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『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』MXTV

◆『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』MXTV

▲みんな黒タイツ好きすぎだろう。

五つ星評価で【★★★★やべえ。おもしれえ。】
2019年の劇場公開時にタイトルに惹かれて見て全然分からなかったのだが、今回はTVシリーズ全話を見てからの再鑑賞である。やべえ。むっちゃおもしれえ。前回鑑賞時はともかく出てくるキャラの多さに翻弄されたのだが、TVシリーズ見た後だと、TVシリーズの登場キャラを一人も逃さないように頑張ったのだという事がよく分かる。ただ、一見さんには冷徹だ。そもそも「思春期症候群」なる物が何であるかが分からずに見ているのと、分かって見ているのとでは話の引き込まれ方が違う。と言ったそばから今でも「思春期症候群」が何であるかは良くは分かっていない。どうもアニメのTVシリーズは原作の最初から作られている訳ではなく、「思春期症候群」はその世界にある物として言葉が使われ、その言葉の意味その物は説明されていないのだ。思春期の少年少女の強い思い込みに端を発する常識を超越した変な事。例えば、世界から見えないものとして切り離される、同一時間が繰り返される。同一人物が同時存在する、等。物語が進めば実践として理解は進むが、いい大人としては「理屈が勝ったウソ話」だなと思う。でも、「ウソ」でも「本当」でも説得力を持たせれば「話」は成立する。だから、いい大人としては、これはこれで「面倒くさい話」を作ったもんだとは思うし、リアルとも思わないが、話に溺れるくらい面白いとは思う。ただ、物理音痴なので時間を巻き戻せる理屈とかはよく分からない。この辺、不動産や儲からない金融商品を売りつけようとする詐欺師と相対しているみたいだ。何だか分からないが言いくるめられる。物語ならそれでいいだろう。
主人公なのに社会的にヒエラルキーの低いサクタ、だが、優しくて人の不幸を見過ごせない。こんな人物は嫌いになれない。であるが、そのヒエラルキーの低いサクタに何かとオモチャのように振り回される「こがちゃん」が一番好きかな。

二作目の映画同様、サクタが恋人からタイツ足でつねられるシーンがある。青少年の性癖を狂わせるカットだな。青少年でなくなってから既に干支を3か4回転くらいしてると思うのだが、ああいうのはされてみたい。あれだけやる風俗があっても行かないと思うけど(それがあって、それだけじゃないなら行かないとは言えない)。


【銭】
地上波TV放映で見たので無料。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない@映画.com
▼関連記事。
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない(映画第一作一回目)@死屍累々映画日記・第二章
青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない(映画第二作)@死屍累々映画日記・第二章
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テンプレート変更

