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『空に住む』新宿ピカデリー4

◆『空に住む』新宿ピカデリー4

▲多部ちやんっぽい画像。

五つ星評価で【★★★娯楽映画のような顔をしていながら娯楽映画としては刺さってこない。それがきっと強く好きになれない理由だ】
見ていてちょっとタイトルに引き摺られすぎたか、と思った。そんなに「空」を意識した話ではなかったかもしれない。
両親の急死により、愛猫とタワーマンションに住む事になった多部未華子が新しい生活を構築して行く姿を丁寧に描写する。
『空に住む』事により変わっていく様を活写し、人は大地に根差して生きていくものである、と説教入るかと思ったのだが、そもそも彼女の下界での暮らしようがそんなに平均的な物ではなかったので単純比較しかねるのだった。おそらく、『空に住む』事により彼女に変化があった事は間違いないが、それはマイナスだけではなく、プラスもあっただろう。そして、『空に住む』事自体はある致命的な一点を除けば、地上に住むのと大きく変わらない。

多部未華子、相変わらず的確な演技力で主人公を熱演。ただ、彼女側の問題ではなく、脚本や演出と相まって、この主人公が纏う空気感は重苦しくて真面目で面白くない。彼女自身が手掛けている純文学のようだ。それはとても今っぽくない。彼女の勤めている出版社のようだ。それに、主人公の近くにいる後輩・岸井ゆきのが本当にデタラメで、こっちの方がおかしくてライトな物語の主人公としては似つかわしいかもしれない。
あと、男性モデルを演じる三代目J SOULの岩田剛典、彼と多部未華子の恋愛がどう繰り広げられるかと思いきや、繰り広げられないのだ。実はここが肝で、だから、この物語は気持ち良く快楽物質ドーパミンやエンドネフィンをドバドバ放出しない。映画の主人公は理由もなく負ける。そこに娯楽要素はなく、ただ辛い。忍び寄って来る近親者の死のように失恋をする。そこはもう「物語」の世界ではなく「現実」の領域だ。だから彼女はその業病のような失恋をしっかり論理的に把握しなければならない。把握して乗り越えなければならない。見ている時はピンと来なかったが、その彼女を踏みにじった「岩田剛典の哲学(男性性)」を純文学作家により、リライトさせると言う。ここで、辛かったり恐ろしかったりする「現実」は、虚構の中で「ドラマ」として再生する。そういうシステムなのだろう。いいのか、そんな個人的な事の為に「文学」というシステムを使って。だから、大森南朋が書く新作は「売りがある」が、いいか悪いかはバクチみたいなもんだろう。但し、多部未華子演じる主人公が一般的で「取るに足らない小人物」であればあるほど、その大森南朋の新作は人の胸を打つ可能性が高まる。だから、多部未華子の主人公があまり気持ち良い情動を観客に与えなくても観客は耐えなければいけない。その情動は大森南朋の新作を読んだ読者が味わう糧なのだから。そこで、又、気づく。「現実」世界においてお金を払ってるのは観客である私なのだから、もう少し「大森南朋の新作を読んだ読者」がつまらなくてもいいのではないか、と。一応、そういう意見の為の二番手として岸井ゆきのが存在し、続編が出来たら、彼女が物語を乗っ取って好き放題な活躍を進めるのかもしれない。でもまあ、私は単純に多部ちゃんが恋に一喜一憂しながら最後にハッピーエンドで終わるようなラノベみたいな話の方が見たい堕落した観客なのだよ。だから、純文学(っぽい映画)には星を三つまでしかやらん。この星の多い少ないは作品の善し悪しではなく好き嫌いだから。

構造的には「多部未華子と岩田剛典」のパーツの方が大事なのだが、映画的には本当に出番の少ない「多部未華子と柄本明」、「多部未華子と永瀬正敏」のパーツに目を奪われる。まあ、そこが理屈ではなく、感情的だからだろうなあ。そんな大事なパートにちゃんといい役者を投入してるなあ。

あー難物だった。こんなに長い感想を書く気はなかった。つまらんと一言書いて終わる気がしていたのに。んー、でも映画として好きではないのよ。


【銭】
前回鑑賞割引にて1300円で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
空に住む@ぴあ映画生活
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『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』神保町シアター

