンに描くのに説得力がなかったんじゃないか?(イケメンの農民や僧侶の人ゴメン)

大事なのは阿弥陀如来の再臨を待ち、ずっと祈ること。
阿弥陀如来は全ての人を善人、悪人分け隔てなく救ってくれる。
それどころか、人間は全員、煩悩を持つから悪人なのである。
善人ですら悪人の一つの形態に過ぎない。

凄いよ親鸞上人。永井豪の人間は悪魔より悪魔である、を思いだしてしまった。これまで聞いていた解釈と違う悪人論にはちょっと惹かれた。たいへん『デビルマン』的であり『魔王ダンテ』的な発想じゃないかと思う。


◆『コンフィデンスマンJP』トーホーシネマズ渋谷6

▲ダー子。

五つ星評価で【★★★こういうのムチャクチャ簡単に騙されるマン】
ドラマは未見。一見さん。
うおー楽しい。ダー子ばっちぐー。江口洋介が意外に男前やないかい。
ダー子が変な顔する所は全ていい。
そもそもダー子って変な名前が凄く可愛い。


◆『貞子』トーホーシネマズ渋谷2

▲エライザと貞子のキューティクル合戦。

五つ星評価で【★★うわ、あははははは】
エライザ可愛いのう。まあ、それはそれ。
シリーズ設定を遵守できていない脚本がダメ。と言うより新作できる度に設定がぶれているから、その時一回だけでも成り立つようにちゃんと設定を整理して提示すべきだと思う。多分、今回からだろうと思うが、貞子が親に殺された子供にシンパシーを抱いていて、伊豆にあるある洞窟と同調しているという設定に凄く強い違和感を感じる。確かに貞子は育ての親に井戸に捨てられたが、だからと言ってその親に強い憎しみを抱いている風ではない。最終的に怪物化してしまう貞子にそんな人間的な感情があると考える方がちょっと胡散臭い。
佐藤仁美が何か到底、彼女が知りえてそうにないこと全てしゃべるのもどうか。佐藤仁美の親友が『コンフィデンスマンJP』で香港マフィアの女王ラン・リウを演じていたのも何かの呪いか? そう言えば、そっちのリチャードは『リング2』で貞子のエネルギーを液体に逃がそうとして返り打ちにあった前世とかあったよな。
あと、清水尋也の独特な顔が好き。
そして開口一番で言った通り、池田エライザ可愛い。衣装宮本まさ江(衣装いいと思ったら大抵この人)の出す服も的確。

演出は絵作りという意味では上手く怖い絵を作ってると思うが、そもそも話がダメなので怖さを素直に感じられなくなってしまっている。中田秀夫監督は脚本をそのまま一番ベストに映像化する。そういうタイプの演出家なのだろう。なら、いい脚本を与えないとダメだ。そもそもいい脚本が必要である事はどんなジャンルであれ、鉄則だけど。
「撮ったら呪われる」わはははははは、何じゃそりゃ。


【銭】
『歎異抄をひらく』:映画ファン感謝デーで1100円。
『コンフィデンスマンJP』:映画ファン感謝デーで1200円。
『貞子』:映画ファン感謝デーで1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
歎異抄をひらく@ぴあ映画生活
コンフィデンスマンJP@ぴあ映画生活
貞子@ぴあ映画生活
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コンフィデンスマンJP プリンセス編@死屍累々映画日記・第二章

『翔んで埼玉』『プリキュア・ミラクルユニバース』『多十郎殉愛記』『うちの執事が言うことには』

東映で4本まとめてレビュー。

◆『翔んで埼玉』丸の内TOEI①

▲右・百美(♂)のくびれの美しい事。ちょっとさすってみたいっすね。

五つ星評価で【★★★こういう悪ふざけは大好き】
残念ながら大爆笑には至らなかった。やはり埼玉で埼玉県民と一緒に見てないからだろう。ただ一番ひどいディスられ方をしたのはプテラノドンが飛ぶアマゾンのような群馬だが。原住民のグンマーが怒るぞ。そう言えば『お前はまだグンマを知らない』で都民→グンマーを演じた間宮祥太朗はこの映画ではハナから埼玉県民だった。
魔夜峰央のゴシックでゴテゴテなフリルっぽい世界観がちゃんと絵として成立してるのが素晴らしい。美術スタッフに拍手を贈りたい。
GACKT高校生役ってのは凄いな。これもよう気張った。あ、二階堂ふみも勿論えらい。

