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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』『台風家族』『シークレット・スーパースター』『メランコリック』『岬の兄妹』キネカ大森3、2、3、2、2

キネカ大森括りで5本まとめてレビュー。

◆『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』キネカ大森3

▲かーいー二人。

五つ星評価で【★★★★普通じゃないバランス感覚】
『この世界の片隅に』の拡張バージョン。
オリジナルも凄くて強い映画だったが、増幅した部分がまるで元からそこにあったように溶け込み、人間存在のおかしみと深みを増していた。あんなん不用意に入れ込んだら映画全体をぶち壊すエピソードだ。勇気がある。そして才能がある。
良かれ悪しかれ前のも子供が看過して大人だけ気付くようなシーンがあったが、そういうシーンが増えた。ただ、行為自体が描かれる訳ではないからレイティングは付いてない状態でもいいんだろう。

正式タイトルが発表される前に、きっと『この世界の両隅に』に違いないとツイッターで呟いたら片淵監督の目に止まってRTされたか、イイネされたんじゃなかったか。そういうのは馬鹿冥利に尽きる。


◆『台風家族』キネカ大森2

▲こういうクズの役がSMAPで似合うの草彅君、あと吾郎もギリ合うかも。

五つ星評価で【★★★草彅君って目に付く、役者が似合う】
変な話なので話の転がり方が面白くて飽きない。
話が家の外に出るまでは面白い。
草彅くん「一本満足」CMの経歴がこんな所で生きるとは。


◆『シークレット・スーパースター』キネカ大森3

▲モサい主人公。

五つ星評価で【★★★そんなに好きになれないのは個人的理由】
主役の少女のでっぷりした容姿が嫌い。歌もあまりグッと来ない。立場に同情しないではないが、そんなにノリノリにはならなかった。エンドロールに使われるアーミル・カーンのPVはちょっと類を見ないクズ映像なんだけど、残念ながら俺はこっちの方が、いやいやいやいや、ノーコメント。


◆『メランコリック』キネカ大森2

▲ドランクドラゴンの鈴木拓くらい花がない主人公(左)。

五つ星評価で【★★★★ようでけとるわ】
舞台は銭湯なのに内容は血生臭い。それぞれ別の意味で社会生活失敗の主人公と仲間がすったもんだの挙げ句、ごっちゃに均質化するラストは味わい深い。つーか、もー話が単純におもろい。そんな風に転がるのかみたいな予想がつかない踏み外し方。役者は誰一人として知らないし、初見なのだが、この誰もが適材適所な感じがとても良い。


◆『岬の兄妹』キネカ大森2

▲リアルに困窮してそうな二人。

五つ星評価で【★★辛い系の話はどーも】
おいおい本物連れてくるなよという妹和田の演技は凄いが、やはり話のつらさが苦手。
知能障害の妹がSEXしてという映画だと、高橋伴明の『歓びの喘ぎ 処女を襲う』とどうしても比較してしまう。あれが良いので、こちらは「普通」扱いになってしまう。そんな不公平な事だってある、人生なんだから。


【銭】
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』:テアトル系水曜日1200円均一。
『台風家族』:名画座キネカード+ラスト一本割引600円。
『シークレット・スーパースター』:名画座キネカード+ラスト一本割引600円。
『メランコリック』+『岬の兄妹』:名画座キネカード1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
この世界の(さらにいくつもの)片隅に@ぴあ映画生活
台風家族@ぴあ映画生活
シークレット・スーパースター@ぴあ映画生活
メランコリック@ぴあ映画生活
岬の兄妹@ぴあ映画生活
▼関連記事。
この世界の片隅に@死屍累々映画日記・第二章
・この世界の(さらにいくつもの)片隅に@死屍累々映画日記・第二章
歓びの喘ぎ 処女を襲う@死屍累々映画日記・第二章

