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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『SHADOW/影武者』『ヘルボーイ』トーホーシネマズ日比谷5、シャンテ3、日比谷7

◆『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』トーホーシネマズ日比谷5

▲シャロン・テート役のマーゴット・ロビー。名前が似てるからロビンちゃんのコスプレしてほしい。

五つ星評価で【★★★タラちゃんをただで】
なげーよ。
これが第一声の感想。
ラストシーンの強烈さは全般的なダラダラ具合を補って余りある、と、ないの境目。無駄にダラダラしてるのは好きじゃない。レオ様の見せ場もちゃんと用意してあるけど、ブラピがかっけーの。何もしてなくてブラブラしてるだけでも皺がかっこいい。アロハで皺が渋い。シャロン・テート役のマーゴット・ロビーが可愛い。とはいう物の、彼女の映画に対する立ち位置はとても特殊。この一本の映画だけ見たら彼女は映画内に存在しなくても実は成立する。でも、シャロン・テートという時代のアイコンがいる事で、彼女の事件の不在が浮かび上がる。つまり、タイタニック号を登場させておきながら氷山が別の客船エリザベス号にぶつかってしまいました的なインチキな話なのだ。日本映画だったら地下鉄で鞄の中の薬物を傘で刺す男達をブラピがコテンパンにやっつけるみたいな話だったかもしれない。
シャロン・テート、映画館で足を前の席に乗っけちゃうところだけはどんなもんか。
話の中盤辺りに出て来るヒッピーが妙に怖く画面に映ってる。
ラストのヒッピー四人組の東洋人っぽい黒髪女のテンションが高まってく所が好き。


◆『SHADOW/影武者』トーホーシネマズシャンテ3

▲てっきりこの傘でと思ったら、、、、、、

五つ星評価で【★★傘映画】
ツイッターで「あの傘」と妙に傘が話題になった映画。
見てみたら確かに「あの傘」という映画だった。
傘は面白いけど、あれ、重いし、雨降ったらビショビショだよ。
登場人物が多くないのに、誰が誰だか分かりにくい。みんな似たようなとっちゃん坊や顔。なのに、一人二役をやっている筈の将軍と影武者が既に同一人物に見えない。
誰も幸せにならない映画はキツい。


◆『ヘルボーイ』トーホーシネマズ日比谷7

▲右から、ツッコミ、ボケ、猫喫茶。

五つ星評価で【★★おそらく真面目すぎる】
昔のヘルボーイってもっと適当だったと思う。それで良かった。
今回のヘルボーイはウェットで、凄く悩む。そこに問題がある。
彼が悩めば悩むほど、映画としてスッキリしないのだ。
前のもグチはよく吐いた。でも、「減らず口だなあ」みたいな印象で「ペシミストすぎる」とかは思わなかった。そもそもあんな外見で地球に一人、悩まん方がおかしいのに、そんなん減らず口叩くだけで、心底悩んでるように見えなかった、ってのがヘルボーイの魅力なんだと思う。
ミラ様妙な迫力。
バーバ・ヤーガは変で好き。


【銭】
2019.9.25から一か月間トーホーシネマズのフリーパス使用その3~5本目
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド@ぴあ映画生活
SHADOW/影武者@ぴあ映画生活
ヘルボーイ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド@ノラネコの呑んで観るシネマ
▼関連記事。
・ヘルボーイ(一回目)@死屍累々映画日記・第二章
ヘルボーイ(二回目)@死屍累々映画日記・第二章
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『アイネクライネナハトムジーク』トーホーシネマズ日比谷13

◆『アイネクライネナハトムジーク』トーホーシネマズ日比谷13

▲二人とも凄く安そうなスーツに見えるのが衣装の「腕」。

五つ星評価で【★★★★多部未華子無双】
まず二部制の群像劇だけど、一部と二部のキャラの繋がり具合の面白さや、キャラが普通かつ平凡なのが逆に良い。一人一人に対して深く描かれないのだけど、平凡である事によって、身近な人物として補完されて見れてしまうのかもしれない。

