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『サンドラの小さな家』『旅立つ息子へ』ギンレイホール

◆『サンドラの小さな家』ギンレイホール

▲ムカデ人間(嘘)。

五つ星評価で【★★★フラッシュバックこわい】
仏の顔も三度までなのだけど、何度も自動的に発令するフラッシュバックが怖い。あんな作りされたら観客はみんなサンドラの味方になるしかない。そして、裁判に翻弄されるサンドラ。役所の補助や裁判など「公助」の部分が機能しないのは日本だけではないのか。この映画も「共助」「自助」の物語である。そこをあまり賞賛するのは文明国家として負けなのかもしれない。原題『herself(彼女自身)』は本気で何も伝わって来ない映画タイトルだなあ。
あえて調べないで言いっ放しにするならアダム・サンドラーは小さな家に住まないと思う。


◆『旅立つ息子へ』ギンレイホール

▲この映画自体に全く関係ない話だけど、星飛雄馬、自閉症じゃなくてよかった。

五つ星評価で【★★★しんどいがラスト爽やか。キツい炭酸かよ】
そもそも乳幼児の泣き声でさえイライラする。あれは科学的にもイライラするように仕向けられているらしい(早く対処が済むように)。それと同じエネルギーで大人が号泣したり、老人が泣き叫んだりしたら、子供生来の可愛さがないのだから、キツい厳しいに決まってる。だって、そういうのは大人以上は自制できるものと言う常識観念があるのだから。人は常識を守れない者には厳しく当たり勝ち。これはそういうの前提の映画。
成人男子の息子は自閉症で、父が専任で世話を焼き暮らしている。息子の母は息子を支援施設に入れたいが、父が彼は施設で暮らせないと取りあわない。争った結果、裁判所命令で息子は支援施設に入れる事が決まり、父が息子を施設に連れに行く朝、息子はパニックに落ち、どうしても支援施設に運び込む事が出来ない。母は取りあわない。子供だから命令には従うでしょと、従わないという選択肢を許してくれないが、じゃあ、従わなかったらどうすればいいのか。袋叩きにして言う事を聞かせろとでも言うのか。みたいに観客を沸々と激昂させる。父と息子は二人が生きれる場所を見つけて逃避行する。
父と子のコミュニケーションは密だが、父と母、母と子のコミュニケーションが疎である。やはり普段の状況を見せないと正しい説得は出来ない。そこに突破口が多分あったのだ。
『Here We Are(ここに私達はいる)』という原題は正しいけどキャッチーではない。どこにいても父と子はいる。そしてラストシーンで「We」の意味が変わるのがきっと英語圏の人なら「やられた」感を感じそう。
ラストちょっとした進展に心が和む(逆に言えば父ちゃんはこういう機会を奪ってたとも言えるから、良い事でありつつ辛辣かもしれないが)。


【銭】
会員証で入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
サンドラの小さな家@ぴあ映画生活
旅立つ息子へ@ぴあ映画生活
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『首都消失』角川シネマ有楽町

◆『首都消失』角川シネマ有楽町

▲これは多分、生頼範義の絵。
あと、この頃の「新春第二弾」は割と興行が期待されない映画の定位置。

五つ星評価で【★★★原作レイプだけど今見ると違う部分が面白い】
特集「妖怪特撮映画祭」の1プログラム。
1987年、カラー、120分、2回目、舛田利雄監督作品。
初見はファーストランの時。
今回、ファーストランの時と同じ大詰めで舟を漕いだ。
長いのだ。俺が行く。あいつがダメなら俺しかない。「どうぞどうぞ」が入らないからダチョウ倶楽部にはならない。ともかく科学的根拠がなく根性で解決してしまうのはどうか。特に小松左京が原作なら尚更どうか。
原作で書かれている「東京圏」が担っている日本の中心構造を単に多くの人間と国会にいる国会議員達だけに集約させてしまったのもどうかと思う。こと、この分析とそこから考えられるシミュレーションに関しては2時間のこの映画より『シン・ゴジラ』で川瀬陽太が喋った「東京の人口は1300万人強、GNPは約85兆円、日本の17%の水準だ。関東地区に広げると200兆円、40%にあたる」って分析の方が優れていると思う。そこがいきなり空白になった時、日本は存続可能かというシミュレーションが行われたのだが、映画ではほとんどそういう部分は無視されている。もちろんそこに手を出して面白くなる保証もないし、興行的に耐えられる長さに収められる保証もないのだが。