マンガ『MASTERグレープ 第5~8巻(完)』原作:土屋理弘、作画:高橋アキラ、ゲッサン少年サンデーコミックスペシャルを読書する男ふじき

気が付いたら終わってしまった。
5巻~7巻が武道大会に優勝するまで。
7巻の帯に「彗龍旗編完結!!」と書いてある。
おおっ、知らなかった。「彗龍旗編」だったのか
(「彗龍旗編」って言葉を見掛けた事がないぞ)。
ちなみに「彗龍旗編」は4巻のケツから7巻まで。
8巻は「真理(マサリ)編」と7巻の後書きに書いてある。
口無真理(クチナシマサリ)は、このマンガの中で
一番武道的にイカレた人間で、そこが魅力。
但し、8巻全てを請け負うかというとそうではなく、
「真理(マサリ)編」は8巻の前半、後半は「秀一編」となる。
この石榴秀一(セキリュウシュウイチ)はクチナシマサリとタメを張る
イカレたキャラクター。

クチナシマサリは最強だが、抑制できない男。
だが、そうは見えないが決められたルールは守る。
守れない時は我を忘れて狂っている時である。

セキリュウシュウイチも最強だが、武道が病気。
殺意を向ける者を無意識でも絶たずにはいられない。
そこに彼の意思はなく、彼は「武道」という
残留概念に操られて殺戮をしているにすぎない。
その彼を負かすのではなく、正しい武道に引き戻すまで。
いきなり幕を閉めたような終わり方だったが、納得はさせられた。
武道で打ち負かす終わり方ではなく、優しい主人公が
出会った病人を武道で治療する、
そういう意味では変わった終わり方かもしれない。

個人的には、何をやり出すか分からないクチナシマサリ編を
もうちょっと見ていたかった。
セキリュウシュウイチはやはりいきなり出てきたキャラだからか地味。
マサリはその点、要所要所がラテン系におかしくて良い。

『AI崩壊』『前田建設ファンタジー営業部』『バッドボーイズ フォー・ライフ』『嘘八百 京町ロワイヤル』

4本まとめて淡泊にレビュー。

◆『AI崩壊』ユナイテッドシネマ豊洲10

▲妙に顔が大きく見えてしまう岩ちゃん(左)と、真面目な顔だと個性が死にがちの賀来賢人(右)と何となく宝塚の歌をいきなり歌い出しそうな大沢たかお(中央)。

五つ星評価で【★★★★予想以上におもろいやん】
予告があの怪作つーか珍作『プラチナデータ』ぽかったので逆に注目してたのだけど、それなりに普通に面白かったので中々感心した(大沢たかおが超人すぎるとか、多少、荒いのはしょうがない)。その問題の『プラチナデータ』に出てくる未来っぽい犯罪者追い詰めが更に進化してて、それも感心。あんなん逃げられないだろうって思わせておいて、逃げ道の確保がそんなに無理に見えないのが、脚本とても頭がいい。お気に入りは昭和の刑事、三浦友和とそれに付きあわされる広瀬アリス。ルールは破るけど有能。「姉ちゃんだってセックス中継されたらイヤだろ」って発言が的を射すぎてて最高。広瀬アリスのセックスは中継してほしい(広瀬すずでも可)。しかし、映画に出てくるプログラマーやハッカーは有能すぎる、謎は解けても他人が組んだロジックに追加上塗りして別動作させるとか。無理だろ。最近の大沢たかおは善人は当たり前で、その上に超人的な何かを持っている。
意外なところで大沢たかおを助ける男に螢雪次朗、お金はかかっていないが、適材適所のいいキャスティングだ。
副大臣が酒向芳だった事もあり、事件を起こすベースの考え方が『カイジ ファイナル・ゲーム』っぽい気もする。


