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『白雪姫の赤い靴と7人のこびと』『孫悟空 vs 猪八戒』ヒューマントラストシネマ渋谷3,2

「未体験ゾーンの映画たち2021」縛りで2本をまとめてレビュー。

◆『白雪姫の赤い靴と7人のこびと』ヒューマントラストシネマ渋谷3

▲こびとと白雪姫。一番上の小人が主役のマーリー。小人形態の時はフランキー堺似。

五つ星評価で【★★★我田引水が強い】
特集企画「未体験ゾーンの映画たち2021」の一本。
ちょっとポッチャリな白雪姫が義理の母の魔法の赤い靴を履くと絶世の美女になる。魔女の義理の母は白雪姫を殺して赤い靴を奪おうとする、と言うのが話の主軸。白雪姫自体には何の能力もないので、魔女に対抗するのに外見を小人に変えられた7人の勇者が頑張る。彼等には外見が小人に見える呪いがかけられており、呪いの解除には真の美女の愛のキスが必要なので、みな白雪姫に首ったけになる。
話が面倒くさくなってしまったのは呪いと言おうか、マイナス傾向の魔法を使う魔女が二人いて、一人の魔女の魔法にはそれなりに正義がある。そして、一見、この物語は「外見の美しさよりも心の美しさこそが大事である」という真理を訴えかけようとしているように見えるのだが、「でも、外見が美しい事自体は悪ではないし、外見が美しい事を追い求めるのは普通」というベーシックな意識を隠しもしない。あくまで程度問題であり、「自分の美を追及する為に他人の美や命や自由を侵害してはいけません」というのが一応のルールじゃないだろうかという緩さなのである。なので、何が正義なのか、真の問題が何なのかが分かりづらい。世界で一番の美を追求する魔女を退治した後に、自分達の美を取り戻したい小人が同じ椅子に座らないという保証は何一つないのだ。
そういう論理的未熟さを煙に巻くために大回転するCGアクションはなかなか面白い。でも、やはり、話は釈然としないし、それでは作品として成立しないのである。


◆『孫悟空 vs 猪八戒』ヒューマントラストシネマ渋谷2

▲ビジュアル系猪八戒。

五つ星評価で【★★安い】
特集企画「未体験ゾーンの映画たち2021」の一本。
猪八戒に美形を当て込んだのはチャウ・シンチーの『西遊記 はじまりのはじまり』からだと思うが、この映画はその延長上で、猪八戒を主役に泣ける話を仕込もうとした物。目論見は失敗。孫悟空、猪八戒、天界の神様達のCG大喧嘩が今までにない切れ味と派手さでドッカンドッカン冒頭から展開する様子は素晴らしいが、それだけの映画と言っていい。CGで鎧などを盛れるので、元々の人が付けてる衣装やメイクなどは逆に安くてデザインがあまりよくない。孫悟空をあんな醜い猿に仕上げた意味が全く分からない。最終的に猪八戒も豚のデザインに収まって「終わり」を迎えるのだが、「え、そのデザインが決定稿なの?」と疑わざるを得ないかっこ悪さ。八戒が地上に降りてからの取り巻きもみな魅力のないチンピラばかりで、金の為に八戒を騙そうとする彼等と、安々と騙されてしまうどうかしてる八戒とで魅力を削りあってる。


【銭】
『白雪姫の赤い靴と7人のこびと』:特集料金は1400円だが、水曜一律料金で1200円。
『『孫悟空 vs 猪八戒』』:特集料金は1400円だが、テアトル会員+曜日割引で1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
白雪姫の赤い靴と7人のこびと@ぴあ映画生活
孫悟空 vs 猪八戒@ぴあ映画生活
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『人間模様』『恋人』新文芸坐

