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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『怪談新耳袋Gメン 孤島編』キネカ大森2

企画「夏のホラー秘宝まつり2019」から1プログラム。

◆『怪談新耳袋Gメン 孤島編』キネカ大森2

▲はちと社長

五つ星評価で【★★通常営業】
変異や怪異は起こる。
ゼロではない。
が、JKの物言いではないが「インスタ映えしない」のである。
いつも通り、粛々と気づかれないくらいのが起こる。
「だが、それでも前を向いて進もう」と言う流れは
そうせざるを得ないにしても脱力はする。

でかい変異や怪異はそう簡単に起こったりはしないだろう。
なら、どうやって見せるか、だろう。
そこがドキュメンタリーにおける演出手腕ではないか。
各メンバー発言に向けたテロップなどは的を得ていて面白い。

大人の悪ふざけとして、1年に一回だし、このシリーズその物はかなり、どんなでも許容できてしまう(あっ、そもそもそれがいかんのか)。ただ一点、メンバー紹介で「はち(日本人形)」に触れないのはあかん。


【銭】
テアトル会員割引で1300円で入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
怪談新耳袋Gメン 孤島編@ぴあ映画生活
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『座頭市血煙り街道』『新座頭市 破れ!唐人剣』新文芸坐

新文芸坐の企画「座頭市 令和に蘇る盲目の侠客」から二本立て1プログラム。

◆『座頭市血煙り街道』
五つ星評価で【★★★ボイン発言にパンチ食らう】
1967年のカラー映画。87分。初見。
サブタイトル強烈。
朝丘雪路をなべおさみがボインと言う。中尾ミエは一曲まるまる歌うが歌詞に「パンクズのように」と言うフレーズ、いいな、自由で。
近衛十四郎シャンとしてる。
シャンとしてる近衛十四郎を初めて見るので戸惑いがある。
曲は伊福部昭、あちこち大魔神ぽい。
芸人一座と別れてからがメインの話だが、その辺りで頭が疲れてきた。


◆『新座頭市 破れ!唐人剣』
五つ星評価で【★★★こっちも後半ダラダラ】
1971年のカラー映画。94分。初見。
蛍光グリーンのオープニングテロップが目に毒毒しい。
何かヘドラっぽいなと思うが、毒々しいのはテロップまで。
音楽が冨田勲でシンセ使って妙に下品なメロディを作ってて逆に新鮮。
頭から尻までボタンをかけ違えたように誤解に基づく戦いだらけ。
戦う必要ないのにダラダラ戦ってる感じ。


【銭】
新文芸坐の会員割引250円減の1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
座頭市血煙り街道@ぴあ映画生活
新座頭市・破れ!唐人剣@ぴあ映画生活

『鉄砲玉の美学』国立映画アーカイブ

◆『鉄砲玉の美学』国立映画アーカイブ
五つ星評価で【★★★若き渡瀬恒彦】 
特集企画「逝ける映画人を偲んで2017-2018」からの一本。
1973年のカラー映画、97分、初見。
狂犬時代の渡瀬恒彦、コメカミの血管がピクピクいって怖い。お年を召してからは柔和な役のみにシフトしていった感じだが、若い時はもうドチンピラでバリバリである。弱い犬のように吠えまくり、機嫌の上がり下がりが極端で、何か失言でもすると男でも女でも蛸殴りにしそうな熱さと怖さがある。感情に流される半端なチンピラ。とてつもなく未熟なのだが、その未熟である事が渡瀬恒彦の若さを際立たせる。未熟であり、何者でもなく、何も出来ない、世界から認められない苛立ちが強烈に渡瀬恒彦の若さをアピールする。彼のライバルは同じように何も出来ない川谷拓三であり、彼の対極が虚勢を張らずに地道に物事を成していく敵組織のトップ小池朝雄だ。そして、未熟である事によりエネルギッシュに若さをアピールする渡瀬恒彦はこの映画の中でよくモテる。だが、最後の最後にはその未熟さに女性陣は匙を投げてしまう。唯一、匙を投げるとかではなく、冷静に彼を値踏みして去っていったのが小池朝雄の情婦で、渡瀬の若さを楽しみながらも、引きどころも知っている大人の女、杉本美樹だ。杉本美樹が去った時点で渡瀬にはいい目がもう何も残っていない。そして、杉本美樹はとてもドライに渡瀬を捨てる。それが大人なのだ。あー、子供な渡瀬に合わせて犬になってくれる杉本美樹が良かったなあ。俺だって「ワンワン」って言ってほしいさ。