◆『前田建設ファンタジー営業部』ユナイテッドシネマ豊洲12

▲正面からマジマジと見ると高杉真由の顔ってウルトラアイを装着してウルトラセブンに変身しそうな顔に見える(何だそりゃ)。

五つ星評価で【★★★人を見る目が温かい】
頑張ってる人がいい目を見る映画は好き。
それでも星を一つ減じているのは、そもそも何でこんな事やろうと思ったのかという発端の部分がノリで曖昧になってるから。そこは語られるべきだし、そこがユルいので最終的に出来上がった結果が、そもそもの「スタート」に対する正当な「エンド」なのかがあまりハッキリしないという疑問として残ってしまった(ノリの積み上げが上手いから終わりの方はちゃんと盛り上がるけど、私はしっくりこない部分がちょっと残った/すいませんねえ、うるさい客で)。これをきっちりビジネス物として落とすなら、単にノリで始めるだけでなく、凄い技術で本当にマジンガーの格納庫を作れ、その技術力と真摯さが世間に認められ評価されるという出口目標までを最初に語るべきである。目標に到達、もしくは目標以上を踏破してこそのビジネス・ドラマだろう。
キャラはみな愛すべき人達。彼等がそれぞれ自分の守備範囲にこだわりを持っているのが良い。又、こだわりを持っていなかった中心の二人(高杉真由と岸井ゆきの)が徐々に会社の技術力に魅せられていく様も素直に微笑ましい。そして岸井ゆきのがちょうどいいくらいの可愛さ。事務にいそうなくらいの可愛さ。これは朝ドラ『まんぷく』での製塩所での天使っぷりにも相通じる。日本を隅々まで照らすほどの可愛らしさではなく、閉鎖された環境の中でちょうどいいくらいの可愛らしさなのである(あーすげえ失礼)。
あと、個人的には最後に追加で出てくるプロフェッショナル濱田マリの真剣さ、あれに燃えた。濱田マリが真剣にプロジェクトに取り組んでいるなら信用が出来る。


◆『バッドボーイズ フォー・ライフ』ユナイテッドシネマ豊洲5

▲マーティン・ローレンスって体内に腐敗ガスが貯まって、爆発寸前になってるゾンビっぽい。

五つ星評価で【★★★いや、別に普通に面白かったよ】
普通に面白かったのだけど、感想書かずに3か月ほっておいたら完璧に抜けた。
そもそもバッドボーイズとは独立しているパートの冒頭の脱獄シーンのかっこ良さに痺れたのは覚えてる。
ウィル・スミスとマーティン・ローレンスがアクションできなくなったとも思わんかったから、ちゃんと見れた筈。とは言え、17年ぶりの続編、他に企画ないのかよ、とは思う。『トップガン』の続編が35年ぶりに出来るくらいだからないのだろうなあ(化け物トム)。
こんなに何も覚えていないのに、ここなつさん(下にリンク貼ってある)のとこのコメントは大層いいコメントが書けたと自負している。俺もウィル・スミスやマーティン・ローレンスみたいにいい年を取れたという事かな(違う)。


◆『嘘八百 京町ロワイヤル』トーホーシネマズ日比谷3

▲「007」をもじったデザインはなかなか良いと思う。

五つ星評価で【★★★★思った通りの出来でおもろいやん】
全体、安定した面白さだがコンゲームの作りが荒いのは勿体ない。その部分に関しては割と前作とそんな違わない気がするし。
なんか中井貴一と佐々木蔵之介がベラベラ喋ってるだけで間が気持ちいいのだよね。それと木下ほうかに宇野祥平に坂田利夫の妖怪っぷりがよろしい。
広末涼子の立ち位置がビックリするほど『太陽の家』と同じなのはいかんだろう(あっちは騙しはないのだけど)。
ED横山剣って耐え難いかっこよさだよなあ。
朝ドラ『なつぞら』で広瀬すずの義理の兄貴を演じている山田裕貴が陶芸王子という役で土を捏ねてて、公開時の朝ドラが『オードリー』で陶芸の話だったので何かニアミスっぽいと思ったよ。そうすると『なつぞら』の中の山田裕貴は「搾乳王子」か。なんかエロい感じがする。ちなみにその山田裕貴の妻役は北乃きい。ああ、なんか乳搾れそうだよ。山田裕貴が北乃きいの搾乳だけをする特別ドラマとかやらねえかな(やらねえよ)。