特集「市川崑 初期ライト・コメディの誘惑」の1プログラム。

◆『人間模様』新文芸坐
五つ星評価で【★★★突飛ではあるがコメディーではあるまい】
1949年、白黒、89分、初見、市川崑監督作品。
恋愛感情を持たず損得勘定に縛られない生き方をしている善人モンスターの上原謙、その幼馴染で彼がビジネスの勝者になってくれたら嬉しいけどそれは無理そうなので他に結婚相手を探している月岡千秋、上原謙を都合のいい時だけ友達扱いするビジネスの勝者青山五郎、その秘書山口淑子(李香蘭)、四者の恋愛関係を描く。なんつかコメディーではないと思う。上原謙が癖の強い善人役を好演。彼は資産家の息子に生まれて、大の男の仕事と言えないバイト生活をしながら鳩の世話や絵画鑑賞などで時間を潰す今でいう所の趣味人(ディレッタント)だ。「みんな幸せになればいいのに」と漠然と思っているが、ビジネスなどに邁進して大金持ちになって、その資本力で幸福を分配しようみたいな好戦的気性はない。彼にとっての幸福は太陽がその陽光を平等に振り撒くようにごくごく自然に地を満たすみたいに考えてるのではないか。でも、映画観客はとことん善人で無私の甘ちゃんである彼の事を嫌いになれない。ビジネス勝者青山五郎は癖が強い。その自信や自惚れが彼を嫌いにさせる。上原謙の幼馴染、月岡千秋も上原謙にキツく当たってギスギスしてる。そう、この二人は自分が認める事の出来ない人間は目下の人間として扱っていいと思っている傲慢なキャラなのだ。そして、山口淑子はただただ可哀想。凄い。結婚適齢期でみなが(正確には上原謙以外が)恋愛を望んでいるのに誰一人としてそれを成し遂げない。いや、この中の二人は結婚まで到達するのだが、どう見てもその二人が幸せには見えないのである。
舞台はもちろん日本なのだが、重厚な背景に、ダメ押しするような強張った誇張した表情がドイツの無声映画時代のF.W.ムルナウを思い起こさせる。市川崑はスタイルの人だが、この辺、シャープでメリハリ付きすぎてるドイツの無声映画からスタイルを借用してる気がする。
伊藤雄之助は妻がいながら、山口淑子を追いかけて、彼女の過去を脅迫の手段にして復縁を迫るクズ。顔がでかくて長いから怖い。
山口淑子の顔が外人顔で日本髪などに結いあげるのだが、その顔の中身がまんまベッキーみたいでちょっと怖かった。申し訳ないけど目鼻立ちがパッチリしすぎてて、呪い人形みたいである。


◆『恋人』新文芸坐
五つ星評価で【★★評価は他人に任す】
1951年、白黒、70分、初見、市川崑監督作品。
マリッジ・ブルーもの。と一言で済ませていいだろうか?
結婚式一日前に「案外やる事がない」と言って、幼馴染の男・池部良を呼びだし、遊んでいるうちに分かれづらくなり、この今の私が本当の私かも? と地団駄を踏む久慈あさみ。彼女が私好みでないので、この映画の話はここでおしまい。


【銭】
一般料金1450円を300円会員割引で差し引いて1150円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
人間模様@ぴあ映画生活
恋人〈1951年〉@ぴあ映画生活

『結婚行進曲』『足にさわった女』新文芸坐

特集「市川崑 初期ライト・コメディの誘惑」の1プログラム。

◆『結婚行進曲』新文芸坐
五つ星評価で【★★★★犬も食わない奴】
1951年、白黒、83分、初見、市川崑監督作品。
仕事人間の上原謙と山根寿子の無風だったラブラブ結婚生活に降って湧いた8年目の大夫婦喧嘩とその顛末を描く。夫も妻もどちらもどちらを大好きだけど、夫は妻以上に仕事を優先するので、してない浮気を疑われる。なんだこの天国のような世界線は? まあ、映画だから浮気をしないが、現実だったら上原謙は会社の部下や、馴染みの芸者に手足を縛られておいしい目に会ってもおかしくはない。さんざん酔った結果の不貞くらいあってもおかしくない。でもまあ、そこは作り物だから愛しあう二人が肯定されればそれでいい。
小気味いいのはムチャクチャ早口で論理的に喋るのでクレーム言いに来たのに営業戦力として抜擢されてしまう杉葉子。『愛人』の女性陣が有馬稲子しか可愛くなかったみたいに、この映画では杉葉子だけ。なんかホモちゃうかってくらい、女優陣にスポット当ててあげてない気がする。
越路吹雪は越路吹雪役。足を露出した踊りを踊る。
伊藤雄之助は妻・山根寿子を落としたい踊りのお師匠。伊藤雄之助なのにお姉言葉ってギャップが凄い。