テキ屋として路上で大きくならないウサギを渡瀬は売るのだが、大きくならない種別ではなく、単にエサをやらずに成長させないだけだ。ウサギの窮状を見かねて渡瀬の情婦が渡瀬の留守中にエサをやると、何かとてもブザマに成長してしまう。今まで見た映画のウサギの中で群を抜いて醜い(※)。あれが夢に出てきたらうなされてしまうに違いないという醜さだ。青春が腐って濁って発酵したみたいなウサギであった。
 ※ ちなみに、今まで見た映画の中で群を抜いて危険性が高いウサギはピーター・ラビット。

監督が中島貞夫なので東映かと思ったらATGだった。うーん、ATGの映画にはとても見えない。

頭脳警察の主題歌かっけーな。

「鉄砲玉」の映画ではあるが、「美学」は貫かれていない(「貫けない悲劇を描いている」とも言える)。なので、ラストはたいそう盛り上がらない。どん底に落ちて終わるのが東映ではなくATG風味なのかもしれない。


【銭】
国立映画アーカイブ一般料金520円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
鉄砲玉の美学@ぴあ映画生活

『BEYOND BLOOD』『シオリノインム』キネカ大森1

企画「夏のホラー秘宝まつり2019」から2プログラム。

◆『BEYOND BLOOD』キネカ大森1
五つ星評価で【★★これは多分俺が悪い】
私は昔の映画の人なので、時間さえ合えばあまりその映画の事前の情報とか分からなくても「ぶらっ」と劇場に入ってしまう事がある。なんたる映画に対する信頼感。そう、昔の映画館と言うのは「ぶらっ」と入ったお客を事前情報とかなしでも楽しませてくれる装置として機能してたのよ。昔はTV番組やビデオ作品のファンだけを対象としたファンクラブ映画みたいなのもなかったし、続編も少なかったし、仮に続編であってもその続編だけ単体で見れるような作り方をするのが常識だった。
でも、これはあかんねん。
これは「ニュー・ウェイブ・オブ・フレンチホラー」と呼ばれる一時期のフランスホラー映画に対してのインタビューを中心にしたドキュメンタリーなのだけど、その映画群の一本すら、奇跡のように指からすり抜けて見ていなかった。そら、楽しめんわ、俺。なので、これはノコノコ見に行った俺が悪いのだと思う。
さて、フレンチホラーを撮った一群が一様に言うのは海外ではとても有名だが、フランス国内ではジャンル映画として差別される。そもそも同じ土俵に立つ映画として認識されないのだそうだ。こりゃアレだ。日本の成人映画みたいなもんだ。日本の成人映画、面白い物はその年のベストにあげて躊躇ないくらい面白い。でも、一般性はないし、全体に無視され続ける方向だ。まあ、つまらない物は底なし沼で息が出来ないくらいつまらないからバランス上、しょうがないかもしれんはしれんが。ジャンル映画(ホラー、アクション、SF等々)も多少、差別されるキライはなくもないが、大手邦画作成会社がそういう作品に興行価値を認めて手を出しているので、インディーズ映画以外は意外にそういうジャンル差別はない。押井守がメジャー系で撮れるという凄い国だからね。このインディーズの縛りも昨年『カメラを止めるな』が脚光を浴びた事でちょっとだけあやふやになった。良きかな、良きかな、頑張れ、頑張れ。
企画全体でスタンプラリーをやっていて、5本見たら6本目は無料というのをやっていたのだが、劇場の人が強く進めてこなかったので今回は辞退した。新作6本だけの企画で(今回は旧作上映無し)、全コンプ鑑賞は時間的に厳しいと踏んでの辞退だが、それでも「お前らスタンプ集めるんだよ!」と強制的にスタンプ渡してくれるくらいの態度がいいな。人の心は弱いから、そうでもされたら見てしまうかもしれないのに。