【銭】
『AI崩壊』:映画ファン感謝デーに観て1200円。
『前田建設ファンタジー営業部』:ユナイテッドシネマの会員サービスデー(金曜日)に観て1100円。
『バッドボーイズ フォーライフ』:キャンペーン期間割引券使用により1200円。
『嘘八百 京町ロワイヤル』:トーホーシネマズの6ポイント鑑賞が満席だったので、近くで前売券をGETして1400円で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
AI崩壊@ぴあ映画生活
前田建設ファンタジー営業部@ぴあ映画生活
バッドボーイズ フォー・ライフ@ぴあ映画生活
嘘八百 京町ロワイヤル@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
AI崩壊@ここなつ映画レビュー
バッドボーイズ フォー・ライフ@ここなつ映画レビュー
バッドボーイズ フォー・ライフ@SGA屋物語紹介所
嘘八百 京町ロワイヤル@yukarinの映画鑑賞日記α
▼関連記事。
嘘八百@死屍累々映画日記・第二章
・嘘八百 京町ロワイヤル@死屍累々映画日記・第二章

『ブラック校則』新宿ピカデリー9、『ゴーストマスター』シネマカリテ2

◆『ブラック校則』新宿ピカデリー9

▲モトーラちゃんの写真ちっちゃ。

五つ星評価で【★★★良かった良かった悪くはなかった】
2020年の一本目。なのに今更なんである。
主人公のボンクラ具合がなかなかリアルじゃないか?
あ、ジャニーズなの。そう言えば30人くらいの観客、自分以外女子しかいなかった(すまん男子で)。
ヒロインのモトーラさんは雰囲気のあるいい演技をする人なのだが、この映画では髪の地色がそりゃあ黒じゃないだろうよ、という分かりやすさくらいで、もちっと主人公が惚れる要素があってもいいかもしれないな、と今になって思うのは後だしジャンケン的に『弥生、三月』の波瑠の強烈な平手ビンタを見てしまったからかもしれない。
登場する高校生全員が病んだ高校の状態に痛めつけられており、それでもどうにも出来ずに縮こまっているのを、二人組の愚者が声を上げたきっかけを元に好転するという構造が、本当はとっても映画的なのに、やり方が下手なのでリアルにはこんな解決はしないだろうと見えてしまうのが残念。トラウマで走れない陸上部の女の子が走る山場とか、校舎の裏の落書きの呻きがギシギシ見えるとか、魅力的なところは多いのだが、最後の解決が一発勝負で傍目に随分、手加減した幸運に助けられてるように見えるのがいかんのだな。
でんでんの校長は如何にも何か裏がありそうに見えながら、見事に何もなかった。でも、きっと家に帰ると『冷たい熱帯魚』みたいに透明人間を量産してるのかもしれない、映画の中では描かれなかったが。まあ、今回の肩透かしは計画的な肩透かしであろう。その肩透かしに対する何らかの手当てがないからちょっと「ガクン」と来てしまった(実は管理第一主義者のように見えて掃除のおばさんの薬師丸ひろ子と出来てるとか、あったら嬉しい)。ほっしゃんの目の前の物理的な障壁に対する、でんでんの管理社会その物みたいな障壁具合は敵の構造として、とても正しいし、でんでんの演技もいつも通りなのだが、『冷たい熱帯魚』以降は何かやりそ感で見てしまう。そら、観客の欲目か。
ほっしゃん怖かった。ほっしゃんって背が小さそうだから、しょんぼりしてたら怖くないんじゃないかと思うんだけど、全ての高校生がこんな体育教師や指導教師には関わりたくないという威圧感でした。あーいう先生はリアルにいそうで、かつ、そのMAXみたいな感じで実に良かった。
そして、成海璃子先生に教わりたい。あー、あんなちいちゃい子が女教師を演じるまでになったのか。凄く美人すぎないのに清純でエロさが漂ってこないのがいいよなあ。