◆『足にさわった女』新文芸坐
五つ星評価で【★★★越路吹雪が美人?】
1952年、白黒、84分、初見(リメイク鑑賞あり)、市川崑監督作品。
この原作の映画は3本作られ、これは2本目。3本目は以前に見てた。
休暇中のスリ担当刑事・池部良とスリ常習・越路吹雪とお姉言葉の小説家・山村聰の電車旅行記。
見た覚えあるような、ないようななのは3作目を見ていたからか。
伊藤雄之助は必ず顔を覚えられるのでスリを禁止させられてる越路吹雪の弟役。なんか呪われた血よなあ。
個人的には越路吹雪を美人とは思わないので、そんなに盛り上がらない。


【銭】
フィルムセンターから借り出した2本での特別料金1600円を300円会員割引で差し引いて1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
結婚行進曲 WEDDING MARCH@ぴあ映画生活
足にさわった女〈1952年〉@ぴあ映画生活
▼関連記事。
足にさわった女〈1960年〉@死屍累々映画日記・第二章

『愛人』新文芸坐(ネタバレ)

特集「市川崑 初期ライト・コメディの誘惑」の1プログラム。

◆『愛人』新文芸坐(ネタバレ)
五つ星評価で【★★★★面白いけどコメディかしら】
1953年、白黒、86分、初見、市川崑監督作品。

※ 映画の結末などに関するネタバレ表記がありますのでご注意ください。

「人」と「愛」についての映画ではあるが、タイトル『愛人』はないだろ。『もらい泣き』とかが合うと思う(まあ、そんなの今更な話であるが)。

父子家庭(父、長男、長女)と母子家庭(母、長女)があって、
父親と母親が結婚する。組み合わせが多少違うが、この中で子供同士が好きになるというのは『思い、思われ、振り、振られ』や、『ライアー×ライアー』みたいなパターン。両方とも、義理でも兄と妹は気持ち悪いという気持ちが恋を邪魔する話ですが、1953年のこの映画ではそういう禁忌はほぼ見られない。少女マンガの皆さん、考えすぎじゃないですか? もっとも、そういう考えの作品は他にも幾つもあるから、今はそれが正解なのかもしれない。そして、それが正解なのは、恋をする青年Aくんと少女B子ちゃんの父親が実は同一人物で二人の血は繋がっていた、「がっびーん」みたいな横溝正史の金田一物を市川崑が撮っていて、こんなに二人が呼び合うのは恋人だからじゃなく兄妹だからかも、みたいなトラウマを秘かに植えつけられていたからだったりとか(いやいやいやいや、それは飛躍が大きすぎる)

父子家庭(父(菅井一郎)、長男(尾棹一浩)、長女(有馬稲子))
母子家庭(母(越路吹雪)、長女(岡田茉莉子))
同居している父の弟子(三國連太郎)

尾棹一浩は父母の結婚前から岡田茉莉子にアチチ。
有馬稲子と岡田茉莉子は三國連太郎にアチチ。
菅井一郎が三國連太郎と岡田茉莉子、有馬稲子のどちらかをくっつけようとする。
岡田茉莉子、有馬稲子とも互いに相手を推す。それは三國連太郎の気が自分にない事を知っているから。
岡田茉莉子は三國連太郎に気がありながら尾棹一浩から好かれているのでそこに落ち着こうとするが、尾棹一浩は三國連太郎を差し置いてその位置に座るつもりはない。
最終的に、三國連太郎の意思が問題になるのだが、三國連太郎は秘かに越路吹雪にアチチなのである。

という建て込んだ関係での恋愛頭脳戦が繰り広げられるが、晴れ晴れしいのは、悩んだ結果、何一つ誰一人として恋が成就しないからかもしれない。みんなメソメソ泣いて終わり。折からも雨が降ってきて、新しく家に来た小学生みたいな女中さんが洗濯物を取り込みに外に出る。今、雨が降るなら明日は晴れるだろう。そんな風に思うのは考えすぎか。