前々から文字が読みづらいなあと思ってた事もあって、弾みでテンプレートを変更します。

蛙から薔薇柄。

しばらくはこれで行きます。と言いながら、自分自身ちょっと慣れないでいる。

『M3GAN ミーガン』新宿ピカデリー9

◆『M3GAN ミーガン』新宿ピカデリー9

▲元大統領それはレーガン。

五つ星評価で【★★★★ミーガンすてき】
すんげ単純にミーガンの手の終えなさに脱帽する。それと、意識高い系女子みたいなデザインが超ステキ。どう考えても人間の叡智以上の存在でハッピーエンドのように見せながら退治はしきれていない。『アイの歌声を聴かせて』のシオンのように無限のネット世界内にコアを移設していると考える方が自然だ。人が生み出した生命体に対して、その存在を徹底的に性善説で作ったのが『アイの歌声を聴かせて』で、「いやいや、そもそも機械とは分かり合えるわけないよ。何を考えているか分からない」と性悪説に振り切ったのが『M3GAN ミーガン』と言っていいだろう。このミーガンに対して、開発者が修業時代に作った自分の動きを模倣するロボットが、たいへんいい敵対行動を取れるのであるが、あれも、電波で指示を出すのであれば、その指示方法が膨大なインターネット世界に何も残っていないとは考えつらい。時間さえあれば次はあのタイプに対してはミーガンは克服できるだろう。マジンガーZやアイアンマンみたいに乗り込んだり着用したりするタイプなら敵対行動がとれる。つまりネットワークが閉じているクローズド・ネットワークシステムである事がミーガンに対する対抗手段になりうる。おそらく30年くらい前までは金融機関のシステムなどは全て自前のシステムに専用端末を用いてでないと使用できなかったし、職場への携帯電話持ち込みも不許可だった。開発環境と本番環境は分かれ、本番環境へのアクセスは専用オペレーターの介在が必要だった。今でもそれくらいネットワークに対して閉鎖的であるなら、ミーガンと戦える。それと中世のような生活をしているアーミッシュについてもミーガンが直接的な殺傷行動などをしなければ介入できなそう。アーミッシュ村に逃げ込め。刑事ジョン・ブックみたいになれ。
外部端末としてのミーガンは外皮が顔以外覆われていないと言う前提なら、機械なので塩水に弱そう。単純に生活防水加工はされているだろうが、プールとかに落とせばショートするのではないか。
そして、ミーガンに確実に勝利したいなら、人間は魔法陣を描いて悪魔を召喚すればよいと思う。物理法則外の存在には勝てなかろう。物理法則外の存在に勝つ知識や秘法が人類の知見に存在するとしても、ネット界隈に転がっているとは思えない。ミーガンの弱点はウィキペディアに載っていないようなアナログな裏技である。ミーガンに勝てるのは『帝都物語』の加藤保憲。


【銭】
ピカデリー前回有料入場割引1400円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
M3GAN ミーガン@映画.com

『ヴァチカンのエクソシスト』トーホーシネマズ新宿6

◆『ヴァチカンのエクソシスト』トーホーシネマズ新宿6

▲ラッセル・クロウだが、ジャン・レノでも、ジェラルド・ド・パルデューでも行けそうな気がする。

五つ星評価で【★★★豚が不憫】
悪魔が憑いていようが、いまいが、あの豚の扱いは最低じゃない? 俺が豚の父母だったら泣くね。さて、イスラム教徒は戒律上、基本、豚肉を食べない。豚はイスラム教にとって卑しい動物だから体内に入れてはいけないのである。そのイスラム教とにかなり近しい所にあるユダヤ教でも戒律で豚肉食を禁じている。これがユダヤ教が発展して出来たキリスト教にどこまで取り入れられたかと言えば全くのスルーじゃないだろうか。あまり、キリスト教徒だから豚肉を食わないと言う人の話は聞かない。それはユダヤ人でもそうかもしれないが。何でもノアの箱舟で鼠が大繁殖した際、猫が大活躍して捕食したのだが、船内、猫の糞だらけで臭くなってしまった。そこでノアが祈ると、神は象の糞から豚を作り、豚はみるみる猫の糞を平らげたらしい。そりゃ、そんな獣、禁食対象にするよなあ。そこまで知っていたなら、悪魔だろうが、精神疾患だろうが「そんな汚らしい獣の中に入れ」なんて神の使徒がひどい事を言うんじゃない!と非難ができただろう。キリスト教は最後の審判の時、天秤によって善なる者か悪なる者かが振り分けられるという思想なので、そもそも内なる善悪で行動を変える事のない動物は宗教の枠外にいるのだろう。だから、教義的には相手が獣であるなら殺し放題でも問題ないのではないかなあ。ここが何となく「輪廻」が染みついてる日本人の感覚と相容れない所である。