特に、今更そんなこと言われても感は本人凄くあるだろうけど、多部未華子お嫁さんにしたい女優ベストワンすぎる。だってごくごく普通のお嬢さんのいい所だけ集めて作ってる感じがする。そして万能(いや、万能でなくてもいいのだけど)。割とちゃんとコミュニケーション取れるけれど怒りそうにない。これはダメンズにボロボロにされるタイプだ。でも、可愛い。この人は幾つになっても変わらないなー。顔の造形的にけっこうゴツイのだけど、受けが柔らかいので、そういう風に感じさせないのが、この人の持ち味。まあでも、この映画に出ている女優は全て良いので、監督はきっと女好きだと思う。
この多部未華子と一緒に物語の中核に鎮座するのが三浦春馬。三浦春馬は勿論若いんだけど、10年の月日を映画の中で過ごしてちょっとくたびれた感じになっても、青春の青臭さが抜けない感じが見事だった。彼が最初から未完成で、最後のシーンでもちょっとだけ成長したけど、まだまだ未完成でノビシロがありそうなところが三浦春馬の良さだと思う。
愚者だけど愚者なりに完成した人物として出てきたのが矢本悠馬。こういう癖のある小さい役をやらすと外さない。馬鹿なようで馬鹿、でも、愛される馬鹿というのは美味しい役。
垣松祐里がちゃんと普通にJKしてて『サクラダリセット』の野獣みたいな役じゃなかったので安心した。
サンドイッチマンおいしいチョイ役。この使い方はアンパンマンのダダンダン(バイキンマンが作るロボット)の声とかと同じくらいのちょうどいいどうでもいい役。
柳憂怜なんて出てたか。あー、あの歯車の父ちゃんか。
濱田マリは多分、あの世界の中で口喧嘩させたら最強。

あと原田泰造に「しょんぼり」という役を宛てたのは意外で良かった。


【銭】
2019.9.25から一か月間トーホーシネマズのフリーパス使用その2本目
(『プライベート・ウォー』見ようと思って弾かれて19時代に見れる作品がなく、2時間待ってレイト。相変わらず制度が変わってから、全然フリーパスじゃないぜ)。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
アイネクライネナハトムジーク@ぴあ映画生活
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『アド・アストラ』トーホーシネマズ日本橋9

◆『アド・アストラ』トーホーシネマズ日本橋9

▲ブラピ渋い。

五つ星評価で【★★ブラピはかっこいいけど、おらホモじゃないからその辺はどうでもいい】
この映画のブラピはかっこいいと思う。なのでホモ、ノンホモに関わらず、このかっこ良さに浸れる人には評判いいんじゃないだろうか。私は浸るにしては長いなと思ってしまった。これ、ブラピじゃなく、安田大サーカスの黒ちゃんの外見と声で作ったら大失敗するだろう。いやまあ、逆にあの外見と声で成功する映画も思い付かないけど。

あと割と海王星で起こる爆発とサージ(電気嵐)の因果関係が分かりづらい。あれはジャミラのようになってしまったトミー・リー・ジョーンズが意地悪して地球に悪意的な行動をしてるのかと思ったら、事故で仕方なく発生してしまっているという。海王星から地球に影響を及ぼすほどの事故で当の海王星にいるトミー・リー・ジョーンズがノホホンと生命も落とさずに暮らしていられるって因果関係的におかしくない? もっとも宇宙空間はその間が「無(SPACE)」の空間だから、近いとか遠いとかは関係ないのかもしれないけど。火星から海王星まで妙に近かったし(と言うよりそこにゆっくりやるに足るトピックスがないんだよな、きっと)。

これがマーベル映画だったら、エンドロールの後にトミー・リー・ジョーンズが再登場する筈。

宣伝で使われていた「ブラッド・ピット初の宇宙飛行士役」って、そんなに取りあげるほどの事か?
ブラピの役は安藤明日虎、「ブラッド・ピット初の日系外国人役」だ(嘘)。

