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『スーパー30 アーナンド先生の教室』新宿ピカデリー6

◆『スーパー30 アーナンド先生の教室』新宿ピカデリー6

▲左の悪そうな笑顔がアーナンド先生。

五つ星評価で【★★★相も変わらずインド映画恐るべし】
金持ちの為の東大合格ゼミナールみたいなカリスマ予備校講師がいきなり進学予備校を脱サラして無償の貧乏人クラスを発足、進学予備校からのいやがらせ、その系列の暴力団の殴り込みを知力で跳ね返す、というインドらしいとんでも展開映画。予備校と暴力団を全く同レベルの物として争わせるというのがやはりインドインドインドな感じ。歌と踊りは控えめ。でも「知は力なり、知は正義なり」というフレーズのお経みたいな歌はBGMとしてビンビン来る。

主人公は前半で金がない為に招待されたケンブリッジ大学への渡航費用が捻出できず、父親が心臓麻痺で死に、なし崩し的に貧窮のどん底に落ちて、そこで安い饅頭売りみたいな自転車屋台を引く事になる。その時に売った饅頭の包み紙がケンブリッジへの招待レターで、主人公がお客に商品を渡せずに引っ張り合いになってしまう。くー、泣ける。鬼畜演出

主人公が銀行に行き、資金融資をお願いするシーンで、銀行員が、だってあなたのプロジェクトは成功しても無償だから、お金が増えたりしないんです、というのがムチャクチャ正論すぎて笑った。

アーナンド先生刺される。ヤクザが先生と一緒に生徒も全員殺そうと病院に乗り込んでくる。ここから、生徒が知力でならず者を退治するシーンが秀逸。みんな黒くってガリガリで、貧乏人の外見犯罪者みたいなんだよなあ。あと、アーナンド先生回復早すぎ。

いやまあでも、アーナンド先生も義理を欠くよな。あんな塩対応、昔の雇い主にしたら、そらケンカになるだろ。ケンカだからって、殺し屋を教室の人数30人と同じくらい現場に派遣してしまう教育者ってのも凄い話だけど。

でも、日本はこの金がなくては教育を受けられないというインドが抜け出そうとしてる状態に国をあげて突き進もうとしてるから、本当は笑い事では済まない。


【銭】
有料入場ポイント6ポイントで無料入場。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
スーパー30 アーナンド先生の教室@映画.com
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『ブルーロック 超速上映版 “青い監獄” 入寮編』新宿ピカデリー3

◆『ブルーロック 超速上映版 “青い監獄” 入寮編』新宿ピカデリー3

▲超人ブルーロックたち。

五つ星評価で【★★★(アニメパート★★★★/声優パート★★)】
ツイッターでの最初の感想(↓)

原作頭の頃のどうにかしてる感じがちゃんと出てておもろい。TV2話と声優バラエティー10分。声優出てるの五月蠅いのだけど好きな人もいるだろうから、せんない。

『ブルーロック』はマガジン連載開始から読んでいる。論理的に納得させるクレバーさと、主人公の丁寧だけど振りきれて狂っていく感じが面白い。今はプロの外人とチーム組むような新たなステージに進んだが、やはり、面白いのはどんな不条理で残酷な事をしても「サッカーの為なら」許されるとする初期のキチガイ監獄みたいなパートだ。主人公の潔(イサギ)、彼をサポートする蜂楽(バチラ)がシステムの冷徹な構築者である絵心(エゴ)の甘言に乗ってどんどん人間からはみ出ていくような感覚がおもろい。全62分、うち声優バラエティー・パートが15分なので、一話正味24分。かなりちゃんと面白かった。声優パートは声が通りすぎてて、ほんま五月蠅い。

アニメのと言うか、原作マンガからの問題だが、苗字がみな変。鈴木、佐藤、高橋とかはいない。装飾過多の名前しかいないと、何かヅカっぽい。それと、このマンガの絵を描く人は人の描き分けやキャラの描き分けが案外苦手。

絵心(エゴ)の壊れてる感じ、『弱虫ペダル』京伏の御堂筋っぽい。いや、変形とかしないけど。


【銭】
イベント上映特別価格で1500円均一料金。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
ブルーロック 超速上映版 “青い監獄” 入寮編@映画.com