幽霊とかは出ないのであるが、あちこち故障している豪奢なドイツ風邸宅の家相が悪いのかもしれない。と言うのは、家を出ようとする三國連太郎と尾棹一浩が悩みが解けたようにスッキリし出すからだ。仮に、あの家に呪いがあるのなら、この後、一人年の離れた菅井一郎がボケて誰も彼もが越路吹雪に見えてしまい、新しく来た女中も合わせて女性全員を抱いてしまうという流れを思い付いたが、それは怖すぎる。恋は軽い、気持ちだけでも、身体が付いていても。恋の付かないセックスは重い。やはり、三國連太郎も尾棹一浩も家を出るしかないのかもしれない。

ツンと澄ましている訳でもないのに、四六時中悩んでいる岡田茉莉子は損な役。あんなにデザインがいい顔なのに。凄くつまらないお嬢様に映ってしまっている。
正しかろうか間違えていようが人の事より自分の事と突っ走る有馬稲子の百面相がメチャクチャ可愛くてたまらん。「そんなん子供」と言われれば、まあ、そうであるのだが。子供な所がいいのよ。(*´Д`)ハァハァ
そして、三國連太郎が本当に三國連太郎で変わらない(そりゃあ三國連太郎だからなあ)。映画の中では普通の映画助監督役だが、三國連太郎自身は津山十三人殺しとかをやってそう。みんな霞を食う仙人みたいなキャスティングなのに、三國連太郎だけバリバリ実体みたい。と言うか、三國連太郎以外は社会の上級層で頭脳労働をしているエリート、彼だけが身体を動かして労働する肉体労働者なのだ。頭が身体に負ける構図ってのもなかなかコメディー・ライクだ。

しかし、これがコメディーなら『犬神家の一族』がコメデイーでもいい。市川崑の描くコメディーというより映画にジャンルの境界線がない気がしてならない。
そんな気がちょっとだけしてしまう。


【銭】
ラスト一本割り950円(会員割引)。併映の『プーサン』は割と近くに見てたので見なかった。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
愛人@ぴあ映画生活

マンガ『乙女高校ボクシング部(第一部) 全三巻』

マンガ『乙女高校ボクシング部(第一部) 全三巻』
沢田ひろふみ
講談社KCDX

高校デビュー目指して、新共学高校に入ったら、男子が少なすぎて逆にアウェイに。逃げ込んだ先のボクシング部で4人のヘタレは少しずつボクシングを身に付ける、1巻目、主人公、やられて、やられて、やられる。強い筈がないのだが、折り紙付きの弱者である。そして、1巻のラストにやられた地元の有名人のおかげで、社会的にもズタズタになる。
2巻目、特訓、そして一巻でボコボコにやられた相手とスパーリング。ラストで希望の光。
3巻目。スパーリングの続き、そして優勢のままスパークリング終了。
主人公達が他人の目以上に自分自身から自分達を開放してやる様がグー。
ヒエラルキーの低い主人公達を見下していた女子が、見直したりはしないんだろうけど、その辺どうなっているのかというクスグリはちょっとだけでも欲しかった。
3巻目は+ボクシング部5人目の経験者女子ボクサーがボクシングを親に認めさせるエピソード。この娘は普通にとっても美人なのだけど、都合のいいキャラとして、その場に設置されてるみたいで、あまり好きになれない。