「えーと、あれだな。ジャコビニ流星サーフィン」
「アド・アストロ球団!」

ある意味、トミー・リー・ジョーンズが星一徹風父ちゃんなんだよね。「俺を乗り越えてみせろ」とは言わないけど、そういう展開にはなる。


【銭】
2019.9.25から一か月間トーホーシネマズのフリーパス使用その1本目。
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『アメリカが恐れた男カメジロー 不屈の生涯』ユーロスペース2『恋の應援團長』『青い指紋』シネマヴェーラ渋谷

ユーロスペースとヴェーラで3本をまとめてレビュー。
ヴェーラは特集企画「玉石混淆!?秘宝発掘!新東宝のとことんディープな世界」から2プログラム。

◆『アメリカが恐れた男カメジロー 不屈の生涯』ユーロスペース2

▲「あっと驚くカメジロ~お!」「驚いてない」

五つ星評価で【★★★悪くないけど良いかと言われれば疑問がある】
リバイバルかと思ったら同題材同監督での二作目。一作目の題名が『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』。タイトル似すぎ。タイトル中心の「恐れた男 カメジロー」が被ってるのが混乱の元だろう。プロデューサーが悩んだ「2」を付ける題名も、一作目前提の続きの話ではないから違うとは思うけど。『瀬長亀次郎 その不屈の生涯』辺りが一作目とは違うと主張する妥当な題名だろうか。
一作目と二作目では切り口が違うので、どちらも独立して鑑賞可能。一作目を見ていなくても二作目から見ても全然大丈夫。でも、一作目から見る方がよいと思う。それは一作目は「瀬長亀次郎」という男がどういう男だったかを表現するのに事件、事故、闘争などセンセーショナルな部分を組み合わせて作られてるから派手で分かりやすい。二作目は230冊を越える彼の日記を元に時系列に並べた「その時、カメジローは?」という構成だから、独立して見れはするが、やはり一作目の方が「知りたい意欲を映画にする」ドキュメンタリーというジャンルに普通に適している題材なのである。二作目は一作目より視点がマニアックになった分、大衆性は薄れた。

与党の佐藤栄作との国会審議が普通に日本語の会話でキャッチボールされている。
今の国会審議のひどさが浮かび上がる。ちゃんと中身のある言葉と内容で喋れよ首相。


◆『恋の應援團長』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★★★キャー、應援團長ステキーっ】
1952年の白黒映画、85分、初見。
んもう最高に面白い。
應援團伝統の髭により外見は冴えないけど、あまりに善人なため軒並み女子をキュンとさせるのだけど、そのキュンとさせた事を本人だけが最後まで知らずにモテないと言う小林桂樹がたまらない。
井上梅次の初監督作、梅次は私と相性いい。
高島忠夫のデビュー作でもあり、何か絶妙にヒョロつとしてて恰好悪い。カラー映画時代の高嶋忠夫はなるほど随分余裕のある顔立ちに仕上がった、そんな感じの顔である。


◆『青い指紋』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★★分かりづらいけど風俗確認するのにはとってもよし】
1952年の白黒映画、64分、初見。
ドキュメンタリー風に仕上げてる目新しさはあるものの、プリント自体の経年劣化からか、セリフが無茶苦茶聞き取りづらく、犯人逮捕までの筋運びが全く分からなかった。
1952年の渋谷駅前に既にいる甘栗太郎が映る。
当時の新宿、飯田橋、五反田、渋谷などが映るがどこも校外の田舎にしか見えない。
犯罪者がプールバーで女口説く遊び人ってのは今と変わらん。


【銭】
『アメリカが恐れた男カメジロー 不屈の生涯』:ユーロスペース会員割引で1200円。
『恋の應援團長』:通常一本立て興行価格1200円-400円(会員割引)。
『青い指紋』:通常一本立て興行価格1200円-400円(会員割引)。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯@ぴあ映画生活
恋の應援團長@ぴあ映画生活
犯罪ドキューメタリー映画 青い指紋@ぴあ映画生活
▼関連記事。
米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー(一作目)@死屍累々映画日記・第二章
・米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯(二作目)@死屍累々映画日記・第二章
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マンガ『今まで一度も女扱いされたことがない女騎士を女扱いする漫画 第3巻』マツモトケンゴ、シリウスKCを読書する男ふじき