◆『シオリノインム』キネカ大森1
五つ星評価で【★★これは多分、演出と撮影が被写体の撮り方を間違えている】
松川千紘の初主演映画。
エロいっつか、ほぼ成人映画である。
頑張った彼女には申し訳ないが、被写体として可愛く撮れてない。これは監督と撮影が悪い。彼女は輪郭がハッキリしていて一重瞼のどちらかというと美人系。こういう人はシャープでコントラストのキツい映像で撮ると可愛くは映らない。この映画は霊障に脅える彼女に観客の同情を集めなければならない。弱さや可愛らしさを強調すべきであり、その為にはもっと柔らかい撮り方があったろう。
ホラー表現はよく撮れている。
見せない所はちゃんと見せないし、見せた方が効果が上がる所はちゃんと見せる。クリーチャー気持ち悪くて良いなあ。吐きだめの土肥さんが手掛けてる。じゃあ、低予算だな(いや、低予算とは思えないいい仕上がりである)。
ラスト後味悪い。
周りの役者さん知ってる人はいないけど、みないい演技してると思う。


【銭】
テアトル会員割引で各1300円で入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
BEYOND BLOOD@ぴあ映画生活
シオリノインム@ぴあ映画生活

『アルキメデスの大戦』『ワンピース スタンピード』『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』『ワイルド・スピード スーパーコンボ』『メン・イン・ブラック インターナショナル』

摘まんで5本まとめてレビュー。そこそこ良いの二つとアレアレアレ三つ。

◆『アルキメデスの大戦』109シネマズ木場6

▲波動砲ちっちゃ(違)。

五つ星評価で【★★★★原作マンガに対する演出とか脚色が成功】
面白かった。
監督、そんな大人みたいな映画作れるようになったんすかと言う驚きがあった。何故だか割とそういうの作れないみたいに思ってた。もちろん、これは読んでないから分からないが(正確には今回の分量3巻までのうち2巻までをマンガ喫茶で読むという半端な事をした)原作マンガがそういう大人な内容を含んでいるのかもしれないが、脚本を起こした山崎貴監督がそれを落とさなかっただけでも褒めてよい。個人的には国策みたいな話に箸にも棒にも引っかからない『リターナー』みたいなライトなオリジナル娯楽作をまた作って欲しいのだけど。まあ、それは周りが作らせてくれないだろうなあ。有名になるのも善し悪しである。
まず、最初に感心したのは、実に「戦争なんて無駄で無益なものだ」という正論が裏表に二回くらい反転しながらも、ちゃんと貫かれていた事。但し、それを真面目一辺倒に叫ぶのではなく、娯楽に乗せながら、その「無駄で無益な戦争」でもやらなければならなかった立場の人の言葉が落とされずに語られている。ここが大したバランス感覚であると思う。一度勝負が着いたかに見えた後の攻防が見事であった。
「あと、そんな些細な確率のために」と言う設計論争も、核発電の事故が起こった後の今、その一言を入れて貰えたのは凄く嬉しかった。
役者で良かったのは菅田将暉、柄本佑、田中泯、舘ひろし。後者二名は例えるなら将棋の指し手。共に老獪な役柄で面白い。この二人以外盤面の近くにいる者はギャラリーに近い。小林克也、國村隼、橋爪功、よい引立て役だった。そして、舘ひろしが勝負に勝つために持ち込んだコンピューターが菅田将暉、その整備技師が柄本佑。老獪に反比例する若者の真っすぐな役柄で、これも良い。
割と感心したのが菅田将暉と柄本佑のキャラの膨らまし方だ。原作マンガの『アルキメデスの大戦』はちょっと特殊なマンガで、主人公を初めとして誰一人としてマンガなのにキャラが立ってないというちょっとマンガの常識からは考えづらいマンガなのである。ただ、話の面白さだけでグイグイ読ませる。なので、マンガの上では菅田将暉と柄本佑は大して違いのあるキャラではない。それを美しい物があれば常にメジャーで測りたくなり、それを「変人」呼ばわりされるファニーなキャラクターに変えたのは脚本だ。それと反比例する感じにゴリゴリに軍人っぽい立ち振る舞いを与えられた柄本佑もマンガ以上に人間としての色がちゃんと出てる。この二人が人間としてちゃんとキャラ化したので、観客は非常に話に乗りやすくなった。
あと、浜辺美波は可愛いけど原作同様にそんな大した役ではない。原作にない「測られる」エピソードが追加されたのには笑ったが、どうせなら鍵のかかる部屋で隅から隅まで測られたり、胸のサイズが黄金律ではないと言われたりしてほしかった。
マンガの内容をかなり端折らされてる感はあるのだが、長さの制約もあるだろうし、まあ、しょうがないだろう。山崎貴は脚本、監督、VFX全てよくやった。