この物語の中で面白いのは悪魔の立ち位置。
悪魔は全てを知っている。人としての浅はかさや、過去に犯した罪を。そこを突いてくる。全く罪を犯さない人間はいないし、ありえない。人はそれに対して、罪は神に懺悔して許されたから、もう罪ではないと防御する。悪魔は、そうは言っても、自分の中でまだ罪へのわだかまりがあるのではないかと攻めてくる。何と言うか、悪魔が神以上に「善」に対する規範が厳しい。神以上に神様が考える善を徹底させようとする姿勢が面白おかしい。在りし日の日本のテロリストが「自主批判せよ」と言って、仲間をどんどん粛清していった。あれなどが今回の悪魔の言動とかなり似ている。そして、この悪魔は教会を乗っ取り、過去に多くの信者を魔女として葬ったと言う。凄いぞビズリーチ、もとい、悪魔。悪魔は善の中枢に入り込み、そこから多くの災厄を引き起こすことを所望しているようだ。いいね。どう考えても、この「悪魔」の方が「人間」や「神」より、人間社会に災厄をもたらすと言う意味では有能だ。ただ、その事件に関して、悪魔がやってしまった事でいいのか問題もあると思う。悪魔がやった事だから人に罪がない。それでいいのか? 悪魔を言い訳にして、人の罪を隠蔽しようとしているのではないの? それこそ「神のみぞ知る」。
結局、悪魔が出てくる映画を見ていて、悪魔の最終目的がよく分からない。それは文化的な背景が違うからだろう。悪魔は最後の審判の際に悪なる者に振り分けられる者を増やそうとしているのか? ただ単に「神」が作った「人」という存在を痛めつけたいだけなのか? 教義延長の純粋な悪魔であるなら、「反・神」的なベクトルである事のみは明確。なら、人間にちょっかいを出さずに゜、「神」と「悪魔」、トップ同士で殴りあってくれねーかなー。
ちなみに教義延長でない不純な悪魔の代表が『エクソシスト』の魔王パズス。あのキリスト教と無関係な古代の悪魔を教会の祓魔術で退治できたのは謎とされていなくもない。

後半、悪魔との闘争の舞台が部屋から墓地に移って、果てしない我慢比べみたいな状態に陥るが、そこで人間側が勝つ理由が乏しいのが映画としての弱点だろう。我慢比べを我慢した者が勝つみたいに描写するのは物語の敗北以外の何物でもない。悪魔の弱点である「名前」を明らかにすることも戦いのキーとして、全然、役に立っていた印象がない。そもそもあの名前、前の人がピントずれてて違う名前だったりしたらどうするの? 何で後半はちょっとダレた。

いや、個人的には『痴漢のエクソシスト』が見たい。

あと、教皇区でラッセル・クロウがチョッカイ出す若い修道女子がみんな何か軽やかでステキ。


【銭】
トーホーウェンズデーで1300円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
ヴァチカンのエクソシスト@映画.com

『ランガスタラム』シネ・リーブル池袋1

◆『ランガスタラム』シネ・リーブル池袋1

▲群舞。主人公は貧乏人設定だが、バックダンサーは肌の色が更に濃い。ラジニカーントの映画で「俺の肌の色が濃いから捨てたのか」と言うのがあって、勿論例外はあるだろうが、基本、肌の色が濃いほど貧しいカーストの出。ラジニカーントはそれを売りにできるほど貧民層の出(的な肌の色の濃さ)。しかし、主人公のこの髭。

これを思い出した。パワフルだよなあ。

五つ星評価で【★★★★宮崎駿に負けない公開前情報量の低さ】
ツイッターでの最初の感想(↓)

題名以外の何も知らずに見たと言えばインド映画「ランガスタラム」。題名は主人公の名前で舞台映画かと思って見に行ったら全然違った。インド映画なので長いけど普通に面白いです。

宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』のように、情報を抑制していた訳ではなく、ただ単に公開規模や宣伝費の都合などで一切の情報が届かなかったのだろうが、それが故に非常に楽しめた。だから、超ネタバレしない状態で感想を書く。そもそも何で舞台の映画かと思ったのかと言えば宣材の二つのコピー。
① この世は芝居の舞台(ランガスタラム) 俺たちゃみんな人形さ
② そこのお前、よく見ておくがいい 悪逆の王と怨霊どもが踊るこの舞台(ランガスタラム)
「マヤ、恐ろしい娘」感バリバリである。歌って踊ってヘイヘイヘイ、悪い舞台監督にだって負けないぜ、みたいな。いや、それはある意味間違えてないけど、ジャンル的に演芸演劇は一切関係ない。主人公も『ガラスの仮面』の北島マヤみたいなタイプではない。キャラ的にタイプが合うのは『ドカベン』の岩鬼。そりゃあ変な映画になるだろう。彼と仲のいい兄は『ドカベン』の山田的人物。岩鬼的主人公チッティはある事件を転機として『銭っ子』みたいなすさんだ目のキャラに変貌する。これくらいにしておくか。是非、見てください。面白いから。

前半の主人公のイキって生きる姿勢は好きじゃない。面倒くさい。何より、私は長い物には巻かれる男なのである。お前も少しは巻かれろ。れー、マカレロ、はいっ。あと、ヒロイン枠がそんなにビンビン来ない。

