一年のうち一日(厳密には12時間)、
法の拘束力を皆無にする制度が成立しているアメリカを舞台に状況で見せるドラマ。ポケモン公開の間、収益が弱くなる夜間の代打番組として二週間だけイブニングショー公開。
バトルロワイアル法案にも匹敵するハイパー法制度は「ある」という事で触れずに置いとくとして、じっと黙ってただただ身を潜めていれば、嵐は過ぎ去ってしまう筈なのに、内輪揉めがあったり、人間として見過ごせない矜持があったりで、とても自然に状況が二転三転するのが見事(お姉ちゃんがふらふらさまよっちゃったり、増援来たりする展開はそんなに自然でもないか)。
基本的にストーリーラインが映画のツボなので、細かい話や展開は語らないが、主人公の家に押し寄せる暴徒が殺人を楽しみにする白人だけで構成されているのは面白いと思った。彼等は敬虔なクリスチャンのような美辞麗句を口にしながら殺戮する。これはまるで欧州出身の信仰心の厚い若者がボカスカ殺戮をしてのけた西部開拓時代を思わせる。プロムの社交ドレスのように着飾った彼等は、ごくごく普通で、凄く金持ちそうにも、凄く生活に困ってる風にも見えない。ざっくり「中流」っぽい。大学などで普通にキャンパスライフを送って、うまくいかない事にはむかっ腹を立てて1年のパージを楽しみにしてるように見える。彼等が襲うのは弱者だ。映画ではホームレスのニグロだ。ここで黒人が狩られるのは、アメリカに黒人が溢れていて(たしか首都ワシントンでは黒人の比率が白人を超過した)、更に彼等が社会の要所要所に配置されている事に白人社会のフラストレーションが溜まっているからではないか。世が世なら全部、自分達にかしずく存在であるくせに。
暴徒に襲われる家の主人にイーサン・ホーク。
イーサン・ホークの出る映画は外れないなあ。
しかもこういうポッと出のインディペンディント系作品は全部、予算が安い。
これなんて、映画系学校の卒業作品で作れるくらいの予算枠に思える。
脚本読む力が半端ないのか、いいエージェントが付いてるのか。
いいね、イーサン。
で、イーサンもいい年なので、子供二人の親役で、それは違和感ないけど、今回は子供が可愛すぎて違和感がある。あ、姉も弟も目が大きくて、イーサンの遺伝子持ってたら、ああはギョロ目にならなかったろう。そこに違和感があるのだ。しゃあないな。子供の目をメンチョかなんかにする訳にもいかないからな。
姉ちゃんのJKっぽいファッションにハアハア。
【銭】
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▼作品詳細などはこちらでいいかな
・パージ@ぴあ映画生活
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・パージ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
・パージ@ここなつ映画レビュー
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PS 「こんなありえない設定はない」という感想がけっこう多いみたいなのだが、
ありえない度から言ったら『猿の惑星』だって全然ありえない。
ありえないけど、そこをありえる物として仮定したらどうなるって話なんで
端から否定しちゃうのはいかがなものか。
寓話として見てとってもいいんだし。
1年に1回とかではないけれど、アメリカ人(軍)が中東に行くと
(無秩序ではないが)現地の法律を完全に無視して、彼等独自のルールで
少しでも動くものがあれば全員粛清するのだって、
とても『パージ』の延長にある話のような気がしてならないのだ。
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