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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『殴られる彼奴』シネマヴェーラ渋谷

◆『殴られる彼奴』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★★★無私の映画は好き】
特集「素晴らしきサイレント映画Ⅱ」から1プログラム。
1924年、白黒無声サウンド版、72分、初見。
研究の成果と妻をパトロンに奪われた素人学者は落胆して失踪、今はサーカスの道化師として、一日に何十人もの人間に只、殴られる事を芸として暮らすようになった。彼は学会での嘲笑が元で、どんな辛い事でも耐えられるようになってしまったのだ。と言う設定が怪しい事この上もない。
ずらっと百人くらいに殴られ続ける男を見て、発作のように笑うアメリカのサーカス客の心情は伝わって来ないが、この辺はどつき漫才だったり、ちゃんばらトリオだったり、ゴム紐ぱっちんだったりと地の底では赤い糸のように繋がってるのかもしれない。この道化師が自分に優しくしてくれた馬術芸の娘の危機に立ちあがる。金で娘を好きにしようとする悪漢は奇しくも自分を追い込んだパトロンの貴族である。おいおい、そんなん都合良すぎ。
学者だった男(とは言え自称なのだが)が転落の末、道化師になると言うのは当時はリアリティのあった話なのだろうか。90年も前の事実は分からんなあ。殴られ芸で抱腹絶倒ってのも信じがたいが。
哀しい顔を白粉で塗り固め、それでも伝わってくる喜怒哀楽、ロン・チェイニー上手い。白塗りになった時点の顔は東野英治郎っぽい。
途中サーカスの出し物の一つとして猛獣使いが扱うライオンが出てくる。このライオンと役者を一緒に共演させる事は出来ない(役者が食われちゃうから)。それで、小部屋の中でロン・チェイニーとライオンが一緒に映るカットは前面からか後方からかは分からないがスクリーンにライオンを映して、その前でロン・チェイニーが映写されたライオンと息を合わせた演技をする特撮が使われた。ヒッチコックの白黒映画などで、運転席の後方に動く景色が映るなどと同じ手法である(そもそも初期の撮影用カメラは大きすぎて車のボンネットなどには乗らなかった筈なのでこういう方法が取られた)。
あとムチャクチャでかい5メートルくらいのクルクル回る地球儀の前にいる10人くらいの道化が「殴られピエロ」を地球儀の前方に皆で放り投げるファンタスティックなカット、これも映写時にチカチカする部分があるのでここでは光学合成が使われているようだ。


【銭】
一版1200-400(会員割引)
▼作品詳細などはこちらでいいかな
殴られる彼奴@ぴあ映画生活
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