表紙の第二の女騎士の赤ら顔が激可愛い。
増えたキャラは夢魔と次期魔王くらいだが、とても自然な増員なので、ネタに困って増やしたようには見えない。次期魔王のあまりに子供チックな戦線離脱で分かったのだが、この世界の冒険者や騎士、魔族などは身体は大人だが、メンタリティーはみんな幼稚園児の子供のようだ。だから、安心してニコニコしてマンガを読んでられる。可愛らしさが微笑ましい。多分、クレヨンしんちゃんの野原しんのすけと春日部防衛隊の方がザッと10歳くらい精神年齢が上である。というより、しんちゃんサイドが幼稚園児というより中年っぽいテイストが強い。
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『ハロー・ワールド』もういっちょ(ネタバレ)

◆『ハロー・ワールド』もういっちょ

▲左から、僕、彼女、俺。

※ ネタバレ記事です

ネタバレを踏みながら、何でこの話に自分がひかれないのか考え直してみたい。
物語の主要登場人物は三人、「僕」と「彼女」と「俺」。
「俺」は10年未来の「僕」である。
「僕」と「彼女」は10年前の仮想現実であり、
「俺」はその仮想現実で起こる流れを「僕」を使って意図的に変えようとする。
「僕」と「彼女」が「のび太」と「しずかちゃん」で、「俺」が「ドラえもん」、
「ジャイアン」と「スネ夫」は「僕と彼女以外の全図書委員」だろう。
「俺」は仮想現実のプレイヤーではないので、
直接は仮想現実に介入出来ないらしい。

「俺」は「僕」に「彼女」を恋愛対象として意識させ、同時に仮想現実が仮想現実であるが故の法則性を意識させる事で仮想世界で物質や特異空間を生みださせる技術を身に付けさせる。その技術により、彼女が事故死に合う事を防がせようとするのだ。
「僕」は「彼女」といい関係になり、「彼女」の死の瞬間も回避する事が出来た。だが、その時、「俺」が「彼女」を幽閉し、高次元の世界に吸い上げてしまう。

「俺」のやろうとしている事がよく分からない。「俺」は「僕」に介入して、「彼女」に恋をさせたが、データが全て揃っていて現実通りに未来へと進むなら、そんな事をせずとも「僕」は「彼女」に恋するだろうし、「俺」が「僕」に精神的に介入する事で、それが「彼女」のメンタリティまでも変えてしまうという可能性を考えないのは迂闊すぎる。「俺」が「彼女」を守りたいなら、「俺」が「彼女」に介入して、事故の落雷現場にどうにか行かせなくする方が自然だ。「俺」が思わぬ展開としてセキュリティーが「彼女」を落雷現場に転移させたとしても、落雷が落ちるより前に「彼女」を自分の次元に吸収してしまえばいい。落雷が落ちるというトリガーが与えられて、それを回避した「彼女」の精神が必要と言うのなら分からないでもないが、「俺」が「僕」に対して行っていた指導は「彼女」が落雷と合わない事の方を優先していたので、それは理屈に合わない。
「彼女」が仮想現実世界からいなくなる事で、仮想現実世界が崩壊するという理屈もよく分からない。「彼女」の存在がその心までもデータであるなら、「俺」は「彼女」の存在を仮想現実世界から「切り取る」必要はない。「コピー」すればいいのだ。わざわざ欠損を発生させ、仮想現実世界を危機に瀕させる理由がない。そこを「まあ、どうでもいい事」と考えたのだとしたら、町一つの全生命を根絶やしにするのを適当に扱うのだから、それこそ「俺」は極悪人である。逆にシステム・セキュリティー側も「彼女」を現実世界ではありえないような場所の転移という不条理な手段を与えておきながら、「彼女」の欠損一つも埋められないというのは世界構築に対するAI機能に不具合が生じているとしか思えない。場所の転移を行った時の「彼女」のデータがあるなら、欠損した「彼女」のデータを補填すればいいし、その上で落雷を発生させ、「彼女」を死に至らしめる方がセキュリティの狐キャラをわらわら集めてプレイヤーの「僕」とありえない戦闘をさせるより格段に世界に対するミスマッチが少ない筈である。