◆『ワンピース スタンピード』ユナイテッド・シネマ豊洲10

▲カツアゲはこの表情でやれ。

五つ星評価で【★★★とてもよくできた田舎芝居感濃厚】
基本いつもと変わらん作りだがそれでいい。
別に『ワンピース』にいつもと違う構成を求めたりはしないから。
ただ、ルフィの相手になる極悪な奴が早々に出て来てしまって、すぐドツキアイになるので、複雑な話を展開できず、30分ものかと思うくらいに話のドラマ部分は薄い。
『ワンピース』に今まで出てきた人気キャラが勢揃いで一人の敵に対して共闘する、という胸熱展開なのだそうだが、そんなにコアなファンじゃないので、基本、誰も知らない俺の体たらく。ただ、原作も百巻を越える長い話なのだから、全巻読破してないようなふんわりな客層に対しても楽しめるようなミニ紹介的な作りをするのが本当のプロだと思うよ。おめえら、ちゃんと作れよ。
あと、ドラマを握る男ブエナ・フェスタはユースケ・サンタマリアの怪演と、作画陣の浮かれた変に暑苦しい作画で大変面白かったが、こいつが単に騒動の企画者でしかなく、ルフィ達と対峙しない事がドラマとしてのつまらなさでもある。
あ、詳しくは知らないが蛇の姉ちゃんが好き。ああいう果てしなく強いお姉ちゃんに愛されたい。そういう意味ではニコ・ロビンも好き。ニコ・ロビンのヒモになって風俗で大儲けしたい。


◆『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』トーホーシネマズ日比谷10

▲ゲッターロボ第一シーズンっぽい二人。

五つ星評価で【★★まあ、負けると思っていたさ】
一作目も二作目もこれ以上はない超絶ホラというコンセプトが最高なのに、実際できた話を見てると何だかつまんねーのは何でなんだろう? 今回も前回同様、乗りきれず。


◆『ワイルド・スピード スーパーコンボ』新宿ピカデリー6

▲「ニュー三匹が斬る」。

五つ星評価で【★★いや、負けるとは思っていなかった】
ロック様とステイサムが大暴れする怪獣映画。
予告編から「あんなテイスト」である事は分かっていたが、とっても大雑把な映画だった。
矢継ぎ早に打ちだされるアクションはどれも凄いのだが、緩急関係なく、特盛30連発みたいな勢いで打ちだされるアクションに過呼吸状態になったのか心が逆にちょつとダレた。
ステイサムの妹役のヴァネッサ・カービーさんもいい感じの娘さんやね。
悪のスーパーマン、イドリス・エルバもご苦労さん。でも、イドリス・エルバより、バイク君の可愛さの方が心を打った。あのバイクくん『みすて ♡ないでデイジー』のICBMのミミ子っぽい性格だと思う。