今、見るとキャスティングが面白い。
何と言っても「ぼんち・おさむ」や「岸部一徳」が若手っぽい位置にいるのだ。そりゃあ、ビックリ。
主人公は渡瀬恒彦と名取裕子。
名取裕子はバリバリ売り出し中のTVキャスターで名前が「小出真理子」。最初「小池」と聞き違えて「小池百合子」を連想してしまって大層驚いた。小池百合子のフリー・アナウンサー期が1979年から1990年くらいまでなので、時期的に宛書であってもおかしくはない。名取裕子はここで、ディレクターよりやり手のニュースキャスターを演じていて、ディレクターにその男勝りをやっかまれたりしている。ますますな感じ。まあでも、信用できる感はある、ドラマだから。
渡瀬恒彦は電気会社の研究員。彼の役名が「朝倉達也」。
「朝倉南」+「上杉達也」かよ。達ちゃん婿養子かよ。『タッチ』の連載期間も1981年から1986年だから、これも宛書きだったりするかもしれないが、ちょっと普通、渡瀬恒彦から『タッチ』は連想できないから、本当に宛書かどうかはよく分からない。途中まで、渡瀬恒彦で途中から渡哲也にバトンタッチとかしてくれれば気付いたかもしれない(いや、そんな事しないだろ)。
宮内洋が放送局の下っ端で出てる。雷光エフェクトは多かったが、炎や爆発のエフェクトはほぼ皆無だったので見せ場はない。
財津一郎が放送局デスク「電話してチョーだい」って役である。
山下真司、渡辺文雄と二人の食いしん坊が出てるが共演シーンなし。渡辺文雄は食い倒れの町、大阪府の府知事役であるから流石だ。
渡瀬恒彦の娘役、濱田万葉可愛いけど有名にならなかったなあ。

あと、モーリス・シャールの曲が好き。得体の知れない映画によく合った得体の知れない、でも、美しい曲だと思う。


【銭】
テアトル会員割引で1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
首都消失@ぴあ映画生活

『怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー』キネカ大森1

企画「夏のホラー秘宝まつり2021」から1プログラム。

◆『怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー』キネカ大森1

▲雑いスナップ。

五つ星評価で【★★★結果を出す】
変異や怪異はゼロではなく起こっているが、ずっと、バエなかったシリーズ。
ラストちょっとだけバエたのはよかった。
でも「ヒト型」が欲しいというなら、全身像が欲しかった。
心霊スポットに行って、「ミッション」と呼ばれる冒涜行為をするのはあまり好きではないのだが、そうしない事には間が持たない。そこは致し方ないか。湯水の如く予算があるなら科学研究やいわゆる霊力を持った人にご同行いただく方向になるのだろうが、どうにも予算がないらしい。

ちょっとだけ出てきた日本人形の「しち」が控えめで好きなタイプ。

山口幸彦プロデューサーが俳優として青年役の演技をするも、アップで近づくと「おじいちゃん」である。いや、こんなん撮ってるのは心が若いからとしか言いようがないが。

神隠しに会うトンネルという心霊スポットで他の肝試しの人に会うのは笑う。まさか、肝試しに来た若者も心霊スポットでキャンプをやってる一行がいるとは思うまい。ちなみに触れられてはいなかったが、彼等が神隠しにあったという可能性もゼロではないだろう。


【銭】
テアトル会員割引で1300円で入場。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー@ぴあ映画生活
▼関連記事。
・怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー(1回目)@死屍累々映画館日記・第2章
怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー(2回目)@死屍累々映画館日記・第2章

コロナワクチン接種(1回目&2回目)

1回目 2021年8月2日
2回目 2021年8月23日
ファイザー社製

どちらも注射患部に筋肉痛のようなダルい痛みが発生した。
2回目のみ、37度を越えないくらいで発熱が続いたが、
8月26日くらいにはそれも引いた。
二週くらいで抗体ができるらしいので、9月6日くらいになったら
一応それなりに安心という事になる。
あと1回目も2回目もごっつ注射上手かった。

