ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』を新文芸坐で観て、モラリストを気取るよふじき★★★

特集「魅惑のシネマクラシックスvol.20」から1プログラム。

五つ星評価で【★★★モラルのない主役は嫌い】
モラルを語るほどモラルを遵守しているかどうかは我ながら疑問なのだが、
心の中だけはそこそこモラリストなのでって事は他人に厳しく自分に甘くか、
と逡巡迷いながらも、モラル意識の低い奴が主人公だとどうも乗れない。
オーソン・ウェルズ演じるフォルスタツフは悪漢なのである。
悪漢でも一本筋が通っていたり、悪漢なりの論理があればまだ見れるのだが、
臆病で、卑怯で、不誠実、でも、悪友独特の気のいい奴であって、
「へらへら笑ってれば大概の事は許してもらえるだろうキャラ」
と言えばいいだろうか。

映画の大半がこのフォルスタッフのそこそこ上手く行ってしまう成り行き生活と
その不誠実さを描く事に使われ、けっこうイラついて疲れる。
戦争(剣や槍、こん棒での肉弾戦)の中でさえ、人の手柄を横取りしたりする。

このフォルスタッフと行動を共にするのが次期王位継承権を持つ皇子。
悪漢ながら気のいい男フォルスタッフとの悪ふざけを
一時期の遊びと自覚して付きあっている。
彼には彼なりの計算もあり、
若気の過ちは王になった時の厳格な執政とのギャップで逆に有利に働くだろう、
などと考えている。

そして、実際に彼が王位を継承する時、
これから甘い汁を吸って吸って吸い尽くそうとするフォルスタッフと
王子の間で当然、バッティングが起きる。
フォルスタッフは悪漢ではあるが、臆病で、卑怯な、小人物なので、
正しい正論には立ち向かえない。
そこで彼の人生は潰えるのである。

あれ、最近、これと似た人物を見た気がする、と思ったら
『ジャリん子チエ』の鉄だ。
二人を比べると「鉄」の方がまだ立派なキャラである。
「鉄」は臆病でも、卑怯でもない。誠実かどうかは微妙だが、
少なくとも世間のモラルとは異なる基準の正義観で生きている。
彼は自分の身内であるなら、人にタカる事に躊躇しない。
このタカって、面白く生きれればいいという根無しっぽさがフォルスタッフと一緒。
違うのは「ジャリん子チェ」が王位継承候補者じゃなかった事である。
例えば、チエが大人になって、皇室の王位継承候補者に見初められたら、
黒いスーツの男たちに「鉄」は拉致され、存在を抹消されてしまうかもしれない。
その行為を自発的に取らなければいけない皇子の心中の痛みと、
それによってもたらされた「とても王らしい王であった」という、
つまらない結論がダークな感触だった。 あー、でも長かった。


【銭】
カップリングの『第七の封印』は勤務時間中により鑑賞不可。余裕があれば観直したかったが如何ともし難し。ラスト一本割で850円で鑑賞。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
オーソン・ウェルズのフォルスタッフ@ぴあ映画生活
▼関連記事。
じゃりン子チエ 劇場版@死屍累々映画日記

PS 勿論、実物を見た事がある訳ではないが、
 大きな木に何体もぶら下げられている首吊り死体の群れのスカスカ具合が
 妙にリアルだった。
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