『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ 発明中毒篇』ユーロスペース1

◆『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ 発明中毒篇』ユーロスペース1

▲『たまご割れすぎ問題』のたまごを割れにくくする機械。

五つ星評価で【★★★未見性の高い怪作】
1926年~1928年の実写4本と1917年~1918年のアニメ2本からなる短編集。チャップリンやキートンと同時代の無名のサイレント映画監督、チャーリー・バワーズ。今回初めて知ったが、すげー変。異能と言っていい。ゴッホとかダリくらい極端。よくこんな尖った映画群が埋もれたなと思わせる才能。変なビジュアルへの執念は狂気を感じさせる。でも、なんか今一つ乗れないのは伴奏が現代の後付けだからだろうか。伴奏オシャレな脱力系で隙間なくかかってるから頭が疲れる。問題なのはサイレントの劇伴ってオーケストラが映画の主人公の感情表現を強調して分かりやすくするのに、そういう映像への忖度がほぼないので、見づらい。
チャーリー・バワーズ自身の外観はネズッチに似てる。


【銭】
ユーロスペースの会員割引で1200円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
たまご割れすぎ問題@映画.com・他

『さかなのこ』シネ・リーブル池袋2

◆『さかなのこ』シネ・リーブル池袋2

▲ミー坊(=さかなくん)。

五つ星評価で【★★★言ったもの勝ち】
木ノ葉のこにエラが出来てギョギョッ、さかなのこ。いや、それはネタだ。でも、さかなクンをのんが演じると言う点でもう既にそのネタと同等ぐらいに頭を混乱させられている。で、映画冒頭「男か女かはどっちでもいい」とカマされるのだが、はっきり「ああそうか」と腑に落ちたのと「いや、どっちでもいいではないだろ」って混乱が半々。確かに私自身本人がさかなクンとセックスする訳でも何でもないのだから、この映画のミー坊が男でも女でも関係ない。私はのんのビジュアルなので、ずっと「女」と思って見ていた。が、設定上は男らしい。ギョギョギョーッ、「さかなのんこ」は男かあ。学ラン着てたけど、単に男装をする変わり者女と思ってたなあ。基本、水中シーンはスウェットスーツで、乳首を見せないが、乳首を見せたら、それがCGで平べったくても更に混乱しただろう。確かに映画のエピソード的には「性」に関しては何も触れないから、男でも女でもどうでもいい筈だが、男だったら普通に夏帆に寝込みを襲われたのではないかとか思う。そして、みんな映画内でミー坊に優しいのは、女だからと思わされながらも、「のん」だからなのだろう。これ、同じ役を「さかなクン」本人や「もう中学生」が演じたら、やっぱりイラっと来ると思う。そういう意味では「のん」のトリッキーな起用は正解。何か同じようにTVから干されている草彅剛もこの役をオファーしたら、「さかなクン」本人や「もう中学生」より、見やすく演じてくれそうだ。衣装は「やさしいマン」のままでも良い。
しかし、みんなミー坊に対して、優しいと同時に一歩踏み込んではくれない。水族館の仕事でダメを出されるが、ダメを出すだけで、それが何故ダメかは教えない。それがダメなのは「お魚の為にならない」、そう教えれば、水族館の仕事は出来たのではないか? 水槽作りも誰か一人が方向性の違いをアドバイスしてあげれば成功したのではないか? そういう踏み込まない、踏み込まれない存在である事も含めて、「のん」を起用してたりするか? それは考えすぎか?

ファンタジーで、寓話だから、ぼーっと見てられる。これ、リアルな心理劇だとキツそう。

井川遥の母ちゃん魅力的だなあ。最後のあの種明かしはないよなあ。映画としては物凄くおもろいけど。

カブトガ二の飼育を依頼する高校の先生、柄本の長男かと思ったら、ドランクドラゴンの鈴木だった。それって、リーズナブルな感じ。映画.comの配役表みたら役名が「鈴木先生」だった。それでは柄本佑に演じてもらう訳にはいくまい。まあ、ギリ「松尾スズキ」までかなあ。

狂犬の柳楽優弥も島崎遥香とのデートに「のん」を招待するという。いや、それは普通に島崎遥香怒るだろう。この映画での一番の謎はあの下りかもしれない。

さかなクン本人が演じる「ギョギョおじさん」、彼が変質者として逮捕されてしまうのが、この映画内での一番辛辣な部分なのだが、映画の脈を乱しそうな人材の排斥にちょっとホッとしたりもした。