『サンマデモクラシー』ポレポレ東中野

◆『サンマデモクラシー』ポレポレ東中野

▲カメ、ラッパ、ウシ。仮面ライダーオーズみたいな3人。

五つ星評価で【★★マトメがない】
「関税対象外の魚に関税がかかっとるやないけ、返還せんかい」という魚屋のおばあVS統治アメリカ政府の裁判での戦い。
落語家に状況を説明させたり、四方八方から事件を肉付けしたり、見た目飽きないように作っているのだが、いろいろ情報が詰まりすぎて、逆に大きな流れが見えづらくなってしまった感がある。
単純化するなら、当時の沖縄のボス・米国から来た高等弁務官が発布した「高等弁務官布令」での関税に関して、沖縄の魚屋が異を唱え、裁判し、一審では敗訴したが、控訴審で勝訴。すると、アメリカはこの裁判を米裁判として再審すると持っていってしまった。都合の悪い裁判を米国で裁判するのは理屈に合わないと沖縄の弁護士が連名で抗議。これが契機となって沖縄に配慮した裁判結果を勝ち取り、沖縄の日本への返還運動が盛り上がった。映画では沖縄での人の繋がりを重要視していたが、裁判の流れなどを最後にダメ出ししておいた方がスムーズに分かりやすい映画になったと思う。


【銭】
ポレポレ東中野5回券6000円のうち3回目使用。2021年1月26日購入。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
サンマデモクラシー@ぴあ映画生活

『ミイラ再生』シネマヴェーラ渋谷

◆『ミイラ再生』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★ボリス・カーロフの顔芸よし】
特集「恐ろしい映画」の1プログラム。
1932年、白黒、73分、2回目、カール・フロイント監督作品。
うわあ見てたあ。2回目である。見終わっても気が付かなかった。ブログを見て以前に見ていた事に気が付いた。7年くらい前、同じシネマヴェーラ渋谷で見ている。つーか、覚えてないのはつまらないから。白黒時代のホラーキャラクターとして有名なミイラ男であるが、その暴力的なデザインと反比例して、大人しいし、冷静だし、強くない。やはり、そのギャップで退屈してしまう。話も大きいようで小さい。
ミイラ男はフランケンシュタインズ・モンスターとガチに殴りあって勝ちそうなデザインだが、魔力頼りで、その魔力を行使する理由は過去、叶えられなかった恋を適えるためである。なので、1970年代に流布した「ツタンカーメンの呪い」みたいに次から次へと研究者が呪いで死んだりしない。女の子が一人、前世の縁で、今の恋人と別れさせられるくらいの話である。つまり、年代的には深いのだが、出来事の範囲的には凄く小さい。向こう三軒両隣での痴話喧嘩みたいな話だ。いやいやいやいや、せっかくモンスターを出しているんだから、もっと大騒動にしてほしい。
ただ、ミイラ男御大ボリス・カーロフ様の顔芸は素晴らしい。そこは敬意を込めてちゃんと拍手を送っておきたい。
あと、チャイコフスキーの「白鳥の湖」で始まるホラーって今ではありえない。


【銭】
一般入場料金1200円-会員割引400円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ミイラ再生@ぴあ映画生活
▼関連記事。
ミイラ再生(1回目)@死屍累々映画日記・第二章
・ミイラ再生(2回目)@死屍累々映画日記・第二章