◆『ゴーストマスター』シネマカリテ2

▲璃子しゃま(もちろん右)。

五つ星評価で【★★★ここ璃子】
映画ファン感謝デーにもう一つ見たのはこっちも成海璃子さま出演映画。ここにも璃子で「ここ璃子」である。いいんだよ、つまんなくても(いや、よかないだろ)。
助監督の執念の映画愛が役者に憑依し、阿鼻叫喚の映画現場になる。映画撮影現場の映画。
ゾンビ悪霊系映画として、安いとは思うが、ちょこちょこ秀逸なというより「それやるか」的な行き過ぎたアイデアもあり、全体の構造は後半ダレてしまうのだが、映画を人質に取られている感じであまり悪くはいいづらい。
あの壁ドン、小豆アイス、冒頭に出てくる麿赤児がヅラとかの反則は大いに評価したい。
あまりはっきりしない映画愛という概念よりビンビンに伝わってくる成海璃子愛に撃たれる。あー、単に俺が成海璃子ちゃん、好きなだけか。


【銭】
『ブラック校則』:映画ファン感謝デーで1200円。
『ゴーストマスター』:映画ファン感謝デーで1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ブラック校則@ぴあ映画生活
ゴーストマスター@ぴあ映画生活

『ゾンビランド:ダブルタップ』下高井戸シネマ

◆『ゾンビランド:ダブルタップ』下高井戸シネマ

▲『ヴェノム』監督×『デッドプール』脚本、にしてはちょっとなー、という感じ。

五つ星評価で【★★無闇につまんなくはないが】
『ゾンビランド』一作目はもうちょっと面白い印象。何か小学校の頃の同級生に会ったら、小学生の頃と同じ半ズボンを履いてて、腹だけ中年デブみたいになってて「イェーイ」って言われたみたいな印象。
中央にいるウディ・ハレルソン(強マッチョ)、ジェシー・アイゼンバーグ(文化系DT)、エマ・ストーン(強女)、アビゲイル・ブレスリン(前作は芦田愛菜枠)の4人のそもそもの関係性はいいのだけど、プラスアルファで登場したカルチャー男、カルチャー女がうざい。コメディー演出で変な男女出すのはしょうがないのかもしれないが、もうちょっと好かれるタイプを出せないものか。
しかし、10年ぶりの新作なのか。そら、アビゲイル・ブレスリンも普通に大きくなるよな。10年経っても20年経っても成長しないなんて安達祐実くらいだろう。流石に一番若い彼女は別として、他の三人が前作の1年後みたいな容姿なのは流石。10年後の話だから多少変わってても誰も文句は言わないだろうに。


【銭】
先輩に貰った招待券を使って無料入場です。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ゾンビランド:ダブルタップ@ぴあ映画生活
▼関連記事。
ゾンビランド@死屍累々映画日記・第二章
・ゾンビランド:ダブルタップ@死屍累々映画日記・第二章

『のび太のねじ巻き都市冒険記』『~の南海大冒険』『~と銀河超特急』『~と夢幻三銃士』『~の創世記』神保町シアター

企画「ドラえもん映画祭2020」から5プログラム。

◆『のび太のねじ巻き都市冒険記』神保町シアター
五つ星評価で【★★★ちょっとした暴力に立ち向かえない子供という構図は好き】
1997年、カラー、99分、初見。
おもちゃの町に迷い込んだ凶悪犯のクローン達と大戦争。
クローン凶悪犯の中に一人だけ少し善人がいたりするのがおもろい。
神様を出してしまうのはF先生もお疲れか。F先生が脚本描いた最後の作品。制作や内容までは入れなかった模様。
一番驚いたのがEDが矢沢だった事。