【銭】
テアトルの会員割引で1300円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
さかなのこ@映画.com
▼次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です(一部TBなし)。
さかなのこ@ノラネコの呑んで観るシネマ

『よだかの片想い(ネタバレ)』シネ・リーブル池袋2

◆『よだかの片想い』シネ・リーブル池袋2

▲終電ギリギリの彼女の腕を掴んで駅に走り出す。こんなん恋するやろ。

※ この記事はネタバレ内容を含みます。

五つ星評価で【★★★性癖的にコンプレックス強い女性には萌える】
顔に痣のある女性の遅い初恋を描く。
主演の松井玲奈が凄く良い。儚げにまっすぐ立って、常に自分に自問自答している。彼女は自分の痣についてコンプレックスを持ってはいるが、彼女が負担に思って苦しめられているのは肉体的なハンデではなく、社会的に与えられた後天的な序列についてだ。ここで複雑なのは、苦しめている側が彼女に対して「気遣う」事が、彼女の特殊性を際立ててしまう点だ。そこに悪意はないのだが、「この可哀そうな人の事を思いやってあげなくてはいけない」という過度の善意が悪意以上に彼女を傷付ける。彼女は可哀そうに思われる側であり、それが彼女を不快にはするが、善意で向けられた視線ゆえ、それを非難する訳にもいかない。
その彼女が恋をするのが、映画の企画で近づいてきた映画監督の中島歩。付き合いの長い友人等については別だが、初対面で彼女の内面を褒めるような手合は他にはいなかっただろう(そういう素地もそれまでにはなかっただろうし)。彼が彼女に最初のデートで渡すプレゼントも気が利いている。コンパクトミラーだ。逆説的に「可哀そう」とちょっとでも思ってるなら渡せないプレゼントである。世の女の子全てと同じ扱いをしてくれるプレゼントである。これは垂らされるわなあ。また、中島歩が普通にいい男なのだ。

タイトルにある「よだか」は、宮沢賢治の『よだかの星』が元で、醜い容姿から「鷹」から改名を迫られる「よだか」が命を失っても自分の名前を守る話。映画内で、「よだか」が守る物は命を失っても変えられない物であると二人の会話で話される。「本質性」と言っていいと思う。他の全てを捨てても彼が愛してくれさえすれば生きていける、これが彼女の本質性だが、彼から見た彼女は一番ではない。彼にとっての一番は仕事なのだ。ここでタイトルの恋は終わりを遂げるが、新しい恋の兆しもちょっと見せられる。相手は映画監督以上に似た者同士なので、観客があまり悪い予感を感じる事はない。

ラスト、エロくてセクシーなサンバの衣装で新しい男を誘惑するカットが入っても、全然許すぞ、オレは。


【銭】
テアトルの会員割引で1300円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
よだかの片想い@映画.com

『沈黙のパレード』新宿ピカデリー2

◆『沈黙のパレード』新宿ピカデリー2

▲メンズ化粧品みたいなポスターだなあ。

五つ星評価で【★★★推理より情感】
ちゃんと驚くべき推理やトリックは用意されているが、割とそれは二の次。トリックより観客の感情を乱高下させて「観た」実感を与えてくれる映画である。最初に『オリエント急行殺人事件』のような状況を作りだした後、秘かにその配列を少しだけ変えていくのは、『犬神家の一族』で直接の加害者と殺人デモを行う二次加害者が別にいたパターンを思いださせる。そして、女の子を運ぶ車に、犬のハウが乗り込んでいたらみな幸せになったかもとか思わないでもない。

にしても、最初の10分くらいで映画の観客に、こんなにステキな女の子がいたんですって知らしめた後に、ドーンと葬式に突き進む落差がエグい。ずん飯尾の本来とことん地味で、刑務所にも5年くらい入ってましたみたいな凄みのある顔が活きる。田口浩正はもう完全に役者。この二人が今回、特によかった。あと、後から出てくる酒向芳にも唸らされた。この人、チョコチョコ重要な脇役で出てくるが、特異な容貌にも関わらず、毎回かなり違う人にしか見えないのが凄い。

ああいう窒息は普通思い付かないし、ごく普通の人がそれを実行するのも、ガリレオシリーズ独特だ。この意外性や未来性が科学犯罪を取り扱った『怪奇大作戦』みたいでワクワクしてしまう。