◆『メン・イン・ブラック インターナショナル』トーホーシネマズ日比谷10

▲テッサ・トンプソンってちょっと貫地谷しほりに似てる気がする。

五つ星評価で【★★負けそうだなとは思っていた、ドンピシャだ】
テッサ・トンプソンがダッコちゃんみたいでちょっと可愛いなと思って見に行ったら、なんとなく疲れてて退屈して眠った。疲労がひどく、ツイッターにすら何一つ呟かなかった。そう言えば、何が「インターナショナル」だったんだ?


【銭】
『アルキメデスの大戦』:109シネマズデー(毎月10日)で1200円。
『ワンピース スタンピード』:ユナイテッド・シネマメンバーズデー(金曜)で1100円。
『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』:トーホーシネマズデー(毎月14日)で1200円。
『ワイルド・スピード スーパーコンボ』:ピカデリーの前回有料入場割引で1300円。
『メン・イン・ブラック インターナショナル』:チケ屋でムビチケ額面より20円安い1380円で購入。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
アルキメデスの大戦@ぴあ映画生活
劇場版 ONE PIECE STAMPEDE@ぴあ映画生活
アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲@ぴあ映画生活
ワイルド・スピード/スーパーコンボ@ぴあ映画生活
メン・イン・ブラック:インターナショナル@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
アルキメデスの大戦@ノラネコの呑んで観るシネマ
ワイルド・スピード/スーパーコンボ@ここなつ映画レビュー

『アートのお値段』ユーロスペース1

◆『アートのお値段』ユーロスペース1

▲この人をそのままホルマリン漬けしたら、かなりアートだと思う。

五つ星評価で【★★幾つか意見があるが、まとめる事はせず羅列するだけという手法。そういうドキュメンタリーはあまり好かない】
大雑把に羅列するとこんなかな。
・「作品の価値と売価は別」アーティスト
・「作品の魅力と稀少性により値段は高騰する。現代美術の良い所は概ね作者が生きているので、ある程度、作品の評価が高騰した後でも新しい作品をアーティストが作成できる」バイヤー
・「アーティストの作品がずっと同じ価格で売れ続ける保証はない。株の上下同様、何が理由で値段の上下が起こるかは予想を立てづらい」バイヤー
・「美術作品は保管、保存などを考慮すると美術館に収納されるべきである」アーティスト
・「美術館は収納される作品に比較して開架作品が少なすぎるので保有先としてはよくない」バイヤー
・「良い作品は高い価格であるべき」バイヤー
・「値段は知れ渡っても作品に接する人は少ない」コレクター

羅列して、それぞれの意見があるからどれか一つを推そうとはしない映画。そういうのはインタビューを撮らせてもらった各個人に対しては全て等距離・八方美人で平等だが、全体に言いたい事が薄ボケてて退屈である。「今、こんな状況なんですよ、観客の皆さん」というのの「今」が多面的に浮かび上がるための広域取材やインタビューである筈なのに、浮かび上がらせるテーマが言葉の量に埋没してると思う。
コアは「現代美術において、高額の作品が生まれやすい環境が今、出来ているが、必ずしもそれが作品内容に準拠した物ではないのは如何なものか。」という事だが、額の大小を除けば、これは昔から言われていた事であり、そんなに珍しい議論ではない。であるなら、きっと問題は「額の大小」にあるのであって、昔の百倍、千倍が踊っているなら、それを言ってもらわんと伝わらんし、そもそも米ドルでどうだって話は分かりづらい。うまい棒換算とかがいいかな。

