ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『あなたを抱きしめる日まで』をシネマート新宿1で観て、パズル論議ふじき★★★★ @tamiki

五つ星評価で【★★★★チラシに書いてある「感動」とは別の感情だと思う】  
まず、面白い。
でも、チラシに書いてある「感動の実話」と言うのとはニュアンスが違う。
「感動の実話」と言うなら、
色々あったけど最終的に「人間が素晴らしい」ことがよく分かった、
そんな作りの映画になっていなければならない。
この映画はそのニュアンスではない(そのニュアンスが全くないとは言わない)。
後味が良いから分かりづらいが、どちらかと言うと人間否定の映画であろう。

さて、本作は本編を見た観客の何人かがツイッターなどで
「予告編はちょっと内容を明かしすぎている」と発言している。

物語は、50年前に子供を手放した母親がジャーナリストと一緒に
子供の行方を捜索する物語である。
勿論、子供と会える会えないは映画の中で明らかになるが、
予告編はその回答を予告編内で明らかにしてしまう。
実は、これはネタバレと言うには微妙だ。
その結果が物語の大トリではないし、結果解明は物語中盤くらいの位置だ。
結果が分かった後のある発見の方が、物語としては大きな意味がある。
だから、予告編であえて結果は分からせてしまったのだろう
(その方が宣伝として分かりやすくなるので)。
でも、物語としてはその辺が不鮮明な方が面白く見れたのになあ、と思う。


さて、この物語は母子の再会探索を話の中心に据えながら、
主題として語りたいのは神と人との対話バランスではないかと考える。

① 母フィロミナは姦淫の罪で生まれた息子を教会に取り上げられるが、
  信教心は強く、神に対する不信はない。神が世界をすべていると信じている。
  罪人として、神の前では一等下の地位に扱われる。
② 記者マーティンは無神論者である。
  道徳心は強いが、唯一神のような存在としての神には懐疑的である。
  スノッブ(俗物)であり、神を生活の次元から考えない。
③ 協会の尼僧は厳しい戒律の元、神の教えを厳格に実行に移している。
  世間の道徳心から反する行為を行う事があっても、それは神の意志である。
  罪人ではないので、神の前では一等上の地位に扱われる。

①は形而上の神と人の関係だけ見れば幸せだが、③から①への軋轢があっても否定できない。宗教的弱者。②との関係は良好。
②は神と人の関係としては没交渉。①に対しても③に対しても第三者としての見地を持つが、①③と宗教に対して同質部分を持たないので彼ら自身の論理を否定し切れない。宗教的第三者。①が犯した罪に対しては神に責務があり、③が①に対して取った行動については宗教的にも道徳的にも正しくない、責めを負うべきだと考えている。
③は①同様、形而上の神と人の関係だけ見れば幸せである。③からの視点では①との間に軋轢は存在しない(軋轢を肯定する事は神の否定である)。宗教的強者。おそらく宗教を世界の中心と考えない②のような存在は③にとっての恐怖たりえる。

①は③を否定できない(①<③)。
②は①に対して、旅に同行する事で尊敬の念を持つ(②<①)。
③は②を恐れる(③<②)。
じゃんけん、と言うか、三竦みの関係だ。
だから、①と②が連合する事には意味がある。
①が②の非宗教的かつ道徳的な考えを吸収した時、
①と③のヒエラルキーはひっくり返る。
①に許されてはならない③が①に許される時、教会の意味はなくなる。

分かりづらいですか。
分かりづらいですよね。
分かりづらく書いてますから。

最終的には『青い鳥』みたいな物語だった。だから後味が良いのだ。
そして、鳥を探す旅で、人と人が分かりあっていく過程が描写されることで、
考えようによっては「あなたの非道な仕打ちでさえ分かってあげられる」
という所にまで繋がるのかもしれない。

ジュディ・デンチしわしわだなあ。
スティーヴ・クーガンは曲者っぽくてよい。



【銭】
新聞屋系の招待券を貰った。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
あなたを抱きしめる日まで@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
あなたを抱きしめる日まで@映画的・絵画的・音楽的
あなたを抱きしめる日まで@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

PS 「あなたを抱きしめる日まで」ツイッターのRTやり取り再録。
 @tamiki: ひとつ言えるのは、邦題から予想されるような、
     単なる息子探しの感動ドラマではないですね。
 @fjk78dead: 予想:探し出した息子が相手をベアハックで抱きしめ殺す
     殺し屋になってる
PS2 バカよのう、俺。
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