福山、柴咲、北村のやり取りは昔の方が面白かったと思う。それは福山の変人っぷりが、若い癖に、達観して冷静で感情より論理や自分の都合を重んじるため時に偏屈に見えると言ったものであるからだが、これ、年を取るとみなこういう方向に進むので、昔と比べると変人の度合いが薄れてしまった。ずっと研究室に引きこもっている学究肌ぼっちに対するマイナスイメージも昔より今の方が社会から認知されている。なんつか湯川先生は年相応に社会に適応した。対する柴咲、北村の刑事ペアは、事件を追う為に必要以上に感情的になって捜査する。捜査の上で連携した方が効率がいいので、誰に対しても同じ態度を要求し、捜査が全てに対して優先になる。だって、殺人者を野放しにして皆が楽しい社会生活を送れる筈がないから。そこに軋轢が生じて魅力的なやり取りになっていた。しかし、刑事のこの現場主義・身体を酷使さえすれば事件が解決するという感覚は学生ノリに近く、若い刑事のやる領域なので、ある程度、年を取ったら、闇雲にガムシャラみたいに見えるのは、まだずっとそこから抜け出せてないように見えてしまう。柴咲、北村とも福山と違って、キッチリ立派に第一線の役者なので、昔と同じ演技で仕上げてきた。それが逆に今の福山と良くない形でぶつかってる。
結果、普通の人、湯川に無理に協力を要請するダメ刑事という線がただ強調されてしまう残念な感じになった。
この部分のやり取りを面白くするには、やはり刑事は若手を使い、湯川先生は研究室に閉じ込めて白衣を着せて、オシャレな服のコーディネートとかは避けるのが正解だろう。オシャレじゃない方がオシャレ。福山雅治は地力的にかっこいい訳だから。全裸でいろとまでは言わないが簡素な服かつキッチリした感じに見えない無造作な格好の方が似合う、というか、ガリレオ的だ。スタイリストはそこを間違えてる気がする。福山を格好良く見せる事より、ガリレオ的に見せる方が重要だ。そして、社会と隔絶された研究室に訪ねて行くという儀式がガリレオの変人度をそういうルーチンで見せている安心感から守ると思う。今回のように異常に速いスピードで誰とでも仲良くなれるガリレオシンカとか、ガリレオパワードとか、特撮番組の二期過ぎたあたりに獲得するスキルだろう(いや何か違うか)。
例えで出した全裸のガリレオって妙に面白そうだ(相手が誰であれセックスしそうにないイメージが強いから安全)。北村一輝はともかく、柴咲コウの全裸女刑事も希望(無茶苦茶セックス忌避ばかり考えそう、かつ、恋心的に手ぐらいは繋ぎたいモジモジ感とかも演じてくれるだろうから、これはこれでおもろい)。まあでも成立はすまい(たりめーだ)。

「言っておくがセガールの映画じゃないぞ」


【銭】
前回有料入場割引+ネット割引で1200円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
沈黙のパレード@映画.com

『HiGH&LOW THE WORST X』ユナイテッドシネマ豊洲11

◆『HiGH&LOW THE WORST X』ユナイテッドシネマ豊洲11

▲ウォーリーを探せ。

五つ星評価で【★★★不良多すぎ】
不良密度200%。明らかにキャパオーバーしてる。上の全員集合ポスターなんて、同じ人が二回載っててもきっと気付かないだろう。なんつーか、物凄く頭の悪い映画だが、そういう頭の善し悪しにこだわってたら最初からこんな映画、見に行かないからこれはこれでいいのだ。
話し的にはケリが着くのだが、ラスボスがボロボロにならない終わり方はちょっとスカっとしない。
脳髄や脳液がDBの孫悟空のようにケンカって気持ちいいみたいになってしまってる主人公達、みんな頭おかしい。