その後、「僕」はずっと見守っていたというカラスの力によって、「俺」の世界へ移動する。「俺」の世界では「彼女」が「僕≠俺」という事実から「俺」を拒絶。そうこうするうちに、「俺」の世界でもセキュリティの狐キャラがわらわら現れる。「俺」の世界に「僕」と「俺」の同一人物がいる事で不具合が生じているらしい。あまり説明がないので分かりづらいのだが、狐キャラも「僕」の世界から「俺」の世界にやって来たという訳ではなく、「俺」の世界も仮想現実世界であったという事らしい。「僕」か「俺」が二重存在なので、どちらかがいなくならなければセキュリティは暴走するという。

どんどん謎が増えていく。「俺」が「彼女」を「俺」の世界に吸い上げるのはOKだが、カラスが「僕」を「俺」の世界に吸い上げるのはいけないらしい。「俺」が吸い上げた「彼女」は物理存在の「彼女」その物ではなく、精神という彼女のエッセンスだったという事にしておくなら、ギリ矛盾はない。でも、だったら、「僕」の世界に「彼女」の身体くらい残しておけよと思うのだが。それに反して、カラスがやった「僕」の呼びだしはずっと杜撰。ちゃんとやれよカラス。外部から手を加えて世界を壊そうとする奴ばかり、というか壊れてしまうようなら脆弱な世界と言おうか。勿論「俺」の世界の「彼女」のように、精神だけない状態ではないから「僕」と「俺」は融合できなかったのかもしれない。逆に「僕」は身体を持って世界の移動をしなければ「俺」の世界での活躍は難しいからカラスにとっても、それは難しい選択だったのかもしれない。と言うより、カラスが「俺」同様、万能に二つの世界に干渉できるのなら、ちゃんと「俺」に対して話しかけて折衝するというのが正しいやり方だろう。それを本当にやったらお話にならないが。そもそもカラスが何者なのかは最後まで、いや、映画が終わっても謎のままだ。

すったもんだで「俺」がやられてしまうと、「僕」は目覚めて、ずっと「俺」の世界の「彼女」のように眠っていて、直前までの精神を持って来れたから蘇ったと伝えられる。

あー、これが予告編で言ってた「最後の1秒で世界が変わる」なのね。おそらく、最後に「僕」に声を掛けた「彼女」がリアル・ワールドの「彼女」だろう。第一層が「僕」の世界、第二層が「俺」の世界、第三層が現実世界の「彼女」の世界。実はそれらを見てる第四層の観客の世界と、「僕」達が図書委員として扱う本の中の物語の第ゼロ層もあると言えばあるが、それを言ってもしょうがないという感じバリバリ。多分、何も語られていないが、「彼女」がカラスの正体なのだろう。だが、目を覚ました男の前身は「僕」でも「彼」でもない。それでいいのか? おそらく、それでいい。「彼女」は全部見ていて、「僕」の葛藤も「俺」の葛藤も知っているから、「眠っていた男性≠僕」であっても、それは許せるという判断がおそらくある。ただ、どんな理由があるかは知らないが、「彼女」は「俺」が介入しない「僕」の世界から、おそらく「彼女」の目の前で落雷にあった「僕」の精神だけを吸いとるテクニックは持ててたのじゃなかろうか。持ててたとする根拠はない。でも、あんなややこしいやり方をする意味が分からない。もしかしたら、彼女は腐女子で「眠っていた男性」に入った「僕」に薄い本を見せて反応を伺ったりするかもしれない。それは彼女が落雷に会った世界で、「僕」と「彼」が涙を流しながら身体を貪りあって寂しさを埋めるBLだ。ホラーかよ。