山ほど、アート作品がチラ見されるので、「おっ」と思うのは散見される。同じくらい、「あんなん高額なのはどうも分からん」というものも多い。アーティストが、その技法を推して描く力量や情熱が自分に分かる物なら認められるが、その技法に埋没しているなら認められない。どうのこうのいってもセンスが合うかどうかだ。カディンスキーが現われた時代ならともかく、今でも抽象表現だけを追い求めるアーティストには優しい目を向けられない。草間彌生もそうだが1枚目のそれはアートだったかもしれないが、2枚目以降はブランドだろう。カディンスキーの時代はそういう事を個人が一生涯に対して行っても許されるくらいメディア・スピードが遅かった。今の時代でそれをやるのはブランドを立てて、作品を売ろうとする為の怠惰さだと思う。

映画の最後の方で、自分の買った作品を美術館に寄贈するコレクターの話が出てきて、それでも家はガラガラにはならないし、お気に入りの作品は自宅に複製画を掛けるという。今の技術なら寸分たがわぬ複製画が作れる、そういう事らしい。では、本物を美術館に寄贈して複製画を飾る。本物を高額で購入したのは複製画を作る権利を購入したという事か。映画の中で一番スリリングな部分はあのやり取りにあったと思う。


【銭】
ユーロスペース会員割引1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
アートのお値段@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
アートのお値段@徒然なるままに

『リュミエール!』早稲田松竹

名画座企画「早稲田松竹クラシックス vol.153」。

◆『リュミエール!』早稲田松竹

▲どーん、みたいな、でも特別なオチはない。

五つ星評価で【★★★いい記録だけど娯楽とは思わへん】
2016年、白黒(手彩色によるパートカラーあり)、90分、初見。
業績的に凄いのは分かるが百枚の絵葉書を見せられてるみたいなものだから解説が真面目なのはキツい。「解説素晴らしいですね」みたいな褒め感想も目にして、それはそれで正しいのだが、それって鑑賞目線が美術館寄りだと思うのよ。その当時の観客の度肝を抜いたりした今で言う興行師の側面が強いリュミエール兄弟の映画なら、解説自体にもっと笑いを盛り込んでも、本来の意図から外れないのではないか。
どの作品も構図が考え抜かれている。白黒二色なのにその配色のバランスが素晴らしい。そんな物はパッとカメラ持っていって、その場ですぐ自然には撮れない(と言うのが大半の筈である)。そういう意味では景色を撮ったドキュメンタリー扱いされる気もするが、決してそういう自然な映像ではなく、かなり意図的に演出の入ったドラマ的な作品群である。ただ、残念な事にストーリーや落ちはない。それはメリエスを待つしかない。
今回、4Kデジタル修復が施されており、いちいちモノクロのハーフトーンとかが素晴らしく綺麗に出ている。世界最初の映画の数々なのだからもっとピンボケとかあってもよさそうなのに、凄くカッチリ撮られている。そこは逆に興行師としてのリュミエールより、技術者としてのリュミエールが出たのかもしれない。

ピラミッドとスフィンクスとか出てきて驚くのだが、作品的には子供が出てきた時の面白さには勝てないのは昔も今も同じ。

▲ピラミッドはこれに負ける

昔からある奴だけど、壊れる壁が逆回転で治ってく映像はええわ。

タイトルの「!」はとても大事。実例を上げるなら『太宰治』と『太宰治!』では同じようで大違いっしょ。

映画監督の城定秀夫監督のツイッターでの呟きに非公式RTで余計なクソリプをしてる(↓)。ほんとうにもう俺って奴は!