「俺のリンク集」改訂2021

「プラグイン」と呼ばれるサイドの部分にある「俺のリンク集」のリンク先を変えました。

・リンク切れになった「映画バカ一代」様を割愛。長い間飛ばないリンクお疲れさまでした。
・3年ばかし新規更新のない「映画的・絵画的・音楽的」さんのリンクを順位下げ。
・最近、トラックバックを貼らしてもらっているノラネコさんの「ノラネコの呑んで観るシネマ」のリンクを追加。
・最近、トラックバックを貼らしてもらっているエクスカリバさんの「徒然なるままに」のリンクを追加。
・最近、トラックバックを貼らしてもらっているここなつさんの「ここなつ映画レビュー」のリンクを追加。
・あまりブログでは交歓減ってきてるSGA屋伍一どんの「SGA屋物語紹介所」のリンクを追加。
・ブログ名が変わった「yukarinの映画鑑賞ぷらす日記」を「yukarinの映画鑑賞日記α」に変更。
・ふじきのツイッター貯め(ツイログ)を追加しました。
・「夢は永遠に生き続ける(ミュージカル苦手?でも、思わず体がリズムを刻むことありますよね?)」様は相手から相互リンクを持ちかけられたのだが、いったいいつからだが分からないけどリンク切れしてるので外します。案外、相手起案の奴って不躾な事をされがちな気がする(よく分からない相手に対してこっちから強く出れないで躊躇してるうちにイヤな目を受けてしまう感じ)。俺がそんな事してたらゴメンね。しないように意識してるけど。ちなみにリンク先のアドレスは「http://musical-movies.com/dreamgirls/」。もう、ここに飛ぶ事もなかろうが、問題があった時の為に残しておく。
・もう一つ「ぶーんアンテナ(^ω^)」様も相手から相互リンク依頼があった所だけど、リンク踏むと「トロイの木馬」とかが発動して酷い事になるので(何時からそうなったかは不明)、ここも外します。一応リンク先のアドレスはトラブル対応を考えて、ここに残しておくけど、わざわざ踏みに行ったりはしないように。そして、踏んじゃってヒドい目に会った人がいたら、ごめん。あー、疲れた。アドレスは以下。「http://b--n.net/」

全部、他人の為でなく、自分が見に行ったりしやすくする為です。新しくリンクした人、ヨロシク。一応、面倒なのでリンク切れとかしない限りそのまま放置する予定。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』ユナイテッドシネマ豊洲10

◆『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』ユナイテッドシネマ豊洲10

▲おつかれな感じのショット。

五つ星評価で【★★★★おもろいやん。おもろい映画はもう本当にただそれだけ】
おもろいやん。
クズがいっぱい集まる映画は大好き。
クズがちゃんと魅力あるキャラに仕上がってるのがたまらん。

映画の中の一番のイカレ屑は前作同様、司令官のアマンダ。囚人ではなく、政府のエライさん。凄いわ。前作もクズだったけど、今回もクズ。今、ハリウッド映画では黒人で女性で管理職なんて、どう考えてもポリコレの勝ち組的な正義側として扱われる立場なのに超クズ。彼女の独断専行が止められた時は心底ホッとした。ニグロ特有の生肉食ってそうな不敵なツラ構えが良い(善良なニグロの皆様には申し訳ないのだけど)。

今回、冒頭二つのチームが島の攻略に充てられるのだけど、そのうちの一つがどう見ても囮チーム。あー、もったいない。囮チームのそれぞれのクズの特技ももうちょっと見たかった。そんな中で生き残ったのがハーレイ・クインとリック・ブラック。リック・ブラックなんて囚人じゃないでしょ。使い捨てにするのもったいな。ハーレイ・クインは今回良かった。という事は、前回は良くなかった。それはあれ『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』。前のスースクは一番良かった。ただ、今回も格闘させるとエラク強いところや、「大」発言とかがぶっ飛んでて良かった。

多分、主役のブラッド・スポート。悪人以上に「おっちゃん」。クズはクズなりに「それをやる奴は許しておけねえ」という線引きがある。これは何つかとても常識的な線引きだけど、凄く理解が出来るので肯定できる。「スーパーマンを半殺しにした男」というコピーがクール。現在のDC世界のスーパーマンは能力が凄すぎて「神」のように異能者扱いされている。「神」を半殺しに出来る悪漢はクールだ。クールなのに「おっちゃん」なので、ホッとする。

ポルカドットマン、一番いかれていて、病んでいて、冴えないけど、もっとも破壊力に富む。チラシなんかに書いてある「水玉を放ち、敵をスイスチーズに変える」という設定の意味が全く理解が出来ないので、怪談のように怖い(映画で「スイスチーズ」という単語が出てきた記憶がない)。彼が妄想する超巨大なアレにはビックリ。ジェームズ・ガン凄い絵を撮るなあ。