どうも3巻で終了らしい。
最後に「第一部 完」のロゴ。うーん。

絵が雑い。やはり、そこがいかんかったのかのう。
第二部、出せるものならちゃんと出てほしいな。

『シティーコップ』ヒューマントラストシネマ渋谷3,『グエムル』早稲田松竹

同日鑑賞2本をまとめてレビュー。

◆『シティーコップ 余命30日?!のヒーロー』ヒューマントラストシネマ渋谷3

▲左から、バカ、スーパー婦警、役立たずエリート刑事、臆病者刑事。

五つ星評価で【★★★★ヒャッハー出演者の手堅いコメディー】
特集企画「未体験ゾーンの映画たち2021」の一本。
臆病者刑事が余命30日の誤診を受けてスーパー刑事に。ライバル刑事を巻き込んで4人でハチャメチャ捜査をする。主演は「ヒャッハー」シリーズの3人で『シティーハンター』がヒットしたので題名から「ヒャッハー」が抜けて『シティーコップ』なんて気の抜けた題名になってしまった。まあ、何となくコメディーっぽいユルいタイトルでいい気もするけど。監督・主演は左から3人目フィリップ・ラショー(シティ・ハンター)から変わって左4人目のタレク・ブダリに。話がド定番なので、「ヒャッハー」お得意の意外な展開や、ビックリ伏線に驚かされたりはないのだが、ごくごく普通のユルユル・コメディーとしてよく出来ている。それにしてもチラシのコピー「オレたちに明日は来る?!」はなくていいくらいパンチのないコピーだ。
乳には驚いた。
ラ・バンバはいいにして、プロレスはちょっと長い。
主人公の元カノと祖母の下りはもうちょっと掘れそう。


◆『グエムル/漢江〈ハンガン〉の怪物』早稲田松竹
五つ星評価で【★★★★★いやあ、そら、グエムルだもの。大好き】
多分、5回目くらい。久し振り。
あー相変わらず面白い。
グエムル出現時のスペクタクルがもう何回見てもたまらん。
ソン・ガンホが目を凝らすと奥から遠くて小さいグエムルが見る見る自分の位置に大きくなって、すぐ並走してしまう演出最高。
ペ・ドゥナがホールに来て、家族4人で揉みあって4人KOみたいなシーンでパンツ見えそうなの、爺ちゃんが服装直すの地味に優しくて好き。
車に乗り損ねたペ・ドゥナの「イソイソ」した歩き方がたまらん。
爺ちゃんの死に際の「あっち行け、俺が死ぬのなんか大した事じゃない」的なリアクションも良いなー。
最後の油、弓、槍の連携がたまらん。
油で失敗して、ペ・ドゥナの弓矢がその火種を引き継ぐシーンの神々しさよ。
汚れてく中でキラキラ輝くコ・アソン。
好きなシーンが出てくるとたまらん。


【銭】
『シティーコップ 余命30日?!のヒーロー』:特集料金は1400円だが、テアトル会員+曜日割引で1100円。
『グエムル/漢江〈ハンガン〉の怪物』:ラスト1本割引で800円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
シティーコップ 余命30日?!のヒーロー@ぴあ映画生活
グエムル/漢江〈ハンガン〉の怪物@ぴあ映画生活
▼関連記事。
グエムル/漢江〈ハンガン〉の怪物(前回鑑賞)@死屍累々映画日記・第二章

アニメ「例えばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」全12話 MXTV

ザッピングしてたら1話(ひょっとしたら2話かもしれん)にぶつかって、結局、全部見てしまった。
なので、軍隊試験会場前の話は知らない(が、大勢に影響はあるまい)。

明確なワンアイデアに、いろんなタイプの冒険者キャラクターをぶつける、おそらくありがちな物語だけど、主役のロイドくんが可愛いから全て許せるような物語になってる。乳がなくてチンチンが付いてるだろうが、二次元ならあまり変わらんという境地に達しつつある。いや、それはロイドくんが説明されなければ男女見分けつかない様な顔立ちだからだろう。CVも女子だし。ロイドくんを初め、どのキャラクターもそれぞれの味があり、薄い本を量産できそうなキャラクター構成。久しく、コミケなどにも行ってないが、今でも、「風が吹いたら薄い本を作る」みたいな風潮は残っているのだろうか? 多分、薄い本が出来ないカップリングは「バッタ × バッタ」くらいだろう。薄い本的には「ロイド」は攻めでも受けでも相手が男でも女でも、ありえそうだけど、逆によっぽど書き手に技量がないと全て同じになってしまいそう。個人的には「ベルト × セレン」、「リホ × 人格を持ったリホの左腕」、「人格を持ったリホの左腕 × リホ」とかの無生物系が読みたい(おいおい)。鬼畜としては「バッタ攻め全キャラ・アンソロジー」と「バッタ受け全キャラ・アンソロジー」を作ってもらって、どちらの出来が良いか、どちらの売り上げが高いかを単純に知りたい。ロイドくんもバッタとだったら良好な薄い本を作れそうな予感がある(なくていいだろ、そんな予感)。