冒頭、主人公のふじおがただ武者修行的にケンカしたくて鈴蘭高校まで出向く(これがイカレタ世界の中でもガチで常軌を逸している行動)。鈴蘭高校は前作『HiGH&LOW THE WORST』で出て来た「殺しの学園・鳳仙学園」のマンガ上でのライバル高校。鳳仙学園の白に対して、学校中黒。校内で派閥争いに明け暮れているが、鬼邪高校のようにファッションがバラバラではない。助かる。こんなん、色がバラケてたら、何だかもう分からん。それぞれ派閥ごとにカラー分けされてるから見ててどうにか何が起こってるかが分かるのだ。
その前作の敵対組織(と言うよりそう仕向けられていた)鳳仙とふじおの鬼邪高校は何となく、敵でも味方でもないゆるい間柄になってる。「拳で語りあった相手とは仲間」という番長マンガの不文律が残っている。個人的には、とても頭がおかしいと思う、そんなんは。
今回の映画で割を食ったのはやはり鳳仙学園だろう。ここは前回200人くらいの大軍団で、無個性の坊主たちがただ集まるだけの威圧感とかが良かった。クオリティーの高い喧嘩ハゲが力押ししてくる、そういう強さへの魅力があったのだが、今回は20人くらいに規模が縮まった。相手が三つの高校を集めた大軍団だから、集団の役割は相手側に移ってしまったのだ。下に無茶苦茶な無個性の人数がいないと、鳳仙のハゲじゃないトップは単にオシャレ野郎みたいで居心地が悪い。

あと、逆にその為にやっているのだろうけど、ケンカのシーンとエグザイルの楽曲が合う。気持ちいい。

女が一人も出ていない。看護婦さん、声は出たが、身体とか映ってないんじゃないか? まあ、あの子とあの子の仲がいいのを嫉妬して、みたいな見方で見れば、もう女性なんていらないのかもしれないけど、この世界では。ツイッターでの、やり取りから、羅王の孤児院に女子児童がいた事が判明。なるほど、そう言えばそうか。よう見とるのう。

そう言えば「テッペンの、その先へ。」ってコピー、何じゃそりゃと思ってたけど、映画見ると納得出来てしまって、逆に納得出来てしまうのが悔しい。


▲鬼邪高メンバー。モヒカン(左3人目)とジャム男(右2人目)みたいなコメディ・パートは美味しいが、左4人目のずっと怒ってる感じ。右5人目の切れると手が付けられない感じも良い。左5人目は堂々浚われるお姫様パートだものなあ。監督がタランティーノだったらケツから犯されてる(そういう絶望的な光景に惹かれなくもない)。まあでも飾りっ気なくただ強い右5が一番惹かれるか。


▲殺し屋鳳仙。グラサンの「殺し屋鳳仙だす~」が破壊力。坊主3人集まって脚立で突進とか、ただただ壁抜きとか、坊主はこうやって使えみたいな無名性が強い攻撃がここは良い。


▲鈴蘭羅王チーム。キャラにゲップ。メインポスターでは「鈴蘭」の刺繍見せる為、羅王は背中向けていたが、その刺繍代あるなら、孤児院のおかず代にして、おかず一品増やしてやれよと思わなくもない。


▲今回、一番悪い集団、瀬ノ門工業高校。右二人目の頑張りに涙する中、基本、ゲスい奴だけのサボテンが口元だけ『アキラとあきら』の横浜流星っぽい。口元以外は大倉孝二だが。右二人目、粗品っぽい。


▲せのもんの手下1。細長いのが叫んでるイメージしかない。


▲せのもんの手下2。両脇で雷神風神。こんなの近くにいるだけで赤ん坊泣くだろ。一番の見せ場シーンが省略され、いわばナレ負け状態にされたのには笑った。


【銭】
ユナイテッドシネマ金曜メンバーズデーで1100円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
HiGH&LOW THE WORST X@映画.com
▼関連記事。
HiGH&LOW THE WORST(前作)@死屍累々映画日記・第二章