2時間12分だが体感1時間半くらい。悪党集団が島に呼び付けられ、目的地のAとBに向かい、攻略目標を粉砕する。玉突きのように連鎖し、ミッションを前に推し進める。無駄な寄り道とかないから見やすいのだろう。あのインドっぽい戦闘テーマも好き。


【銭】
ユナイテッドシネマの1200円で8月末まで鑑賞できるクーポンチケット使用。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結@ノラネコの呑んで観るシネマ
ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結@yukarinの映画鑑賞日記α
ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結@ノルウェー暮らし・イン・原宿

『透明人間現わる』『仮面ライダー対じごく大使』『仮面ライダーBLACK 恐怖!悪魔峠の怪人館』『悪魔の人形』『失われた週末』

名画座系プログラムから5本。

◆『透明人間現わる』角川シネマ有楽町
五つ星評価で【★★★宝塚もどきの女歌劇レビューとか入ってたりする】
特集「妖怪特撮映画祭」の1プログラム。
1949年、白黒、87分、初見、安達伸生監督作品。
大映で円谷英二が特撮監督やった事で有名な作品。
包帯男が透明人間になる所がやはり売りであって、透明になっちゃうと足跡の演出とかはあるけど、基本的に「透明人間がいる体」の周りの役者の演技になってしまうのは変わらない。逆に、今「透明人間」の映画を作らされると、それだけでは済まないから大変だ。ただ、これはこれでよし。タイトルは横書きで左から右の英語読みだが配給会社テロップは右から左横書きの戦前表記である。戦後になってから間もないそれだけ古い映画なのだが、古い映画にありがちなセリフの聞き取りづらさがなかったので、思った以上に楽しめた。
透明人間は基本フリチンである(女性の透明人間はファンタスティック4のインビジブル・ウーマンくらいなのでそこは割愛)。ただ、相手から見えないという優位性だけで、暴力に勝利してしまうのはちょっと説得力がない。問題の宝石が移動して、映画の舞台が神戸から両国に移り、登場人物の8割が元力士とかだったら、この映画は成立しないだろう。
つまり、関西人なんかフリチンに負けるヘタレばっかじゃ、というディスりなのか(やめろ、俺、そういう波風わざわざ立てるのは)。
最初に3人の博士が出てきて行う科学談議もちょっと楽しいが、何だか、この頭のいい人達が悪い奴の狡猾な、と言うより、けっこう雑で荒い嘘にすぐ騙されてしまうのが逆にリアルな気がする。3人の博士の研究室の得体の知れない機械とかの小道具にワクワクする。

この映画の中では透明人間はそのストレスから徐々に凶暴化していくという設定だった。これ、先天的に無臭の人間が自分自身を自覚できずに犯罪者になるという『パフューム』の設定にちょっと近いかもしれん。


◆『仮面ライダー対じごく大使』丸の内TOEI②
五つ星評価で【★★やはり眠かった】
特集「KAMEN RIDER FILM ARCHIVE vol.1」の1プログラム。
1973年、カラー、34分、二回目、山田稔監督作品。
最初寝ちゃったし、時間的に見れるからという理由で二回目鑑賞。
後半、戦いのバリエーションは付けてるものの、延々と戦いだけって状態は単調で、これは寝る寝る寝てしまう。

「仮面ライダー対マグマ大使」って映画があったら見たいぞ(勝負にならんだろ)。
「仮面ライダー対アメリカ大使」って映画があったらそれも見たいぞ(それも勝負にならんだろ)。


◆『仮面ライダーBLACK 恐怖!悪魔峠の怪人館』丸の内TOEI②
五つ星評価で【★★記憶がポーンと飛んでる】
特集「KAMEN RIDER FILM ARCHIVE vol.1」の1プログラム。
1988年、カラー、25分、初見、小笠原猛監督作品。
記憶がすっぽ抜けてる。そう言えば白いライダーの悪者が出てきてたな。