という訳で、やはり物語として矛盾が多いと思う。読み取り切れてなくて誤解があったりするかもしれないけど。


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『ハロー・ワールド』ユナイテッドシネマ豊洲1

◆『ハロー・ワールド』ユナイテッドシネマ豊洲1

▲不良がいたら必ず絡まれるカップル。

五つ星評価で【★脚本の練りが足りない】
あー俺これダメだあ。物語の物語の物語みたいな物語は何でもできてしまうが故にちゃんと抑制を効かさなければダメだと思う。現実と仮想現実が複数階層存在する世界観は『マトリックス』だったり『インセプション』だったりあり、先駆者の遺産を食い散らかしながら同じようなアクション・シークェンスを作りあげているが、途中から現実世界と思われていた世界が崩壊しだす。それはまあいい。だが、仮想現実世界も現実世界だった仮想世界も、世界に対する返答の一手が主人公の能力しかありえないというのは、話の中心が主人公だからに他ならない。つまり、とても都合が良い。その都合の良い彼に助言をする謎の存在がいる。その存在の正体は最後まで明かされない。なんて都合のいい。物語は最後の瞬間に意味が変わる。それはどんでん返しであるが、実にどうでもいい。だって、本当と嘘の境界線が曖昧だから、そこに何がリアルであるか分からない一つの事実らしきものをぶつけて見てもリアルらしさが全く感じられないからだ。それが本当である事の証明が何らなされない。


【銭】
ユナイテッドシネマ金曜会員デーで1100円。
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『スタートアップ・ガールズ』トーホーシネマズ日比谷2

◆『スタートアップ・ガールズ』トーホーシネマズ日比谷2

▲赤ってなかなかキチガイ色だよなあ。

五つ星評価で【★★★★上白石萌音ちゃんにサービス】
上白石萌音ちゃんファンなのである。
かーいくてしょうがない。
その、上白石萌音ちゃんが、今作ではヤク中ギリギリみたいなハイテンションな役でガタガタ震えながらアイデアを絞り出す天才だけどガキでコミュ障という役柄。これは演じる役者で精いっぱいブレるような役なので役者としてはとても遣り甲斐のある面白い役である。そんな自由100パーみたいな役を相手にする山崎紘奈は没個性OLの役。これはこれで美味しくないけど好対照なので、作品に非常に良く貢献している。いーのいーのそういう役も必要なの。
あと、そこそこ信頼感があるのに得体の知れなさがいい感じの山本耕史と、観客側から見て信頼感がないのに大企業の顔として機能する神保悟志、いざとなったら全員毒殺とかしそうだけど今回はそう言う役ではない渡辺真起子とか、要所をいい人で締めてる。

それぞれの成長を絡めながらも最後に打ちだしてる事業が今一つ魅力ありに見えないからとか、そこは伏線回収するのが当たり前なのにやってないよねみたいな雑さが見えるので星三つかなとか思いつつ、上白石萌音を堪能できたので星一つサービスして四つで。

PS 偉大なる天才の上白石萌音に対する山崎紘奈の立ち位置は偉大なる凡人。天才の才能は凄いのだが、採算度外視とか極限まで諦められないとかに嵌らない為に凡人の視点が必要な場合もある。確か立川談志が爆笑問題の太田に対して、凡人である田中の尺を大切にしろみたいな事を言ったって話を思いだした。天才肌のボケがボケるボケを凡人にでも理解可能なように送り出すのがツッコミの使命だ。この関係性が上白石萌音と山崎紘奈に似てる。だって、殊更、真似をしている訳でもないのに、この映画の上白石萌音は堂々、横山やすし的であるし、山崎紘奈は堂々、西川きよし的である。

▲紘奈ちゃん顔まがってね?


【銭】
トーホーシネマズメンバーズカードの有料入場ポイント6ポイントを使って久々に無料入場。
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『国民の創生』シネマヴェーラ渋谷『フリーソロ』『ダンスウィズミー』HTC渋谷3