◆『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』神保町シアター
五つ星評価で【★★珍品は苦手】
特集「渡哲也 わが青春の日活撮影所アンコール」から1プログラム。
1970年、カラー、86分、初見。
乗れなかった。
登場人物はみな必要以上にキャラが立っているが、三つ巴の抗争が分かりづらいし、勝ち負けが付いた時点での爽快感も乏しい。
・半グレチーム(渡哲也+原田芳雄+梶芽衣子)
・ヤクザチーム(今井健二+成田三樹夫)
・暴走族チーム(沖雅也・他)

半グレチームはヤクザチームに出し抜かれて、その結果、暴走族チームに借金がある。暴走族チームが半グレチームから取り立てを行う事により抗争化、半グレチームはヤクザチームに対抗し、その成果を暴走族チームと二分。

みんないがみ合っていて、その中央にマリファナとその売り上げがあるのだが、登場人物の誰もがそんなに金を欲しがってるように見えないので感情の流れが形骸化して乗れなかったのだと思う。キャラはみなそれぞれそこに配置されているが、そこで泣いたり怒ったりする理由に乏しい。

そもそも渡哲也が何故刑務所に入っていたかは何も語られないし、そんな渡哲也をスカウトに来た原田芳雄が何を持って渡哲也を連れ帰ったのかも分からない。ムショから出てきたのが川谷拓三だったらどうするんだ? すぐ死ぬし、死ぬカットが長いぞ。そして居つくようになる渡哲也の気持ちもさっぱり分からない。友情とか愛情とかでなく、居場所がないからって理由なんだろうが、それにしては場所に馴染みすぎる。ふらっと現われてラスボス位置に収まる成田三樹夫はいつも通りだから違和感がないのだが、あの暴力団がスカスカで、銭が儲かって嬉しくってたまらないという空気が希薄。原田芳雄に敵対して銭を取り戻したい暴走族も、普段の生活が「暴走」という不思議にファンタジーな集団で、ここも銭に困ってる風には見えない。勿論、金持ちにも見えないが、東欧の神話の鍛冶屋の小人みたいに、存在する事だけが彼等の仕事に見えてしまう。
おいおいおいおい、みんないい年なんだからちゃんとやろうよ(俺か、俺だけが乗れなかったのか)。

渡哲也はモッサリしてて、服も『じゃりんこチエ』の脇役みたいな古スーツでイケてない。暴力を振るう時だけちょっと輝くって難儀なキャラ。
原田芳雄は中年以降しか知らなかったが、若いとこんなんなんか。かっけー。
梶芽衣子、映画の中で無駄に美人。マジにあんな美人である必要はない。
成田三樹夫、ザ・いつも通りで安心する。
沖雅也、革ジャンで、武闘派の眠そうじゃない沖雅也は新しい。いや『必殺仕置人』の棺桶の錠が現代に来たと言えばそんな役でもあるか。

背景は新宿の筈だが、猥雑な繁華街はあまり映らない。でかい車体のバイクを複数引き連れた暴走族を映せるロケ地に限りがあったのか、妙にオフィスオフィスしたビルの狭間みたいな土地で、「銀座アウトロー」でも「東京アウトロー」でも通じそうだ。


【銭】
一版1300円から神保町シアター水曜一律割引で1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
新宿アウトロー ぶっ飛ばせ@ぴあ映画生活