「仮面ライダーブラックという事はヒルカメレオンの事だな」
「それはゲル・ショッカーのブラック将軍」


◆『悪魔の人形』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★★特撮はちょっと楽しい】
特集「恐ろしい映画」の1プログラム。
1936年、白黒、78分、初見、トッド・ブラウニング監督作品。
人間を1/6に縮めて意思を持たない人形のようにする発明を使って、発見者の博士と一緒に脱獄してきた冤罪の男がかっての仲間に復讐する。冤罪の男に特に同情も沸かないし、ドラマの流れが変なのであまり面白さを感じないが、ところどころの変さがマニア的にはツボに刺さる変映画。トッド・ブラウニングらしいと言えばらしいのか?
人形にされた人間のアクションが合成がチープなのだが、未見性に満ちていて見ていて楽しい。


◆『失われた週末』シネマヴェーラ渋谷
五つ星評価で【★★★★凄いぞビリー・ワイルダー】
特集「恐ろしい映画」の1プログラム。
1945年、白黒、100分、初見、ビリー・ワイルダー監督作品。
アル中さえエンターテイメントに仕上げるビリー・ワイルダー凄い。「中毒」とか「依存」なので、もう理由などなくともかくやめられない。その、ただただやめられない状態の心情を吐露させないのが良かった。そんなん吐露させてもそこに意味はない。ただただアル中の外づらを追いかける冷徹な演出。それは主人公を阻害する世間一般と同じ目線だ。その中でズタズタに壊れていく人間としての主人公。そして、専門病院の出現。『バッドボーイズ』で少年刑務所受刑者のショーン・ペンが成人用の刑務所に連れていかれて「ここがメジャーリーグだ」って言われたシーンを思い出した。映画史的には順序、全然逆だけど。そのプロがいっぱい収容されてる治療施設での看護師の冷静な対応が良い。そんなたかだかこれから入ってくるアマチュア一人に親身になってくれたりはしない。そしてもうあそこは怖い。怖くて、救いようがなくて、そこに山のようにダメな人がダメに立ち向かえずにいるのが怖い。それがアル中なのだ。


【銭】
『透明人間現わる』:おそらく日曜最終回割引で1200円。
『仮面ライダー対じごく大使』『仮面ライダーBLACK 恐怖!悪魔峠の怪人館』:企画均一料金各1000円。
『悪魔の人形』『失われた週末』:各作品、一般入場料金1200円-会員割引400円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
透明人間現わる@ぴあ映画生活
仮面ライダー対じごく大使@ぴあ映画生活
仮面ライダーBLACK 恐怖!悪魔峠の怪人館@ぴあ映画生活
悪魔の人形@ぴあ映画生活
失われた週末@ぴあ映画生活
▼関連記事。
仮面ライダー対じごく大使(1回目)@死屍累々映画日記・第二章
・仮面ライダー対じごく大使(2回目)@死屍累々映画日記・第二章

『四谷怪談・お岩の亡霊』『妖怪大戦争〈1968年〉』『鯨神』『大江山酒天童子』角川シネマ有楽町

特集「妖怪特撮映画祭」から4プログラム。

◆『四谷怪談・お岩の亡霊』角川シネマ有楽町
五つ星評価で【★★伊右衛門が冷酷無比】
1976年、カラー、93分、初見、森一夫森一生監督作品。
お岩様があまり美しくも怖くもなく、なので、フォーカスがどうしても佐藤慶に行ってしまう。武家娘のお岩様は妹が町娘風にチャキチャキになってという対比上、奥ゆかしくおとなしめに描かれる事が多いが、それは何も魅力を表に出さないという事ではない。通常「四谷怪談」はこのお岩様の良き頃と死後の対比がキツければキツいほど、ドラマとして濃ゆくなると思ってるが、この映画はそこがおざなりである。で、そのお岩様を端からどうにも思ってない風の佐藤慶。佐藤慶は佐藤慶なので、いつも通り人間的な感情を持ってるようには見えず、ただ、冷酷に自分の利のままに動く。極めて昆虫的な伊右衛門である。何故、この夫婦が成り立つのかもよく分からない。映画は主家が断絶して没落して以後から始まるが、その前の幸せだった時代が映されていたとしても、夫婦の外壁である岩の父や妹は幸せかもしれないが、伊右衛門と岩は幸せだったかどうかは分からない。そういう意味では怪談というより不条理劇なのかもしれない。
仲代達矢が演じる「四谷怪談」でも伊右衛門はクズだったが、クズはクズなりに喜怒哀楽があった。そこにちょっとだけ伊右衛門が感じる本来の「四谷怪談」ならではの恐怖があった気がするが、佐藤慶は昆虫なので生きようが死のうが、そこに感情はない。佐藤慶はどちらかと言うと恐怖を与える役者であり、伊右衛門としての極悪非道ぶりは良いけれど、その後、攻守入れ代わって恐怖を受ける芝居には向かない。
小林昭二が身分違いの岩の妹を金にあかして寝たくて寝たくてたまらないクズの役。身分制がない現代なら、ちょっとアグレッシブなホリエモンみたいに肯定的に捉えられそうだが、時代劇としては軽蔑を一身に受けてしまうあまり美味しくない役。この役、『柔道一直線』の師範役、高松英郎も演じてた。何かそういう意味では主役の脇で主役になれない俳優の業を晴らすような役なのかもしれない。この小林昭二と『仮面ライダー』の小林昭二の中身が入れ替わったら、ライダーガールをとっかぇひっかえ、あああ、俺はそういう方が見たい人だ(クズいのう)。


