ふじき78の死屍累々映画日記・第二章

場末にひっそり咲く映画日記。第一章にあたる無印はライブドアブログ

『ハンナ・アーレント』をシネマカリテ1で観て、『スペシャリスト 自覚なき殺戮者』を思い出すふじき★★★★

五つ星評価で【★★★★これはこれで面白いけど不満は映画評論メディアにある】

実はアイヒマンが好きだ。
それは2000年2月にBOX東中野(現ポレポレ東中野)で公開された
ドキュメンタリー『スペシャリスト 自覚なき殺戮者』を見ていたからだ。
実は、今回の『ハンナ・アーレント』でも使われているアイヒマンの裁判映像、
500時間は編集されてドキュメンタリー映画として14年前に公開されていたのである。
これが今回のハンナ・アーレントの弁舌に影響を受けている映画であって、
メチャクチャアイヒマンの官僚度がクローズ・アップされてて面白い。

アイヒマンは役人的に物凄く有能。
やれと言われた無理難題的なユダヤ人輸送計画をどんどんこなしていく。
でも、彼は罪について考えない。それは命令されたからやっているにすぎない。
えーと、はっきり言って私はこっち側の人間です。
軍国主義日本の全軍人もアイヒマン側だと思う。
だって、しゃーないやん。命令なんだもん。
その命令を執行しないと後ろから撃たれる、そんな状況で仕事してるんだから。
基本的に難破船で二人のうち一人しか助からない木切れを獲得する為の殺人が
緊急避難として罪に問われないように、アイヒマンの罪を問うのは難しいと思う。
まあ、どこから線を引くかが引けずに困るんだよなあ、というところだろう。

にも関わらず、アイヒマンは単に捕まってしまった為に、
論理的に処罰が正しいとも思えないのに無理やり処刑されてしまう。
裁判で声高に被害を叫ぶのは被害者であるが、
それは単に感情的にナチ憎しで叫んでいるだけであって、
アイヒマンを罪に問う理由にはなりえない。理屈が立たないのである。
高まる感情だけで捌くなら、それは裁判ではない。
裁判が進むにつれ、アイヒマンを罪に問う理由がどんどんなくなっていく法廷。

にも関わらず、いきなり裁判は終わってアイヒマンは処刑されてしまう。

これは裁判が官僚的にアイヒマンを断罪しなければいけないという結論を
理屈(ハンナ・アーレントのいう所の哲学)が立たないのに、大衆からの命令によって
実行してしまった結果だ。つまり、アイヒマンを罰するのも又、アイヒマンなのだ。

凄い。凄い。面白い。

今回の映画『ハンナ・アーレント』は正論を声高に叫んだために
ミソひいちゃった人がいた、という映画である。なので、面白さの中核は
『スペシャリスト 自覚なき殺戮者』により濃く語られている。

勿論、ハンナ・アーレントという主人公をキャラ立てした事で、
見やすくもなってるし、見せ場も出来てる。
だから、これはこれでいいのだけど、えーとさー、

劇場に貼りだしてあった色々なメディアの映画評をざっと見たんだけど、
誰一人としてこの『スペシャリスト 自覚なき殺戮者』に触れている人はいなかった。

それは勉強不足と違うか? 違わないか?
単にニッチな物件は打ち捨てられちゃって体系化されなくてもやむなしなのだろうか。
一応、同作品はDVDとしてアマゾンとかで買えるみたいだ。
『ハンナ・アーレント』が満席になってシネコン・ラインナップにまで
取り上げられようとしてるなら、これをかける映画館が一つくらいあってもいいのに
(実現性があるかどうかはすまんけど知りません)。企画力がないというより、
企画を立てる映画館その物が場所としてもうないんだろうなあ。

この映画自身に付いてほとんど語ってないんだけど、
ハンナ・アーレントおばちゃんの不敵な感じは何か実によかった。
アメコミのスーパー・ビラン(悪役)みたいな感じ。


【銭】
映画ファン感謝デーで1000円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ハンナ・アーレント@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
ハンナ・アーレント@映画のブログ
ハンナ・アーレント@映画のメモ帳+α
ハンナ・アーレント@ノラネコの呑んで観るシネマ
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スペシャリスト 自覚なき殺戮者@死屍累々映画日記
アイヒマン・ショー@死屍累々映画日記

PS 映画のチラシのコピーに
 「悪とは何か、愛とは何かを問いつづけた」と書いてあるんですが、
 「愛とは何か」を問いつづけていたような記憶が私、ありません。
PS2 アイヒマン、波平に似てる。
PS3
 『スペシャリスト 自覚なき殺戮者』2014年1月11日から
 ユーロスペースでの興行でかかります。ぜひ、ご覧下さい。
 映画としては『ハンナ・アーレント』の方が面白いですが、
 『スペシャリスト 自覚なき殺戮者』は2時間波平出ずっぱりです
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