◆『のび太の南海大冒険』神保町シアター
五つ星評価で【★★★★ダイナミック・アドベンチャー】
1998年、カラー、91分、初見。
F先生没後初作品。物凄く費用を食ってたと思われる(けどF先生がやりたがってそうな)OPのCGがなくなる。EDは前作『ねじ巻き』の矢沢の次が吉川ひなのという落差が大きすぎて大笑い。物語の展開が多彩で飽きない。ただ悪役の設定はその手をもう一回使ってしまったか、という感じ。冒頭から外人が普通に英語で会話する所がドラえもんらしからずなギャップがあっていい。劇場版のジャイアンいい奴推しはこの映画辺りからじゃないだろうか。
ジャイアンと軽くアチチな空気が漂う海賊船の女の子ベティーの声は早見優。その生き別れの弟の声がマッハ文珠。実物を知ってるとクラクラするが、知らずに見てると問題なし。


◆『のび太と銀河超特急』神保町シアター
五つ星評価で【★★あれ?】
1996年、カラー、97分、初見。
『銀河鉄道999』に侵略物を合わせたような凡作。宇宙遊園地の疑似イベントに西部、恐竜、忍者、メルヘンがある。メルヘンは風営法的に不味そうな気がしなくもない(イメクラと同業種じゃないか?)。恐竜は『ジュラシック・パーク』が1993年と3年前だから本物を連れてきても良さげなんだが、本家があんな事になったので安全対策の為か恐竜は全てロボット恐竜である。そういう意味で、西部は『ウェスト・ワールド』で本家映画がロボットを悪役にしてるからか、極めて人間的なイベントにしつらえてある(まあ、ドラえもん世界でロボット殺し放題の西部世界にはできんだろうけど)。


◆『のび太と夢幻三銃士』神保町シアター
五つ星評価で【★★ふーん】
1994年、カラー、100分、初見。
ドラクエっぽいドラえもん。
まー、ドラえもん・クエストという事か。
ゲーム外ののび太の現実にも現れる魔法使いキャラが藤子不二雄マンガ内に秘かに巣食う白土三平マンガキャラみたいな感じで妙に心に残る。ラストシーンの現実ではない現実の小学校は1984年の『ビューティフル・ドリーマー』オマージュだろうか。そんなんドラえもんでサラっとやられても気づかんわ。


◆『のび太の創世記』神保町シアター
五つ星評価で【★★★アイデアがドラえもん的で良い】
1995年、カラー、98分、初見。
夏休みの自由研究に地球を作るというアイデアが実にドラえもん的。
その世界で起こる人類史を塗り替えるような大騒動をあっさり回避できるのも、ドラえもん世界ならでは。あー、そーね、そんな方法があったのね。そういう保障って日常生活で購入する物にもあったりするものね。と、目から鱗が落ちるようなラストだった。


【銭】
神保町シアター一般入場料金各1300円。神保町シアターの水曜割引も特集上映中はなし。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
映画ドラえもん のび太のねじ巻き都市〈シティー〉冒険記@ぴあ映画生活
映画ドラえもん のび太の南海大冒険@ぴあ映画生活
映画ドラえもん のび太と銀河超特急@ぴあ映画生活
映画ドラえもん のび太と夢幻三剣士@ぴあ映画生活
映画ドラえもん のび太の創世日記@ぴあ映画生活

『のび太のドラビアンナイト』『~の日本誕生』『~とアニマル惑星』「併映作プログラムC」神保町シアター

企画「ドラえもん映画祭2020」から4プログラム。

◆『のび太のドラビアンナイト』神保町シアター
五つ星評価で【★★★スリル・サスペンス】
1991年、カラー、100分、初見。
アラビアン・ナイトの世界に入り込んだドラえもん一行。ドラえもんはポケットをなくし、しずかちゃんは人買いに囚われ、残りは砂漠の上で死亡寸前、と隋一のハード展開。バランスを取るように、王様というドラえもん能力を持つ善玉が出てきて一同は助けられるが、この善玉もチンピラの悪役に騙されて能力を奪われてしまう。
悪役がただの卑しいチンピラで、背景(××王国とか)がなくても、悪を実行する心とそれを支援する力さえあれば、どんな卑しい存在でも主人公達を苦しめる事ができると言うのは、F先生の脚本のクレバーなところだと思う。それは逆説的に物語内では触れられない「ドラえもんのポケット」の危ういところでもあるのだけれど。


