
▲佐藤すみれ。
五つ星評価で【★★タレント王国ホリプロの思惑はよう分からん】
ホリプロが制作、配給ともにしている映画。
なのでホリプロのタレントを惜しみなく投入して、
そのホリプロのタレント達が惜しみなく光り輝いていなければならないのだが、
実際は一番大事なそこんところが微妙なんで、困った事になっている。
妄想を具現化するマッチを持った少女が、
マッチが必要な三組の人間に寿命の短縮と交換にマッチを貸与する。
三組のドラマが同時進行するのだが、
その三組は最後までドラマとして絡まない。これにはちょっと虚を突かれた。
なるほど、そういうドラマ上の演出もあるのだな。
ブラックジャックの三つのエピソードが同時に進むような感じだ。
元々、原作はマンガらしいが未読。
おそらくマンガは面白いんだと思う。
ネタバレしない程度に説明すると
(1)いじめられっ子が世界中から好かれようとする話。
(2)才能を見込まれている美学生が
キャンバスを切られる同級生を目撃し、
その周囲の彼女への気持ちをマッチの力で読みながら
事件の真相を解明していく話。
(3)彼女との初デートを永遠に続くように願った男の顛末。
彼等に対してマッチを渡しながらアドバイスする マッチショウジョ に佐藤すみれ。
うん、知らん。
演技的な落ち度はないのだが、和風下膨れ輪郭の彼女に
金髪と赤いカラーコンタクトはミスマッチだった。
自然ではなく、どうしても「着てる感」が出てしまっている。
彼女に運命を変えられる三人のうち最初の二人は、
人間の嫌な部分を露呈させる役。
露呈させながら好きにさせるのがタレントの力量だと思うのだが、
自分が同性である事を差っ引いたとしても、どっちもイヤな野郎だ。
そんな程度の仕上がりで完成させては、
タレント排出機構の映画としていかんのではなかろうか。
最後の一人に関しては、その彼がどうというより、
延々と繰り返されるルーティン構造から押井守の『うる星やつら2』を思いだした。あの映画の中ではルーティンが開いたようでいながら実は閉じているという謎ときのような終わり方をしているのだが、『燐寸少女』では楽しいルーティンを肯定しながらも、そこから踏み出して人生を歩む事の美しさをそれ以上に強く肯定している。その、呆気からんとリアリストな正論に衝撃を受けた。恥ずかしくなるくらい正しい正論だ。いやあ、撃たれた。
【銭】
テアトル系映画館の会員割引+メンバー曜日割引で1000円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・燐寸少女 マッチショウジョ@ぴあ映画生活
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