※ 「A × B」の書き方の時は前者が攻め、後者が受けである。
 「後者が毛である」ってタイプミスした。なんか卑猥。
 あと「MXTV」も英数平仮名違いだと「もさかひ」で、
 何か怪しい(MXTVがそんなこと言われる謂れは一切ない)。

『あの頃。』トーホーシネマズ渋谷2

◆『あの頃。』トーホーシネマズ渋谷2

▲いい感じに輝きの無い6人組。

五つ星評価で【★★★友達の映画】
『あの頃。』から始まって『いの頃。』『うの頃。』と進み、『んの頃。』まで続けようという壮大なプロジェクト、ではない筈。
青春映画は題材に「恋愛」を選びがちだが「友情」ってのも選択肢だよなと思わせる一本。青春の「恋愛」は破局と同時に劇的なラストを迎えるが(たまに初恋で夫婦ってのもいるけど、それは夫婦関係になる事がラスト)、「友情」って切れ目が分からず、会わなくなるだけで年賀状の交換だけダラダラ続いてしまったりする。だからこそ逆に一本の映画にするのは難しい。なので、初めから終わりではなく「あの頃」という一時期の物語なのかもしれない。ただ、「あの頃」は「あの頃」だけでなく、久しぶりに出会うと「あの頃」が地続きで再稼働したりもする。そういうのもおもろい。まあ、そういうのがある人もいれば、ない人もいるだろうし、そういうのになりやすい趣味もあれば、なりづらい趣味もあるだろうけど。
一群6人がみんな半端に普通の人っぽい、どっちかって言うとイケてないグループ、なのが好感度高い。ロッチから個性の塊りみたいな中岡を呼ばず、中岡に個性を吸い取られたみたいなコカドを迎えてるのもセンスいい。ドルオタはアイドルが主体だから、あまり無駄に個性強いのはうるさい気がする。コンサートの場面で見かける妖怪みたいな凄いのを6人から排してるのも良し。そして、松坂桃李のオーラの打ち消しっぷりから見えるスタイリストの技量が凄い。その柄はないわって細くて変な色のボーダーシャツとか、一見よさげだけどサイズが合ってないので首回りすごくだらしなく見えちゃう服とか、顔が松坂桃李なのにバリバリださい。白ブリーフとか履かせちゃうし。その松坂くんが最初にあややのPV見て、すっと涙流すシーン良かった。ただ、題材はハロプロじゃなくても良かったのだろうけど、打ち込む題材の凄さが納得出来るくらいまで描いてほしかった。それはそこが映画として描きたい部分じゃないってのも分かるのだけど、両方込み込みで描く事も出来なくもないだろうとも思うので。

松坂桃李がドルオタ繋がりでコンサートに一緒に行った西田尚美と「卒業っていいですね」みたいな話を思わせぶりな口調で会話するのだけど、あれは成人映画だったら松坂くんがDT脱却する振りなんだろう。何かオタからの卒業を誰一人もしないので、この辺、伏線張る筈だったのにどこにも張れずに浮いちゃったみたいなパートになったんじゃなかろうか。ちなみに西田尚美にDT奪ってもらうのってもの凄く優しく奪ってもらえそうでよさげ(今更な話だけど)。

『あのこは貴族』にも出ていた山中崇が同じ人間に見えない。役者やのう。

・あややの曲は『めっちゃホリデイ』の方が推し。
・っちゅーか、コズミン推しのミキティなんか曲も出なかった。
・コズミンが病気になったのはともかく、アイドルファンをやめてしまったのは庄司と結婚してしまったからではないか?
・6人のメンバーがみな、つのだ☆ひろをこよなく愛する同士だったらタイトルは『あの☆頃』だったに違いない。
・6人のメンバーの推しが、水原希子と門脇麦だったらタイトルは『あの頃は貴族。』だったに違いない。


【銭】
トーホーシネマズの会員ポイント6ポイント使って無料鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
あの頃。@ぴあ映画生活
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あの頃。@ここなつ映画レビュー
あの頃。@ノラネコの飲んで観るシネマ