◆『のび太の日本誕生』神保町シアター
五つ星評価で【★★★★ちゃんとしてる】
1989年、カラー、100分、初見(但し、リメイク版を先に鑑賞)。
劇場版になると、切実に遊び場所や隠れ家を追い求めるのび太達が今回は誰も土地所有権がなかった頃という事で、原始時代の日本にタイムマシンで出掛ける。そこで日本人の始祖と思われる人々と仲良くなるうちに彼等を従属させようとする精霊王ギガゾンビの存在を知り対立する。
リメイク版に比べて精霊王ギガゾンビが得体のしれない存在でありながら実は凄いカスでもある。リメイク版の方のギガゾンビは超パワーを持ちながら正体は普通の人間という感じ。オリジナルは何か悪い奴はしょーもなー的な空気が漂う。そんな激カスにドラえもんが手も足も出せなくなる状況がリアル。リメイク版はギガゾンビを敵として昇格させ、ドラえもん達に活躍させる事で話をドラえもんやのび太の英雄譚にしたキライがある。そっちの方が物語としては骨子がしっかりするので大人受けするのだが、それって本来のドラえもんとは違うフォーマットではないだろうか?
のび太、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんは普通の子供であって、英雄ではない。物語の舞台は大きいが、子供達に取っては息抜きに付随する実は小さな冒険であり、それが実はとても大きな歴史の一部でもあると言うパラドックスが面白いのだと思うが。
ドラえもんの世界で、たまにタイム・パトロールが出てきて、時間犯罪者を取り締まっていたりするが、彼等がドラえもんに対して何故、手を出さないのかはいつ見ても不明である。
あと、原始人少年ククルはリメイク版で美少年にしすぎ。オリジナルのもっさい感じが如何にもドラエモンっぽい。


◆『のび太とアニマル惑星』神保町シアター
五つ星評価で【★★★のっぺりした話じゃなかろうか】
1990年、カラー、99分、初見。
辻褄を合わせたり、実は大きな物語でしたという路線に飽きたのか、ファンシーな動物人間の子供達がいっぱい出てくる(もちろんリアルな『ドクター・モローの島』風ではなく、人形劇団風のキャラである)、ちょっと学年を2、3年引き下げて小さい読者用に作りましたっぽい一本。なのに、こっそり根底に人間なんてろくなもんじゃないというF先生の厭世感が表れてる。
のび太が持ち前の「運の悪さ」によって大活躍するエピソードが面白くて、よくよく考えると泣けるようで好き(おまそんなに運が悪かったのか的な)。


◆『太陽は友だち がんばれ!ソラえもん号(併映作プログラムC)』神保町シアター
五つ星評価で【★★謎のタイアップ】
1993年、カラー、5分、初見。
人間が乗れるソーラー・カーのデザインがドラえもんってだけ。こーゆーのは子供見てて楽しいのだろうか?
ナレーターがドラえもんとのび太だから、垣根は低いのだけど。
 

◆『21エモン 宇宙いけ!裸足のプリンセス(併映作プログラムC)』神保町シアター
五つ星評価で【★★★んーまー普通におもろいが、21エモンって何となく共感しづらい】
1992年、カラー、39分、初見。
21エモンに『ローマの休日』と宇宙船レースを組み合わせたような話。意外とちゃんと出来ていたよなあ(忘却しつつある)。ゴンスケってエグくっていいキャラ(A先生側にいそうなキャラ)。


◆『ドラミちゃん ハロー恐竜キッズ!!(併映作プログラムC)』神保町シアター
五つ星評価で【★★冒険に行く組み合わせがどうも慣れない】
1993年、カラー、40分、初見。
ドラミちゃん達一行が恐竜を見学しに行く
なんかこの、のび太っぽいのに粗暴な奴と、ジャイアンっぽいのに品行方正な奴と、スネ夫っぽいのにスネ夫同様偉そうにしてる奴の、三人組のバランスがドラえもんの4人組と比べるとギスギスしてる感じでイヤ(ドラえもん側だってギスギスしてるのだけど馴れてしまっている)。


