『凶悪』丸の内TOEI①
- Date
- 2020/08/10/Mon 01:24
- Category
- 映画(FC2独自レビュー)
◆『凶悪』丸の内TOEI①

▲この横顔の写真みて思った。ピエール瀧の顔って誰にも似てない。強いて似てる顔を探すなら、怪人二十面相や明智小五郎が変身を解いて剥ぐ途中のマスク、あれに似ている。こういう人はやはり役者に向くだろう。
五つ星評価で【★★★★怖い物見たさ】
殺人に禁忌のないヤクザにピエール瀧、そのヤクザを操って人殺しや死体の後始末をやらせている不動産ブローカーにリリー・フランキー、二人の事件を調査する雑誌記者に山田孝之、その山田孝之の妻に池脇千鶴。
ピエール瀧とリリー・フランキーが圧巻である。
ピエール瀧の暴力を纏って生きてる感じ。サイボーグ005とか絶対やらせちゃダメだ(まあ誰もオファーを出さないだろうが)。そして、リリー・フランキー演じる不動産ブローカーも出てきた途端、変である。どうやら、この男は善悪という意識その物がないらしい。金が稼げる。気持ちが良い。などの目の前の快楽原則が全てに優先される。二人は映画の中に暴力を振り撒くための装置であるが、瀧に関して言えば、バランスが常人と違うだけで、普通に人間的なところが残っている。昔の情婦に「あれで可愛いところあるのよ」とか言われてしまう。だが、リリー・フランキーはもう、映画内でひどい言動や行動を繰り返して、ウヒャウヒャ笑ってるだけなのである。その極端な人間モデルがごっつ怖かった。
彼等が怖いのは、彼等に対して折衝が利かないからだ。ピエール瀧に「もう許してください」と言っても無駄だ。一度、不機嫌になり、不信の種が植えつけられたピエール瀧は必ず確実にあなたを殺すであろう。
同じく、リリー・フランキーに「もう許してください」と言っても無駄だ。彼が自分の楽しい時間をあなた如きのお願いで止める理由はどこにもない。
そして、この二人に影響されて、秘かに人間性を失っていく山田孝之。事件に取りつかれた山田孝之は誰の言葉も聞かない。上司も、妻も、警察も。彼を動かすのは「正義」というあやふやな概念だ。これ、「正義」を「信頼」に置き換えたらピエール瀧だし、「現世利益」と置き換えればリリー・フランキーである。たまたま、彼等が欲した物が犯罪寄りだっただけだ。
そして、この山田孝之の妻である事の不幸を一身に受けているこの映画唯一の死ななかった被害者が池脇千鶴だ。彼女は間接的に山田孝之から暴力的な仕打ちを受けている。山田孝之には何回も「もう許してください」と言っているのだが、取りあってももらえない。彼女を苦しめているのは痴呆症状が出てきた山田孝之の母である。この映画の中では老人は売買対象でしかない。最終的に山田孝之と池脇千鶴はこの母を優しそうな買い主に売るのだ。山田孝之はリリー・フランキーという凶悪な嵐が介護業界に吹き荒れていた事を知っているにもかかわらず売るのだ。そして、池脇千鶴も山田孝之の全ての良い所を知りながらも、それを肯定しきれないでいる。ここにはここで緩慢な地獄がある。
でもあれだな。最終的には兼業役者であるリリー・フランキーのとても普通と狂っているが同居して違和感のない所と、同じく兼業役者であるピエール瀧の人を殺しそうに見えてたまらない肉体に全て取られてしまった、という感じかな。その土台を山田孝之と池脇千鶴の真面目で地道な芝居が支えてる。
【銭】
旧作公開価格で1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・凶悪@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
・凶悪@いやいやえん
・凶悪@映画のブログ

▲この横顔の写真みて思った。ピエール瀧の顔って誰にも似てない。強いて似てる顔を探すなら、怪人二十面相や明智小五郎が変身を解いて剥ぐ途中のマスク、あれに似ている。こういう人はやはり役者に向くだろう。
五つ星評価で【★★★★怖い物見たさ】
殺人に禁忌のないヤクザにピエール瀧、そのヤクザを操って人殺しや死体の後始末をやらせている不動産ブローカーにリリー・フランキー、二人の事件を調査する雑誌記者に山田孝之、その山田孝之の妻に池脇千鶴。
ピエール瀧とリリー・フランキーが圧巻である。
ピエール瀧の暴力を纏って生きてる感じ。サイボーグ005とか絶対やらせちゃダメだ(まあ誰もオファーを出さないだろうが)。そして、リリー・フランキー演じる不動産ブローカーも出てきた途端、変である。どうやら、この男は善悪という意識その物がないらしい。金が稼げる。気持ちが良い。などの目の前の快楽原則が全てに優先される。二人は映画の中に暴力を振り撒くための装置であるが、瀧に関して言えば、バランスが常人と違うだけで、普通に人間的なところが残っている。昔の情婦に「あれで可愛いところあるのよ」とか言われてしまう。だが、リリー・フランキーはもう、映画内でひどい言動や行動を繰り返して、ウヒャウヒャ笑ってるだけなのである。その極端な人間モデルがごっつ怖かった。
彼等が怖いのは、彼等に対して折衝が利かないからだ。ピエール瀧に「もう許してください」と言っても無駄だ。一度、不機嫌になり、不信の種が植えつけられたピエール瀧は必ず確実にあなたを殺すであろう。
同じく、リリー・フランキーに「もう許してください」と言っても無駄だ。彼が自分の楽しい時間をあなた如きのお願いで止める理由はどこにもない。
そして、この二人に影響されて、秘かに人間性を失っていく山田孝之。事件に取りつかれた山田孝之は誰の言葉も聞かない。上司も、妻も、警察も。彼を動かすのは「正義」というあやふやな概念だ。これ、「正義」を「信頼」に置き換えたらピエール瀧だし、「現世利益」と置き換えればリリー・フランキーである。たまたま、彼等が欲した物が犯罪寄りだっただけだ。
そして、この山田孝之の妻である事の不幸を一身に受けているこの映画唯一の死ななかった被害者が池脇千鶴だ。彼女は間接的に山田孝之から暴力的な仕打ちを受けている。山田孝之には何回も「もう許してください」と言っているのだが、取りあってももらえない。彼女を苦しめているのは痴呆症状が出てきた山田孝之の母である。この映画の中では老人は売買対象でしかない。最終的に山田孝之と池脇千鶴はこの母を優しそうな買い主に売るのだ。山田孝之はリリー・フランキーという凶悪な嵐が介護業界に吹き荒れていた事を知っているにもかかわらず売るのだ。そして、池脇千鶴も山田孝之の全ての良い所を知りながらも、それを肯定しきれないでいる。ここにはここで緩慢な地獄がある。
でもあれだな。最終的には兼業役者であるリリー・フランキーのとても普通と狂っているが同居して違和感のない所と、同じく兼業役者であるピエール瀧の人を殺しそうに見えてたまらない肉体に全て取られてしまった、という感じかな。その土台を山田孝之と池脇千鶴の真面目で地道な芝居が支えてる。
【銭】
旧作公開価格で1100円。
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