『野球少女』ユナイテッドシネマ豊洲3

◆『野球少女』ユナイテッドシネマ豊洲3

▲色気がなくクールなところが百恵ちゃんっぽいぞ。

五つ星評価で【★★★エロい屑がいなくてよかった】
既に若くないのにトラウマを植え付けられた韓国映画に『ハン・ゴンジュ』があって、女子中学生の弱みに付け込んでクラスの大半の男子生徒が彼女をかわるがわる輪姦していた実際の事件を元にしていて、その小屋のゲロを吐きたくなるような絵面が今でも頭をよぎってしまう事がある。日本人男子も根はエロくてバカなのだけど、韓国人男子は根がエロくてバカで男尊女卑なので相手が泣こうが喚こうが力ずくでバンバンいたしてしまう屑という男子像がベースになってしまって、それがどこまで本当かどうかはともかく、たまに大変迷惑をこうむってしまっている。そういう大変迷惑な先人先達の映画を見てしまっているお陰で、イ・ジュヨン本当にそんな清純なままでいれるの?という暗い不安がよぎり続けてたまらんかった。そんなんなくて本当に良かった。だって、俺の知る『ハン・ゴンジュ』の韓国だったら、高校の野球部に入部する時、高校野球で的確な訓練メニューを受ける時、プロ球団の実力テストを受ける時、などにそれぞれ好意的だったり、暴力的に無理矢理だったり、身体を要求されてもおかしくないもの。そういうベースを考えなくて良いのなら、本当にいい映画だし、いい時代になったものだと喜びたい。

おかん役の女優が「いつもキムチを鼻の穴の中に詰めているので眉間に皺が寄っている横澤夏子」みたいな、在野に山ほどいるような顔をしているので、リアルが半端なかった。にしても、一切笑わない横澤夏子の何と怖い事か。笑顔って大事。
主役のイ・ジュヨンのメイクしてない風な顔が、シャープな顔立ちで、松坂桃李にガンガン女性ホルモンを投与してみたら、似てきそうだとか、ありえない類似を見つけてしまった。でっかい松坂桃李のボインよりもスリムなイ・ジュヨンのバストの方が、、、自粛。

それにしても、やっとこさ映画のテーマに到達して、「あきらめない」と言うのは博打みたいなもんだから、怖いなと思う。「あきらめなかったから成功しました」という事に関して「どこまで」あきらめなかったら成功するという指標が一切ない。それは体力テストだろうが、受験だろうが同じなのだが、冷静に点数だけで判断されるのではないケースが、この映画の中では多すぎる。審査者の被審査者に対する心情によって結果が大きく左右されがちである。だからこそ、主人公が身に付けたような立ち向かう上でのアピール・ポイントが必要になる。あのアピール・ポイントにしても万人が認める方向とは違うので、それを認めさせる事が出来るかどうかはやはり、博打になってしまう。あのアピール・ポイントのきっかけを掘り起こした高校野球の監督、それを育てたコーチ、天分を見抜いたプロの二軍監督、この辺の人間味がちょっとニヤリと来る。投手の投げた球の回転速度とかどうやったら分かるのかが素人なんで分からんけど、まあ、それはそれでええんやろ(てきとー)。フロントが彼女を呼んで、出した提案については上手い事ネチネチ脚本書きよるわと思った。

野球をやる女性の映画で思い付くのは『プリティ・リーグ』『野球狂の詩』『プリティ・リーグ』は「少女」と言うより、みな成熟した「おんな」で、女子リーグの話だから、今回の主人公はそれではイヤなんだよね。『野球狂の詩』は立場がまんま一緒で、木之内みどりがかーいーわー。大した事ない入浴シーンも嬉しい。映画としてはアカン映画なんだけど。ただ、『野球少女』は「魔球」みたいなファンタジーに足を踏み入れなかったのは評価したい。猫も杓子も魔球を投げたがるのは日本のコンテンツぐらいかもしらんが。


【銭】
ユナイテッドシネマ金曜会員デーで会員1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
野球少女@ぴあ映画生活

『あのこは貴族』ヒューマントラストシネマ有楽町1

◆『あのこは貴族』ヒューマントラストシネマ有楽町1

▲エルフとオークに例えたいんだけど、貧乏な水原希子の方がバリバリ、エルフっぽくて、うーん。

五つ星評価で【★★★魚が川から跳ねたら息苦しいだろうし、獣が深い河に嵌ったら同じように息苦しかろう/ほぼほぼルートが違ってそういう目に会わないで済むのは双方にとって幸せな事かもしれない】
「あのこは金属」うわ、メタルカラーの水原希子似あいそう。もちろん、そういう映画ではなかった。