『夏へのトンネル、さよならの出口』ユナイテッドシネマ豊洲11

◆『夏へのトンネル、さよならの出口』ユナイテッドシネマ豊洲11

▲浦島トンネル内での彼。「夢を叶えるのは一人だけ」みたいな選別性がないのは、かなり大判振る舞い。

五つ星評価で【★★★とてもたやすい日常の地獄にはおののく】
主人公の彼も、ヒロインの彼女も眉目秀麗で硝子細工のように綺麗である。彼等には普通に生きていく上での障害があり、それが彼等を必要以上に外界から隔てさせているのかもしれない。彼にとっても、彼女にとっても、現実は自分達から幸福のシンボルを取りあげた失楽園=地獄に他ならない。彼は日常的に暴力にさらされ、彼女は生きていく目標を否定される。どちらも、いともたやすく行われ、それが突飛に見えないリアリティーを持つ。だから、怖い。そんな現実を打ち消したい彼等がすがるアイテムが怪異「浦島トンネル」。この浦島トンネルを利用して、彼等は運命から幸せを奪還しようというのだ。
彼等の調査によれば、地方の伝承とは無関係であり、どうやら彼等の近辺に都市伝説的な噂が流布しており、そこでは年齢と引き換えに願いがかなうらしい。この浦島トンネルのビジュアルが素晴らしい。ある場所から時間の流れが変わるが、そういう事が起きそうな説得力がある。ただ、「願い事がかなう」という御褒美が何故そういう事が起こるのかも合わせて漠然としている。この怪異の内容や願い事の範囲が漠然としている所(主人公の彼の視点でしかない)が、映画の欠点でありつつ、奥行きを深めている点でもある。又、トンネルとは言うが、入り口に呼応した出口はない。中に入った者は入りっぱなしになったまま外界と遮断されて死ぬか、何かを得て元の道を戻るかの二択を迫られる。怪異には中に入った人をもてなすような知性がある。決して万能ではないが、中に入った者の記憶を辿り、必要な物を用意したり、過去の人生を再シミュレートしたりする。そういう事は知性なしにはできないだろう。
トンネルが何者かは分からないが、トンネルに知性があるのなら、それは物語に飢えていて、物語性に富む者を「願い事がかなう」というエサを撒いて呼び寄せているのかもしれない。トンネルに好かれる、より、濃い物語の者は長く居座り、神隠しになり、薄い者は社会復帰したりする。普通の者はトンネルを見つける事すらできない。トンネルの入り口は外見三角形の穴で、中は湿っていて、温かそうで、これは女性性器(子宮)のイメージ。エロい。ああ、トンネル自身が乙姫様という事か。作者が男性か女性かは知らないが、メタ的な視点で見ると、貪欲に物語を切望してやまない作者こそが浦島トンネル自身なのかもしれない。ただまあ、物語としては浦島トンネルが何者であるかが分かってしまったら、つまらなく収まりそうなので、そこはかとなく謎のままという閉じ方に終わったのは正しいのだろう。

ムチムチの女体になった彼女と、男子高校生のままの彼って、個人的には凄くエロさが濃厚。

『夏へのトンネル』『夏への扉』の違いは前者は時系列に対して一方向しか許していないが、後者は両方向に進む事も可能である点。両方向は物語る事を考えると、けっこう複雑になってしまうからしんどいよな。

あまり、映画自身で出ていない解答を、後から補完するのもどうかと思うが、入場者特典の小冊子『さよならのあと、いつもへの入り口』はちょっと納得できたりもする良い特典だった。


【銭】
ユナイテッドシネマ、会員ポイント2ポイント使って1000円で鑑賞。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
夏へのトンネル、さよならの出口@映画.com

『異動辞令は音楽隊!』トーホーシネマズ日比谷6

◆『異動辞令は音楽隊!』トーホーシネマズ日比谷6

▲換気扇に付いてるお好み焼きデザインが秀逸、あと土産物屋で売られてる通行手形が鈴なりになってるとか見た事ないけど、庶民的なお好み焼き屋で如何にもありそうなのが凄い。「なっとう焼き」も如何にも店が推しそうなメニューだし。

五つ星評価で【★★★★あああべひろし】
阿部ちゃんとは同い年なので、こういう「ああーもうショボショボだなあ」という役にはすこぶる来るものがある。刑事の世界の阿部寛もずっと頑張って気を抜かずに生き切ってきたのだなあ、という不器用さが透けて見える。一生懸命生きてきて、人に好かれないというのは心ゆさぶられる。多分、異動辞令先の「音楽隊」はそういう不器用な人達の溜まり場なのだ。
『キングダムⅡ』で「トーントトン、トーン」とか謎に強かった清野菜名が、『耳をすませば』の松坂桃李に見せつけるかのように楽器を演奏する。清野菜名って小さいので、楽団の中ではけっこう見た目埋没してしまう。それは映画的には損だけど、清野菜名の個性としてはとても「らしく」て良かった。阿部寛も不器用だが、清野菜名も異常に抱えなくてもいい案件をしょい込んでしまう。ああいう人は社会の潤滑油だけど本人は摩耗してしまう。もう、一生懸命すぎてパンクしそうで、遂にはパンクしてしまう。サスペンス映画だったら彼女が犯人だ。割れ鍋に綴じ蓋で阿部寛と恋愛関係にという展開も当然選択肢の一つとしてあったに違いないが、そういう方向に進まなかったのは映画の信頼度を上げた。何でもかんでもサカリが付いたみたいに好き合うんじゃねえよ。
『キングダムⅡ』で、千人長として敵を斬殺し尽くした渋川清彦が、チャカポコ親父で、そうね、本来はこんな感じだよね、と再確認させられる。日本人だけど、目がラテンなんだよなあ。
光石研さん本人はもちろん、この映画みたいな人ではないだろうが、一日一回犬の糞を踏んでしまうような呪いを掛けたくなるような人物だった。欲を言えば、この人物をもうちょっとやりこめて終わってほしかった。

