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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『泣きたい私は猫をかぶる』ヒューマックス池袋2

◆『泣きたい私は猫をかぶる』ヒューマックス池袋2

▲ちょっとウルトラセブンっぽい一枚。

五つ星評価で【★★★★スタジオ・コロリド凄い】
スタジオ・コロリドの『ペンギン・ハイウェイ』の次の作品がこれ。当初、普通に公開される予定で、劇場で予告とかも見たが、コロナ禍でネットフリックス発信になり、出来が良いので一部劇場が手を伸ばして小規模での劇場公開という形らしい。ヒューマックス池袋さんやトリウッドさん、お目が高い。
『ペンギン・ハイウェイ』もSFしててゴキゲンな映画だったが、その中に「巨乳のお姉さん」的な「イヤな売れ線」を放り込んで来るところが私は逆に好きだったのだけど、今回は「女子高生が猫になる」という如何にもみんな惹かれるが故に全否定くらっちゃいそうな話でニヤっとさせられる。相変わらず表現力が地に付いてて凄い。アニメートとか凄く地道にいい動きをしています。
感覚的にそう見えるのだけど、人間が化けている猫の動きが猫生来の動きと何か少し違う気がする。顔の表情なんかも人間が入っている猫は明らかに通常の猫とは違う(目の表現だけではなさそう)。両方とも分けて意識して描かれている。人間が入っている猫は顔の表情がどこか人間らしさが出ているような気がして、それが障害になって返って可愛らしく見えなかったりする。アニメートで言えば、主人公ムゲの身体の動きとかもふわふわして、他の高校生と変えているように見える。あ、「ムゲ」という仇名の出自が凄くて驚いた。それは親もそんな仇名を知らないだろ。

▲ムゲが中に入ってる猫タロウの顔アップ。何か猫ではない感じじゃない?

ムゲはある日、「お面屋」という猫の妖に誘われて、猫として暮らす遊びを教わる。猫のお面を付けると姿が猫になり、彼女の恋してる男の子の所にいって、猫として可愛がられるような二重生活を送るようになる。

ある日、その猫のお面が取れなくなる。
人としての彼女が自分とは別に生活するようになる。
祭の日に、彼女は完全な猫になると告げられる。

怖い。怖い。絵は物凄くソフトなのに、とても怖い。
自分が人としての実体をなくしてしまう事や、自分が作りあげた自分の「社会性」が他者に侵食されてしまう事、そして一度踏み外した事により絶望的に元の世界へ戻るのを拒否されるのが怖くてたまらない。

ムゲは猫になる事により、猫としての視点を獲得し、人として見る世界と、猫として見る世界が違う事を知る。映画はファンタジーであるので、「人の世界と猫の世界は同じであるが見え方が違っている」ではなく、「そもそも違う世界が同じ空間に重なっている」という世界観になっている。そして、猫の世界には猫の世界のルールがある。それは何故そういうルールであるかは説明されないが、頑としてルールは存在する。人としてのムゲにルールは優しくない。人であるムゲがルールをうとましく思っても、ルールは頑強であり、ただ一人、反対する者がいるからと言って覆されたりはしない。異界には全く別のルールがあり、それはその異界では絶対である。その枠組が怖い。

▲人の町に重なって存在する猫の異界。

あと、主人公の義理の母の飼い猫キナコが猫らしい動きをするのがとてもいい。

私ちょっと頭がおかしいのかもしれないけど、主人公の心のドラマうんぬんは置いておいて、人の世界でしくじった主人公を迎え入れてくれるかに思えた猫の世界が、人の世界以上に主人公に優しくないという恐怖構造と絶望感にやられてしまった。だから、同じ、しくじった者達が主人公を助ける最後のピースになるのが甘口だけど嫌いではない。


【銭】
ヒューマックス池袋木曜日だけネットアプリ「EPARK」による割引があり、一般は700円安い1100円で1日1本鑑賞可能。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
泣きたい私は猫をかぶる@ぴあ映画生活
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