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『日本のいちばん長い日(原田版)』をUCT4で観て、努力は認めるがやはり岡本版が好きふじき★★★

五つ星評価で【★★★おでは岡本派】

まず、これはこれで大した映画であると思う。
ただ、岡本喜八版の『日本のいちばん長い日』を見てしまうと
そのゆるぎないストーリーテリングに心酔させられてしまう。
原田眞人版が同じ題材で違う物を描こうとした事は分かるが、
前提となる話が分かっていないと、物語として今一つのめり込めない。

原田眞人版は前半ポツダム宣言受諾決定の辺りまでが秀逸だ。
そのパートが前作より長く、前作で知りえなかった事なども色々描写される。
怖い。東條怖い。
でも、そこが長いので「いちばん長い一日」というより
「長かった数日間」みたいにピントがずれてしまっている。
だったらタイトルを『聖断』にして、
『日本のいちばん長い日』はサブタイトルに変更しても良かったのではないか。

残念なのは描きたかった「聖断」にウェイトを置いてしまった為、
「いちばん長い一日」に当たる部分の描写が駆け足になってしまったことだ。
そして、その部分が短くなると、どうしても青年将校達の憤りが伝わりづらい。
自分も含めて、本土決戦しなくていいならラッキーと思うような観客に、
その当時は「日本が負ける事は正義の為に許されない」
というメンタリティーに満ちていたという事を説明してやる必要があると思う。
「この映画を観に来る観客なら分かっているだろう」と決めつけるのは簡単だが、
本来はそれが分からないような観客にこそ見せたい映画でもある筈だ。

松坂桃李演じるドライに狂っていく畑中少佐は
前作で黒沢年男が演じたウェットに狂いまくる畑中少佐と明らかに違う演技で、
それはとても良い試みだったと思う。
松坂桃李の冷徹な顔に、日本軍人の一本気な一念が見てとれて見惚れた。
ただ、問題なのは彼等青年将校が松坂桃李と同じ狂い方にすぐ同調してしまうので、
各個人のメリハリや個性が見えなくなってしまった。
そこだけ現代と同様に意図的に没個性に抑えたという事もないだろう。
前作では青年将校の中でさえも各個性がぶつかり結論や偶然が重なって
反乱になだれ込むという道筋があったのに、
今作ではレールに乗るようにスムーズに反乱になってしまう。
彼等青年将校は日本軍人の戦う事や人を殺す事ですら一生懸命行う勤勉さが
凝縮されたような、外国人から見たら、とっても「日本兵」な存在に見える。
まるで、マシーンのような。
そう言えば総理大臣、陸軍大臣も、
とっても立派な偉業を成し遂げた人物として描かれている。
それはそうなのであるが、どうもスキがなさすぎて人間くさくない。
伝記を聞かされているような感覚である。

岡本版では総理大臣は貧相な小男であり、
陸軍大臣はコテコテの軍国主義者のように描かれている。
それでも彼等は一致団結して、戦争を止めなければならなかった。
そして、戦争を止めたくなかった者達もみんな、とても人間くさかった。

原田版の青年将校達はイデオロギーそのものである。
岡本版の青年将校達はイデオロギーに翻弄される人間である。
原田版は極めて概念的であり、だからこそ描けた部分もある。
岡本版は逆に大衆が喜ぶ絵巻物のようだ。
これも、その様式だからこそ描けたものがある。
私は岡本版の取り組み方の方が好きだ。


【銭】
UCT金曜会員割引で1000円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
日本のいちばん長い日@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
日本のいちばん長い日@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
日本のいちばん長い日@映画的・絵画的・音楽的
日本のいちばん長い日@映画のブログ
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ふじき78
映画を見続けるダメ人間。
年間300ペースを25年くらい続けてる(2017年現在)。
一時期同人マンガ描きとして「藤木ゲロ山ゲロ衛門快治」「ゲロ」と名乗っていた。同人「鋼の百姓群」「銀の鰻(個人サークル)」所属。ミニコミ「ジャッピー」「映画バカ一代」を荒らしていた過去もあり。

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