『誘拐』神保町シアター @alansmithee1964

◆『誘拐』神保町シアター

▲永瀬正敏の顔がちょっと化粧映えしそうでマズい。

五つ星評価で【★★★どんでんは返ったら、更には返らない】
特集「渡哲也 わが青春の日活撮影所アンコール」から1プログラム。
1997年、カラー、109分、公開時以来二回目。
若い時の渡哲也の映画はほとんど見てないので、私に取っての渡哲也はこの映画くらいの少し大きめの子供を持ってるイメージの年齢である。この時、若手として出ていた永瀬正敏は今やいい父親役者だし、この時、捜査をまとめていた柄本明はいまやどの映画でも棺桶に片足突っ込んでる爺である。23年って時間の経過はまあ、そんなもんであろう。柄本明、特に何をするでもないのだけど普通が似合う。逆に永瀬正敏は尖がり具合がうるさい。渡哲也はともかくいい声。酒井美紀おぼこい。
後半に大きなどんでん返しがあり、それを知っている状態で見てしまっているので、話としては初見ほどは楽しめない。どんでん返しが映画を左右しすぎていて抜きにして語れないのだ。
そして木村大作が手掛けたのであろう驚異のゲリラ撮影。あんなん許可申請したら絶対認められんだろ。それほど狂気と混乱に満ちている。そして、そのゲリラ撮影にも繋がる六台のヘリコプターによる空撮から始まるオープニングがかっこいい。凄い何かが起きそうな絵面である。
追記
「最大の仕掛けがキャスティングでしたしねえ」
「まさか宇宙刑事ギャバンのコム長官を悪者に配役するとはなあ」
「違う、そこじゃない!」
「酒井美紀の屹立した刃物×渡哲也の熱く湿った傷口!」
「BLみたいな書き方すな!」
「ラスト下界では永瀬正敏と酒井美紀がダムのほとりでツーショットしてるシーンから宇宙空間に繋いで、宇宙飛行士が『あの村も全て幻だったのかもしれない』とセリフを入れるべきだったかも」
「そんな『幻の湖』ネタ誰も分かるものか!」
「勢いで描いたが、実は俺もよく分からない。だが、『誘拐』の中で『幻の湖』を見立てるのなら、走るソープ嬢は酒井美紀しかありえず(女性キャストと刃物を扱う人物が他に皆無)、それは為されてほしい。犬は雰囲気的に永瀬正敏でいいと思う。あー、酒井美紀と風呂場でイチャイチャしたい」
「なんでやねん!」
「おそらくこの『なんでやねん!』では落ちてない」
「鬼か!」



【銭】
一版1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
誘拐〈1997年〉@ぴあ映画生活

『海底47m 古代マヤの死の迷宮』新文芸坐

◆『海底47m 古代マヤの死の迷宮』新文芸坐

▲ミクロの決死圏っぽい画像。

五つ星評価で【★★★★★何つーか、こーゆー、何の役にも立たない映画は好きよ】
くそ面白かった。主要人物4人(野郎を加えてもプラス3人)しかいないのに誰が誰だか分からないのは逆にご愛敬。まあ、ずっと水中マスク付けてるからしょうがない。その辺りは製作者側もはっきり問題点として意識してるらしく、ともかくずっと何かをしてたり、何かに巻き込まれたりしてる対象者には、くどいほど「声掛け」がされていた。まあ、反面、それはそれでうるさいではあるのだけど。
女の子が水着と上っ張りだけで下半身生足ってそそるデザインじゃ。そして海底に入ったらその足がエロイエロい。
鮫と海流ブラボー。盲目の鮫が「ぬおー」って下ネタで言うところのマグロっぽく、あまりガツガツせずに漂ってるのは逆にリアルで怖い感じが出てた。
って、あの池のほとりで紐にぶら下がるのは芥川龍之介の『蜘蛛の糸』かよ。
ラストまで手を抜かず、イベント放り込む製作者のその意気や良し。
エンドロールの最後にいきなり製作者が鮫の側に立って鮫の犯罪の弁解をするのも頭おかしくなったみたいで良い。でも、鮫の被害が全世界で10人だけとは言え、同じくらいしかいなそうな熊を持ってしてフレンドリーに接しましょうとはならんでしょ。



【銭】
新文芸坐会員価格+ラスト1本割引で@950円。                                                  ▼作品詳細などはこちらでいいかな
海底47m 古代マヤの死の迷宮@ぴあ映画生活
▼関連記事。
海底47m@死屍累々映画日記・第二章
・海底47m 古代マヤの死の迷宮@死屍累々映画日記・第二章