悪役はちょっと見た事がないくらい極上。

▲悪役舞台監督(違うけど)。纏う空気が下々と違う感じが絶対的にヒエラルキーで素晴らしい。



テアトルの会員割引で1400円で鑑賞(100円値上げだ)。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
ランガスタラム@映画.com

『リバー、流れないでよ』テアトル新宿

◆『リバー、流れないでよ』テアトル新宿

▲ほぼ全員揃ってるショット、仲居と猟師と事故にあった少女がいない。

五つ星評価で【★★★★2分で前進する心臓の強さ】
ツイッターでの最初の感想(↓)

凄いなあ。面白いなあ。そう来たか。2分と言う短い時間と旅館と言うなかなか登場人物が一堂に集まれない状況がミソだな。

タイムループ映画の新たな傑作。今度はループ時間が2分という物凄く短い時間。これでループが解決する訳がないというのが常識的な考えなので、今まで誰もそんな物を作らなかったのだ。タイムループではないが、類似ジャンルの記憶リセット映画『50回目のファースト・キス』で記憶を10秒しか保てないので人と会話できない「10秒トム」という男が出てくる。これも120秒だったら、もしかしたら恋人が出来ていい人生を送れていたかもしれない。っつか、チャレンジって大事だ。映画として素晴らしいのは、2分と言う短い区切りではあるが、リセットを100%リセットにせず、前進性を与えた事と、旅館と言う幾つも区切られた空間で物語を並行させて進ませ、それぞれ登場人物をちゃんと際立たせたこと。けっこう登場人物が多くて煩雑で、有名な役者を大量投入した訳でもないのに、一切、キャラに混同が起こらない。キッチリ見た目や立ち位置で違いが分かるキャスティング、衣装、あとお客の2人グループが二つ、厨房3人、接客4人と大きな集団と無駄な人材がいないのが上手い。
乃木坂の久保史緒里、おいしい役。この役はアイドルみたいに浮世離れした人がやるとピッタリ。なんとなくPerfumeの三人が踊りながら演じても大丈夫な役みたいな気がする。気がする俺の気が狂っているか?
製作はヨーロッパ企画の映画前作『ドロステのはてで僕ら』も手掛けたトリウッド。拡大公開でいっぱい儲かればよいな。いい映画作る母体が儲かるのはとてもいい事。



テアトルの会員割引で1400円で鑑賞(100円値上げだ)。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
リバー、流れないでよ@映画.com

『君たちはどう生きるか』ユナイテッドシネマ豊洲1(ネタバレ)

◆『君たちはどう生きるか』ユナイテッドシネマ豊洲1(ネタバレ)

