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ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『機動警察パトレイバー』ユナイテッドシネマ豊洲12

◆『機動警察パトレイバー』ユナイテッドシネマ豊洲12

▲アルフォンヌ先生だって最高だぜ。

五つ星評価で【★★★★だって面白いからしょうがない】
1989年、カラー、120分、正確には分からないが3~4回目くらい。押井守監督。
劇場版は「2」の方が評判いいのだが、これはこれで充分、面白い。ただ「2」を見直したら、やはり又、打ちのめされてしまうのだろう。単純に「2」の方が悪夢の深さが深かったように記憶する。でも「1」も、昭和が終わり、平成も終わり、令和になった今、昭和の残滓として充分、魅力がある。昭和の終わりぐらいのまだ、クーラーが行き届いてなかった頃のうだるような暑さ、その暑さの中、徒歩で廃墟巡りさせられる刑事、刑事や特車2課が相手する犯罪者はシステム上に目に見えない時限爆弾のみ残してもうこの世にいない。彼が何を思って都市崩壊を企んだかは見終わっても判然としない。ただ、彼には壊す事が出来る才能があり、それを起こす衝動を止められなかった。一言で言うと「狂ってた」のだ。
これに立ち向かう特車2課の勝っても負けても結果としては負け戦。でもやらねばならないという姿勢がかっこいい。後藤隊長がムチャクチャ切れるのだが、この課長が切れる為には、それに相ふさわしい犯罪者がいなくてはならないというパラドックスもあり、それを考えたら、彼が自由に活躍ができないポジションと言うのは、現実的な人事采配かもしれない。それでも活躍しちゃうのだし。
今見ても内容はSFなのだが、モニターがみなブラウン管なのである(液晶は高価だし全然、汎用でなかった)。モニターに表示されるフォントや画像もパソコンをマイコンと言ってた時代に呼応してとても荒い。こういうのが肌感覚としてとても面白い。
登場人物キャラクターが、ゆうきまさみのマンガに馴れてるせいかノアがあまり可愛く感じない。作画としてリアルな人形にキャラの顔表情を合成するような作画をしているのが不自然で目に付いた。何でそんなんしてるのか?
聖書的なキーワードが散りばめられているがバビロンプロジェクト(バビルの塔建築)で、同時に作られる箱舟が災い(全ての人の言語を通用させなくする)の起爆装置になり、その持ち主であるノアが船を制御する事で人類の希望になる構成であるが、その先、彼等が生きていくためには飛び立った鳩が帰ってくる吉報を待たなければならない。確かに箱舟に鳩はいたが、彼らが飛び立っても、もう残骸と化した箱舟には戻らないだろう。今はいいが、その後はないぞという暗喩か。いや、そこまでは考えすぎだろう。


【銭】
『機動警察パトレイバー』:旧作料金1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
機動警察パトレイバー 劇場版@ぴあ映画生活
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『春琴抄』神保町シアター

特集「生誕百三十五年 谷崎潤一郎」の1プログラム。

◆『春琴抄』神保町シアター

▲組み合わせ映画がまたとんでもない感じ。

五つ星評価で【★★★地獄的企画】
1976年、カラー、97分、初見。西河克己監督。
爛れた性をキラキラにはせずあくまに現実的に冷静に傍観的な視点から描写する「谷崎潤一郎」と言う作風は苦手なのだけど、百恵ちゃんが出るなら見ない訳にもいくまい。昭和生まれにとって百恵ちゃんはそういう偉大なアイコンの一つなのだ(なんて言いながら初見なのはリアルタイムは子供だからお金がなかった)。にしても、百恵・友和でこの企画と言うのは凄い。要はこれは「主導権を女が握る事をよしとする男の物語」だ。勿論、百恵ちゃんが友和と結婚して引退して、家庭に入る事によって「夫を立てる妻」の位置に収まっている今は、友和ちゃんとやってるじゃんという目で見られるが、やはり結婚前は友和は百恵のバーターというイメージが強かった。それを殊更強調するような企画、怖くて簡単には立てられないし、事務所もよくもこの企画を受けたものだ。いやしかし、それは逆に友和に配慮をする今、見るからこそそう思ってしまうのかもしれない。山口百恵は森昌子・桜田淳子と格差を付ける為か、ズベ公が歌うスレッカラシみたいな歌が多い。最初から事務所が清純路線で売ろうとしていない。百恵も分かって、その戦略に乗ってるフシもある。そんな戦略に乗りながらもちょっと心苦しくなって陰で涙の一つも流していそうな複雑な風貌が百恵ちゃんなのだ。百恵ちゃん。ベートーベンも泣くわ!(※そういうCMがあった)
という事で、百恵が商家に生まれた盲目の娘、友和がその商家に丁稚奉公に来たのに娘の世話の専任をさせられる若者を演じる。百恵は琴や三味線に通じて師匠について免許皆伝の腕前。甲斐甲斐しくお世話する友和は百恵の心中をより理解する為、給金を貯めて自費で三味線を買って一人練習したりする。友和、百恵の公認の弟子になる。いろいろ事件は起こるけどお嬢様百恵は使用人友和にずっと命令して、それに甲斐甲斐しく従う友和が果てしなく描かれる。友和いい奴隷っぷりじゃ。愛い、愛い奴ぞ、友和。
山口百恵はずっと日本人形みたいに綺麗な服を与えられて我儘放題、セリフの抑揚も変わらない、観客から共感されにくい難しい役。凄くこの役に惹かれる訳ではないのだが、見ている際中嫌いにならずにいられるのは、山口百恵が芸事に費やすオーラみたいなのを間接的に感じるからかもしれない。割と何も表情に出ないという事が、この「春琴」というキャラクターの異常性なのかもしれない。何にせよ、生半可なアイドルが手を出したら確実に火傷しそうな役。
三浦友和は何時でも何処でも百恵を立てる奉公人。この人、嘘があるように見えないからそれだけで及第点。俺も風呂上がりの全裸の百恵ちゃんのお湯を拭きとる役だけでもやりたいよ。
あと、山口百恵と寝んごろになりたい為に弟子になる、金持ちの遊び人役の津川雅彦がいい。こういう人が近くにいたら身の破滅という見た目と、津川雅彦のいや~らしい演技が素晴らしい。虎は死して皮を残す。津川雅彦は死していや~らしい演技を残す。津川雅彦が皮を残していたかどうかは知らない(しまった、下ネタだ)。しかし、時代が明治ではなく、江戸時代だったら津川雅彦は山口百恵に対して願いを遂げ、止めに入ろうとした三浦友和は無礼打ちで殺されたような気もする。バットジョブ明治! とても不謹慎なことを書いているようだが、春琴(百恵)の中の心理ドラマとしてはその方が複雑になりそう。但し、それを出力する回路としての佐助(友和)がいなくなるのだから、やはり、そういう訳にもいかないか。


【銭】
神保町シアター一般料金1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
春琴抄〈1976年〉@ぴあ映画生活