『シカゴ7裁判』UPLINK渋谷2

◆『シカゴ7裁判』UPLINK渋谷2

▲ある意味「新しい暴力表現」。

五つ星評価で【★★★★何が行われ、どう対処されたか】
ツイッターで評判を聞いた。
長さが不安だったが見に行った。おもろい。長さは全然、気にならない。
シカゴ7、シカゴの百姓を野武士から救うために集まった、違うがな。
うち二人は民主社会学生同盟のリーダー。学生の視点で社会を改善したいという割とマジ政治オタクっぽい面々。
うち二人は青年国際党のリーダー。国政に不安のある青年の集合、ヒッピーとかミュージシャンとかゴロツキとか。無職とかフリーターがいっぱいいそう。
うち一人がベトナム戦争終結運動のリーダー。おっちゃん、社会人である。
残り二人がデモ参加者。
そして7人に含まれない8人目が黒人活動組織ブラック・パンサーのリーダー。
ブラック・パンサーは武闘も辞さない組織なので、8人を一緒にカテゴライズして、共同謀犯のイメージを高めたい検察側と、争いの争点が異なるため、一つにされたくはない弁護側とで揉めている。
そして、彼等は決して仲良くはない。
同じ目的の為に共闘する仲間であっても決して仲良くはない。
特に民主社会学生同盟と青年国際党の仲が良くない。
それぞれの法廷での態度が気に入らない。
決して仲が良くない彼等が、いがみ合いながら、政府との陰謀の裁判を成し遂げるまで。

やっぱ7人って多いんだよね。どうしても扱いの雑な人が出来る。
でも、役者がいい役者ばかりなので、グイグイ引きこまれる。
どう話、転がるかも興味津々。
ラストカットをあの朗読にしたのも娯楽映画として正解だったと思う。
ただ、最後の最後、字幕で流される「シカゴ7」のその後は早すぎて、
誰がどう何なのか理解できず、最終的な勝ち負けが
有耶無耶な状態でお預け食らったまま終了みたいで辛かった。

ザックリの総論としては、権力者が検事・検察機能を抑えるのも怖いが、
判事が公正に審理を進めない裁判というのが一番怖い。


【銭】
UPLINK水曜1200円均一料金。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
シカゴ7裁判@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
シカゴ7裁判@真紅のthikingdays

コロナ立寄り箇所備忘録(2020年10月)

10月の部。

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『浅田家!』ユナイテッドシネマ豊洲11

◆『浅田家!』ユナイテッドシネマ豊洲11

▲「プラチナ・データ」。

五つ星評価で【★★★ニノが適役】
嵐の二宮くんこと「ニノ」は仕事の結果が分かれる役者だが、今回は実に良かった。単純に言ってしまうとこの人は社会機構の中の大人が似合わない人なので、極力そういう役は避けてほしい。彼自身が作品を選んでいるのでないなら、選んでいる人は避けてあげてほしい。好き嫌いが言えるくらいの立場にはいるだろうから。その代わり、少年の部分を残した自由な大人ならそんじょそこらの本職役者に負けはしない。
今回の実在するカメラマン浅田政志に彼が似てるかどうかは知らないが、実に何者にもなれずに悩み苦しんで、なった先の写真家としての試練にイヤイヤながらも真っ正面からぶつかっていくには室にいい非力具合だった。熟成されてない者の青さが鮮やかである。
前半の「所詮、家族写真でしょ」って侮蔑に、後半の「家族写真こそが写真の本流」と言わんばかりの写真の重みが面白かった。「家族写真」に相対するのが「芸術写真」だろう。「芸術写真」が役に立たないという事もないのだろうけど、きっとそれは役に立ち方が違う。

まず二宮和也の佇まいがいい。ちょっと小ずるい感じで、でも大事な部分でとても誠実、なのが伝わって来る。
二宮和也の昔からずっと恋人で、けっこうキツメに叱ってもチャーミングなのが黒木華。
二宮和也の父、が平田満。相変わらず上手いなあ。
そして、ボランティアの、菅田将暉の芸能人オーラ消せるのが凄い。

映画の中の家族写真は実在の写真家「浅田政志」による物だが、この写真のほっこり具合がそんなに差し迫って来なかったので☆を一つ減じて星三つにした。

PS あまりに当たり前の話なので、
 わざわざ叙述するのを忘れていたのだが、
 作品エンディングで嵐の楽曲が起用される事が
 なかったのは評価します。



【銭】
ユナイテッドシネマ前回有料入場ポイント2ポイントを割引に使って1000円鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
浅田家!@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
浅田家!@ノラネコの呑んで観るシネマ
浅田家!@yukarinの映画鑑賞日記α