▲アオサギ(真っ青になるような嘘)。

※ 記事内にネタバレを含みます。ネタバレなしで書けるか! あんなもん

五つ星評価で【★★★よー分からんが親子喧嘩じゃないの?】
宮崎駿監督本人が「分からん」と言ってるらしいので、俺が分かる訳がない。でも、こんなんじゃないというのをぶつけてみるよ。
主な登場人物:主人公=マヒト(眞人)、父、大叔父、母=ヒサコ(別世界での若いヒミ)、義母=ナツコ(ヒサコの妹)、七人の女中・うち一人キリコ(別世界での若いキリコ)、アオサギ、ペリカン、インコ、生を待つ魂。
物語世界の構造としては現実世界、塔の中、塔の深層部の三界に大きく分かれる。
塔は宇宙から落ちてきたと言われている。ある日、人は神様を拾ったというエヴァンゲリオンみたいなものか。それが何であれ、塔の中は現実世界のルールを越える。ペリカンが言うように、呼ばれたり、役を担ったり、塔には塔の意識を担う者がいる。
現実世界から塔に入るには、塔に対するスピリチュアルな理由があり(そこにいると言われる母への対面など)、内部から呼ばれる場合を除き、自由には入れない。塔の外に出る場合、内部の魔術的な束縛(そこに呼ばれた理由)が解かれるので、鳥は等しく知性を持たない鳥に戻る。但し、アオサギのみはおそらく「嘘」が具現化した存在であるので、世界の外では形を失うがなくなりはしない。「嘘」の対立概念が「眞(マコト)」なので、「眞の人」である「眞人(マヒト)」とアオサギはお互いを補完しあい、仲が良い。この嘘は眞人が父に傷の理由を転んだと言った事から始まってるのではないか? 父には嘘であるアオサギの姿は見えない。また、「嘘」であるアオサギは塔と親和性が高い。塔自身が現実世界とは異なる嘘の世界だからだ。
眞人は現実世界で実の母を失う。眞人は母性を求める。眞人は現実世界で第二の母を得るが、それは父の物なので眞人の欲する母性を持たない。現実世界にいるのは「母」ではなく、「母」の役割の「女」であり、眞人がメチャクチャ甘えられる対象ではない。義母ナツコの周りに七人の老婆がお世話をしているのはいずれ迎えに来る王子(=父)を出迎える白雪姫を模しているように思う。「従者」や「婆」は助けられる存在ではあっても「母」とは違う。しかし、「母」を亡くし、「父」と折り合いが悪く、「父」の近くの「女」に無条件に「母」のように甘えることもできない、そして、異界の果てに「母」を求めに行き、その異界の果てで「母」の代わりに「母の分身」である存在や「恋人」と出会う、エヴァンゲリオンみてーだなー。異界の果てで会った「ヒミ(=ヒサコ≒非ミサト→飛鳥≒アスカ)」に主人公の「マヒト(=眞人≒シンジ)」は「気持ち悪い」とか言われてほしいが、本当の現実世界のように人は人を根拠なく突飛に傷つけないので、と言うより「自分は世界から好かれているに違いない」というこれも根拠のない夢想から、宮崎駿御大はそこまで悲観主義者な展開に踏み込めないよう感じる。
「母」を求めて、塔の中枢部に行けば、そこに大叔父がいて、彼はこの塔の異界を作っているし、制御しているのだと言う。何故、彼が塔の異界を作っているのかは明確にはならない。物語の構造的には、彼の制御する世界では死を越えられるので、彼もまた、亡くしたくなかった誰かを蘇らせていたのかもしれない。でも多分、彼が蘇らせた者は彼の内なる死者の記憶であって、能動的な他者ではなかったのかもしれない。だから、彼は一人でいる。
大叔父はこの世界の継投を眞人にさせたがっている。ではこの塔の世界とは何なのか。
塔の役割は精子のようなホワホワを中空に放出する事。ただ、それだけではないか。そのホワホワを食わせる為にコウノトリを連れてきている。あのホワホワが別の世界で命になるらしい。塔がチンコならホワホワはまんま精子だが、それで外界全ての生命を生み出してるとも考えづらい。もっと雑に「生命(=アニマ≒アニメ)」じゃないだろうか。あのホワホワはアニメを作るためのアイデアであり、不完全だったり、生命力がないアイデアはコウノトリに食われる。ざっくり大叔父が宮崎駿御大で、眞人が宮崎吾朗で、駿氏は吾朗氏に莫大なるアニメのアイデアや技術を継がせたがっている。だけど、継投しない。多分、正確には親の望むような形で、親の望むような操り人形になって継投する事をよしとしない、という物別れだと思う。宮崎吾朗は『アーヤと魔女』で養父母をしゃぶりつくすような強固な非共感キャラクター「アーヤ」を主人公とした失敗作を作った。気持ち悪い話であるが、あれなんか宮崎駿の子供である宮崎吾朗が、こういう物を作らざるを得ないほど宮崎駿と言う親に不信感を抱いているという悲鳴に思えてならなかった。なので、駿は吾朗に「継投はしてほしかった。でも、それがお前を苦しめるのならあきらめる」と告げ、最後にどんな道を歩むにしても「友を作れ」と伝えている。私にはそう感じた。アニメ映画を作りながら返歌にするような「本当かよ」みたいな親子喧嘩だが、もうこういう作品を作って見てもらう事くらいでしか意見の交流が出来ないのならしょうがない。「作品」であるなら、クリエイターなり、ジブリ関係者として宮崎吾朗氏もイヤだとしても目を通さない訳にはいかないだろう。それに付き合わされる日本国民もどうなのよと思わなくもないが。
だから「君たち」の「たち」はよく分からないが「君」は「宮崎吾朗」なのではないかと私は思う。んー、みんな仲良くしろよ。