【くそりぷ】炭焼きは多分隅で焼く RT @jojohideo1975: 別に炭焼きの作業見るだけでも面白いんですよ。リュミエール兄弟が発明した映画ってもともとそういうもんだったし。


【銭】
レイト一本立て特別料金1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
リュミエール!@ぴあ映画生活

森永乳業「贅沢パインミルク」


ちっちちっちパイパイぼいんぼい~ん。
って訳でもないだろうが「パイン」と「ボイン」と「乳」は親和性高そうだ。
パイナップル好きだし、ボインも好きだし、スーパーで半値だったから買いました。
なんつーても酢豚に入ってるパインさえ愛する俺だ。パイン缶も滅多に食わないけど好きよ。そら買うだろ(半値なら)。
パイン果汁(風味)のみで、パイン果実が入ってないのが残念だったが、これは風呂屋の番台や、牛乳スタンドの定番商品「フルーツ牛乳」のデラックス・バージョンだな。ちゃんとパインの味がして、好感持てる。発想的にはこれの逆でパイナップル果実をプリンのような乳製品に沈めたケーキみたいな方が食べたいかもしれない。これはこれで美味しいけど、パンチに欠ける。

パンチー丸見えぼいんぼい~ん

みたいに美味い事やって欲しいです(伝わっただろうか真意)。

『とむらい師たち』神保町シアター(ネタバレ)

企画「にっぽんのアツい男たち2 無鉄砲野郎の美学」から1プログラム。

◆『とむらい師たち』神保町シアター
五つ星評価で【★★★ラストシーンに唖然】
ネタバレ感想です。あのラストについてネタバレせずに書けたりはしない。
1968年、カラー、99分、初見。
世にはびこる人の心を忘れた無法な葬式会社に対して義憤をつのらせた勝新太郎が新しい葬式会社を作り、葬儀イベントにより大成功を収める。成功に酔いしれて徐々に人の心を忘れ、金に呑みこまれていく仲間。勝新太郎は新たな葬儀会社を一人で設立し、拝金主義の世間と戦おうとする。適当に息を抜いたり流れに身を任せられない勝新が痛々しいが、良くも悪くも勝新ってそういうキャラやしね。

そして驚愕のラスト。『コカコーラ・キッド』かよ!
雨がこそげとる黒い灰が見た事もないけど妙にリアルでドキドキする。
ネタバレって言うほどネタバレじゃないか


【銭】
神保町シアター水曜は1000円均一。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
とむらい師たち@ぴあ映画生活

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』『ヴイナス戦記』キネカ大森3,1

キネカ大森同日鑑賞2本をまとめてレビュー。

◆『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』キネカ大森3

▲「どつき漫才ちゃうで!」

五つ星評価で【★★★奇蹟のシーンが嫌いだな】
2Dセルアニメ版は公開時に見ているけど、今回新たに見直したりはしていないので、新旧作の比較は新作を見て感じた印象違いを元にしています。正しくない可能性もあるけどその辺は許せや、そんなにいつも厳密に正しい事書いてるブログでもなし(おいおい)。
こんなだっけと思いながら脚本は旧2D版とほぼ同じらしい。
2Dセルアニメから3DCGアニメになった事で、ポケモンの質感や背景が緻密になり、リアル感が増した。炎の鬣の馬のポケモンなんか処理が凄く綺麗。でも、テイストが変わっても、大きく話が変わらないのなら無理に新作としてリメイクしなくて良かったのではないか、と私自身は思わなくもない。それは何かを表現したいという欲求より経済活動が優先された結果みたいで何かちょっと気が引ける。ただ、話は違わなくてもテイストが変わった事により、ポケモンのオリジナルとコピーが争うパートについてはとんでもなく悲壮感が上がった。やはり旧作のセル絵では話は分かるが、実際の動物がヘトヘトになるまで戦わされているという悲壮感は漂いづらい。その逆に、サトシの復活の場面はセル絵の方が良かったのではないかと思う。CGは絵がリアルな分、ありえそうにない嘘(奇蹟)は「意図的に作られた絵」のようにとても嘘々しく見えてしまう。ことデタラメに関してはセルアニメの方がハッタリが効くのだ。ロケット団の武蔵(♀)の髪もセルアニメまんまなのだけど、アレもデタラメな髪型なのでCGだと嘘っぽい。いや、逆に本当っぽく見えるから動きづらそうだったり、重そうだったりに見える。巨大な紫の鎌が頭に付いてるみたいだ。
声、ミュウが山ちゃんで、ミュウツーが市村正親ってギャップ凄いな。何となく、市村正親が早逝してしまったら、ミュウもミュウツーもどちらも山ちゃんがやる事になりそうな気がしてならない。ただ、あまりミュウが鳴いていたイメージないのだけど。
港の船長が小林幸子。何か普通じゃない喋り方だけど威圧感があって、あれはあれで下手というより、合っていた気がする。エンディングの歌は本職で流石に美味い。ショコタンとデュエットさせる所がポケモン・チームさんの商売のバランス感覚の絶妙さを感じる。
来年の予告で2Dピカチュウが出てきて、そのデタラメっぽい作画の力に凄く安心した(今回の予告ピカチュウ妙にセルアニメを強調した動きだった)。