『劇場版 ほんとうにあった怖い話2020~呪われた家~』池袋シネマ・ロサ2

◆『劇場版 ほんとうにあった怖い話2020~呪われた家~』池袋シネマ・ロサ2

▲ポスターずら。


五つ星評価で【★★心霊物としてはリアルではない】
年に一回作られる心霊オムニバスホラーシリーズの最新作。だが、しかし、ちょっとオムニバスっぽくない。映画はかろうじて前半と後半に別の主人公を迎え、その主人公2人のパートはそれぞれ個別で、2人はあいまみえない。但し、怪異は同じ一つの怪異である為、今回のも「オムニバス」って言いきられるとちょっとモヤモヤする。いわゆる「ほんこわ」は単に「怖い話」を集めたオムニバスであるので、必ずしも「幽霊」や「心霊」に関する話でなくても構わない。しかし、これは日本を舞台にはしているのだが、話のベースが『ペット・セメタリー』であり、死者に憑依した霊も「幽霊」と言うよりは「悪魔」のような振る舞いをする。そして、「悪魔」的な振る舞い自体がない日本で、悪魔的な振る舞いを演じると、単に「DVエロ野郎」みたいに、、、、要は「単に抑制の利かない粗暴な男」が暴れるみたいになってしまう。これは幽霊の怖さとは似ても似つかない物だ。DRUGキメてるヤクザみたいな怖さと言えば分かりやすいだろうか。なのでセットとして用意された「呪われた家」もあまり神格化してる風でもなく、普通の家として特別に怖くは感じない。つまり何だ。怖さが何を主張したいのかはっきりせず迷子になってるみたいな状態。
第一パートの主演、井桁弘恵はよい。よくやってる。美しい。美人とか美女は好き。
第二パートの主演、和田琢磨もよい。よくやってる。凛々しい。抱きたいとかではないけど、ちゃんと映画を主演として引っ張っている。


【銭】
シネマロサ一般入場料金1800円
▼作品詳細などはこちらでいいかな
劇場版 ほんとうにあった怖い話2020~呪われた家~@ぴあ映画生活

『82年生まれ、キム・ジヨン』新宿ピカデリー2

◆『82年生まれ、キム・ジヨン』新宿ピカデリー2

▲『逃げるは恥だが役に立つ』っぽいシトョット。

五つ星評価で【★★★男に生まれてきてごめんなさい】
まず、タイトルの意味があまりよく分かっていなかった。「キム・ジヨン」って主人公の名前だろうくらいにしか思ってなかった。「キム・ジヨン」は1982年生まれの韓国女性のもっともありふれた名前だという事である。日本だったら「高橋愛」か「佐藤愛」辺り。
このキム・ジヨンが人生を生きる事の何と息苦しい事。女は家の奴隷になり、職業などでの自己実現は家族を犠牲にした我儘と思われる。家族での順位は男が上、女は性のはけ口として見られるが、それは女のせい。感覚的に日本に似てるが、韓国の方がより徹底的に感じる。それは儒教的な教えがベースにあるからじゃないかと思うが、それは単に私が日本人男子であるが故の錯覚であり、日本人女子から見れば、五十歩百歩で変わりはないかもしれない。私感では男尊女卑がひどい順に「インド>韓国>日本」じやなかろうか、と思うのだけど。
映画の中で唯一の救いはジヨンの夫が真剣に妻を心配する姿を見られる点にある。でもまあ、それはちょっと危ない話であり、出産してからまだ娘が大きくなる前であるので最初の一山「三年目」がまだなのではないか? 浮気しないとは限らない。物語内で最後の防波堤である夫が浮気をしてしまったりしたら、この話は着地点を失ってしまうに違いない。彼、ちょっと陣内智則に似てる気がする。ダメじゃん、浮気で離婚じゃん。まあー、ジヨンか紀香なら気を病むよりは代わりに浮気とかしそうに思えるが、それは偏見でしょう。


【銭】
ピカデリー前回鑑賞割引+ネット割引で1200円
▼作品詳細などはこちらでいいかな
82年生まれ、キム・ジヨン@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
82年生まれ、キム・ジヨン@ノラネコの呑んで観るシネマ

『下郎の首(ネタバレ)』『唐手三四郎』シネマヴェーラ渋谷

特集「新東宝のディープな世界 アンコール&リクエスト」から2プログラム。

◆『下郎の首』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★バリバリすかっとしない】
1955年、白黒、98分、初見。