いやあ、面白かった。俺も頑張らないけど頑張るよ。


【銭】
トーホーメンバーズデーで1200円
▼作品の概要はこの辺り見てください。
異動辞令は音楽隊!@映画.com

『モエカレはオレンジ色』新宿ピカデリー10

◆『モエカレはオレンジ色』新宿ピカデリー10

▲ジャニーズ相変わらず宣材写真が少ない。スノーマン岩本の載ってるスチールが一枚もない(昔だったらポスターのビジュアル転用さえ許さなかったから良くはなったが)。

五つ星評価で【★★ついつい「今週限り」に負けて見てしまった】
ツイッターでの最初と二つ目の感想(↓)

スノーマンの彼はジャニーズだけどエグザイルっぽく、かつ、ちょっとオーク顔でよい。めるるは役者じゃないから演技は安定しないが口角上がってるのが有村架純っぽくて可愛い。ただデカい。ジャニーズしかいないみたいな消防署は草。高月彩良出てて嬉しい。/野郎の客、俺一人。そんなハーレム状態でも決してモテたりしないのが人生って奴だ。あと最初に出てくる小道具の煙草エイトスターは記憶しておきたい。

SnowManの岩本輝はゴツゴツしてて、でかくて、きっと原作の少女マンガとは似つかないのだろうが、現実味という意味で、とてもいいキャスティングだったと思う。彼が182センチで、めるるが165センチなのでバランスもいい。めるるが冒頭ではボッチという扱いでチラシのコピーにも「超シャイな消防士×ぼっちのJK 不器用な2人の恋の行方は-!?」などと書かれているのだが、普段のめるるのイメージが強く、女子にしてはでかいガタイと肉づきと、常に口角上がってたりするので、とても「ぼっちのJK」という規格には見えない。俺の中での「ぼっちのJK」はあんなミニスカートで、腿が太い奴ではない。顔やイメージは陽キャラだが「ぼっちJK」という設定で話が進むので、感情不安定で妙に泣いているシーンが多く感じてしまった。演技に対して本人の頑張りはあったとは思うが、うっすらミス・キャストであろう。
消防士の同僚4人とめるる側の同級生一人でイケメン包囲網。消防士4人が基本、見分けつかず。同じような素材で固めてもみんな若くてそんなタッパなさそうに見えるので、消防士としてのリアリティーが低い。まあ、そういう映画ではないからそこをどうのこうの言うのは野暮だろう。野暮でボヤを思いだしたが、放火魔の下り、あの後、一切伏線がないのは斬新で驚いた。

▲左から一人目と四人目はエキストラ。あまりにも等質に映っていて、なおかつ仏頂面なのがおもろいと思う(彼等が笑ってたらNGだものなあ)。

岩本君の先輩役、高月彩良ちゃんかわいくって、りりしい。頭を彼女の胸にグリングリン宛てた状態でハグとかされたい。


【銭】
前回有料入場割引で1300円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
モエカレはオレンジ色@映画.com
プロフィールだ

fjk78dead

Author:fjk78dead
ふじき78
映画を見続けるダメ人間。
年間300ペースを25年くらい続けてる(2017年現在)。
一時期同人マンガ描きとして「藤木ゲロ山ゲロ衛門快治」「ゲロ」と名乗っていた。同人「鋼の百姓群」「銀の鰻(個人サークル)」所属。ミニコミ「ジャッピー」「映画バカ一代」を荒らしていた過去もあり。

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