◆『妖怪大戦争〈1968年〉』角川シネマ有楽町

▲ガメラと日本の妖怪も戦ってほしい。

五つ星評価で【★★★★★いやあ面白い】
1968年、カラー、79分、体感的には初3回目か4回目、黒田義之監督作品。
これは何だ。改めて凄く面白い映画だ。CGなどない時代の、夏休みの工作的な手作り感がビンビンくるが、実は妖怪の造形にはそういう不揃いな感じの方が合っている。CGで全く同じ動きをする狸の群れとか実に妖怪らしくない。凄く不敵な笑顔で首を伸ばすが、攻撃力はそんなにない轆轤っ首のお姉さんとかキャラ立ってるなあ。
ダイモンはバビロニアの吸血妖怪で4000年の眠りから覚めたという設定。いいよ、強いよ、こいつ。しかも「郷に入れば郷に従え」で、和装も似合ってるよ。『エクソシスト』の悪魔パズズはアッシリア・バビロニアで崇拝されていたというので、この両者が取り違えて来日来米して逆の相手に対峙していたらなどと夢想してしまう。普通に考えてメリル神父とカラス神父二人ではダイモンには勝てまい。そうすると、インディアン(ネイティブ・アメリカン)の呪術師に妖怪を呼んでもらったり、海を渡ってドラキュラや首なし騎士が加勢に来たり、ちょっとワクワクする。パズズと妖怪はどうか? いや、修験者様だけで済んでしまいそうだよなあ。


◆『鯨神』角川シネマ有楽町
五つ星評価で【★★★”じゅん”っとしない】
1962年、白黒、100分、初見、田中徳三監督作品。
宇野鴻一郎がエロ小説で稼ぐ前の純文学作品が原作。時代的にはカラーと白黒の狭間の時期であり、田中徳三はこの2年前に絢爛豪華なカラーで『大江山酒天童子』を撮っているが、これは冒頭、漁師の男達の陽に焼けた肌が黒くて空や浜の白とのエゲツないコントラストが活きてて、凄く良い。そして、ふんどし男だらけだ。ホモ映画かよ。スクリーンに映える人の身体から美しさや貧乏や感情が匂い立つようだ。
主役は本郷功次郎、鯨に爺さん、父さん、兄さんを殺され仇を討つ男。この祖父、父、兄の鯨神との戦いは冒頭三連続で描写される。おまいらバカじゃなかと。そのまま、何も変わらず力押しで行って、力押しで負けてる。この浜から逃げた漁師が「あの村の者はみなキチガイだ」と言うのも分かる。憎い鯨神を倒さない事には村として先に進めないというのは分からなくもないが、その為の下準備は単に「気合い・気迫」だけである。それは日本が戦争に負けた奴だろ。この映画の本郷功次郎はちょっとムチムチしてる感はあるものの岡田准一に似てると思う。他の映画では全然、似てない。
対抗は勝新太郎。本郷功次郎のいい人ラインの反対で、勝新太郎はクズ。酒とケンカに明け暮れて、そして女は犯す。女を犯すのはともかく、それ以外では流れの銛討ちというだけで、そんなに疎まれる謂れはないのだが、鼻つまみ者扱いされている。実力はあるけど粗暴で嫌われ者って役は勝新太郎に合う。この勝新太郎と本郷功次郎は裏と表で、それぞれ足りない部分を補いあい、二人合わせて完全な人間になる。いがみ合っているようで二人合わせて鯨神を倒し、二人合わせて子供を作って育てる関係になる。
藤村志保は村の娘で本郷功次郎が好きで、鯨神を討った男の報酬に村長娘との婚儀が上がると、一人だけ少女マンガテイストで胸を痛めるのだが、そうこうしてるうちに勝新太郎に犯されてしまう。おいおいおいおい。超可哀想。
江波杏子は村長の娘。超上から目線。こういう女優は今、日本にいない(お蝶夫人つーか緑川蘭子的/じゃあ藤村志保は岡ひろみかって言うと位置的にはそう。あー、岡ひろみを犯したい/いや、そうだけどそうじゃなくって)。
志村喬は村長。年を取ってそこそこ地位もある役なので『七人の侍』の人徳者や『ゴジラ』の知恵のある者などを思い浮かべさせるのだが、見てるうちに凄くゴリゴリの暴力的な権力だけ持ってる役である事が分かって苦笑してしまった。そら、志村喬がそういう脳筋な役をやっちゃいかんという法はない。