「お里が知れる」という言葉通り、上流の階級で暮らす為には「お里が知れないよう抑制」が必要である。一方、下流の階級で暮らすのには、お里などはどうでもいいのだが、まず、普通に暮らして生計を立てるだけで大変だ。この違った階層の二人を出会わせて、それぞれの閉塞感を描きながら、それぞれの持ち場でいい方向に作用する脚本が珍しい。
単純にラストシーンで、この二組は手を結んで何時までも何時までも幸せに暮らしましたとさ、とかやってしまいそうになるのに、そうはやらずによく耐えた。それはやりやすい。何故って条件が揃う一番簡単な例だから。低階層は資本をGETでき、高階層は閉塞感を打破できがち。でも、リアルではそんなに安易に手を結んだりはしない。結べばいいのに。そう言えば今までもこの階層の格差は描かれなかった訳ではない。ただ、描かれる時は対立概念であって、主に貧乏な者が富める者に追い付き追い越せという話が一般的。それって『巨人の星』じゃん。そして『銭ゲバ』じゃん。『あしたのジョー』だってそうかもしれん。どちらかというと富める者はただ富んでいて、そこに閉塞感はなさげ、貧しい者の貧しさ故の悲哀が強調される。そらあ、貧乏と言うのはそもそも生死を伴う大問題だから、貧しいだけで罪であり、罰なのだ。この貧しさの原罪をほぼなくして、金持ちの閉塞感も同時に表現した、この映画の先輩みたいな作品がある。それは『ドカベン』、わっはっは、本当よ。あの、「やぁーまだあー」の岩鬼正美は金持ちで、金持ちであるが故の自己存在に悩まされるし、山田太郎はまんま赤貧。まあ、そんなに深刻なムードはないのだけど。あと、いきなり品格がいつも通り落ちるがSM映画は階層の低い者が階層の高い者を快楽で打ち負かす、そもそもはそういう系統が主流である。階層の低い観客が見る映画だからルサンチマンなんだな。『あのこは貴族』はAがBを打ち負かす的要素がない事から女性要素が強い作品と言えるかもしれない。そうそう両雄相立てばいいのであって、殊更AがBに勝利しなければならないという考え方が男性的である。
『あのこは貴族』の対立構造的な映画として、実はもう一本観てもらいたい映画があって、それは又、これも男性的な成人映画なのだけど『悦楽交差点』。低階層の男と高階層の女、女は高階層の今の生活を維持しながら、低階層の男との獣のような汚辱に満ちたセックスに耽溺したいという、そんな映画。そう言えば『あのこは貴族』ではセックスは特別な描かれ方をしていなかった。濡れ場は水原希子に一回あったが、門脇麦のセックスがそれ以上とも、それ以下とも思えない。まあなんかどうでもいい扱い。そうね、女子本人にとってそれ以上に大事な物や事はいっぱいあるし、殊更、自分の番付が他人と物凄く違う可能性も低いのかもしれない(野郎はその辺りのコンプレックスが根深い)。

門脇麦はペットの子猫みたい。そして水原希子は自らハントを行う豹のよう。どちらも猫科なのに生き方が違う。ラスト、子猫がちょっとビジネスに手を染めるようになる。キティちゃんかよ(上手くない)。


【銭】
テアトル会員の会員割引+曜日割引で1100円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
あのこは貴族@ぴあ映画生活
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あのこは貴族@ノラネコの呑んで観るシネマ
プロフィールだ

fjk78dead

Author:fjk78dead
ふじき78
映画を見続けるダメ人間。
年間300ペースを25年くらい続けてる(2017年現在)。
一時期同人マンガ描きとして「藤木ゲロ山ゲロ衛門快治」「ゲロ」と名乗っていた。同人「鋼の百姓群」「銀の鰻(個人サークル)」所属。ミニコミ「ジャッピー」「映画バカ一代」を荒らしていた過去もあり。

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