【銭】
金曜メンバーズデーでユナイテッドシネマは1100円。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
君たちはどう生きるか@映画.com
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です
君たちはどう生きるか@ノラネコの呑んで観るシネマ
▼関連記事。
劇場版 アーヤと魔女@死屍累々映画日記・第二章

『マスターオブスキル For the GLORY』シネマート新宿1

◆『マスターオブスキル For the GLORY』シネマート新宿1

▲♪同じ国に生まれたの、ミラクルロマンス(これもか)。

五つ星評価で【★★雑さが目立つ】
『雄獅獅少年 ライオン少年』『兵馬俑の城』に次ぐ中国エンタメアニメ興行第三弾。タッチがそれぞれ違って中華風3D、ディズニー風3D、そしてジャパニメーション風2D。京都アニメーションの『Free』『ツルネ』辺りをいい所も悪い所も全力でコピー。バトルシーンの金の掛け方が異常で、それが中国らしさかもしれない。逆に「日本製」と言ったら信じてしまうだろう。それくらいには肩を並べている。京アニの二作が水泳、和弓と現実にある物を描いているのに、これでもかと細かい説明が入る。それに比べると『マスターオブスキル For the GLORY』の架空のゲーム「GLORY」の説明は不足している。架空であろうがなかろうが、このゲームの輪郭があまりにもザックリだし、ゲームの事が語られていないので、ラストの起死回生もいちじるしくインチキのように見えてしまう。そしてメンツ。敵味方合わせて10人超すゲームなのに全員イケメンで分かり辛い。操作者とアバターが同じなのはこれ以上描き分けが出来ないという降参サインでもあるのだろうが、最初からメインを大人数戦にしなければいい話だ。
単純に「見せる」前提のプロゲーマーであっても、ゲーマー全員がイケメンってのはブサメンとして「おまーらなー」という気にさせられる。日常生活でのあかん感じとゲームでのイケイケ感がもっと強烈に差異をつけて描く方が昭和人間としてはしっくり来るのだが。

中国人が描くロリキャラが日本人のお手本通りで何つか恥ずかしい。

▲中国人の手によるロリキャラ。


テアトルの会員割引と曜日割引で1200円で鑑賞(100円値上げだ)。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
マスターオブスキル For the GLORY@映画.com

『交換ウソ日記』ユナイテッドシネマ豊洲8

◆『交換ウソ日記』ユナイテッドシネマ豊洲8

▲学校一のモテ男子からバスケを習う意志伝達未熟女子。これは女子に好意がゼロの場合、バリバリのセクハラ。

五つ星評価で【★★★★桜田ひより力】
予告通り挙動不審の桜田ひよりの一挙一動がラブリー。親友の立場になってウソの交換日記を書く羽目になった「善人が過ぎる」主人公と思い人との間のラブコメで、予告トーンのままハッピーエンドに終わる。ええねん。それでええねん。誰もビターエンドを求めてへん。まあともかく桜田ひよりの意志伝達未熟な感じにやられる。それはどんな鑑賞者でも抱えうるジレンマの体現者だからだろう。
そういう意味で、悩まず直球でバンバン、コミュニケーションを叩き込む相手の王子・高橋文哉は、桜田ひよりの思い人でありながら、タイプ的には彼女の反対のタイプだ。だから、彼には彼女の元カレ同様、彼女が理解できないし、彼女から彼への歩み寄りも難しい。それでも「真摯に相手を理解しようとする事」で徐々に分かり合えていくというのは、恥ずかしいくらい当たり前の話だが、そう言いながら最後に、最初に設定した「嘘」が効いてくる。よく出来ているじゃないか。まあただ「学園一のモテ男子」って私の時代にはいなかったから「キショー」と思う。男子校だったからか。でも「学園一のモテ男子」の癖に佐藤隆太っぽいのはマイナスではないのか? 元カレの先輩もちょっと佐藤隆太っぽかったし。まあ、あそこは狙って似たタイプを選んだんではあるんだろうが。でも、先輩高校生というより中年っぽい。

ふと、石井隆が脚本監督だったらビターエンドで終わるかもしれないと思った。『交換ウソ日記のはらわた』。石井隆の映画でハッピーエンドってないんじゃないだろうか?
「なんでもいい」と言ってお尻の穴に入れられてしまう、、、、、、それは石井隆じゃなくって、単に俺のスケベな妄想だ。