【銭】
神保町シアター一般入場料金各1300円。併映Cは短編集めて1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
映画ドラえもん のび太のドラビアンナイト@ぴあ映画生活
映画ドラえもん のび太の日本誕生@ぴあ映画生活
映画ドラえもん のび太とアニマル惑星〈プラネット〉@ぴあ映画生活
▼関連記事。
映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生(リメイク作品)@死屍累々映画日記・第二章

マンガ『俺の姫靴を履いてくれ 全三巻』須河篤志、MFコミックスフラッパーを読書する男ふじき

帯のコピー「フェチあり靴職人とワケあり女子高生の足フェチ赤面ラブコメ」。

私は所謂、足フェチなのだが、この主人公には感情移入できない。
そして「ラブコメ」を定義しだすと難しくなるが、これは「ラブコメ」ではないと思う。

男の子の勃起を女の子が偶然見てしまったり、
女の子の脱いだ下着を男が凝視してる様を女の子が見てしまったり、
その前後で両者の視線の不自然さを打ち消すためバタバタしたり、
そんなバタ付いた空気に対して「コメディー」扱いしてほしいのだろうが、
その先にあるのは性欲を押さえられない男の孤独な悩みと言う
重いテーマがぶら下がっていのでうっかり笑えない。
そんなんで笑ったら「人非人」だ。

つーか無闇に主人公が勃起しすぎてないか?
それとも逆に自分がもう年でそんなに勃起しないというだけの事か?
矢鱈に勃起するのを主人公が恥じているが、
まあ確かに中学生かよというくらい勃起している。
でも生理現象だから恥じたりしなくても良い。
よく分からないのは主人公がただ「生足」を見るだけで勃起し、
そのフェチの細かい性癖や性向が何も語られない事だ。
全種類可能性向(オールラウンダー)か?
そうすると幼稚園や小学校近くには置いておけない。
生足の表情に興奮するのか? 
だが、そういう描写も際立ってはない。
つまり、彼の足フェチ性向は漏れてこない。
おそらく宙空(カラ)なのだ。そこまで設定されていない。
性癖・性向なしに無闇に発情する奴は私から言わせれば怖い。
ゴリラが発情しているような物である(ゴリラに失礼か)。

この主人公は足が好きではあるが、足フェチではない。
好みがない。
おそらく、それは作者が足フェチたろうとして
足フェチにはなれなかったからだろう。
あえて、主人公に好みがあるとするなら、
分かれた前妻の足、および、それに近い物であるに違いない。
それは「足フェチ」と言うより「病的執着」に近いと思う。
だから、軽い気持ちで読みづらい。

最終的に主人公はその「病的執着」の原因(前妻)を
乗り越える事で「(擬似)足フェチ」性向をちょっと脱する。
それはそれで良さげなのだが、
もう一つヒロインにもあまり気持ちが行かない。
ヒロインは所謂「うぶ女」、ちょっとした事ですぐ赤面する。
「性」に関する感情が頬に直結している。
そして、彼女はそんなキャラでしかない。
彼女の中で彼に対する「フェチに関する諸々(性癖は特殊だが、その性癖が靴作りに活かされている)」と「フェチと無関係な諸々(社会人として大人として付きあう対象として妥当)」の優先度が見えてこない。だから、何となくマンガのゴールが、彼女の感情の高ぶりを爆発させただけの仮に設定されたゴールのように見えてならない。

主人公の男が本当の足フェチ道に落ちた時(例えば、その足がありさえすればJKの彼女も含めて全て捨てるような足に出会ってしまったら)、JKの彼女はそれでも彼に執着するかどうかの回答がなされていない。彼女の彼に対する態度は職人や恩人に対する物なのか、恋人に向けての物なのか。

まあ、そういう話ではない、というだけの事かもしれないが(それは逆に言えば自分がそういう物語を欲していたり、そういう中にいるという事なのだろう)。残念だな、俺。
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