かくいう私も、執事に調度いい狛江に住んでます(精度の高いディスられは存外気持ちいい)。

麻生久美子が嫁さんで島崎遥香が娘ならどこに住んでてもいいだろ。

エンディングのハナワ起用が素晴らしい。あれで映画の質(満足度)が一割くらい底上げされてると思う。フルコースで最後に出てくるデザートが料理の評価を底上げするように、一番最後にもう一ネタという「笑い」にはみんな弱いのだ。


◆『プリキュア・ミラクルユニバース』渋谷TOEI②

▲ポスター。しかし、知性が薄い感じは否めない。

五つ星評価で【★★★アンパンマン同様、毎回、悪の設定が大変だと思う】
悪玉が悪のミラクルライトを使って意識のない下僕から応援を受けて復活を遂げる構造が多分、今までになかったと思うけど、これは画期的。そういう形式に効き目があるのなら事前に用意だけしておけば悪玉側必勝だ。だから、マジに取り入れたり、組み入れたりする事はできなかろう。
その悪の応援の後、歴代のプリキュアが反撃の為にミラクルライトを片手で高く掲げる同じポーズを取ったのがハイルヒットラーのポーズっぽく感じてしまった。
子供が場内で振るライトの色がなかなか綺麗で風情がある。


◆『多十郎殉愛記』丸の内TOEI①

▲周りの雑兵と顔の作りが違う。

五つ星評価で【★★物語のバランスが悪い】
高良健吾と多部未華子のキャスティングが光る。
高良健吾なんて強そうにしか見えないじゃん。
多部未華子が演じる町娘なんていい人に決まってる。
なんだけど高良健吾が何故あそこまで身を持ち崩さなければならないのかが伝わってこなかった。そこは大事よ。省略しちゃいけないし、ちゃんと主人公に同情させて感情移入を引きださないといけない。
チラシのコピーが「ラスト30分壮絶な死闘に泣け!」なのだけど、90分台の映画でラスト30分の死闘ってちょっと長いだろ。そこを5分とか10分削っても、主人公の厭世の理由とかをもっとちゃんと描いた方がよかったと思う。こちとらいい年なので、クライマックスが長すぎると身体が持たない(ぜいぜい)。


◆『うちの執事が言うことには』渋谷TOEI①

▲ポスター。少女マンガのように花を背負います。

五つ星評価で【★★問題はリアル感の欠如】
凄くつまらない訳ではないけど主人公が金持ちすぎる上に外界と遮断されすぎてるので話のリアル感がどうも出ない。まあ、絵空事なら絵空事でいいのだろうけど、若い金持ちが集まっているのをセレブ集団として描くのに、日本人の容姿は向いていないのだ(マンガやアニメならそういう世界と言う事でパスできるのだろうけど)。せいぜい大学の乱交サークルみたいにしか見えない(似たような機構だからかもしれん)。
先代社長が吹越満、その執事が奥田暎二と言うのも、映画内での失点はないが、ふと脳裏に浮かび直してみると随分、貧乏くさい主従である。運転手に矢柴俊博、庭師に村上淳、料理人に原日出子。みんないい役者だが、あの規模の屋敷に一人という配置なら、もっと年老いていて、その人の年輪で正しく仕事が回って見えるくらいオーラがある方が自然だ。
原日出子が掏摸の容疑を掛けられる場面、あれはとても単純に財布に原日出子の指紋が付いてない事を確認してもらえばよかったのだ。
ミステリーとしては犯人候補が一人しか出てこないので、あの人だろうと思ったら、その人だった。


【銭】
『翔んで埼玉』:東映株主券2980円(201902~07)をチケット屋で買って6回分のうち1回(1枚目)。
『プリキュア・ミラクルユニバース』:同上(2枚目)。
『多十郎殉愛記』:同上(3枚目)。
『うちの執事が言うことには』:同上(4枚目)。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
翔んで埼玉@ぴあ映画生活
映画プリキュアミラクルユニバース@ぴあ映画生活
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