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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『弱虫ペダル』ユナイテッドシネマ豊洲10

◆『弱虫ペダル』ユナイテッドシネマ豊洲10

▲「御堂筋くん出せや、出さんかい」「予算不足です」

五つ星評価で【★★★器用に作ってあるのに原作ファンがワクワクできない理由】
いやらしい言い方をするならとてもいい戦略が練られており、それは成果を上げているので、初めてこの作品に触れる人はちゃんと面白く感じると思う。私は劇場版アニメを見た後、マンガを読み進んだ今回珍しく一見さんでない立場なので、原作ファンから見た物足りない点を少し書きたいと思う。
見る前は不安だった。
と言うのは販促のチラシや予告編からあまり登場人物などを原作に寄せようという努力が見られなかったからだ。「寄せない」とか、あえて「変えてきている」という風には見えないが、ある程度、寄せるのはマンガへの敬意の現れだと思っているので、『あさひなぐ』みたいに中途半端な感じがしてイヤだなあ、と思った。『あさひなぐ』はアイドルを起用する事で、明らかに原作のメイン3人の身長バランスとかを崩していたし、サブ3人も含めて、ちょっと考えないと原作の誰だか分からないようなキャスティングは映画自体の出来にも影響を与えていたと思う。
ちなみに、『弱虫ペダル』もメインが3人、サブが3人という構成であり、身長差などに関しては原作をあまり踏襲していない。スカシ今泉は高身長に見えないし、赤い髪の鳴子は全然チビに見えない。それよりも先輩の3人は体格が全然違うのだが、本気で体格を合わせたらキャスティング全員が日本人でなくなってしまうから、そこはもう切り捨てて現実にいる高校生で、というラインに抑えたのだろう。それは寂しいが間違いとは言えない。彼等はマンガ特有の体格は再現できなかったが、スカシ今泉のメンタルの弱さ、赤髪鳴子の楽観的だが最後まで意地を貫き通す点、田所っちの高校生に見えないオヤジな豪快さ、金城のカリスマ性、巻島の人付き合いは苦手でクールだが実は人の事を良く見ていて面倒見がいい所などをちゃんと掬っている。身体がダメな部分は心でカバーだ。そして、割とみんな芸達者で演技が上手いので違和感がない。まあ、あと、メイン3人の体格差問題が『あさひなぐ』ほど直接、競技に関わって来ないというのもある(現実的にはともかくマンガでは強く強調されない部分である)。
ただ、マンガで言ってるように傍から見て「真っ赤っか」が分かるようには鳴子の髪はなっていないし、巻島の髪は全然、緑の色が付いているように見えないし、金城がエースでオールラウンダーって描かれてないし、巻島なんて彼独自の(それが彼の特異なメンタルのアイデンティティである)ダンシングすら披露させてもらえなかった。つまり、ちょっと表現が難しかったり、現実の高校生に見え辛くする点などは最初からチャレンジせず、バサバサ切り捨てているようなのである。えー、本気かよ。それはこれを一本の映画として作る上では賢い選択なのだが、原作にある自由さを少しずつ捨てているようで、ちょっと残念だった。まあ、こういった面はマンガを映画化する際には必ず発生する問題である。そして、外見を似せる事に傾倒するあまり内容がゼロになってしまう映画だってあるのだから、割とバカに出来ないいいバランスなのかもしれない。
にしても削ったなあ。羅列してみよう。
・鳴子章吉の燃えるような赤い髪、低身長。
・今泉俊輔の高身長。
・小野田坂道の白ブリーフっぽい童貞臭(いや、それはしょうがない)。あと、小野田坂道は落車しても決して眼鏡を落としたりしない。小野田坂道ママチャリの秘密。
・金城先輩の体格、ゲーム能力。
・田所先輩の体格と、その体格から来る防風スプリント。
・巻島先輩の緑の髪、スパイダー・ダンシング。
・自転車競技部部長(但し、これは削って正解)
・自転車競技部2年生。
・自転車競技部1年杉元(キャスティングはあるが注目度がほぼゼロ)。
・ライバル箱根学院とその6人。
・あの御堂筋。
・インターハイまでは1年の脚力は秘密にすると言う戦略。
・合宿での地獄の特訓(映画では1/10も特訓してない)

こんなんか。あと、一々立ち止まってはいられないという現実から自転車知識や競技知識の細かいウンチクはバッサリ切られてる。そこはしょうがないか。映画としては原作マンガの味っぽい部分を省略して、ドンと腹にたまる食い心地みたいなのに特化した作り。だから、初めての人が見ると楽しめると思う。あと、「御堂筋」は出せないのはよく分かる。「御堂筋」の存在そのものが今回の映画の作り方のアンチテーゼである。それは箱学にしてもそれなりにそうだけど。


・1年生3人はバランスもよく、頑張ってる。まあ、よし。
・橋本環奈はよい。原作では便利な知識紹介キャラであるが、今回はちゃんと一人の人間としての色が付いた。変に執拗な演出があるので、逆に嫌う人もいるかもしれないけど、まー、いーでしょ。橋本環奈は割と普通の女子の域を越えない感じが良い(絶妙に調節されている)。
・「自転車素人が漕いでるから下手」という感想を見掛けたけど、見る自分も素人なのでその辺の上手下手は意識できず。素人でラッキー。
・因縁の箱学をなくしたのだから、敵キャラはもう少し綿密な設定を背負わせてあげなければ可哀そう。
・金城先輩が『ぐらんぶる』なので、驚いた。
 なんだよ、空気抵抗減らす為に全裸で走る気かよ。そんな事したら興行収入あがるぞ。

・「恋の姫姫ペッタンコ」が編曲含めてあまりにもイメージ通りすぎて感激した。


【銭】
ユナイテッド金曜はメンバー割引で1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
弱虫ペダル@ぴあ映画生活
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