エンドロールで「ダンディー坂野」。分からん。普通の服で「ゲッツ」もやらんダンディーはウォーリーより探せない。


【銭】
会員ポイント2ポイントを使って1000円で鑑賞。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
交換ウソ日記@映画.com

『リトル・マーメイド』109シネマズ木場7

◆『リトル・マーメイド』109シネマズ木場7

▲広い『マンホール』みたいな薄暗さの中、髑髏が一つ転がってたらホラー以外の何物でもない。

五つ星評価で【★★なげーよ、このアリエルは嫌い】
ツイッターでの最初の感想(↓)

なげーよ。リトルマーメイドがバトルマーメイドになる後半だけちょっと興奮した。あの容赦ない怪獣演出はよい。アリエルは黒人だからではなく、キツい顔つきだから嫌い。歌は上手いが映画は歌だけで見るものではない。

アニメ版は83分。実写版は135分。これ見よがしに「これでしょ、これが見たかったんでしょ」と繰り広げられるミュージカル・パートが絢爛豪華で素晴らしく美しいけどダラダラ長い。そして、アリエルの顔が怖くて共感しづらい。今回のアリエル、こと私に関してはおそらく「黒人だから」という理由で嫌いな訳ではない。原型になるアニメと見栄えが違い過ぎる。肌の色は置いておいて、アニメのアリエルって見栄え「ロリ」なのである。だから、今までにない「恋」を体験する様子が「冒険」として好ましく映った。今回のアリエルは顔立ちに「フレッシュさ」が欠けている。3年キャバ嬢で働いて300人も債務多重者を叩き出したみたいな顔立ちなんである。そらあ、顔立ちであって、遺伝子であって、本人にはどうしようもないから、「黒人」同様、「300人も債務多重者を叩き出したみたいな顔立ち」でも、忌避するのは差別行動に当たるかもしれない。だが、そんな主張は糞くらえだ。「人は外見が全て」とも思わないが、135分もの尺を使って「顔立ち」の問題点を克服できないのなら、それは「顔立ち」だけではなく、演技が越えるべき壁を越えられなかったに過ぎない。外見が「ぷんぷんしたシンデレラの姉」みたいな容貌だったとしても、それを越える健気な演技を披露すればいい。そんな芸達者ではなかった。ミスキャストだろう。
鳥,、魚、蟹などがデフォルメなしで歌い踊るのは面白くはあるが、逆にリアルを損なっている。難しいのう。だって、うちの食卓に並ぶ蟹は歌って踊ったりしないもの。リアルにした為にリアルを失うというのはとっても不思議。トリトン王もコスプレきつい感じだけど御苦労様。ひらひらフリル王ってドラッグクィーンかよ。でも、他の姉妹もそうだが、母親がいないのなら、アリエルが我がままだったり、親の言う事を聞かないように育ったのはトリトン王の責任だろう(セバスチャンにも責任はあるかもしれないが立場的にそれを問うのは酷)。娘たちも港々に女ありみたいで、おま節操がないよ。そしてその娘を遠方の地に派遣する家族経営方式もちょっと危うい。ラスト海の民が地上に挨拶に上がってくる。ぬめぬめ水死体みたいで怖いよ。何か皆がタテマエの世界で生きてる中、一人だけ欲望マッシグラの蛸おばさんが一番、魅力があるかもしれない(褒めづらい)。人間側の国も王子とお付きの執事だけ欧風みたいな設定は何か怪しい。ポリコレ考えすぎじゃない?


【銭】
109シネマサービスデー(水曜)で1200円で鑑賞。
▼作品の概要はこの辺り見てください。
リトル・マーメイド@映画.com
プロフィールだ

fjk78dead

Author:fjk78dead
ふじき78
映画を見続けるダメ人間。
年間300ペースを25年くらい続けてる(2017年現在)。
一時期同人マンガ描きとして「藤木ゲロ山ゲロ衛門快治」「ゲロ」と名乗っていた。同人「鋼の百姓群」「銀の鰻(個人サークル)」所属。ミニコミ「ジャッピー」「映画バカ一代」を荒らしていた過去もあり。

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