ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『さまよう刃』を角川シネマ新宿2で観て、寺尾聡とちゃうんけふじき★★

五つ星評価で【★★父ちゃんがイケメン枠なのにちょっと身構えてしまった】  
原作は未読だが、5年前の寺尾聡版は観てる。
5年の間に俺の上には1500本の映画が通り過ぎて行った訳で、そんなに機械のように詳細に覚えていられる訳もなく、もう記憶がかなりあやふやなのを最初に謝っておくとして、比較しながら語りたいと思う。と言うのは、他のレビューをチラ見したが、あまり前のを見てる人がいないのだ。私個人は前の奴の方が心情的には好きだ。だが、韓国版の方が背景を韓国にした事で、事件が起こる背景がより真に迫ったのではないかと思う。

ざっくりっす。

日本版は父ちゃんが寺尾聡。韓国版はチョン・ジェヨン。
チョン・ジェヨンって事件が起こる前から復讐をしそうな顔なので、これは寺尾聡を押したい。復讐なんてできそうに見えない寺尾聡が手を出してしまうところにドラマがあるのだ。っつか、寺尾聡とチョン・ジェヨン自身が親子でもおかしくないくらい年の差が大きく見える。日本のほうが晩婚なのかしら。

襲われる娘も日本版ではAV女優の伊東遥。ちゃんと普通に女子高生に見えるが、韓国版の少女は女子中学生っぽい。いやな話だが、より悲劇が引き立つ。襲う少年たちも同様に日本の方が3年くらい大きいイメージ。これは車を使った犯行なので、韓国ではいざ知らずあまり童顔な中学生男子みたいな俳優だと日本ではリアリティが失われるから、普通に高校生以上に見える俳優を使ったのだろう。なので、韓国版の方がより、少年法で守られてる感が強い。加害者側も見た目がかなり子供だから。それは韓国の少年犯罪が若年化して歯止めが利かなくなっている事と密接に関係している。日本より韓国の方がこの題材が成り立つ素養がある。

ライフルの所持は原作・日本版とも元々、そういう技術を持っていた人という設定なのだが、韓国版は偶然、手に入れた形になっていた。これは映画を見ていると韓国版の方が自然に見える。でも、それは映画だからそう見えるのだと思う。日本では銃を一度も手にした事もない人間がやすやすとそれを扱える事を不自然とし、その技術をもともと持っている事が題名の「さまよう刃」の意味でもある、と意図的にしたのだと思う。そして、日本版ではその刃を持つ事にひたすら寺尾聡が悩む。その結果が最後のあの行動なのだ。韓国版はその逡巡があまり明白ではないので、最後だけいきなりどうしたんだみたいに見える。復讐者の映画としては韓国版の方がはっきりしていて筋がいいのだが、ラストだけ、ちょっと主人公の人格が変わったように見える(日本版は逆にそれを成り立たせるために復讐者の映画としての快楽をかなり削ぎ落としてしまった)。あと、韓国では徴兵期間があるので、日本よりも普通に銃火器を扱えるに違いない。だから、偶然、手に入れるという設定も韓国に限ってはそれであまり違和感がなく、いいのだと思う。

ちょい前に見た韓国映画『母なる復讐』でもひどい状態だったように、韓国の少年犯罪はひどいらしい。実質、処罰されないから未成年がバンバン、レイプ魔になったりするらしい。だから、多分、この題材が日本以上に韓国に向いていたのだと思う。警察、被害者の父母、加害者の父母のショットが小気味よく入るのは、それが韓国の方がより、深刻にこの状態がステロタイプになってるからではないか。

同じ題材で作ったのに、背景になる環境が違うので別の映画になってしまった。それぞれの国で成立するリアリティーと原作へのリスペクトを探し求めたら日本の方が真面目に取り組んだ分、つまらなくなってしまった。そんな結果なんじゃないだろうか。


【銭】
映画ファン感謝デーで1100円。

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さまよう刃@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
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