同日鑑賞3本をまとめてレビュー。

◆『国民の創生』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★万年疲労体質の私にはキツい】
特集企画「素晴らしきサイレント映画」からの一本。
1915年の白黒映画、103分短縮版、無音バージョン、初見。
かの著名なグリフィス監督によるアメリカ映画最初の長編映画。流石にサウンド版じゃない長いの見るのはしんどい。ポコポコ意識飛んでる。
暴動を起こしたニグロが悪人でKKKが騎士のように助けに来ると言うのが逆に新鮮。
今、こんな映画公開したら、本当に黒人の暴動が起きるだろう。KKKは騎士のように駆けつけないと思うが。割と悪い奴の代表者みたいなイメージがあるKKKの結社服が演出によってはヒロイックに見えるのはおもろい。あと、歪んだ表情の黒人の顔はとても悪役として魅力的。ちょっと前まで奴隷だったのが力が強いのをいい事に誘拐拉致して「お嬢さん結婚しましょう」ってのは怖すぎる。
戦争シーンや暴動シーンは画面の隅から隅まで群衆がいるのに驚く。今だったらあれ全部「デジタル群衆」だものなあ。
リリアン・ギッシュとか美女は今にも通じる容姿。
パートパート凄いのは分かるが、劇伴がないと、全体としてはしんどい。


◆『フリーソロ』HTC渋谷3

▲「一人でふりちんする映画かな?」「弁士中止!」

五つ星評価で【★★★万年疲労体質の私にはこれもキツい】
ハン・ソロと関係なしかよ!(そらそうだろう)
道具を使わない断崖絶壁への登頂を非常に実直に描いている。
確かにこれは小さなモニターで見てはいかん映画だろう。
一つ一つの積み重ねが大事。そしてそれが最後に実を結ぶ。まあでも私がインチキな人間だから一発大逆転みたいな映画が好きよ。映画批評サイト ロッテン・トマトで驚異の99%評価という事だが、残りの1%俺かあ。


◆『ダンスウィズミー』HTC渋谷3

▲宣材をお借りしてて残念なのはダンスでピターっと決まったカットとかがないんですよ。

五つ星評価で【★★★これが一番普通の映画】
一応ちゃんと面白いんだけど残念な事に面白すぎたりはしない。
『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』のような怒涛の山場がない。それを持って来るとしたらラスト舞台ミュージカルになるのだろうが、あそこは山場としてはやはりそんなに強くない。道義的には歌い、踊らされる中での彼女が贈るアクトではなく、もう催眠が解けてはいるのであるが、それでもわだかまりがなくなったために歌い、踊り、喝采を浴びる、という展開の方が正しいと思う。
役者は三吉彩花が全カット良い。歌い、踊るシーンもいいが、素に戻った時の一々「これは本当の自分じゃないんです」というリアクションがまあ的確で可愛い。あと、ちゃんとパンチラカット入れてる所に良心を感じる。


【銭】
『国民の創生』:各作品、通常一本立て興行価格1200円-400円(会員割引)。
『フリーソロ』:テアトル劇場水曜は1200円均一(2019,9/1以降)
『ダンスウィズミー』:テアトル劇場水曜は1200円均一(2019,9/1以降)
『ブラック・コメディ ああ!馬鹿』:神保町シアター水曜は1000円均一料金。
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フリーソロ@ぴあ映画生活
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『さらざんまい1-11話』『あの夏で待ってる1-12話』シネ・リーブル池袋2

劇場でTVアニメを上映する企画「アニメZONE」最初の二カ月の番組から2プログラム。

◆『さらざんまい1-11話』シネ・リーブル池袋2
五つ星評価で【★★★変だが、そこが良い。が、本当にそれでよいか不安になるのが幾原節】
あのウテナの幾原邦彦による新作アニメで、とても変。
3人の少年主人公が妖怪人間ヨロシク魔力で河童に変身し、欲望の為にゾンビ化した人間と戦う。
出て来る登場人物は少年、青年、幼児(男)と、基本的に全て男性。河童をモチーフにして「尻子玉」を扱うなど、ホモセクシャルを暗喩するようなキーワードに満ちている。そもそも主役の少年が最初から女装するなど事情は何あれ性倒錯ありありの気配で物語が始まってしまうのである。河童の敵はカワウソとなっているが、カワウソ本体は現われないので、本当に本体がいるのかは不明。物語のピークは、主人公が自分の一番大切な弟を守るために自分を繋がりの外に置く覚悟を持つところ。逆にそのピーク以降は解明されると思っていた物語の全容がさっぱり分からずに話だけが閉じてしまい、得体の知れない怪作になった感じを受けた。もっとも、これは全11話を一度に見たから起こる事で、毎週一話ずつ見ながら、あーでもない、こーでもない、と議論を戦わせながら、輪郭を固めて見るというエヴァンゲリオン的な見方が求められていたのかもしれない。
毎週入る警察官二人と、主人公三人によるミュージカル・パートは心惹かれる物がある。