◆『ヴイナス戦記』キネカ大森1
五つ星評価で【★★何でだろ、安彦手腕】
1989年の作品を何故かいきなり掘り出し上映。
金星の内乱騒動、占拠された戒厳令下で、町の不良が抵抗組織に拿捕されてバイク兵になる。
安彦さん、こーゆー割とロクデナシだけど度胸のない不良もどき好きだよね。
組織に使い捨てにされながらも暴力に嵌っていってしまう奴や、組織を信用しないが成り行き上コアになるほど活躍してしまう奴、話がちゃんとしてる。安彦さんってとてもマジメな話を作るのだ。多分、これ、アニメではなく、人間が演じた方が演出が引き立つと思う。そして、単純にエンタメとして気持ち良くはない。山場で盛り上がるべき所でテンポを変えたり、伴奏ジャカジャカならしたりしないのだ。多分、そういう意味では冨野氏の方が客を信用していないからこそ、客を気持ち良くする演出をしてる気がする。安彦さん、真面目で手堅い物を作るけど、物語や設定なんかが他人の物の方が程よくエンタメ濃度がそちらから流れてきて面白い結果を残してる気がする。
最後まで作画レベルが落ちないのも安彦さんがちゃんと真面目に仕事してるからじゃなかろうか。
女の子が不良姉御、派手系美少女、お嬢様と3人いて、みんな可愛く声を充ててる。まだ、アニメが高校生くらいまでの流行だった時期なので、ガンダムの女性兵士よろしく、政治状況がどんなに過酷で悲惨でも、凌辱されたりはしない。アニメはそういう事を描くメディアではなかったのだ。今でもそこまで陰惨なメディアではないか。
主人公の声は少年隊のニッキカッちゃん。いや、素人だけどそんなに下手さは感じない。ケナゲな感じで悪くないんじゃないかな? ダメかしら? どの役だか分からなかったが2本続けてこっちでも山ちゃんが声を充ててた。流石な感じ。
あ、戦車と軍事バイクの戦いはなかなか面白かった。でも、やはりバイクよりロボットの方が絵や展開が絶対、面白くなりそうなのだよなー。当たり前だけど、ロボットより軍事バイクの方がリアルなんだけど、それを又、絵と言うリアルじゃない物に戻してしまうのだから妙な事になる。戦闘シーンの背景の取り込みに実写を使っているのは効果的だったが、リアルにこだわるなら全編実写にした方がいいのだけど、それはそれでスポンサーも最終顧客も付かんだろうしなあ。


【銭】
どちらもテアトルの会員証使って見たので各1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ミュウツーの逆襲 EVOLUTION@ぴあ映画生活
ヴイナス戦記@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
ミュウツーの逆襲 EVOLUTION@ノラネコの呑んで観るシネマ
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