鯨神は一分の一サイズらしいのだけどあまり大きく見えない。撮り方の問題だろうか。原寸大だからこそリアルに身体全体が海に浮かんだりせず、常に部分しか見えないのだが、その部分が全体の大きさを予測させるような見せ方になっていなかったのがおそらく問題なのだろう。残念。スチールはいい所を抑えていて妙にデカく見える。

冒頭から荒れ狂う伊福部昭のメロディーが映画をとても変にしてる。
漁師の踊りが南海の黒人踊りっぽい気がするのは伊福部メロディーだからだろう。ウホウホ。

最後、本郷功次郎が「俺は鯨神になる」と言って、幻想の鯨神になって終わるが、この辺が純文学的。どんなに現世で悪でも、討伐して「仏」にしてしまえば、神として崇める一族なのだものな、日本人は。

オマケ:彼ったら私に太い銛を打ち込んできたんです。それも前の彼がまだ抜かないうちになんです。とても乱暴だと思ったけど、その時、私の体の奥から“じゅん”って音が聞こえたんです。


◆『大江山酒天童子』角川シネマ有楽町
五つ星評価で【★★つまり対立構造がおかしい】
1960年、カラー、114分、二回目、田中徳三監督作品。
牛がちょっと『ジャッリカットゥ』っぽい。牛自身にやる気がないとこも含めて。
しかし、話がどうも釈然としないのは、市川雷蔵も長谷川一夫もちゃんと立派な人間であるのに、環境が悪いと争わなければいけない状況に追い込まれ、最終的には解決した振りだけしていて、事態は何も解決していないのではないか。
土蜘蛛や鬼はよく出来てる。
中村珠緒がまだ可愛い女の子である。
鬼屋敷の美術が真っ黒の内掛け(屏風かもしれん)とかなかなかアバンギャルド。


【銭】
『四谷怪談・お岩の亡霊』『妖怪大戦争〈1968年〉』はテアトル会員割引+曜日割引で各1100円+会員証紛失再発行費用で+1000円。
『鯨神』『大江山酒天童子』はテアトル会員割引で1300円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
四谷怪談・お岩の亡霊@ぴあ映画生活
妖怪大戦争〈1968年〉@ぴあ映画生活
鯨神@ぴあ映画生活
大江山酒天童子@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
妖怪大戦争〈1968年〉@徒然なるままに
▼関連記事。
大江山酒天童子(1回目)@死屍累々映画日記・第二章
・大江山酒天童子(2回目)@死屍累々映画日記・第二章
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fjk78dead

Author:fjk78dead
ふじき78
映画を見続けるダメ人間。
年間300ペースを25年くらい続けてる(2017年現在)。
一時期同人マンガ描きとして「藤木ゲロ山ゲロ衛門快治」「ゲロ」と名乗っていた。同人「鋼の百姓群」「銀の鰻(個人サークル)」所属。ミニコミ「ジャッピー」「映画バカ一代」を荒らしていた過去もあり。

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