※ ネタバレ感想です。

主役が田崎潤なのでもちっと娯楽作品寄りかと思ったらさにあらず。ヴェーラのチラシ曰く「封建制度下の主従関係の残酷さや救い難さを通して、人間のエゴイズムと良心の葛藤という普遍的テーマに鋭く迫った伊藤大輔による傑作!」とあるのだが、私は明朗快活な一人だけ娯楽映画の田崎潤に引きずられて、それ以外の陰湿さとの対比が作り物っぽく見えてイヤだった。陰湿さのネチネチがとてもイヤだという意味では正しく映画にやられている訳だが、だから好きな人もいるかもしれないが、私は嫌い。
田崎潤がノイローゼ気味の仇討主人と正反対に割と何も気にかけず普通に生きているのだが、下郎な身分ゆえ畳の上に上がったりする事がなく、畳の上ですぐ足が痺れてしまうのをコミカル、かつ、ユーモラスに何回も重ねるので、「それはもういい」と苛立った。田崎潤に惚れるお妾さん(嵯峨三智子)も、田崎潤側なのに、田崎潤を苦しめる事ばかりやる。そして、主人(高田稔)すら彼を裏切る。
この主人と下郎の関係は主人が手足を斬り落とされた兜甲児で下郎がマジンガーZのよう。
主人(高田稔)は頭脳、下郎(田崎潤)は肉体。肉体は頭脳の為にとことん奉仕する。生活費を稼ぎ、仇を探し、期せずして仇を討ってさえしまう。この肉体は生命的な躍動に溢れているため、制度の象徴である刀を叩き付けられてもなかなか死に至らない。それは彼が制度の外の存在(=下郎)だからかもしれない。それゆえ、彼は最後に又、同じく制度の外の存在であった妾(嵯峨三智子)と手を結んで死んでいく。
主人(高田稔)は悩み抜いた挙句、肉体の死の現場に立ち寄る。彼は下郎と正反対に自分の自由になる身体を持たない。下郎の死を目の前にして、初めて彼の肉体(=下郎)の損失に気づく。そこで、彼は自分の失われた身体の為に初めて仇を打つ気概を見せる。だが、それは相手に受け入れられない。彼等にしてみれば本懐は遂げた後だし、主人を殺す価値を見出せない。相手に取っての主人は下郎にも満たない存在なのだ。全否定されて「完」。きびしー。


『空手三四郎』『唐手三四郎』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★★唐手フェチ・ファンタジー】
1951年、白黒、69分、初見。
1972年ジミー・ウォングの『片腕ドラゴン』より21年早く、片腕の格闘家を取りあげてた(って言っても主役じゃないが)。
中年以降の岡田英次はなんか大根っぽいと思っていたのだが、若い時はなかなかイケメンで、演技もシックリ来てる。カンフー映画が国内にやって来る前のカラテ映画であり、この時のカラテは沖縄からやってきた「沖縄唐手」で、主人公も沖縄人である。この時の沖縄はまだ外国(アメリカ)である。
吹き荒れる沖縄唐手の嵐。えーと、ケンカとか女争いに使っちゃいけんよ(映画の中にそんなシーンが多い)。
カンフー映画のようにスムーズな動きじゃないのはご愛敬。
昔、カラテの果たし合いで片手を失い、ダークサイドに落ちていった達人を月潟龍之介月形龍之介演じていて演技がかっけー。拳銃を持ちだしたヤクザに、拳銃が火を吹くより「俺の三角飛びが決まる方が先だ」と静かに恫喝するのかっけー。
※ 追記
髷が独特な沖縄女性が映画に収まってるの珍しい気がする。
そう言えば、この映画「三四郎」って名前の登場人物はいないのである。
主人公が漫才師「三四郎」の小宮だったらヤダな(誰にも勝てそうにないし)。



【銭】
一版1200-400(会員割引)
▼作品詳細などはこちらでいいかな
下郎の首@ぴあ映画生活
唐手三四郎@ぴあ映画生活
プロフィールだ

fjk78dead

Author:fjk78dead
ふじき78
映画を見続けるダメ人間。
年間300ペースを25年くらい続けてる(2017年現在)。
一時期同人マンガ描きとして「藤木ゲロ山ゲロ衛門快治」「ゲロ」と名乗っていた。同人「鋼の百姓群」「銀の鰻(個人サークル)」所属。ミニコミ「ジャッピー」「映画バカ一代」を荒らしていた過去もあり。

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