◆『あの夏で待ってる1-12話』シネ・リーブル池袋2
五つ星評価で【★★★★随分堂々と1クール掛けてちゃんとした恋愛ものを作ったのだな】
アニメで野郎目線の恋愛物ってこそばゆい。
多分、それは女性は絶対的に美人かカワイ子ちゃんで欲望要件満たす外見になるし、野郎は免罪符を買えとばかりにダメな所もあるけどどこか一カ所「純」だったりする言い訳可能なキャラになってしまうからじゃないか。何か、これが自分達ですという主張が見えすぎる強すぎる。それでも、そういうこそばゆい痒さに耐えて最後まで「恋愛のウジウジグダグダ」を描き切った。いやあー、御苦労様でした。そして、これがアニメが好きな文化系草食近辺のウジウジグダグダだけど、中に登場する恋愛要素ありのキャラクターらが全員玉砕成就の如何を問わず告白をしている。これが視聴者に向けてのエールなんじゃないか。そういうの黙って押し隠してしまいそうな人達が多そうじゃん(何を隠そう、いや、隠しはしないが私自身がそんな人間だ)。

男二人どっちも眼鏡と言うのは珍しいが実情にあってる。女性はそんなでもないが、野郎の眼鏡率は高かろう。
主要男女どっちも眼鏡キャラと言うのは流石に「初」ではないか?
イチカ先輩の「これって普通じゃないの?」エピソードはもっと見たかった。
カイトくんの病気はもちっと慎重に何回か尾を引かせるのかと思ったが、その辺は雑だった。

イチカ先輩と谷川さんは割と表裏一体のキャラで、外見は別として、感情的に大きな違いはあまりない。だからこそ逆にカイトくんがイチカ先輩を選んでしまう選択肢は残酷なのだと思う。そして、その残酷さが引き立つかのように谷川さんはよく泣く。そうか、違いがあるとすればこの感情の起伏に関して言えば違いがあるのだが、その感情の起伏についてカイトくんが平坦な方が良いみたいに思ってるようにはとても見えないので、やはり何故イチカ先輩を選んだのかというのは謎と言えば謎だ。いやまあ、男女の性差を持つ生物種の異性に好意を持つ基準の一つは自分の持つ種族と異なる遺伝子を持つ事だから(子孫がウィルス疾患に対する耐性が強くなる)、その意味ではイチカ先輩はこれ以上にないと言うくらいピッタリなのだが。いや、交配が可能であるとしたら「りのん」が一番モテるか、それだったら(おそらく交配が可能ではないのであろう)。

個人的には北原さんと檸檬先輩が好き。真っ中心のヒロインキャラより、変わり者が好きなのだ。北原さんの自宅の姿はドキドキする。でも、あれがとても自然で清潔感溢れる感じで描いてあるのがとても好感持てる。アニメーターがいい仕事してるな、キャラに愛を持ってるな、と。


【銭】
「アニメZONE」は長さに応じて料金設定がある。1クール連続鑑賞の場合は2800円、6時間弱だからまあ妥当だろう(CM時間がカットされるから実際にはもっと短い)。『さらざんまい』はテアトル会員割引で100円安い2700円で見た。そして、その『さらざんまい』の上映でたった1秒の映写トラブルがあり、それに対して配布されたごめんなさい券を使わせてもらって『あの夏で待ってる』を見せてもらった。
▼作品詳細などはこちらでいいかな(いや、但し、何も情報ないねんけんど)
《TVアニメ『あの夏で待ってる』1~12話》@ぴあ映画生活
《TVアニメ『さらざんまい』1~11話》@ぴあ映画生活
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